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    かけはし2016.年2月29日号

「今後ともあらゆる手法を用いて
辺野古に新基地は作らせない」



沖縄報告

(2・15代執行裁判での翁長知事発言)

2月16日

沖縄 K・S

水曜・木曜はゲート封鎖に成功!


 二月一〇、一一日の水木集中行動には、県内各地、全国から各々三〇〇人が結集し、キャンプ・シュワーブ資材搬入ゲート前に座り込んだ。警察機動隊の導入はなく、工事関係車両の基地内進入もなかった。
 二月一二日(金)は早朝からゲート前に座りこんだのは約五〇人。午前七時前に、機動隊が座り込みを強制排除し、コンクリート・ミキサー車二台とダンプ一台を通過させたのを始め、午前中に五回排除をくりかえし、工事関係車両を通した。
 この間辺野古のゲート前は、水木はほとんどゲートを封鎖することに成功しているが、その他の曜日は警察機動隊によって複数回、排除されている。とはいえ、この間の動きを見ると、通過する工事車両の数が少ない日が多い。ダンプ一台だけであったり、作業員が乗る乗用車数台とダンプ二、三台であったり、この日のようにコンクリート・ミキサー車とダンプ二、三台であったりする。昨年から今年にかけての一時期のように、作業車とダンプ合わせて二〇台近くが列をなして基地内に進入していくような事態はあまりない。
 しかし那覇で代執行裁判の第四回口頭弁論が開かれた一五日は、午前七時、警察が座り込みを排除し、ダンプ七台、ローラー車を載せたトレーラー、トラックなど工事関係車両一七台を基地内に入れた。

引き延ばされるボーリング調査


 基地内の工事はどうなっているのか。二月一二日の閣議後の記者会見で、中谷防衛相は、「全二四カ所中二三カ所でボーリング調査を終えた。引き続き残る一カ所の調査を進める」と述べた。しかし二四カ所目のボーリング調査は昨年一二月に「掘削調査、最終段階に」と報道されたように、スパット台船とクレーン船が長島付近で一二月一二日から着手していたはずであり、すでに二カ月になる。異常に長い。まだ調査を継続しているのか?
 考えられることは、政府防衛省は「ボーリング調査が続いている」という建前をとりたいということだ。沖縄県はかねてから、ボーリング調査が終わればブイとフロートをすべて撤去した上で本体工事についての協議を行なわなければならないと沖縄防衛局に対し通知していた。政府防衛省としても、県の正当な要求をあからさまに無視できないので、ブイとフロートで臨時制限区域を設置し続けるために、ボーリング調査を継続しているふりをしているのではないか。そうだとすれば彼らは時間を稼ぎながら次の工事に取り掛かる機会を狙っているということになる。

ブロックを積んだ作業船
が三カ月停泊

 海中投下のためのコンクリートブロックを積んだ作業船が昨年一一月二二日から大浦湾に停泊し、いつでも投入できる態勢をとっている。汚濁防止膜の設置とその固定化のための大量のコンクリートブロック投入は、埋め立て本体工事の第一段階となるものだが、三カ月近くにわたって投下できずに停泊したままである。政府防衛省は昨年、一二月中にもブロック投下を「海象条件が整い次第、速やかに行なう」と述べていた。物理的に準備が整っていても、政治的な力関係が許さないのだ。
沖縄県は昨年一一月二五日、「大重量の構造物設置は岩礁破砕行為に該当する可能性が高い」として、沖縄防衛局に対し、@使用目的、Aブロックの寸法、重量、個数、Bブロックの設置位置図と座標、C設置計画と過去の岩礁破砕申請書との整合性に対する見解の四項目について報告を求めていた。一二月一八日にも再度、防衛局の回答が不十分だとして照会し、確認を終えるまでブロックを投下しないよう求めていた。
二〇一四年八月仲井真前知事は沖縄防衛局から提出された岩礁破砕許可申請を認めたが、それによると、汚濁防止膜の固定に一五トンのコンクリートブロック二三八個を投下するとなっていた。臨時制限区域を表示する現在のブイやフロートの固定のためのブロック三七個を大幅に上回る、ものすごい量だ。しかもその後明らかにされた工事仕様書によると、重量がすごい。五七トン・ブロックが一〇八個もある。一昨年八月県に提出した申請では、一五トンとして許可を得ていたのを、沖縄防衛局は勝手に大重量のものに取り替えて投入しようとしていたのである。そのことが新聞に報道され問題になってくると、沖縄防衛局は一転、「すべてのブロックを一五トン以下にする」と言いはじめた。
彼らはブロック投下をその後、宜野湾市長選挙の後に引き延ばしたが、依然ブロック投下の海上工事に着手できないでいる。現職の再選という結果にもかかわらず、宜野湾市を含め沖縄県民の辺野古NO!の世論に変わりがなく、現地の闘いも弱まらないためだ。
しかも現在国と県は裁判中である。余りに露骨な強行策はイメージが悪い。本体工事に向けた動きが足踏みしているのは以上の理由によるであろう。しかし油断はできない。
ゲート前と海上での闘いをいっそう強化しなければならない。

米軍のために金を
浪費する日本政府


防衛局が現在行なっている工事は主に、キャンプ・シュワーブ基地内の陸上部分のさまざまな工事である。新基地の飛行場部分に当たる約六〇棟の米軍兵舎の解体と新設工事に関連する建築、衛生設備、厚生施設、赤土防止対策、電気設備、空調設備、松くい虫駆除、隊舎機械、通信、道路整備、土木、講堂造成、保管庫新設など多岐にわたる。すべて日本の予算である。防衛省はまた、海上警備のマリン・セキュアリティに八カ月で二四億円、陸上警備のアルソックにも同程度の警備費用を投入している。
日本は内実はそんなに豊かな国ではない。貧困、非正規労働、災害復興など多くの問題を抱えている。すべての人が人間らしく暮らすことができるために行政がきちんと手立てすべきところは多い。米軍政と基地の重圧の元に長く置かれてきた沖縄では特に貧困が深刻な社会問題である。そのような問題を放置したまま、米軍基地のためには数千億円の金を湯水のように支出して恥じない日本政府の姿は、辺野古で最も明白にさらけ出されている。

2・15代執行裁判で翁長知事の尋問
 ―城岳公園の事前集会に1500人


二月一五日午後二時から福岡高裁那覇支部で代執行裁判の第四回口頭弁論(知事尋問)が開かれた。裁判に先立ち、裁判所向かいの城岳公園で、オール沖縄会議主催の「裁判闘争激励県民行動」が行なわれ、冷え込みの強い中、約一五〇〇人が参加した。
社大党の県議、比嘉さんの司会で、最初にオール沖縄会議共同代表の稲嶺名護市長が「国のやっていることは地方自治と民主主義を踏みにじるもので、おかしい。民衆の力こそ横暴な国の政策を転換させることができる」と訴えた。そのあと、国会議員の社民党の照屋さん「裁かれるべきは安倍政権であって、沖縄ウマンチューではない」、共産党の赤嶺さん「この裁判は安倍政権の独裁から法治国家をとり戻す闘い」、生活の党の玉城さん「国内法の適用から米軍を除外し治外法権としている航空特例法は県民に基地負担と被害をいっそう押し付けるもの」と述べた。さらに、県議団の社大党・大城さん、県民ネット・新垣さん、那覇市議会新風会・知念さんの発言が続いた。
ヘリ基地反対協の安次富さんは、「唯一の解決策は普天間基地をアメリカに持って帰ることだ。強制収用した基地が老朽化したから新しい基地をよこせなどというのは盗人猛々しい。世界の大国という割にはアメリカはやることがみみっちい。普天間の危険性の除去ということも、これまで危険性を放置してきたのは日本政府ではないか!」とアピールした。
最後にあいさつに立った翁長知事は、「子や孫が歴史を振り返り、あのころ頑張ったから今の私たちがある、と言われるようにしたい。新しい歴史の一ページを開いていこう」と呼びかけた。そして、参加者全員が手に手を取り合ってガンバロー三唱を行ない、オナガコールで知事を法廷に送り出した。
午後二時から五時近くまで、県、国それぞれの代理人の質問に答える形で、翁長知事は、沖縄の基地問題の歴史、沖縄に米軍基地がほとんど押し付けられている問題点、安倍首相や菅官房長官、中谷防衛相の発言の不当性、沖縄戦と県民の思い、仲井真前知事とのやりとり、埋め立て承認取り消しに至る経過、第三者委員会の審理の公正さ、等々を真剣に語った。裁判官には「子や孫ががんばっていけるよう慎重な判断をしていただきたい」と求めた。
次回公判は二月二九日、稲嶺名護市長の証人尋問で、結審となる予定。

2.15

辺野古第4回代執行訴訟

首相官邸前で抗議行動

「和解案」を蹴っとばせ!

  二月一五日午後六時半から、「第4回代執行訴訟 辺野古和解案を蹴っ飛ばせ あくまでも辺野古新基地建設阻止を!」2・15官邸前緊急行動が主催:沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックで行われた。昨日の二〇度を超える暑さとうって変わり、粉雪が舞い散る寒いなかで元気よく行動は行われた。

あくまで基地を
作らせないぞ!
集会の最初に、大仲尊さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)が主催者あいさつをした。
「今日、二つの裁判が行われた。一つは名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを国土交通相が執行停止決定したことについて、国地方係争処理委員会による不服申し出却下を経て、県が同決定の取り消しを求めて国を相手に今月提起した訴訟の第一回口頭弁論と二つ目は代執行訴訟・第四回裁判があった」。
「代執行裁判で、裁判所が提示した和解勧告案は根本的な解決案と暫定的な解決案として出された。根本的な解決案━県が承認取り消しを撤回した上で、国は三〇年以内に新基地を返還するか軍民共用とするか米軍と交渉する。暫定的な解決案━国は代執行訴訟を取り下げて工事を中止し、県と協議する、とするものだ」。
「国は暫定案を受け入れられないとしている。両案とものめるものではない。あくまで辺野古に新基地を作らせない。翁長県知事は本人尋問で日本政府を糾弾し、新基地は作らせないと話した。地裁前に一五〇〇人が集まり激励した。次回は二月二九日、第五回裁判では稲嶺名護市長の証人尋問が予定され、結審になると予想される。和解が決裂した場合、四月一三日に決定が出ると言われている。キャンプ・シュワブ前では機動隊のゴボウ抜きに抗して座り込みが続いている。現場で闘い抜き、翁長知事を支援する」。
神奈川・沖縄講座の仲間は一月下旬に辺野古に行ってきた報告と「辺野古の今」写真パネル展を一週間やったこと。三月二五日、山城博治さんを呼んだ集会を予定、四月に沖縄県人会も入った集会を予定していると報告した。

週3日阻止行動
で工事を止める
山城博治さん(沖縄平和センター議長)が電話でアピールした。
「第四回公判で、翁長知事は沖縄差別、基地押し付けの歴史を糾弾した。ゲート前には一〇〇人、那覇裁判所には一八〇〇人が集まった。埋め立て工事は止まっている。春まで止まると言われている。水木行動で止めているがさらに金曜日も含めて週三日の大行動だ。工事を止め、基地建設を断念に追い込む。東京や全国に支援の運動が広がっている。われわれは必ず勝利する。連日寒さの中、ゲート前に集まっている。がんばっていこう。勝利に向けてばく進しよう」。
嘉手納の沖縄・一坪反戦地主の仲間は「四五トンのブロックが大浦湾に落とされるのではないかと心配しているが体の具合があって現地に行けない。一人でビラまきをしている。世論をつくっていきたい」と訴えた。名護市出身の青木さんが「辺野古の闘いは歴史に残る闘いだ」と奮起を促した。日韓ネット、辺野古リレーの発言が続いた。
辺野古実の中村さんが「ボーリング調査が一つ残されているがそれ以上の作業は進んでいない。これは政府を追いつめているからだ。二月二一日、国会包囲行動、二月二八日正午京王線飛田給駅集合、辺野古に派遣されている第七機動隊宿舎に抗議行動、三月七日定例防衛省行動、三月二七日新宿デモへの参加」を提起した。そして三月一九日北上野さんを呼んだ報告会、三月二九日千駄ヶ谷区民館石垣島などで自衛隊配備に反対する集会参加も呼びかけられた。最後に官邸に向けて沖縄の闘う歌を歌い、シュプレヒコールを行った。沖縄と連帯する闘いに参加しよう。  (M)


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