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    かけはし2016.年2月1日号

寒気をついて戦争法廃止の決意


1.19

国会前「19日行動」に5800人

今こそ野党は結束し、安倍政権打倒へ


改憲を政治日程
にのせた安倍
 一月一九日、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会は、「私たちはあきらめない!戦争法を廃止へ!安倍内閣は退陣を1・19総がかり行動」を衆参議員会館前から国会図書館前にかけて行い、五八〇〇人が参加した。
 この日の行動は、一五年九月一九日の参議院での戦争法強行採決を忘れず、戦争法廃止と安倍政権退陣に向けて「毎月一九日行動」として設定した取り組みだ。一月四日の通常国会のスタートに合わせた国会行動に続いて第二弾だ。
 敵の動きは加速化している。すでに安倍晋三首相は、夏の参議院選挙を射程にして年頭会見で自民、公明、おおさか維新の会など一部野党も含めて憲法改悪の国会発議に必要な参院の三分の二議席を目指すことを表明した。さらに改悪キャンペーンの一つとして大規模災害などに対応する「緊急事態」を憲法に位置づければ改憲勢力を結集できるとして論陣を作り上げていくことも言い出した。
 さらに戦争法に関して安倍は、「世界の多くの国々から強い支持と高い評価が寄せられている。決して戦争法ではなく、戦争を抑止し、世界の平和と繁栄に貢献する法律だ」などとデマの国会答弁をする始末だ。戦争法は、三月二九日に施行されるが、南スーダンで自衛隊国連平和維持活動(PKO)を行っている任務に「駆け付け警護」を追加するはずだったが、先送りにした。国会承認が必要な日米軍のグローバル派兵実戦強化にむけた「日米物品役務相互提供協定(ACSA)」改定案も国会に提出しないことにした。「世界の平和と繁栄に貢献する法律」だと「自慢」するなら追加任務を先送りする必要はないではないか。
 朝日新聞の世論調査(一月一六、一七日)は、戦争法に関して賛成三一%/反対五二%という結果を明らかにしている。安倍政権は、この現実を知っているがゆえに参院選挙対策として国会で争点化することを避け、国会を包囲した戦争法反対デモの再現を避けることを優先したのだ。安倍政権打倒にむけてさらなる包囲を拡大していかなければならない。

何としても参院
選で野党共闘を
集会は、「戦争反対!九条壊すな!戦争法はいますぐ廃止!」のコールから始まった。
駆け付けた大串博志衆院議員(民主党)、主濱了参議院議員(生活の党と山本太郎となかまたち)、吉田忠智参議院議員(社民党党首)、小池晃参議院議員(共産党)、初鹿明博衆院議員(維新の党)から戦争法廃止、安倍政権打倒にむけた野党共闘などについて発言。
高田健さん(解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会)は、「いまだに参議院選挙を前にして野党が結束できていない。私たちは市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)を作った。なんとしてでも参議院選挙で野党の共闘を実現したい。憲法に『緊急事態』条項を入れる安倍政権に勝ちたい。総がかり実行委員会は、しっかりと結束し、大きな共同行動を進め、安倍政権と闘っていこう」とアピールした。
宇都宮健児さん(反貧困ネットワーク)は、「貧困は戦争の温床だ。最前線に送られるのは、貧困家庭で育った子どもたちだ。経済的徴兵制だ。空爆ではテロはなくせない。空爆は憎しみの連鎖を生み出し、テロを世界中に広げてしまう。テロをなくすためには貧困や格差、差別を根絶する必要がある。だからこそ社会保障を充実させなければならない。しかし安倍政権は、生活保護、医療、年金、介護などを削減している。しかし防衛費は五兆円だ。企業、富裕層に課税し、所得再分配しなければならない。今年は重大な政治決戦の年だ。参議院選挙を勝ち抜けるか、市民運動の力が試される」と強調した。
さらに発言は、山岸良太さん(日本弁護士連合会)、福山真劫さん(戦争をさせない一〇〇〇人委員会)、 木下興さん(憲法共同センター)、伊藤真美さん(安全保障関連法に反対する医療・介護・福祉関係者の会)から行われた。
最後に@一・二三市民連合シンポジウムA二・一九国会前行動B二・二一止めよう!辺野古埋め立て国会包囲C三・二六原発のない未来へ!全国集会後D五・三憲法集会などの行動提起が行われた。    (Y)

1.23

「市民連合」がシンポジウム

2016年、どう戦いぬくか?

討論に聴きいる1300人

 一月二三日、北とぴあ・さくらホールで安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合が「2016年をどう戦い抜くか」パネルディスカッションを開き、一三〇〇人が集まった。
 高田健さんの開会のあいさつの後、民主党、共産党、維新の党、社民党の各代表が野党共闘の実現により参院選の勝利を訴えた。高齢をおして参加した金子兜太さん(俳人)が「安倍政権は許さない。野党がはがゆい。がんばってもらいたい」と短く連帯の言葉を述べた。
 柄谷行人さんが「憲法9条の今日的意義」と題して講演した。
 「デモ・集会が政治を変える、それが人民主権だ」と話し、なぜ憲法九条は残されたのかを問い、「超自我ともいう説得によって変えられない無意識の中に九条はあり、それを自民党でさえ変えられなかった」と説明した。「自民党は九条を無力化することによって戦争のできる体制を築いてきた。九条を変える改憲・国民投票は負ける。国民投票をしようと呼びかけてもよい。九条を掲げ、実行することが重要だ」と結んだ。

悲観せず動き
出して変化を
青井未帆さん(学習院大法科大学院教授)、三浦まりさん(上智大学教授)、森達也さん(映画監督)、諏訪原健さん(SEALDs)がパネリスト、山口二郎さん(法政大学教授)がモデレーター役をつとめ、「イヤな時代どう押し返すか」と題してシンポジウムを行った。
山口さんが「安倍時代に生きている。後戻りできない所を過ぎてしまうかもしれない。そうさせないために二〇一六年が決戦の時だ」と投げかけシンポが始った。
森さん。「二〇年前のオウムの中のことが社会に広がっている。ドグマを信じて集団化しようとしている。排除する、外部に敵を作る。マスコミ・ジャーナリズムの中に自主規制が起きている。権力を監視することが必要だ」。「同調圧力に対して、ささやかな動きをすること、発信していくこと。そうすればきっと変わる」。
青井さん。「とりあえず改憲の雰囲気を作るというのが安倍政権だ。闘いを挑むべきだ。憲法に緊急事態条項がないから改憲だと言うが、その例示がウソに満ちている」。「九条は限界を定めてきた。それを閣議決定で変えた。これは違憲だと言い続けていかなければならない」。
三浦さん。「なぜ政権の支持率が高いのか。政治に関心はあるが聞こうとしない。安全神話で自分が楽になる。イヤなことは忘れるようにする。政権批判はよくないこと、国家への一体化を求める。日本は民主主義度で世界の二三位に下落した。政治参加をどう高めるのかが問われている」。「男性中心主義との闘いが必要で、未来に責任をもつことだ」。
諏訪原さん。「@参院選で本気で勝つ。本当の言葉を発する。A選挙に一喜一憂しない。理性を持って、先の社会を思い描きながら対抗していかなければならない」。
山口さんが「決して悲観することではなく、動くことによって政治は変わる」とまとめた。

あらゆる可能性
に分け入って
最後に中野晃一さん(上智大教授)が「参院選前に安倍退陣などいろんなシナリオがありうる。声を議会に反映させること。投票率のアップが重要。@戦争法廃止を国会に提出A二千万人署名の達成B一人区野党統一候補の実現をめざしてがんばろう」と訴えた。
なお、午前一一時から新宿駅西口でアジア連帯講座は八人で二〇〇〇万人署名を行った。雪になるのではという寒い日であったが呼びかけに応え積極的に署名する人、すでに署名を行った、がんばって下さいと声をかける人がいた。歴史修正主義右翼の街頭宣伝が宣伝カーをしたてて、軍隊慰安婦、南京大虐殺問題などなかったかのような主張、日本のアジア侵略をアジア解放の戦争であったと美化する宣伝を行っていた。それほど関心を寄せる人はいなかった。     (M)

1.6

ニューイヤー「ロックアクション」

秘密保護法・戦争法廃止へ

今こそ共同の力発揮へ

 【大阪】戦争あかん!ロックアクション主催のニューイヤー・ロックアクションが一月六日、大阪中之島水上ステージで開かれた。
 いくつかの団体から、それぞれのアピールがあった。
 ?「参議院選の結果によっては、改憲派が三分の二を超えて一挙に改憲への動きがつくられることのないよう、今から準備をしていこう。大阪選挙区は定数四人だ。維新が二人立てるという噂もある。最悪の場合、維新二、自民と公明が各一となれば、すべて改憲勢力になってしまう。このようなことには絶対にならないよう、市民と政党が連帯して戦っていかねばならないということを新年の決意としたい。今から取り組まねば間に合わない」。
 ?「第四六回の越冬闘争への支援に感謝する。今日は被曝問題について問題提起をする。昨年九月の公表では福島第一で六五七〇人、除染作業には一万六二〇〇人の労働者が参加している。福島の観光庁の出先機関と話をした。福島は人口流出と復興型経済で経済がゆがんでいる。ネットで福島に来ないでほしい。大半は実態のない企業のネット請け合いが常態化している。雇用が劣化する中、被曝労働の問題が浮上している」。

思想を取り
しまる共謀罪
「福島県労働局は、労災事故があまりにも多く、一〇〇ミリシーベルトを基準にしながら労働安全衛生に資する新しい被曝基準を出そうとしたが、企業の反対で出せなかった。川内原発再稼働直前に原子力規正委員会が出したのは、緊急時被曝線量二五〇ミリシーベルトまで許容するというもの。まるで事故が起きることを想定しているかのようだ。一九七九年に放射線被曝者に放射線管理手帳が配布されたが、その間九年間被曝に対する補償がないまま放置された、その数三五万人。住所が判明したのは三五%。政府は九九年、原発点検方法を変えた。この延長線上に福島事故がある」。
?「共謀罪について話しをする。昨年一一月に、高村副総裁や谷垣幹事長が一斉に共謀罪について発言し始めた。パリでテロが起きた。国連条約を批准しなければいけない。五月には伊勢志摩サミットをする。だから共謀罪が必要という論理。その後、石破、河野、菅、安倍と続いた。一二月には、時事通信が世論調査の結果として、五〇%以上が共謀罪に賛成。産経新聞では七六%が賛成だと。だが、テロ対策も国連条約も共謀罪と関係ない。共謀罪は労働組合の相談とか市民団体の運動とか、便所の落書き万引きの計画を処罰する法律だ。国際犯罪防止条約はテロ対策ではなくマフィア対策の条約であり、批准するのに共謀罪は要らないと言われている」。
「この日本では、爆弾についてなら相談しただけで共謀罪が成立する。秘密保護法にも共謀罪がある。殺人放火は、共謀罪がなくても処罰される。日本の政治家たちはなぜ、共謀罪を無理に通そうとするのか。共謀罪は現代の治安維持法だといわれるが、治安維持法は国体の変革・私有財産制の否定という思想を取り締まる法律だった。共謀罪が取り締まるのは、危険な相談だ。思想までは行かない。共謀罪は絶対に許してはならない。法務大臣は慎重に検討すると言っているが、それはいつ提出するかの検討だ。新聞記事は世論操作だから、記事が出るたびに抗議を集中しよう」。

言論・表現の
自由が危ない
?「国連『表現の自由』に関する特別報告者デビッド・ケイさん(米国人・国際法学者)が、一二月一日より八日まで日本への公式訪問調査を予定していた。国連のオフィシャルなウェブサイトには日の丸マークで、 日程については受入国政府との間で合意されていると記載されていた。最近日本では、特定秘密保護法やメディアに対する公権力の介入とみられる事態が続き、戦後かつてないほど、言論・表現の自由・報道の自由が危機にさらされているといえる。こうした状況もあり、国連「表現の自由」に関する特別報告者の来日はまさに時機を得たものだと言えるだろう」。
「ところが、突然日本政府の都合でキャンセルされた。報告者は車の手配とかいろいろと準備をしていた。訪問が必要な国が多い中で日本を選んでくれたのに、ドタキャンだから、別の国に変更もできず、その結果他の国の関係者にも迷惑をかけたことになる。しかも、その理由がはっきりしない。このような対応は、民主主義国の中では極めて異例なことだ。政府は、予算編成などのため万全の受け入れ態勢がとれないから、日程を再調整すると言っているが、理由にならないだろう」。
集会後は西梅田までデモを敢行した。デモ解散地点で服部良一さん(ロックアクション代表)がまとめをし、「三〇〇人がデモに参加した。ロックアクションは今後も続ける。戦争法廃止を求める運動が毎月一九日全国的に取り組まれる。大阪でも同じ日に全国と連携した運動が取り組めるよう一〇〇〇人委員会などと協議をし、二月から始めていきたい」と述べた。
(T・T)

 



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