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    かけはし2016.年2月15日号

原発事故責任者の刑事責任を問う!


1.30

福島原発刑事訴訟支援団が発足

脱原発への道を切り開こう

許さない忘れない被害の補償を



会場埋め尽くし
熱気に満ちて
 一月三〇日、東京の目黒区民センターで「福島原発刑事訴訟支援団発足のつどい」が開催され、四〇〇人を超える人びとが参加した。集会には福島原発事故の被害者、避難者をはじめ全国から「福島原発告訴団」に加わって原発事故の刑事責任を取ることを求めてきた支援の人びとなどで会場は埋めつくされた。
 昨年七月三一日、東京第五検察審査会は東京電力の勝俣恒久元会長、武黒一郎元社長、武藤栄元副社長の三人について、東京電力福島第一原発事故の責任を問い、「業務上過失致死傷」の罪で、起訴相当との議決を行った。二度にわたる検察審査会での「起訴相当」議決によって、二〇〇〇人以上の原発事故関連死を引き起こし、五年経った今なお一〇万人以上の県民の帰還を妨げている福島原発の過酷事故を引き起こした刑事責任を問う裁判がついに始まろうとしている。
 支援団の団長には佐藤和良さん、副団長には武藤類子さん、そして事務局長には地脇美保さんが就任した。

対立・分断を煽る
やり方に怒り!
経過報告を行った佐藤和良さんは、原発事故が「国策」としての原発開発「総動員」体制――原子力ムラによる原発安全神話、安全軽視と効率優先の世論形成によってもたらされたものであることを鋭く告発した。そして「福島原発事故」がまだ終わっていないこと、政府・東電・福島県による原発事故隠し、被害者切り捨て、さらに放射能汚染と被ばくによる被害の受忍強制に徹底して抗うことが今こそ問われている、と強調した。
次に佐藤さんは、被災地の現状として差別と分断がさらに強まり、「原子力ムラの巻き返し」、「原発・放射能安全神話」が息を吹き返していることを厳しく批判。国策として年間二〇msvまでの地域には「帰還」が強制され、区域外避難者への住宅費支援が打ち切られることで、被災者・避難者を貧困の淵に追い込む政策、被害者どうしの対立・分断をあおり、切り捨てるやり方を厳しく批判した。
さらに佐藤さんは、福島原発事故の責任を問う刑事訴訟の意味について、たとえば汚染水のたれ流しについても検察側が「不起訴のための証拠固め」をしているような状況を厳しく批判し、民事では出ない証拠を刑事裁判によって出させることで事故の原因究明、責任解明を果たし、原発過酷事故の再発防止の必要性を喚起して、再稼働路線にストップをかけることなどを訴えた。
佐藤さんはその上で、小児甲状腺ガンの問題をはじめ、これからさまざまな健康被害が出てくることが明らかな中で、原発事故被害者の救済と生きる権利の確立、脱原発社会をめざし、福島原発事故を顧みない原発推進政策からの転換を果たそう、と強調した。

刑事訴訟支援団
に結集しよう
講演は海渡雄一弁護士が行った。海渡さんは事故から五年をメドに起訴状を作成することをめざして作業が進められていること、この裁判は何より事故を忘れさせることなく、事故の責任隠蔽を許さない闘いを続けることで、原発依存政策をやめさせる力を政府や電力資本に向けて作りだしていく役割りを果たす、と語った。
続いて刑事訴訟支援団の呼びかけ人から発言。鎌田慧さん(作家)は、経営者が罪・誤りを犯してもその責任を問わない日本社会の体質を正す闘いの意義を強調。河合弘之弁護士は「日本からすべての原発をなくすという全体的戦略を忘れずに一つ一つの闘いを積み上げていく」ことを強調し、そのためにとにかく再稼働ストップ、自然エネルギーしか出口がないこと(ドイツではすでに三〇%が自然エネルギー)のアピールや裁判で原発事故の刑事責任・民事責任を問うことを訴えた。
添田孝史さん(ジャーナリスト、『原発と大津波 警告を葬った人々』岩波新書の著者)は「事件が風化されないようにきちんとした記録を残す」必要性を強調。広瀬隆さん(作家)は経済再生相をカネの授受で辞任した甘利明が、原発再稼働に果たした責任を指摘し、一九七〇年代初頭にはイタイイタイ病、四日市ぜんそく、チッソ水俣病など企業の刑事責任を問うた公害裁判判決が出たことを思い起こし、しっかりした世論を作り出そう、と呼びかけた。
満田夏花さん(FoE Japan)は東電とともに国の責任を問うべきことを訴え、水戸喜世子さんは原子力規制委の果たしている責任を追及し、「若狭の原発を止めよう」と呼びかけた。保田行雄弁護士は福島原発事故被災地の「避難指定の解除」を通じて、被害補償の打ち切りに向かう流れを糾弾し「政府・東電には責任の自覚がない。刑事裁判は決定的に重要だ」と強調した。
最後に、副団長の武藤類子さんと石丸小四郎さんがあいさつし、福島からの参加者、会場が一体となって「われら揺るがず」の大合唱で集会を締めくくった。
刑事裁判は、夏前にも第一回公判が予想されている。三月二日には原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)主催で「福島原発事故から5年――被害者を切り捨てるな!全国集会」(午後1時半、日比谷野外音楽堂)が開催され、デモも行われる。
これらの取り組みに結集するとともに、福島原発刑事訴訟支援団に入会し、この裁判を支えるよう呼びかける(年会費1000円、オンライン入会は原発事故刑事訴訟支援団ホームページ shiendan311@gmail.comより。郵便振替口座は02230−9−120291 福島原発刑事訴訟支援団)   (K)

1.19

朴クネ政権は弾圧やめろ

韓国大使館に抗議行動

民主労総の闘いを支援しよう

 一月一九日、全労協などの呼びかけで、韓国民主労総への弾圧に反対する韓国大使館抗議行動が行われた。
 昨年一一月一四日、韓国・ソウルでは一三万人が結集して民衆総決起大会が行われた。この闘いはパク・クネ政権が推進する労働法制改悪、歴史教科書国定化、セウォル号事件の真相究明、コメの輸入自由化など、民主主義と生活破壊に対する労働者・民衆の高まりを背景にしたものだった。
 しかし、パク・クネ政権は同集会を禁止し、周囲の道路を封鎖して労働者民衆のデモを徹底的に弾圧する態勢をしいた。この中で一人の農民が放水銃の頭への直撃によって意識不明という瀕死の重傷を負い、民主労総ハン・サンギュン委員長は逮捕されることになった(本紙二月一日号「韓国はいま」参照)。
 この日、抗議の申し入れのために韓国大使館へ向かおうとした仲間たちに対し、警視庁は麻布十番から仙台坂に向かう交差点で阻止線を張った。大使館前での五人以上の申し入れ行動は認めないというのだ。抗議行動参加者はこの不当な規制に抗議しつつ、五人ずつの大使館門前での抗議を行い、さらに仙台坂交差点で韓国での民主労総への不当弾圧抗議のアピールを繰り返した。     (K)

資料

労働改悪を強行し暴圧政治を強行する
パク・クネ政権は退陣せよ

民主労総のハン・サンギュン委員長弾圧に対する
怒りで12・16ゼネストに火をつけよう

 韓国民主労総は、パク・クネ政権の労働法改悪をはじめとする反動政策に対してゼネストを対置して闘っている。この中でハン・サギュン民主労総委員長は逮捕・拘留されている。以下、韓国の労働者階級政党推進委員会の声明を掲載する。(「かけはし」編集部)

 民主労総のハン・サンギュン委員長は12月10日、曹渓寺(注1)で記者会見をした後、自主的に警察に自首した。12・16ゼネスト闘争を目前にした時期の闘争指導部の委員長の自首は異例であり、とんでもないことである。闘争指導部が持ち場を守らなければならないということは、他のだれよりもハン・サンギュン委員長をはじめとする民主労総指導部自身が一番よく知っていた。だから4月ゼネストからこれまで、ハン・サンギュン委員長は、氏名手配を受けて曹渓寺まで入ったのだ。ハン・サンギュン委員長が曹渓寺に入って以降の一連の動きを見ると、言葉では自主的に出頭となっているが、事実上、曹渓寺への押し入りによる強制連行に他ならない。
 パク・クネ政権はなぜ曹渓寺に実質的に無理矢理押し入ってまで民主労総ハン・サンギュン委員長の拘束に血眼になったのであろうか?それは、パク・クネ政権の労働改悪における大きい障害になると判断したためであろう。野党が臨時国会で労働改悪を合意処理したなかで、労働改悪における唯一の障害は、労働者民衆の闘争である。11・14民衆総決起闘争には、10万以上の労働者民衆が集結した。労働改悪に対する怒りが、警察の暴力に対抗する闘争において爆発した。労働者民衆をISになぞらえて「テロリスト」などと誹謗中傷し、数百人の無差別拘束、手配、召喚、押収捜索などによって恐怖を世の中に植え付けた。それにもかかわらず、12月5日の民衆総決起闘争には、3万人以上が集結して、仮面をかぶって政権の恐怖政治をあざ笑った。そしてその場で12月19日民衆総決起闘争が宣言された。民主労総はその後、12月4日の中央執行委員会で12・16ゼネストを決定した。労働改悪阻止のための不屈な闘争が継続するなか、その中心に民主労総委員長があると政権は判断したのだ。
 青年失業解決を前面に出したパク・クネ政権の「労働改革」が国民に対する詐欺茶番劇であることは見え見えである。資本が財閥社内留保金を数百兆ウォンもしこたま貯め込む一方、労働者からは賃金を削り取り、あげくの果てに解雇しておきながら、口先では青年失業解決しようという嘘つき三昧がそろそろ通用しなくなってきている。そこで彼らのなりふり構わない暴走が始まっている。資本と政権は、労働者民衆に対して殺人的な搾取政策を押しつけるとき、理性を失った極度の暴力に走る。民主労総ハン・サンギュン委員長の拘禁はまさに、理性を失った政権の暴力である。理性を失い、労働者民衆の暴圧政治をほしいままにする政権そのものである。ただちにパク・クネ政権は退陣せよ。労働大災害を招いておきながら暴圧政治を強行するパク・クネ政権を、われわれは労働者民衆の闘争によって退陣させなければならない。
 労働改悪をめぐる労働者と資本家の階級闘争の真っ只中でパク・クネ政権は、労働者の闘争指導部をふみにじり、それによって労働者の隊列が動揺して崩壊することを願っている。これは逆にいうと、パク・クネ政権が労働者のゼネストに火が付くことを最も恐れてことを表わしている。したがって、いま重要なことは、ハン・サンギュン委員長が最後まで持ちこたえることではない。労働者の指導部弾圧に対する怒りの炎によって、資本と政権が最も恐れている労働者のゼネスト闘争に火をつけることである。ハン・サンギュン委員長は、すでに指導部として必要かつ最も重要な決定を下した。すなわち、12月16日ゼネストが決定されたのだ。12月16日から、民主労総傘下のすべての労働組合はゼネスト闘争に突入しなければならない。12月16日から全面的なゼネスト闘争を展開して、すべての民衆陣営が参加する12月19日民衆総決起闘争に進もう。

  2015 年12月10日
労働者階級政党推進委員会

注1)ソウル特別市鍾路区堅志洞にある寺院。韓国仏教界の最大宗派である曹渓宗の総本山。

 


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