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    かけはし2015.年5月18日号

米国にすがって「戦争国家」へ


日米新ガイドラインを廃棄せよ

安倍の米議会演説の意味するもの


「切れ目のない武力行使」再び


 四月二七日、日米両政府は新たな日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)を合意した。
一九九七年、それまでの「日本有事」に対応する日米防衛協力をうたったガイドライン(一九七八年ガイドライン)を超える、「周辺事態」での戦争協力に一歩を踏み出した「新ガイドライン」(97ガイドライン)が作られた。それをさらに超えて、「切れ目のない、力強い、柔軟かつ実効的な日米共同の対応」「日米両政府の国家安全保障政策の相乗効果」「政府一体となっての同盟としての取り組み」「地域の及び他のパートナー並びに国際機関との協力」「日米同盟のグローバルな性質」を冒頭に確認した、文字通り「グローバルな戦争同盟」のための「指針」が合意されたのである。
新ガイドラインは、本紙四月二〇日号一面でも紹介したように、「平時」と「戦時」、「日本周辺」と「地球の裏側」の区別を取り払った、時系列的にも空間的にも「切れ目のない」戦争協力体制を構築しようとするものだ。そこでは「日本の平和及び安全の切れ目のない確保」の名の下に、敢えて「日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」も取り上げている。
安倍首相は昨年の「集団的自衛権」行使容認の閣議決定の際に、「日本人の避難にあたっている米軍が攻撃を受けている」時に自衛隊がその攻撃を排除することを、「集団的自衛権行使」の一例として提示した。しかし新ガイドラインでは「日米両国が、おのおの、米国または第三国に対する武力攻撃に対処するため」の「共同対処」を取り上げているのであって、決して自衛隊の「集団的自衛権」を発動した武力行使は「米国への攻撃」に限られたものではない、ということがここでも改めて明確になっている。
「V 地域の及びグローバルな平和と安全のための協力」の項で、新ガイドラインは訴えている。「相互の関係を深める世界において、日米両国は、アジア太平洋地域及びこれを越えた地域の平和、安全、安定および経済的な繁栄の基盤を提供するため、パートナーと協力しつつ、主導的役割を果たす」と。
そこでも「同盟調整メカニズム」と称する米軍と自衛隊間の連携した作戦構築・戦争指導機能を通じた、「平和維持活動」「国際的な人道支援・災害救援」「海洋安全保障」「パートナーの能力構築支援」「非戦闘員を退避させるための活動」「情報収集、警戒監視及び偵察」「訓練・演習」「後方支援」があらためて例示され、ここでも日米両国以外の「三カ国及び多国間の安全保障及び防衛協力を推進し及び強化する」ことがうたわれている。ここでは明らかに、アメリカの対中国を意識した「アジアへの回帰」戦略(「リバランス」)において、日本がオーストラリアやフィリピンなどとの「基地使用」を含めた軍事協力関係に入ることが想定されている。
新ガイドラインが、米国が主導したグローバルな戦争プランに自衛隊が能動的に参加し、米軍にあらゆる領域で効率的な協力を果たすものであることは明らかである。さらにそれは「宇宙及びサイバー空間に関する協力」にまで広がっていることにも注目すべきだろう。

「徹頭徹尾米国を支持」


安倍首相は、日米ガイドラインが日米の「2プラス2」(外交・防衛閣僚会議)で合意された翌々日の四月二九日、米国の上下両院合同会議で行った演説において、高揚感に満ちた次のような主張を行った。
「私たちは、アジア太平洋地域の平和と安全のため、米国の『リバランス』を支持します。徹頭徹尾支持するということをここに明言します」。
「日本は、豪州、インドと、戦略的な関係を深めました。ASEANの国々や韓国と、多面にわたる協力を深めていきます。/日本は、将来における戦略拠点の一つとして期待されるグアム基地整備事業に、二八億ドルまで資金協力を実施します」。
「日本はいま、安保法制の充実に取り組んでいます。実現のあかつき、日本は、危機の程度に応じ、切れ目のない対応が、はるかによくできるようになります。/この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟は、より一層堅固になります。それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすでしょう。/戦後初めての大改革です。この夏までに成就します」。
このように、他ならぬ米国議会に「安保法制=戦争法案」の成立を誓った安倍は、前日の合意された新ガイドラインについて、「どうだ!」と言わんばかりに演説を続けた。
「ここで皆様にご報告したいことがあります。一昨日、ケリー国務長官、カーター国防長官は、私たちの岸田外相、中谷防衛相と会って協議をしました。/いま申し上げた法整備を前提として、日米がそのもてる力をよく合わせられるようにする仕組みができました。一層確実な平和を築くのに必要な枠組みです。/それこそが、日米協力の新しいガイドラインにほかなりません。……皆様、私たちは、真に歴史的な文書に、合意をしたのです」。
言うまでもなく新日米ガイドラインにも、次のことが明記されている。「指針はいずれの政府にも立法上、行政上またはその他の措置をとることを義務づけるものではなく、また、指針はいずれの政府にも法的権利または義務を生じさせるものではない」と。
しかし、まさに安倍政権は、新ガイドラインについての米国上下院合同会議での演説=米国への「約束」を振りかざして、国会を大幅に延長してでも戦争国家法案の成立を強行しようとするだろう。
四月二七日、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会は、午後六時半から首相官邸前で新ガイドライン合意に抗議する行動を行った。八〇〇人が参加した。五月三日の横浜での憲法集会は三万人を超える大結集で、戦争国家法案の成立を絶対に阻止する熱気に満ち溢れたものとなった。今こそ、沖縄の「島ぐるみ」の辺野古新基地反対の闘いと結び、新ガイドライン廃棄・戦争国家法案阻止の連続行動に全力で取り組もう。安倍政権を打倒しよう!      (純)

4.23 安倍訪米前に緊急シンポ

「慰安婦」問題解決は可能だ

「決断の時」はいま問われる日本の責任


日本政府への
「提言」実現へ
 四月二三日、参院議員会館講堂で、安倍首相訪米前緊急シンポジウム「『慰安婦』問題、解決は可能だ!」が行われた。主催は日本軍「慰安婦」問題解決全国行動と日本の戦争責任資料センター。三〇〇人が参加した。
 戦後七〇年の今年、安倍首相は戦争国家法案を強行成立させ、改憲へのステップの最後の一段を上るとともに、「敗戦七〇年」談話を通じて「積極的平和主義」の名の下に「戦後」を清算して、「慰安婦」問題をはじめとした戦争犯罪・植民地支配の犯罪を最終的に「なきもの」にしようとしている。とりわけ昨年の異常なまでの朝日新聞「慰安婦報道」バッシングによって、軍隊「慰安婦」報道そのものが虚偽であるかのような世論操作が広がっている。
 こうした中で、昨年六月に東京で行われた第一二回日本軍「慰安婦」問題アジア連帯会議では、軍隊「慰安婦」被害当事者が「受け入れられる」解決策を求めて、以下の提言を日本政府に対して行った。
 日本軍「慰安婦」問題解決のために日本政府は
1 次のような事実とその責任を認めること
@日本政府および軍が軍の施設として「慰安所」を立案・設置し、管理・統制したこと
A女性たちが本人たちの意に反して、「慰安婦・性奴隷」にされ、「慰安所」等において強制的な状況の下におかれたこと
B日本軍の性暴力に遭った植民地、占領地、日本の女性たちの被害にはそれぞれに異なる態様があり、かつ被害が甚大であったこと、そして現在もその被害が続いているということ
C当時の様々な国内法・国際法に反する重大な人権侵害であったこと

2 次のような被害回復措置をとること
@翻すことのない明確で公式な方法で謝罪すること
A謝罪の証として被害者に賠償すること
B真相究明:日本政府保有資料の全面公開、国内外でのさらなる資料調査、国内外の被害者および関係者へのヒヤリング
C再発防止措置:義務教育課程の教科書への記述を含む学校教育・社会教育の実施、追悼事業の実施、誤った歴史認識に基づく公人の発言の禁止、および同様の発言への明確で公式な反駁等

事実を認めた
上での謝罪こそ
今回のシンポジウムは、安倍訪米を前にして、今や「解決」の方途を加害者=日本政府の側が意図的に閉ざしている状況をこじあけるため、この「政府への提言」に基づく解決を求めるために行われた。司会は日本の戦争責任資料センター事務局長の林博史さん(関東学院大教授)と渡辺美奈さん(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表)。
最初に全国行動共同代表の梁澄子さんが発言。梁さんは昨年六月のアジア連帯会議の「提言」に関して、二〇一一年八月三〇日に韓国憲法裁判所判決(韓国政府が日本軍「慰安婦」の賠償請求権問題に関して解決の努力を行わないのは憲法違反だとする判決)から切り出した。さらに二〇一二年五月の日韓首脳会談に向けて、事前に佐々江外務次官(当時)が@首相による謝罪A在ソウルの日本大使が元軍隊「慰安婦」に合うB人道的な次元で日本政府が資金を出す、という案を「慰安婦」問題解決策として出したという。
しかし元軍隊「慰安婦」当事者の側からは、「人道的」という冠をかぶせることで、「謝罪」をあいまいにするこうした「解決案」を受け入れることはできない、という意見が出され、韓国政府もこの佐々江案を拒否した。
その中で、支援団体の側で被害者の意向をきっちり把握した上でアジア全体で共有するものとして昨年六月の「アジア連帯会議」での提言が出されたことを紹介した。「提言」の趣旨は、河野談話を踏まえたものであり、歴代政権によっても踏襲されている。それは「あなたがこう言うから謝る」というものではなく「私がこういうことをしたから謝る」というものだ。事実を認めた上での明確な形を取った謝罪であり、公式な謝罪でなければならない、と梁澄子さんは語った。

一日も早い
解決のために
次に今年八八歳になる日本軍「慰安婦」サバイバーの金福童(キムポクトン)さんが発言した。
金福童さんは一六歳の時に軍服を作る工場の挺身隊員として送られるとだまされ、最初は広東に送られ、さらに香港、スマトラ、ジャワ、マレーなどを転々として軍隊「慰安婦」を強制された。二〇一〇年から挺対協の「平和のウリチブ」で生活している。金福童さんは「いつ死ぬかもわからない。安倍首相は心を入れ替えて一日も早く解決してほしい。過去の歴史の清算もないままに戦争の準備をするつもりか。日本の皆さんも外国のことだと考えずに自分のおばあさんのことだと思って解決してほしい」と訴えた。
韓国挺身隊問題対策協議会常任代表の尹美香さんは、昨年六月の「アジア連帯会議」提言について「まず、日本軍『慰安婦』問題の解決とは被害当事者が受け入れられる解決策が示された時に初めて、その第一歩を踏み出すことができる」「誰がどのような加害行為を行ったのかを加盟国が正しく認識し、その責任を認め、その謝罪が真摯なものであると信じられる後続措置が伴って初めて、真の謝罪として被害者たちに受け入れられる」と紹介した。

「外交交渉」の
場にのせる必要
「女性のためのアジア平和国民基金」の元専務理事だった和田春樹さん(東大名誉教授)は、日本政府の誤りとして、「最も根本的な問題は、国民募金で『償い金』を支払うという基金の基本コンセプトにあった。政府の責任回避を表すとして、韓国の被害者と運動団体に受け入れられず、かつ現実的に事業実施できない欠陥が出発点で明らかになった」「結果として韓国では六〇人、台湾では一三人の被害者が基金の事業を受け入れたにとどまり、認定登録被害者の三分の二は受け入れなかった。アジア女性基金の事業は韓国・台湾では未完のままに終わった失敗した事業である」と述べた。そして「だから日本政府は対処姿勢を考え直し、さらに解決の努力を試みなければならない」と確認した。
その上で和田さんは、昨年六月の「慰安婦問題解決アジア連帯会議」が決定した政府への提言が、「被害者が望むところに立ち返り、考え直して、被害者の求めるものに新しい表現を与えたもの」と評価した。和田さんは「朴大統領が安倍首相と会う機会に『河野談話を継承するのであれば、一緒に慰安婦被害者に何ができるか考えましょう。一緒に問題を解決しましょう』と呼びかけ、安倍首相から『やりましょう、考えます』という答えを得ることが重要だ。それがあれば、昨年六月提言を中心に討論の輪をひろげ、さまざまな対話を日韓の間でも、日韓双方の国内でも積み重ねて一つの解決策を押し出し、外交交渉にのせることができる」と語った。
私たちは、「強い日本を取り戻す」を掲げた安倍政権の「敗戦七〇年」談話に対して、日本軍「慰安婦」とされた被害者が望む公的な謝罪と補償を実現するための運動を今一度、しっかりと作り上げていく必要がある。       (K)


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