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    かけはし2015.年4月20日号

「切れ目ない」戦争への道を断て


日米ガイドライン改定反対

「安保法制」阻止の連続行動へ


グローバルな
軍事同盟への道

 四月八日、来日したカーター米国防長官は中谷防衛相や安倍首相と会談し、「日米防衛協力の指針(ガイドライン)」改定の最終確認を行った。カーター米国防長官は中谷防衛相との会談で「米軍と自衛隊が切れ目なく行動する機会が増える。アジア太平洋、世界中で対応することがこれで可能になる」と歓迎したという。
今後のスケジュールとしては、四月二六日からの安倍首相訪米に合わせ、四月二七日の日米外交・防衛担当閣僚会合(2プラス2)でガイドライン改定を最終決定し、さらに四月二八日のオバマ大統領と安倍首相の日米首脳会談、四月二九日の安倍首相による初の米上下両院合同会議での演説というプログラムでグローバルな日米軍事同盟を華々しく打ち上げるという段取りが設定されている。
安倍首相は、日米首脳会談、そして歴代首相としての初の米上下両院総会での演説を手土産に、連休明け国会で新しい戦争国家法制を成立させ、この既成事実の上に立って憲法改悪に踏み出そうとしている。

「集団的自衛権」
行使は何のため


日米ガイドラインは、ベトナム革命の勝利とベトナム・カンボジアの軍事紛争など、アジアの情勢が大きく流動化するさなかの一九七八年に、「ソ連軍の侵攻」や東アジアの「有事」(朝鮮半島での戦争)を想定した日米間の軍事的役割分担として策定された。われわれは当時、日米安保の新しい役割をとらえて「ガイドライン安保」と名づけた。
一九九七年には「朝鮮半島有事」による「周辺事態」を想定し、直接に「日本有事」以外の場合でも米軍と自衛隊が武力行使において協力することをうたって、ガイドラインが改定された。それは「平時」・「周辺有事」・「日本有事」の各段階に分けて、「日本周辺」での日米の軍事的協力を規定するものだった。
しかし今回の日米ガイドライン再改定は、その地理的範囲を「地球の裏側」にまで拡大している。たとえば米本土をねらった弾道ミサイルの自衛隊イージス艦による撃墜、ペルシャ湾の出口にあたるホルムズ海峡での機雷除去、さらには「我が国の存立が脅かされ、国民の生命・自由・幸福追求の権利が脅かされる事態」=「新事態」なるものを想定している。自衛隊にとっては、まさにグローバル戦争の主役として米軍と肩をならべた参戦が可能になるのである。
米国は、アフガニスタンやイラクでの戦争の無残な失敗の後に、オバマ政権の下でアジアにおける中国の政治的・経済的影響力の拡大と軍事的膨張に対抗する「リバランス(再均衡)戦略」を打ち出した。オーストラリアとフィリピンへの海兵隊のローテーション配備、沿岸海域戦闘艦(LCS)のシンガポール配備などを通じて、中国の膨張主義的海洋戦略を抑えこもうというのだ。
そしてこの米軍「リバランス」戦略の拠点となるものこそ沖縄での辺野古新基地なのである。沖縄の人びとが以前から語っているように、辺野古に作られる新基地とは決して「危険な普天間基地」を「移設」させた代替施設などではない。V字型滑走路2本、オスプレイ用ヘリパッド4基、タンカーが接岸する燃料桟橋、弾薬搭載エリア、強襲揚陸艦接岸可能な桟橋を備えた全く新たな大規模出撃基地なのだ。
米国は国防予算抑制という圧力の中で対中国を見据えた「アジア重視」戦略を実行するためには、日本自衛隊の役割分担の強化に頼らなければならない。実際、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセンには自衛隊が常駐することになり、辺野古新基地は米軍と自衛隊共同のグローバル戦争発進基地として使用されるのである。(本紙前号、沖縄からの報告参照) 

戦争国家法制
を止めよう!


安倍政権は、「積極的平和主義」の名の下に、「平時」と「有事」、「本土」・「周辺」そして「地球の裏側」という時間的・空間的区切りをなくした、「切れ目のない」ひとつながりになった戦争に、自衛隊を積極的に参加させようとしている。新ガイドラインの策定は、五月中旬にも予定されている集団的自衛権行使を前提にした、あるいは行使を自己目的化した新しい安保法制=戦争国家法制への導水路である。ガイドラインそのものは二国間の条約でも協定でもなく「法的効力」を持たないことは、一九九九年の小渕首相の参議院での答弁書に示されている通りである。
「指針(ガイドライン)自体は、国際法としての法的効力を持つものではない」「いずれの政府も指針により、立法、予算、行政上の措置を採ることを義務付けられるものではない」(一九九九年八月二四日)。
しかしいま安倍政権は、日米両政権による四月末の大がかりなパフォーマンスの「劇的効果」をバネにして、この新ガイドラインを動かしがたい「既成事実」であるかのように印象づけ、国会会期を大幅に延長し、新しい安保法制=戦争国家法制の成立に突き進もうとしている。
四月二七日、午後六時半から首相官邸前で「ガイドライン改定に反対する4・27官邸前行動」が行われる(主催:戦争させない・九条壊すな! 総がかり行動実行委員会)。沖縄の闘いと結び、この日の行動に結集しよう。五、六月の連続した行動で「戦争国家」法案をつぶそう。改憲への道をストップさせ、安倍内閣打倒へ! 五月三日、全国で憲法集会の成功を!(純)

緊急声明

「辺野古米軍基地建設に向けた埋立工事の即時中止を要請する!」

 辺野古の海を埋め立てる新基地建設工事の強行に対し翁長知事が停止命令を下したことにより,沖縄の闘いは新しい局面に入った。四月五日の菅官房長官と翁長知事の会談で、翁長知事は政府の不条理を厳しく批判した。沖縄の闘いを支援するために学者・知識人から声明が出された。この声明に賛同しよう。(編集部)

 私たちは、沖縄での辺野古米軍基地建設をめぐる問題に、重大な関心を寄せてきました。沖縄県民の意思は、もはや明確です。昨年2014年1月の名護市長選挙では、同米軍基地建設反対を公約する稲嶺進氏が再選、11月の県知事選では、同じく建設反対を明言する翁長雄志氏が、10万票もの大差で、現職の仲井真弘多氏を破り、12月に行われた総選挙では、小選挙区すべてで建設反対候補が勝利しました。思想・信条を超え、また政治的・党派的違いを超えた「オール沖縄」で、辺野古米軍基地建設には、「NO」という県民の強い意思が示されたのです。
 にもかかわらず、安倍政権は、仲井真前知事が2013年暮れ、公約を翻して行った公有水面埋め立て承認を盾に、強引に埋め立て工事を進めています。こうした政府の行為は、沖縄県民の意思を侮辱し、日本の民主主義と地方自治の根幹を破壊する暴挙です。
 新知事は、「普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続に関する第三者委員会」(以下「第三者委員会」)を設置することを決め、仲井真弘多前知事が行った公有水面埋立承認手続に法律的な瑕疵がなかったかどうか、検証を始めました。つまり、埋立承認、あるいはその根拠となった環境アセスメントの正統性が崩れる可能性があるということにほかなりません。まともな民主主義国の政府であれば、少なくともこの検証期間中、埋立工事を中断するのが当然です。
 翁長県知事は3月23日、新たな決断を下しました。ボーリング調査を含むすべての作業を停止するよう、沖縄防衛局に指示したのです。この指示に従わない場合、辺野古沿岸の岩礁破砕許可を取り消すことを視野に入れたものです。
 このまま強引に工事を進めれば、沖縄県民との深刻な衝突や将来にわたる本土への不信の醸成が懸念されるだけでなく、日本という国に対する、内外からの信用が地に堕ちることになるでしょう。
 私たちは、翁長新知事の基地移設拒否の立場を支持し、今回の知事の作業中止指示と岩礁破砕許可取り消しについても、全面的な支持を表明するものです。私たちは、次の諸点について強く要請します。

1.日本政府は、海底ボーリング調査を含む、辺野古埋立にかかわるすべての行為をただちに中断すべきである。政府が埋立の根拠とする仲井真前知事の「埋立承認」は、すでに沖縄県民によって拒否されている。
2.この間、日本政府は、沖縄の総意を代表する翁長新知事との面会さえ拒絶しているが、これは、日本国憲法が保障している地方自治と民主主義の精神を否定するものである。民意の尊重が、民主主義の原点である。日本政府は、翁長新知事による面会要請を誠実に受け入れ、本件に関する真摯な協議に応じるべきだ。
3.日本政府には、自ら掲げる「地方創生」のスローガンを実践し、沖縄県に基地問題解決と自立経済建設についての実権を移譲するよう、要請する。
4.環境大臣には、今回の辺野古米軍基地建設に向けての埋立事業に関する環境影響評価書(辺野古アセス評価書)の内容に対して、環境保全上の見地から適切な意見を述べるべき責任がある。とくに辺野古地域・沿岸地域は、沖縄島の環境保全指針で「自然環境の厳正なる保護を図る区域」(ランクT)とされ、ジュゴンをはじめ絶滅の恐れがある多様な生物種が生息する貴重な海域である。今回の埋立工事等による自然形状の人為的な変更や破壊によって不可逆的で取り返しのつかない絶対的損失がもたらされる恐れがきわめて高い。環境大臣には、世界遺産の候補にもなっている誇るべき沖縄の美しい海域を保全する重大な責務を果たすよう、ここに強く要請する。
5.沖縄県民の辺野古新基地建設拒否の意思の背景には、日本全体の0・6%に過ぎない沖縄に、74%もの米軍基地が押し付けられている現状への不満、憤りがある。日本国民には、この構造的差別ともいえる現状を直視し、日本の安全保障の問題は、その負担も含めて、日本全体で考えていくべきことを要請する。

2015年4月1日
浅岡美恵(弁護士)/淡路剛久(立教大学名誉教授)/礒野弥生(東京経済大学教授)/内橋克人(評論家)
/遠藤誠治(成蹊大学教授)/大江健三郎(作家)/加茂利男(立命館大学教授)/川瀬光義(京都府立大学教授)/古関彰一(独協大学名誉教授)/小森陽一(東京大学教授)/斎藤純一(早稲田大学教授)/高橋哲哉(東京大学教授)/千葉 眞(国際基督教大学教授)/寺西俊一(一橋大学特任教授)/中野晃一(上智大学教授)/西川 潤(早稲田大学名誉教授)/西谷 修(立教大学教授)/原科幸彦(東京工業大学名誉教授・千葉商大教授)/前田哲男(評論家)/間宮陽介(京都大学名誉教授)/宮本憲一(大阪市大・滋賀大学名誉教授)/和田春樹(東京大学名誉教授)

 *声明へのご賛同をお願いします。拡散してください。
(賛同フォーム http://mcaf.ee/a2gd9 )第1次〆切 2015年4月20日、第2次〆切同年5月20日


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