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    かけはし2015.年4月13日号

イラク戦争12周年学習講演会


3.27

イラク戦争12周年学習講演会

「過去の克服」に失敗した三つの国

ISを作り出したのは誰か?




 【大阪】三月二七日、しないさせない戦争協力・関西ネットワークと大阪平和人権センター主催の イラク戦争開戦一二周年の学習講演会がエルおおさかで開かれた。石子雅章さん(大阪平和人権センター事務局長)が開会のあいさつをし、「この世の中は本当におかしい。民主主義はめちゃくちゃになった。安倍首相は橋下に、大阪都構想の住民投票ガンバレ、投票が終わったら改憲をいっしょにやろうといい、橋下はありがとうといった。都構想は何が何でも否決しなければならない」と述べた。
田中利幸さん(広島市立大学広島平和研究所教授)が「イラク戦争と『過去の克服』に失敗した三つの国」と題して講演をした。(講演要旨別掲)
 このあと、沖縄現地五・一五行動と「戦後七〇年と東アジアの未来へ 宣言する市民」についてのアピールが続き、最後に中北龍太郎さん(しないさせない戦争協力!関西ネットワーク共同代表)から、「安倍のキーワードは、めちゃくちゃと大嘘。過去の克服ができなければ再び戦争の道になる。それはなんとしても止めなければいけない」とのまとめがあった。         (T・T)

田中利幸さんの講演から

アメリカ・日本・イスラエル

その責任を改めて問う

 

イスラム国とはいかなる勢力か


シーア派はイスラム教徒全体の一割程度だが、イラン・イラクでは多数派、スンニ派のような原理主義をとらない。スンニ派は、イスラム共同体の間の「合意」を重視。コーラン・スンニ規定を厳格に適用することで、多様性・土俗性を廃する「イスラム原理主義」を推進し、反帝国主義・反共産主義・反ユダヤ主義・反米反ロシア主義を唱える。しかし、イラク戦争以前は、両派の間に暴力問題はほとんどなく、宗派間の結婚も多く見られた。フセイン政権崩壊後、暫定占領当局が統治。統治評議会が発足するが、評議会はシーア派で占められ、スンニ派は排除。この占領政策が二大宗派間の武力抗争を生み出す。イラク戦争の死亡者は推定五〇万人、その七割以上は市民。
イスラム国(IS)の前身であるイラクのスンニ派過激派組織は、すでに二〇〇四年からイラク国内で活動していたが、〇六年イラク軍人がそれに参加することで、武装組織ISIL「イラクとシリアのイスラム国家」勢力は強化拡大。ここには、フセイン政権下で高級軍人や官僚だった者も参加。もともとイラク公務員だった者たちが引き続いてISに雇用されている。資金源は、支配地域の油田からの石油の販売、支配地域住民への課税、窃盗・身代金、多額の寄付、とりわけサウジアラビアやクウェートのスンニ派富豪からの密かな寄付金。ISは、テロ組織というにはあまりにも広い範囲を支配している。擬似国家と呼ぶのが適当だ。ISは、非イスラム的と判断された者やISの支配を認めない者、不信仰者を拘束し断罪する。タリバンも似たところがあるが、ISは他派に対してもジハードをする。外にいる敵より内部の「異端者」の方が罪が重いとみなしている。二〇一四年、シリアの反アサド政権の組織から武器の提供や戦闘員の増員を受けてISIL武装組織は急速に軍事力を強化。モスルでシャリーア(イスラム法)の強制による支配を行い、イラク政府への協力者に対する殺害や盗み・強盗犯の手足を切る刑罰を科すという恐怖政治を行っている。
ISILの戦闘員は最低推定数三万人、最高推定数一五万人。ISに参加する非イスラム人・非シリア人戦闘員は一万五千人以上と推定され、彼らの国籍は八〇カ国以上。アラビア半島諸国のさまざまな個人・団体から多額の資金が提供されていて、その大半は、イラク・シリアと国境を接するトルコ経由で、ほとんど規制や取り締まりを受けることなくISに提供されている。

泥沼状態が続
くイラク戦争
イラク戦争は二〇一〇年八月三一日オバマ大統領により「戦闘終結宣言」と「イラクの自由作戦」の終了が宣言され、翌日からイラク単独での治安維持に向けた「新しい夜明け作戦」が始まった。しかし、この終結を連邦議会は承認していない。実態は、終結どころか、泥沼状態へと落ち込んでいる。戦域は、イラクからシリアへ広がり、その戦闘と関連するテロ事件が北アフリカ、ヨーロッパへと飛び火している。
米国は二〇一四年八月からイラク領内へ、一〇月からシリア領内のISIL武装勢力に対し空爆を行っている。九月からはフランスも参加。当初、シリア領内のISIL空爆を米国が控えていたのは、空爆がシリアを間接的に支援することになると考えたからだ。シリア政府はISILの勢力拡大に対し国際社会と協力する用意あることを表明。これまで反政府勢力を支援してきた米英側も、シリア政府とは政治交渉が必要と態度を軟化させている。ところが、中近東で米国と最も親密な関係国であるイスラエルは、自衛の措置と称してシリアの軍事基地を何度も空爆しており、妥協する余地を見せていない。そのことが、オバマとネタニヤフの関係を悪化させている。
サウジアラビアに、米国は大量の戦闘機、戦闘用ヘリコプター、最新式銃砲など総額六〇〇億ドルもの兵器を輸出し支援している。同じスンニ派であるISの動きを静観してきたサウジアラビアや湾岸諸国も、自国に対するテロの温床になりかねないとISを強く非難。アラブ連盟もISに対抗するため「必要なあらゆる措置をとる」と声明。
ISIL武装集団と闘っているトルコ国内クルド人、とくにクルド人分離独立派の武装組織クルド労働党は、イラク領内に居住。国内に五〇〜八〇万人が住んでいるドイツは、ISILと対峙するクルド人勢力に武器供与を行うことを一四年八月に採用。ドイツはこれまで、紛争地への武器輸出は見送ってきた。米国はクルド労働党を支援している。イラクは、ISILを敵視しているイランに支援を求め、イランはクルド人勢力に武器を提供。  ロシアはシリア政府を支援している。ロシアを敵視するチェチェンの過激派はシリア内戦に参加しているといわれている。
かくして、ISILをめぐる状況は、まさに敵と味方が入り乱れる混沌とした事態になっており、解決の糸口すら見いだせないのが実情。ブッシュ政権が始めたイラク戦争は、中近東のみならず、世界を泥沼に引きずり込みつつある。

イスラエルも
不安定化促進
安倍はISと闘う国に二億ドルの人道支援をするといった。この支援は、外務省のHPによるとエジプトの国境管理能力強化のための支出も含まれるとか。イスラエルも「卑劣なテロ行為」を行っていて、四〇〇発の核弾頭を保有、大量の化学兵器・生物兵器も貯蔵していると言われている。安倍は、F35戦闘機の日米共同開発を武器輸出三原則の例外とし、さらに武器輸出三原則をなくし防衛装備移転三原則に置き換えて、この兵器がイスラエルに渡ることを可能にした。安倍は、日本軍の行動を「侵略戦争ではない」とし、日本軍性奴隷制の犠牲者となった女性たちを「嘘つき」と呼び、都合のよい「記憶」だけを政治に利用し、都合の悪い「記憶」は抹消するという「記憶の操作」をやっている。
ハンナ・アーレントは「全体主義の起源」で次のように言っている、「その人が生きていたという存在そのものの記憶のみならず、その人に関する『記憶』自体が『忘却の穴』に落とされて抹消されてしまう」。「ヒトラーは嘘というものは、法外なものである場合にのみ効果を上げ得ると宣伝した。法外というのは、事実の関係全体はそのままにしておいて個々の事実を否定する。その結果個々の虚偽の事実が矛盾を含まぬ一つの関連をなし事実の世界の代わりに一つの虚構の世界を作り出すようにすることなのだ」。安倍は「河野談話を継承」しながら・・・「慰安婦の強制連行はなかった」という。
中近東の不安定要因は、ISのみならず、イスラエルの言動にもある。イランを重要な攻撃目標の一つとする「ミサイル防衛システム」をヨーロッパにおくという米国の戦略は、ロシア政府に深い疑念と反発を呼び起こした。ゴルバチョフ・レーガン会談で、ソ連はドイツ統一を認める代わりにNATOの核を東ドイツ以東には置かないと言う約束がなされたが、これをブッシュが破った。これは、最近のウクライナ危機でプーチンが核兵器使用準備をとったことにも関係している。NPT(核不拡散条約)に入るよう圧力を加えるべきは、イランではなくイスラエルであるべきだ。

日米の加害責任
追及が必要だ!
米国はなぜこのような無法な核大国になってしまったのか。トルーマンは、戦争終結を早めるため原爆を使用したと述べ、米政府が犯した重大な戦争犯罪の責任をごまかす神話を作りあげた。そのため、核兵器そのものの犯罪性がその後追及されることはなかった。原爆だけでなく、日本の都市への米国の無差別爆撃、日本による中国都市への大空襲による「人道に対する罪」も問題にされなかった。無差別爆撃は、その後朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争で多くの犠牲者を出し続けた。
一方、日本は八月一五日の天皇メッセージで「非人道的な原爆のゆえに降伏せざるを得なかった」と述べ、「原爆投下」だけを降伏決定の要因とし、アジア各地で日本軍が犯した戦争犯罪やアジアの抗日闘争を無視するどころか、戦争は「アジア解放」のためだったと、自己正当化するため原爆被害を利用した。
われわれが原爆犯罪の加害責任を問わなかったがゆえに、日本人がアジア太平洋の人たちに対して犯した戦争犯罪の加害責任も追及しないという二重に無責任な姿勢を生み出し続けている。そのため、米国の軍事支配には奴隷的に従属する一方、アジア諸国からは信頼されないため、いつまでたっても平和で友好的な国際関係を築けない。このように、日米政府が犯した犯罪が真剣に問われなかった事実、「過去を克服」してこなかったことは、今の日本の閉塞した現状と深く関連している。石橋湛山は「戦法の極意は人の和にある」と述べたが、これが平和構築の最も有効な方法は、市民の和=国際連帯だ。

3.28「大阪都」構想を葬り去ろう

橋下のウソとペテン暴け

左派から自民党まで一つのデモに

 【大阪】法定協議会で、いわゆる大阪都構想に向けた協定書が大阪維新の会と公明党の賛成で可決(一月一三日)し、続いて三月一三日大阪市議会、三月一七日大阪府議会でも可決したことで、五月一七日大阪市の住民投票が実施されることになった。
大阪市を解体し五の特別区に再編するという都構想に反対投票を呼びかける御堂筋デモが三月二八日に行われた。主催者団体は、「民意の声」(自民党系の起業家グループ)と「大阪市がなくなるで!えらいこっちゃの会」(「見張り番」など行政の監視運動を行ってきたグループの流れ)。
主催者団体は、「大阪をなくすわけにはいかない。そんなことになった大阪は滅びる。大阪に立ちこめた暗雲をぶっ飛ばそう」とあいさつの中で呼びかけた。
 参加した大阪市会議員や国会議員の所属政党は自民党・民主党・共産党。「大阪市は明治二二年発足、今年が一二六年目、つぶすなんてとんでもない」、「実質上維新の会だけの一方的な議論で作られた協定書は認められない」、「橋本市長のウソとペテンを明らかにし、都構想の真実を訴えたい」などの発言があった。

住民投票では
反対と書こう
保守から革新までが一堂に会した集会は“前代未聞”。これも大阪的か?参加団体は、「大阪市をなくさんといてよ市民ネットワーク」(WSF大阪連絡会やATTAC関西が中心)、「大阪市がなくなるで!えらいこっちゃの会」、「大阪市の労働と人権を考えるネットワーク」、「橋下市政の不当処分の撤回を求める会」、「民意の声」、「府民の力」(大阪未来・民主党系)、「アンチ維新ネット」、「NPO法人地域活性ネットワーク」、「大阪市民連絡会」、「年金者組合」、「新日本婦人の会」、「建交労大阪府本部」、「九条の会」、「大阪自治労連」、「SADL」(民主主義と生活を守る有志)。集会の最後に集会決議を拍手で採択し、難波までの御堂筋デモ行進では、「大阪つぶす都構想反対!」・「大阪壊す橋下いらん」・「よくわからん人も投票で反対と書かないと賛成したことになりますよ」などと訴えた。    (T・T)

 




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