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    かけはし2015.年2月9日号

許すな!軍隊「慰安婦」捏造論


1.26極右キャンペーンはねのける集会

歴史の事実は消せない

自治体に強まる排外主義の圧力


 【大阪】いわゆる「慰安婦」問題を正しく市民に訴えるための集会が一月二七日、吹田市立勤労者会館で開かれ、一五〇人の市民が参加した。集会は、憲法団体(憲法九条を守りいかす会・九条の会)、市職員労働組合、全教労組、教育合同労組など一七団体による実行委員会が主催した。
 「慰安婦の真実」国民運動、凜風やまと獅子の会、新しい歴史教科書をつくる会、頑張れ日本!全国行動委員会などが協賛し、日系文化振興会なる団体が主催する「日韓近代史検証展」が、二月一日吹田市のメーシアターで開催されることがわかったので、これに対する対抗的な集会だ。

日本の植民地
支配を賛美
在日特権を許さない市民の会(在特会)やその関連団体ら極右グループは昨年、大阪府堺市(七月)・高槻市(九月)、東大阪市(一一月)、奈良県生駒市(八月)、兵庫県西宮市(一一月)において、いわゆる「慰安婦パネル展」 を開いてきた。それは、日本軍「慰安婦」の存在やその強制性を否定し、「慰安婦」は売春婦だったと決めつけ、元「慰安婦」たちをはずかしめ、民族差別をあおり、日本の植民地支配を賛美し、歴史を偽造する内容のものだった。今年に入って関西で初めての展示は吹田市をターゲットに選んだわけである。
吹田市は二〇一〇年三月「慰安婦」問題の早期解決に関する意見書を採択しているが、「慰安婦の真実」国民運動(加瀬英明代表)は二〇一四年一〇月、「『河野談話』に関する貴議会の意見書について(要請)」なる要請文を市議会に送り、この意見書を撤回するように圧力をかけてきた。
この動きに応じて一二月市議会で、右翼会派が「慰安婦問題について再検証を求める意見書」を提出した。この意見書提出は、慰安婦問題についての吉田清治証言がウソであったことを認め謝罪した朝日新聞社がそれに関する記事を取り消したことを契機に全国的に展開された朝日バッシングの流れの一環であると考えられる。同じ動きは、宝塚市・大阪市・堺市でもあった。宝塚市と大阪市では「河野談話見直し意見書」が採択されたが、堺市と吹田市では否決された。
市民集会実行委員会の各団体は、吹田市長に要請文・抗議文を提出し、いわゆる「慰安婦パネル展」についての市当局の対応について二度にわたって話し合いを行った。行政の対応は、表現の自由にとらわれるばかりで、現に起きている事態に対する分析が欠けていたので、あらためて具体的に要請した。
そして一月二七日の市民集会となった。実行委員会の代表が経過を説明したあと、初めに西谷文和さん(フリージャーナリスト)が、「慰安婦の強制性はなかった」、「慰安所は必要だった」、「米軍は風俗をもっと活用して欲しい」などの驚くべき発言を繰り返した橋下徹大阪市長が安倍首相を支えている構図と日本軍「慰安婦」問題を、映像を使ってわかりやすく説明した。
続いて方清子さん(日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク共同代表・日本軍「慰安婦」問題解決全国行動 事務局長)が、「歴史の事実は消すことができない、日本軍『慰安婦』被害者の声に私たちはどう向き合うのか」と題して講演した。(講演要旨別掲)

教育現場めぐる
攻防がつづく
講演の後、直接「慰安婦」問題とは関係がないが、教育現場から報告があった。
それによると、昨年六月二三日朝日新聞が中学校で利用してもらおうと作成した「沖縄慰霊の日」についての資料(希望者には無料配布)を、吹田市のある中学校が社会科の授業で使用した。その後の一学期末テストに、これに関する問題を出題した。
このテスト問題を入手した右翼議員は、学習指導要領に反していると教育委員会に押しかけ、市内一八中学校全部一学期末社会科のテスト問題のコピーを提出させた(拒否すれば情報公開条例により提出させると脅して)。この議員の動きに産経新聞が加わり、当該中学校名と社会科教師の名前を明らかにせよと迫った(名前は公表されなかった)。この右翼議員はその後図に乗って要求をエスカレートさせ、市内全校の二年三年の一学期末テスト問題のコピーを提出させている。
これら右翼の動きは、当面の問題としては今年行われる中学校の教科書採択に収斂されていくと思われるので、是非とも市民の協力をお願いしたいという報告だった。
この後質疑応答があり、最後に集会宣言の提案をみんなで確認して終了した。(T・T)

方清子さんの講演から

真相究明・事実認定と
謝罪・賠償・尊厳回復

  「慰安婦」制度は一九三二年の第一次上海事変から一九四五年の日本の敗戦までの期間に、軍が立案し、募集を要請して、戦地・占領地に慰安所が設置された。募集・移送・管理に至るまで、軍が直接、間接に関与し、多くの女性たちが軍人軍属の性の相手をさせられた。
朝日新聞の「慰安婦」検証報道をめぐって「慰安婦は捏造」のとの声が広がったが、「慰安婦」問題が広がったのは吉田清治報道によるものではなく、金学順さんら被害者が立ち上がり、日本政府を告発したことが契機だった。吉田証言が否定されたことで、「強制連行」はなかったと証明されたのではない。オランダ・中国・フィリピンをはじめ明確な強制連行の証拠や証言があり、日本の司法も事実認定している。そして、「強制連行」の有無が問題なのではなく、連れて行かれた先で自由を奪われ、性奴隷とされた事実こそ問題だ。
右派言論のみならず、あらゆるメディアが朝日たたきをし、各地の議会で「検証」報道を受けて「慰安婦」事実を否定する意見書や決議が採択され、各地で「従軍慰安婦展」が開催され、元朝日新聞記者と家族に執拗な嫌がらせと脅迫が続いた。国会では、当時の石破自民党幹事長が「朝日を国会に呼んで検証」すべきだと発言した。安倍首相に至っては、朝日の誤報により「多くの人々が傷つき悲しみ、苦しみ、怒りを覚え、日本のイメージは大きく傷ついた。『日本が国ぐるみで女性を性奴隷にした』との、いわれなき中傷がいま世界で行われているのも事実」と根拠のない発言をし、クマラスワミ国連報告者に勧告の一部の撤回を求め、恥を世界にさらした。そして、アジア女性国民基金の呼びかけ文を外務省のホームページから削除(一四年一〇月)、外務省はアメリカの教科書出版社に「慰安婦」記述の是正要求(一四年一一月)、数研出版は高校公民教科書から「慰安婦」・「強制連行」記述の削除申請(一五年一月)と言う過剰反応をした。

相次ぐ「国連
勧告」に従え
相次いで国連勧告が出されている。国連社会権規約委員会(二〇一三年六月)、国連拷問禁止委員会(二〇一三年七月)、国連自由権規約委員会(二〇一四年八月)、人種差別撤廃委員会(二〇一四年八月)。
例えば、「彼女らを貶めるヘイトスピーチ・示威運動を防止するために『慰安婦』が被った搾取について公衆を教育すること」、「元『慰安婦』を傷つける試みに反論すること」、「被害回復などのために『即時かつ効果的な立法的及び行政的措置を求める」など。安倍首相は、「締約国には勧告に従うことは義務づけられていない」といったが、日本国憲法第九八条には「締結した条約は誠実に遵守する」という規定がある。

戦後 年談話
をめぐる攻防
安倍首相は、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(一九九七年二月)を結成し事務局長に就任して、河野談話の見直しを発言し、「慰安婦だったと要求している人の中には……明らかにウソをついている人たちがかなり多くいる」と発言した。第一次安倍政権のときは「河野談話の見直しを図る」と述べ、「官憲が家に押し入って人さらいのごとく連れて行くという強制性はなかった」と語って、国内外から批判を受け、米国で謝罪した。しかし、第二次安倍内閣でも「河野談話」の見直しを示唆し、再び海外から一斉に批判を帯び、極右政権とのレッテルを貼られた。「河野談話作成過程に関する検討」(二〇一四年六月)をはじめ、本心は何も変わっていない。
今年一月の年頭記者会見で「戦後七〇年」談話を出すことを表明し、今年通常国会前日のNHK番組で、「今まで重ねてきた文言を使うかどうかではなく……」と発言し、「植民地支配と侵略・痛切な反省・心からのお詫び」などのキーワードは含めないことをにおわす発言をした。このような態度ではなく、歴史の真実に向き合うしか日本の未来はない。
まず政府による真相究明と歴史的事実を認定。そして、国家責任を認めて謝罪と賠償をして、被害者の尊厳を回復する。アジアで共に生きていく。女性に対する差別と暴力、性奴隷の正当化を許さず、戦時下の女性への暴力を終わらせる。基地も軍隊もない平和な社会の実現。再発防止として、義務教育課程の教科書への記述を含む学校教育・社会教育の実施。追悼行事の実施。 (講演要旨、文責編集部)


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