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    かけはし2015.年3月16日号

内乱容疑に大法院「無罪」判決


ジギルとハイド氏…憲裁と大法院

3つの争点からみた憲裁と大法院の違い

 「1回だけの討論の程度を超えて、内乱の実行行為に乗り出すという合致には至らなかった」(2015年1月22日、大法院全員合議体)。
 「単純に1回だけ、偶発的によってのみ民主的基本秩序に抵触する事件を引きおこしたわけではない」(2014年12月19日、憲法裁判所)。
 大法院(最高裁)と憲法裁判所(憲裁)の判断が明らかに食い違った。大法院全員合議体が1月22日、内乱陰謀・内乱煽動容疑などによって拘束起訴されたイ・ソッキ前・統合進歩党議員(53)に対して懲役9年が確定した。控訴審と同様に大法院は内乱煽動および国家保安法違反の容疑は有罪に、内乱陰謀容疑は無罪と判断した。憲裁が旧・統合進歩党の解散決定の根拠としてあげていたRO(Revolution Organization、地下革命組織)の実体とその「実質的危険性」を、大法院は認定しなかった。「ハンギョレ21」が争点別に大法院全員協議体の判決文(79頁)と憲裁の決定文(347頁)を比較してみる。

1、 イ前議員はROの頭目か


大法院は2013年5月12日、ソウル合井洞のマリスタ教育修士会の講堂にイ前議員を含めて130余人が集まりはしたものの、これらの人々を実体のある組織とまでは考えることはできないとした。通報者イ某がROの構成員および組織体系について陳述したけれども「彼は組織において末端の細胞員にすぎず、その陳述の相当部分は個人的な推測ないし意見」なので受け入れられない(45頁)。特にイ氏の陳述を裏づける客観的資料が不足だ。?参加者130余人がRO組織にいつ加入し?どんな活動をしてきたのかを認定する証拠がない、というのだ。大法院は「疑いがあるのは事実だが、これを立証する証拠がない」と結論づけた(46頁)。
憲裁はROを「主導勢力」だと表現し、「イ・ソッキ=京畿東部連合=主導勢力=統合進歩党」という論理構造を形成した。憲裁はイ前議員を京畿東部連合、主導勢力の頭目とみなした。2012年8月10日、真実勝利選挙対策本部の解団式の際、参加者たちが「同志よ、君は私だ。私がまさにイ・ソッキ同志だ。闘争」というシュプレヒコールを提唱し、2013年5月10日の会合を解散する際にイ前議員が「再び招集がかかれば、ただちに集まれ」と指示したという点を根拠として挙げた。「参加者たちは京畿東部連合の主要構成員として北韓(北朝鮮)のチュチェ(主体)思想に追従し、当時の情勢を戦争の局面と認識した。その頭目であるイ・ソッキの主導下に戦争勃発時に北韓に同調して大韓民国内の国家機関施設の破壊、武器製造および奪取、通信攪乱などの暴力手段を実行しようとして会合を開催したものだ」(126頁)。

2、 会合で合意はあったのか

 大法院は内乱陰謀罪で処罰しようとするのならば、合意があって然るべきだとした。この際の合意とは「個別の犯罪行為に関する細部的合意」とまでは言わなかったとしても、「攻撃の対象や目標が設定されていて、実行計画の主要事項を共通して認識する程度」はされなければならない(48頁)。「単純に内乱に関する犯罪の決心を外部に表示・伝達したことでは不足で、客観的に内乱犯罪の実行のための合意ということが明白に認識されなければならない」。
その基準から見るとき、合井洞の会合は内乱陰謀と言うことはできないと大法院は結論づけた。第1に、会合への参加者たちが会合以前に組織的に内乱を事前に謀議したり、これを準備したりはしていない。むしろ5月10日の会合参加者のうちの一部は子どもを連れてきていたり、かなり遅れてやってきたりもした。内乱を陰謀する人物の態度とは考えにくかった。第2に、参加者たちが会合の際、具体的にどんな発言や態度を取っていたのかは分かりようがない。地域別の討論結果を発表したものの、これは討議内容を要約したものに過ぎなかった。参加者の考えが同一だったと断定することはできない。第3に、一部の参加者が国家機関施設の破壊など幾つかの暴力行為についての発言をしたものの、他の参加者たちがすべてこれに同意したと言うことはできない。懐疑的な反応が明らかにあったからだ(49頁)。
憲裁は合意があったと考えた。「参加者たちがイ・ソッキの指示に従って、戦争勃発時に北韓に同調して国家機関施設の破壊、通信攪乱、爆弾製造法および武器の奪取などのような後方攪乱の手段や組織的対応について論議した。ホン・スンソク(京畿道党副委員長)らは会合の前に主要施設についての情報収集などの指針を伝達されて関連情報を共有していたし、戦争勃発時の自らの役割や、キム・イルソンに対する忠誠を誓う細胞別の決意大会を開催した」(第125頁)。

3、「実質的危険性」はあったのか

 大法院は「1回だけの討論の限度を超えて、さらに踏みこんで内乱の実行行為へと踏み出すという確定的意思の合致に到ったとは考えがたい」と判断した(49頁)。その理由は、参加者たちが合井洞の会合に参加した後、国家機関施設の破壊など暴力的方案を実行しようとして追加的に論議をするだとか準備行為をしたと見る証拠がないからだ。当時、イ・ソッキ前議員が戦争が勃発したら大韓民国の体制を転覆するために通信・流通・鉄道・ガスなど主要国家機関施設の破壊、宣伝戦情報戦など多様な準備方案を準備しようと煽動したものの、その具体的な実行はなかったというものだ。大法院が内乱陰謀を無罪と判断した理由だ。けれどもイ前議員の発言は「北韓の挑発が継続されている状況にあって、それ自体として危険性がある」として内乱煽動の容疑を適用して、有罪と判断した(33頁)。
反面、イ・インボク、イ・サンフン、キム・シン大法官(最高裁判事)らの少数意見は「内乱構成の要件である暴動は時期、対象、手段ならびに方法、実行または準備に関する役割分担などの輪郭がある程度、特定されなければならないが(イ・ソッキの講演は)余りにも抽象的」であり、内乱煽動も無罪だと判断した(59頁)。
憲裁はイ前議員と会合参加者らが民主的基本秩序に実質的害悪を及ぼす具体的危険性をもたらす、とした。「主導勢力の性向、構成員の活動などに照らしてみる時、単純に1回的・偶発的に民主的基本秩序に抵触する事件をひき起こしたのではなく、今後も類似の状況が繰り返される可能性が極めて大きい」。特にイ前議員の発言は大韓民国の存立に危害を加えかねない方案を具体的に論議するまでに至ったと判断した。「北韓と先鋭に対峙している韓(朝鮮)半島の状況を考慮すれば、その危険性は単純に抽象的危険にとどまるとだけ見ることはできない」(135頁)。

 同じ事案をめぐって大法院と判断が食い違った憲裁は困惑するところとなった。憲裁が政党解散の要件である「政党の目的や活動が民主的基本秩序に違背した時」の主要な根拠として「内乱関連の会合」を挙げたからだ。政党を強制によって解散しなければならないほどに、その会合の危険が具体的かつ実現の可能性があると憲裁が判断したけれども、大法院はその実質的危険性が大きくはないと結論づけた。性急さのあまりに、憲裁は自らの存在の正当性さえもが揺らいでいる。(「ハンギョレ21」第2015号、2月2日付、チョン・ウンジュ記者)

イ・ソッキ統合進歩党前議員 事件日誌

2013年8月28日 国家情報院、議員など押収捜索
9月4日 国会、逮捕拘束同意案可決
9月5日 拘束
11月5日 政府、統合進歩党解散審判請求
2014年2月17日 水原地裁、懲役12年・資格停止10年宣告
8月11日 ソウル高裁、内乱陰謀無罪、懲役9年・資格停止7年宣告
12月19日 憲法裁判所、統合進歩党の解散と議員職はく奪決定
2015年1月22日 大法院、上告棄却

平昌冬季五輪、全南F1の二の舞か

日本との分散開催は大統領が拒否

今からでも分散開催を

 アジアン・ゲーム、冬季オリンピック、国際自動車競争大会など国際スポーツの行事がさまざま論難を生んでいる。環境破壊、予算の浪費などの問題がないまじっている。
 ところで、このような事業が推進される過程を見ると奇妙だ。地方自治体が乗り出して誘致運動を繰り広げる。中央政府の承認もなしに推進している場合もある。初めは民間資本を誘致して財政を準備すると言っていて、途中で話が変わるケースもある。事後の管理も難しい競技場をやたらと建てる。土建事業と変わるところがない。そうして莫大な国家財政、地方財政が浪費され、環境が破壊されている。
 
アジア大会の借金
1兆ウォン超す
 全羅南道が誘致し自慢していたフォーミュラ1(F1)国際自動車競争大会は、もうすでに全羅南道にとって災央となった。この大会はパク・チュニョン前道知事が独断的に誘致した行事だ。初めは中央政府の支援なしに民間資本の調達によって財政を用意すると言ったけれども、それがうまくいかないと中央政府が予算を支援した。政治圏も尻馬に乗って舞いあがった。国会は「フォーミュラ1国際自動車競争大会支援法」という法律まで作ってやった。
 そうして総額1001億ウォンの国家予算が投入された。全羅南道の予算も莫大に注ぎ込まれた。地方予算の投入額は5031億ウォンに達した。このように多くの予算が注ぎ込まれたものの、結果は破綻だ。4年間、大会を行ったものの、赤字があまりにもひどくて、もはや大会を行うことができなくなった。2010年から始まった大会は2013年を最後に、もはや開かれなくなった。
 4年間に累積した赤字は1910億ウォンだ。競技場の建設費などを勘案すれば損失の総額は6千億ウォンを超える。そして大会の主管社であるフォーミュラ1マネージメント社が違約金を要求するなど、追加の損失も発生しかねない。全羅南道は行事を1度、誤って誘致したばかりに、おびただしい重い荷を抱えるところとなった。
 このようなとんでもないことは仁川アジアン・ゲームでも繰り返された。仁川アジアン・ゲームには国家予算5039億ウォン、自治体予算1兆5460億ウォンが投入された。そして仁川市はカネを用意するために1兆450億ウォンの地方債を発行した。借金をしたのだ。地方債を発行して調達したカネの大部分は競技場の建設に投入された。その中には不必要な競技場もあった。例えば、主競技場を新たに作らず文鶴競技場で代替することもできたけれども、あえて4772億ウォンを投じて新しく作った。
 残ったのは借金の山だ。利子まで併せれば仁川市が背負わなければならないカネは1兆3336億ウォンに達する。1年の利子だけでも300億ウォン台だ。大会が終わった後、仁川市民を対象に調査してみると、仁川市民らのうちの43%は失敗作だと回答し、成功だったとの回答は12%にすぎなかった。

 
6時間の開閉会式
に859億ウォン
このような痛い経験を味わいながらも、教訓を得ることのできないのが大韓民国だ。フォーミュラ1、アジアン・ゲームよりもさらに大きな災央が繰り広げられようとしている。ほかならぬ2018年に開催される平昌冬季オリンピックだ。投入されるカネの規模は、はるかに大きくなった。国家と自治体の予算11兆4311億ウォンが投入される予定だ。たった6時間の開・閉会式のために859億ウォンが使われる。
アルペンスキー場建設のために、500年たった加里旺山の森を切り開く環境破壊行為もやらかしている。たった3日間の競技のために生態的保存価値の高い森を破壊する行為は、どんな理由があろうとも正当化はされがたい。
国家予算政策処は2013年5月、「国際スポーツ行事支援事業の評価」という報告書を通じて「冬季オリンピック大会の競技施設は利用時期が冬に限定されており一般人が直接、楽しむのが難しい種目も多くて競技施設の事後活用の方案を求めるのが簡単ではない」と指摘した。そうして競技場の新設は最少化すべきだと明らかにした。論難となっている加里旺山のアルペンスキー場にのみ限っても、傾斜が急で一般人の利用は低調だろうというのが国会予算政策処の分析だった。
国会予算処は、国際スポーツ行事を誘致するに際して作成した経済的妥当性についての報告書はでたらめだらけだとの指摘もした。一般的な経済性の分析においては使わない方法によって経済効果を膨らませたというのだ。人々の目を眩惑しようとする「ポンティギ(ポンせんべいを焼く轟音のような、の意)」のために国家財政が浪費され、江原道の環境が破壊されている。
そこで平昌冬季オリンピックを今からでも分散開催すべきだとの声が少なくない。莫大な財政の浪費が予想され、オリンピックが終わった後には施設を活用することも難しいのに、あえて単独開催する理由はない、ということだ。ところがパク・クネ大統領は直接、分散開催に反対する意見を明らかにした。それ以降、公務員らや平昌オリンピック組織委員会は一糸乱れずに「分散開催は不可」という立場に整理された。

国内分散開催
賛成57・8%
だが大統領の任期は5年にすぎない。平昌冬季オリンピックが開かれる時は、既にパク・クネ大統領の任期が終わった後だ。大統領の一言で決定される事案ではないのだ。
国際オリンピック委員会(IOC)は昨年12月に「アジェンダ2020」を発表した。これによれば、IOCは複数の国家、または複数の都市で分散開催することを奨励している。これまでオリンピックが開催されるごとに財政の浪費や環境破壊の論難があったがゆえに、このような立場を明らかにしたのだ。したがって大韓民国が今からでも立場を変えればよい。
世論も分散開催を望んでいる。昨年12月にJTBCが行った世論調査によれば、日本との分散開催には反対の世論が高いけれども、国内の他の地域と分散開催するのには約57・8%が賛成した。全羅北道茂朱のスキー場など、国内には活用可能な施設がいっぱいある。財政の浪費も減らし環境破壊も避けることのできる合理的方案だ。江原道の立場からしても無理に推進して借金を背負うよりは良い方案だ。今からでも合理的な討論を行わければならない。(「ハンギョレ21」第1050号、15年3月2日付、ハン・スンスのおゝ緑/緑の党共同運営委員長)


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