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    かけはし2015.年5月4日号

福島原発事故を伝えるワークショップ


世界社会フォーラム(WSF)2015報告(4)

木幡ますみさんの訴えを聞く


チュニスと日本を結び
報告会を開催

 これまでも世界社会フォーラム(WSF)開催のあとには、参加者からのレポートを中心に日本で報告会が開かれてきた。今回は、開催期間中にインターネット中継により、現地と日本を結んで臨場感のある(?)報告会を開くことができた。ATTAC関西としては、すでにバングラデシュでの南アジア社会フォーラム(二〇一二年)、バリ島でのWTO対抗フォーラム(二〇一三年)などでネット中継によるイベントをおこなってきたが、WSF報告会としては初めての企画である。
オープニングマーチやフォーラムの様子を記録した動画、ベルハッセンさんとのインタビュー動画などは、あらかじめYouTubeにアップしておいた。リアルタイムで動画を再生して、日本まで送るのは通信の制約上やはり無理があるからである。大阪の会場から送られてくる画像は結構鮮明に見ることができたが、チュニジアから送られる私たちの画像はかなり粗かったようだ。そのため途中からは音声のみの中継に切り替えたが、それでもときたま音声が中断する。ホテルの自室からの中継だったので、どこまで現地の状況を伝えることができたかは自信がないが、このような企画はこれからも必要だと感じた。
ATTAC首都圏でも同様の報告会が時間差で開かれ、こちらは実際にWSFの会場からも中継していた。

福島からの報告に聞き
いるWSF参加者


今回のWSFで、日本からの参加者の大きな関心事だったのは、核エネルギー問題の課題別フォーラム日本開催をめぐる動きだった。これに関連して、三月二八日には木幡ますみさん(「大熊町の明日を考える女性の会」代表、現在は会津若松市に避難している)の報告を中心としたワークショップが開かれた。会場となった大学の教室には入りきれないくらいの人々が詰めかけ、約七〇人の参加者のうち半数は地元チュニジアの参加者だった。
私はネット中継による報告会でレポートしなければならなかったため、このワークショップには最後の三〇分間ほどしか参加できなかった。したがって、以下の報告の多くはブログ「世界社会フォーラム」にアップされたものを参考にさせていただいたことをお断りしておきたい。
木幡さんは、福島原発事故以前の大熊町の状況、原発事故から四年が経っても事態は全く解決せずむしろ悪化していること、弱者に厳しい仮設住宅の現状、子どもたちに健康被害が出始めていること、「復興」の名のもとに住民を帰還させようという動きが強まっていること、汚染物質貯蔵施設の問題点などを指摘した。
そして最後に「震災によって原発が壊れ、放射能汚染が広がり、いまだに問題が山積している。原発も1号機から3号機まで、高濃度の放射線で、人は誰も入れない状態だ。原発は人間が作った科学の象徴だが、これは人類を死へと導いていく殺人マシンでもある。人々は自分たちで作ったマシンで病気になり、苦しみ死んでいくことになる。もう原発は止めよう。健康な体や命と引き換えの原発はいらない」と訴えた。
このあと、園良太さん(東電前アクション)が、自分が運動に関った経緯や福島以外での運動の現状、福島の経験を世界と共有できるような闘いの必要性について報告した。私が会場に到着したあと、木幡さんが、原発事故のあと山から降りてきたサルたちについて話されたのが印象的だった。以前から木幡さんと仲良しだった一匹のサルがお尻から血を流していたと語って、再び山に戻っていったサルを涙ながらに気づかっていた。
ワークショップ参加者は、ほとんど途中退席もなく、真剣に聞き入っていた。チュニジアでは、福島原発の情報はほとんど報道されておらず、すでに終わった問題と考えている人が多いとのことで、今回のワークショップは大きな意義があったと思う。特記しておきたいのは、日本からの参加者の活躍である。フランス語が達者な方が四人もおられて、日本語のスピーチのフランス語通訳、質疑応答など、この方たちの働きなしにはワークショップの成功はあり得なかった。また、英語でも通訳がおこなわれ、参加者に内容をきちんと伝えることができた。コーディネーターを務めた小倉さん抜きでは、この企画が成功しなかったことはもちろんである。

核エネルギー問題の課題別
フォーラム日本開催めぐって

 ワークショップの最後に、WSF創設者の一人でもあるブラジルのシコ・ウィタケルさんから、核エネルギー問題の課題別フォーラム開催について、具体的な提案があった。この問題が浮上したのは、シコさんが昨年秋に福島現地を訪問して強い衝撃を受け、2016年に核エネルギーについての課題別フォーラムを日本で、できれば福島で開催したいという提案を日本での会合でおこなったことがきっかけだった。
シコさんは、福島の状況を直接見たことで、ラテンアメリカ各地で進められている原発建設計画に強い危機感を感じ、世界の反原発・反核運動団体や原発計画を推進する政治家たちが福島を訪れて、実際に現地の状況を見て、福島の人々の話を聞かなければならないと考えたのであろう。政治家というとき、ボリビアで原発推進に舵を切ったモラレス大統領を念頭に置いていたとのことである。
シコさんは、三月二六日に開かれたこの問題に関するワークショップなどの議論を踏まえて、核エネルギーについての課題別フォーラム開催の可能性を追求するため、その前段階として、今年一一月から一二月にかけてパリで開催されるCOP21(気候変動枠組条約締約国会議)の際に反原発を訴えるとりくみをおこなうことを提案した。パリでのCOP21には、ロビー活動や対抗アクションを展開するため、環境運動団体を中心に多くの人々が結集する予定だからである。その準備のために、夏頃をメドにネットワーク作りが呼びかけられた。
WSFが終了したあと、すでに日本でも準備会合が開かれており、国際的なネットワーク作りと並行して、日本での議論を前に進めていく必要がある。また、台湾、韓国、フィリピンなどの反原発運動団体との討論も必要となってくるだろう。

社会運動総会の印象

 三月二七日の午後五時頃から、WSF会場で社会運動総会が開かれた。前々回(二〇一一年)のダカールでの社会運動総会に初めて参加し、その熱気に感動した記憶があって、今回も期待感をもっての参加だった。しかし、率直に言って、やや期待外れだった。
事前にアナウンスされていた場所や時間帯がなぜか変更されていた。そのことが影響しているかどうかはわからなかったが、まず感じたのは開始時刻になっても参加者が少なく、何となく盛り上がりに欠けるということだった。ざっと見て二〇〇人くらいだろうか。二四日に開かれた女性集会の熱気やダカールでの社会運動総会の高揚感と比べると、そういう印象になってしまうのはやむを得ないだろう。
ダカールでは「アラブの春」が始まったという高揚感があった(ATTACチュニジアの報告には立ち上がって大歓声が送られていた)のに比べて、今回は「アラブの春」以降の混迷した北アフリカ・中東情勢が影響しているのかもしれない。しかし、今回もチュニジアでの社会変革やギリシャ債務問題など、社会運動の課題は山積しているはずなのだが。
通訳体制も不十分だった。ダカールでは、FM受信機とイヤホンが配られ、英語・スペイン語・フランス語・ポルトガル語で、スピーカーの話が翻訳されて聞くことができた。しかし今回は、英語で聞こうとする人はいくつかのグループに分かれて、「ウイスパー(ささやき)」形式で、ボランティア通訳者が訳す英語を耳を寄せあって聞かなければならず、断片的な情報しか聞きとれなかった。
ワークショップを選ぶ際には、何語を基本としているか、どんな通訳体制をとっているかのチェックが不可欠なことはわかっていたが、せめて社会運動総会では、もう少しきちんとした通訳体制をとって欲しかったというのが率直な感想である。WSF終了後にATTACチュニジアの事務所でおこなわれたCADTM(第三世界の債務帳消しを求める委員会)の会議では、参加者が二〇人ちょっとにも関わらず、英語・スペイン語・フランス語・ポルトガル語の通訳が完備していたので、余計そういう思いが募った。
結局、最初のスピーカーであるCADTM(第三世界の債務帳消しを求める委員会)のエリック・トゥサンの話の途中で、私は会場を後にした。この社会運動総会の宣言については、後日訳出したい。

WSF2015をふり返って

 WSF2015は、バルドー博物館におけるテロ襲撃事件の直後に開かれたこともあって、開催すること自体が大きな意味を持つことになった。その意味では、組織委員会の呼びかけに応えて、世界中から結集した人々のパワーでWSFが成功裡に開かれたことは重要な意義をもつと思う。地元チュニジアからの参加者が多かったこと、学生ボランティアの活躍など、これからのチュニジア社会運動の発展にとっても重要な要素を含んでいた。
確かに北アフリカ・中東の状況は厳しく、なかなか次の出口が見えない状態ではある。シリア、イエメン、リビアでは内戦が続いているし、エジプトにおいては事実上の軍政が民衆運動を抑圧している。しかし、チュニジアでは新しい変革への息吹が続いていることが実感できた。
WSFをめぐっては、フォーラムの位置づけが「オープン・スペース」のままでいいのかなど、さまざまな議論があることは事実である。WSFが生み出したとも言えるラテンアメリカの左派政権が、次々と新自由主義的政策へと転換していったことへの反省から、「もう一つの世界」は本当に可能なのかという疑問も出てきている。しかし一方では、ギリシャやスペインなど、ヨーロッパ内の「持たざる国」において、民衆の叛乱が実際の政治を動かす段階にまで至っていることも事実である。WSFに参加すると、こうした状況を肌で感じることができる。だからこそ多くの人々を集めることができるのだろう。
二〇一六年には日本でG7首脳会議が開かれる。これから準備されるであろうG7対抗アクションやオルタナティブ・フォーラムの中などで、日本の多くの人々にWSFで感じとれた変革への希望を伝えることが、WSFに参加した私たちの課題なのだと思う。           (了)

声明

混合組合についての最高裁決定(2015・3・31)

最高裁 大阪府の上告を棄却

混合組合は不当労働行為救済申立人適格あり

大阪教育合同労組

 地方公務員法の適用を受ける労働者と労組法の適用を受ける民間の労働者で構成される合同労組について、労組法が適用され、不当労働行為救済申立が可能な組合であるかどうか、すなわち、申立人適格があるかどうかで、争われてきたが、ここで、最高裁が、申立人適格を有すると判断してきた中労委の決定を認容する決定を出した(大阪府の取消請求上告を不受理)(東京地裁および東京高裁も認容)。当該労組である大阪教育合同労組の声明を掲載する。(本紙編集部)

 「大阪教育合同労働組合が申し入れた2010年度及び2011年度講師雇用継続団交を、大阪府・府教委が拒否したことは、不当労働行為である」と認定した中央労働委員会命令の取り消しを求めて、大阪府が提起した行政訴訟に対する最高裁の決定が3月31日 に出た。最高裁は、大阪府・府教委の上告を棄却、上告受理申立を不受理にした。
本件の争点は、「混合組合である大阪教育合同労働組合は不当労働行為救済申立人適格を有するのか」、また「講師雇用継続要求は義務的団交事項か」であった。これまで、混合組合の不当労働行為救済申立人適格については、裁判所及び労働委員会で見解が分かれていたが、今回の最高裁で、長い闘いに決着が着いた。混合組合は、「労働組合法適用者については労働組合法上の労働組合として」、「地方公務員法適用者については地方公務員法上の職員団体として」、複合的性格をもって法律に保護された団体交渉を行う権利を保障されるという判決が出たのである。
大阪府による大阪教育合同労働組合への団交拒否は、橋下徹前知事が就任した2008年から始まった。大阪府・大阪市が大阪教育合同との団交を拒否している事件は本件以外に11件あり、大阪府労委、中労委。大阪地裁、大阪高裁、東京高裁で係争中である。
松井一郎知事は、直ちに労働委員会命令を履行し、大阪教育合同労働組合に対して謝罪すべきである。そして、大阪府・大阪市はすべての訴訟を取り下げ、労働組合敵視政策を反省し、労使関係の正常化を行うべきである。
昨日(3月 31日)、最高裁は2014(平成 26)年(行ツ)274号上告事件について棄却決定 ならびに2014(平成 26)年(行ヒ)287号上告受理申立事件について不受理決定を行った。
本件は、2010年度及び2011年度講師雇用継続団交を大阪府・府教委が拒否したことは不当労働行為であると認定した中央労働委員会命令の取り消しを求めて、大阪府が提起した行政訴訟に対する最高裁の決定である。本件は、中労委命令取消請求を東京地裁及び東京高裁において棄却されたため、2014年3月に大阪府が上告及び上告受理申立を行っていたものである。
大阪府労働委員会、中労委、東京地裁、東京高裁における争点は、混合組合である当労組は 不当労働行為救済申立人適格を有するか、また講師雇用継続要求は義務的団交事項かであった。
申立人適格については、大阪府労委は当労組が1992年に救済申立を行って以降2009年まで地方公務員法適用者が構成員の多数を占めると推測されるとの理由で、これを認めてこなかった。他方、中労委は、労働組合法適用者に関わることについて混合組合は構成員の量的割合に関わりなく申立人適格を有するとの判断を行ってきた。この間、大阪地裁が2001年に、大阪高裁が2002年に、当労組の申立人適格を否定して当時の大阪地労委命令を支持する判決を出していた。
このように、混合組合の不当労働行為救済申立人適格については裁判所及び労働委員会で見解が分かれていたが、今回の最高裁決定によってようやく決着がついた。すなわち、混合組合は、労働組合法適用者については労働組合法上の労働組合として、地方公務員法適用者については地方公務員法上の職員団体として、複合的性格をもって法律に保護された団体交渉を行う権利を保障されるというものである。
今回の最高裁決定は、全国の地方自治体で急増する非常勤職員等が、同一の職場に働く一般職員とともに団結することを推奨するものである。もはや一般職と特別職が、常勤と非常勤が、正規と非正規がバラバラに団結する必要はなくなった。
あと一つの争点である雇用継続要求については、大阪府は臨時・非常勤講師は毎年新規任用になるのであるから、労働組合との団交事項ではないとして団交を拒否したものである。この主張は、橋下徹前知事が就任した2008年に、従前の団交が違法であったとして言い始めたものであった。しかし、今回の最高裁決定によって、中労委命令、東京地裁判決、東京高裁判決が支持され、雇用継続要求は義務的団交事項であることが確定した。地方自治体は、非常勤職員等の雇用(任用)継続を求める労働組合との団交を拒否できない。雇用(任用)を打ち切る場合は、団交において解雇理由を説明して労働組合を説得することが求められる。公務員だからということは理由にならない。

 混合組合問題に関係して大阪府・大阪市が当労組との団交を拒否している事件は本件以外に11件あり、大阪府労委、中労委、大阪地裁、大阪高裁、東京地裁で係属中である。その中には、地方自治法に反して、大阪府議会の承認を経ないまま訴訟を提起した事件も数件含まれている。今回の最高裁決定を受けて、大阪府及び大阪市はすべての訴訟を取り下げ、労働委員会命令をただちに履行すべきである。大阪府・大阪市は労働組合敵視政策を反省し、労使関係の正常化を行うべきである。
当労組は1989年11月に結成した、「教育現場の労働者が誰でも入れるみんなでつくる教育合同」をスローガンとする混合組合である。「非正規公務員」や「官製ワーキングプア」などといった言葉が登場する以前から、教育現場は多くの「非正規公務員」によって支えられ、成り立っていたにも関わらず、権利や労働条件への取り組みが弱かったことへの決別から混合組合という道を選択した。
今回の最高裁判決は、私たちが主張してきた「非正規公務員」の労働者としての権利を確固たるものとした。大阪府は、公立学校で働く教職員は、地方公務員法により労組法の適用外であるとの主張から2010年より当労組との団体交渉を拒否してきた。しかし、いまや多くの公立学校現場で様々な雇用形態の労働者が働いており、地方公務員法が適用されない特別職公務員が多く存在している。彼らの労働者としての「権利」を認め、労働条件や次年度の雇用条件 についての団交を拒否した大阪府の違法性を認めた最高裁決定は、いま、日本中で権利を奪われ、「任用」という言葉でいいように使われている「非正規公務員」の問題を浮き彫りにし、新たな権利獲得のたたかいを可能とする。

 当労組は、今回の最高裁決定を受けて、非正規公務員と正規公務員がともに団結する混合組合の発展強化にむけて奮闘することを誓うものである。

以上


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