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    かけはし2015.年2月2日号

安倍も橋下も拒否する共同の闘いを作ろう!


比例票から総選挙結果を考える

安倍政権に立ち向かう共同の陣形を

敵の矛盾と弱点を見据え
沖縄に続く闘いの準備を

比例得票数を
素材にする理由


 昨年一二月一四日に実施された総選挙は、戦後最低の投票率、与党である自民・公明が三分の二以上の議席確保、共産の躍進など、事前のマスコミ予想にほぼ近い結果であった。一方では、沖縄において、自民党候補が小選挙区で全敗するなど、新たな局面を予兆させる動きもあった。
この総選挙結果については、すでにマスコミ等でもさまざまな評価や分析が行われ、「かけはし」紙上でも論及されているが、ここでは、各党の比例得票数を材料に、改めて総選挙結果について考えてみたい。比例得票数を素材にするのは、各党への支持動向がもっとも端的に表現されると考えるからである。さらに、筆者が居住しており、橋下・維新の本拠地でもある大阪での総選挙結果についても触れてみたいと思う。

最近3回の国政
選挙結果から


まず、最近三回の国政選挙、つまり二〇一二年一二月総選挙、二〇一三年七月参議院選挙、そして今回の総選挙における比例票数の政党別変遷について、一覧表を作ってみた。ただし、一部の政党は省略しているので、ここに挙げた政党の得票数を合計したものは、総得票数よりも少なくなっている。また、政党の並べ順は、筆者の独断で上から下へ、より右派的な政党から順番にしている。
こうして見てみると、そもそもこの三回の国政選挙で、連続して比例区に参加した主要政党が少ないことに驚かされる。それは、維新、自民、公明、民主、社民、共産の六党である。そして、二〇一三年参議院選挙と今回の総選挙の投票率がほとんど同じであることにも気付かされる。
それでは、この一覧表から読みとれることを以下に考えていこう。

ほぼ変わらない
左派・リベラル票


まず、第一に言えることは、いわゆる左派・リベラル政党を支持する有権者がほぼ八〇〇万人台で一定していることである。ここで私が左派・リベラル政党と呼ぶのは、憲法・原発・環境・TPPなどを基準にして、安倍政権の姿勢と一定対決していると考えられる諸党である。具体的には、生活の党から共産党までを指している。この区分けに異論がある方もおられるかも知れないが、ここでは深く議論しないでおく。
これらの左派・リベラル政党の比例得票数合計の推移を見てみよう。二〇一二年総選挙では、「日本未来の党」、社民、共産をあわせると八五三万、二〇一三年参院選では、生活、「みどりの風」、緑の党、社民、共産で八二四万、そして二〇一四年総選挙においては生活、社民、共産の合計が八三八万となる。「 」で囲んだ政党は現存しない政党である。
非常に粗っぽい手法であることは承知の上だが、投票率の変化とは関係なく、見事に八〇〇万台で推移しているのである。これらの人々は、安倍・自民党の改憲志向や原発再稼働などに強い懸念を持っており、その危機感から比較的「忠実に」投票所に足を運ぶ人々と考えられよう。
民主党についても触れておくと、今回の総選挙で選挙協力を組んだ新党大地を加えて考えれば、二〇一二年総選挙とほぼ同数の得票を得ている。

次世代の党は
なぜ敗北したか


今回の総選挙には、次世代の党が極右的な政策を公然と掲げて初登場した。この党は、ネット選挙を意識して展開した。ネット上での発信量では、共産党と並んで多かったという調査もあった。実際に、党幹部もそのことを意識して、「若い人たちは新聞やテレビよりも、インターネットでニュースを得ていると思う。我が党はネットでの人気は野党第一党だ。ネットでは若い人たちの保守化傾向は強い。従って次世代の党の支持も高いと思う」(「ネットでの人気は野党第一党だ」山田幹事長)という言い方もしていた。
いわゆる「ネトウヨ」と呼ばれるネット右翼層の受け皿を狙ったと言えよう。しかし、結果としては「総選挙唯一の敗者」とも揶揄されるような惨敗を喫した。東京都知事選において田母神に投じられた六〇万票と比較しても、また、その支持層は当事者の思ったよりも薄かったのである。
言うまでもなく次世代の党は、日本維新の会から分裂した旧太陽の党グループ(石原慎太郎グループ)に、田母神・元自衛隊幕僚長らが合流した党である。田母神は、休止状態にあった太陽の党を継承していたが、選挙戦では次世代の党から立候補したのである。
この次世代の党については、『若者は本当に右傾化しているのか』の著者・古谷経衡氏による分析が大いに参考になろう(自ら「保守」を自認する古谷氏が書いたこの本も非常に興味深く読むことができた)。この「総選挙『唯一の敗者』とは?『次世代の党』壊滅の意味とその分析」と題する論評は、総選挙直後にネット上にアップされたが、非常に示唆に富むものである。
古谷氏は「次世代の党の支持者のすべてが差別やヘイトスピーチを肯定している、と断定しているわけではないが、明らかに差別やヘイトスピーチと親和性の高い人々が、今回こぞって次世代の党を応援したことは、事実である」としながら、次世代の党の敗北は「端的に言えば『自民党より右』の存在を、有権者が明確に拒絶した、ということである」と分析する。

自民党「圧勝」
の背景を考える

 議席数において、単独でも三分の二近くまで獲得した自民党にとって、今回の結果は「熱狂なき圧勝」とも言われている。総選挙直後に読売新聞が実施した世論調査を見ると、その一端をかいま見ることができる。
内閣支持率五一%は直前の世論調査からからプラス二%ではあるものの、本来なら選挙戦に勝利したあとはもっと高くなる傾向があるという。また、自民党支持率は三六%とマイナス五%である。自民党が大勝した理由について、六五%が「ほかの政党よりまし」、自民支持層に限っても「ほかの政党よりまし」は六四%で、「安倍首相への期待が高かった」一四%、「経済政策が評価された」一一%、「与党としての実績が評価された」九%など、積極的な理由を挙げた人は少数にとどまっている。
前述の古谷氏は、総選挙結果を総括して「今次の選挙を通じて日本人が出した答えは、『安倍政権を積極的に全肯定はしないが、強く否定はしない。でもあんまり過激なのは駄目だよ。とりあえず二年じゃ分からないから、もうしばらくやってみては』という事に尽きると思う」と述べているのと符合している。

壁にぶつかった
安倍の改憲戦略


それでは、マスコミの言う「第三極」はどうだったろうか。二〇一二年総選挙では、維新、みんなの党をあわせると一七五〇万、二〇一三年参院選では同じく一一一〇万、そして二〇一四年総選挙においては維新と次世代の党の合計が九八〇万となった。票数として二年間でほぼ半減である。同じ投票率だった参議院選と比べても、一三〇万票減らしている。
「いわゆる第三極」について触れる際には、票数だけでなく、みんなの党の解党、維新の「変質」について考える必要がある。旧来の日本維新の会は、極右的な「次世代の党」(石原グループ)との分裂、「結いの党」(江田グループ)との合流によって、日本維新の党になった。このことによって、党の性格に変化が生じたのかどうか、という問題である。とりあえずは維新の当選者の中で、九条改正についての賛否が拮抗しているということを指摘しておこう(毎日新聞の調査による)。これは二〇一二年総選挙の当選者と大きな違いである。当時は、九条改憲論者が圧倒的に多数を占めていたのである。
その上で、総選挙の前後で改憲勢力の勢いがどうなったかを見てみよう。前述した毎日新聞の当選者調査によれば、当選者のうち九条改正賛成は五七%で、二〇一二年の七二%から大きく減少した。ちなみに集団的自衛権行使容認は六二%で、反対の二三%を大きく上回っている。
この点については、産経新聞の分析(「激流・衆院選(上)」)が興味深い。改憲派マスコミのトップランナーである産経は、「衆院選は自民党が勝利を収めたが、安倍には忸怩(じくじ)たる思いが残る」と書き、「安倍が年末の電撃解散で狙ったのは、自民党を勝たせるのはもちろんだが、むしろ自民党を含めた改憲勢力を増やし、護憲勢力を退潮させることに重きを置いていたからだ。……衆院選は自公で三分の二超の議席を得たが、憲法改正は遠のいた。任期四年で改憲勢力をどう立て直すのか。勝利とは裏腹に安倍の表情は終始険しかった」と分析してみせる。

大阪での比例票
から見た結果


続いて、維新のホームグラウンドである大阪府における各党の比例得票数を見てみたい。同じように、二〇一二年総選挙、二〇一三年参議院選挙、今回の総選挙を比較してみる。
大阪府・市政与党である維新は、一四六万→一〇五万→一一四万と推移している。この間の離合集散を考慮する必要があるので、解党したみんなの党(府議会では一議席だが維新と同一歩調をとってきた)の得票数二三万→二〇万、および今回の次世代の党の八万弱を加えると、一六九万→一二五万→一二二万となる。
一方、府・市政の野党である四党について見ると、自民八五万→八九万→八七万、公明五九万→六六万→五九万、民主三七万→二七万→二九万、共産三一万→四三万→四四万となる。つまり、投票率がほぼ同じだった参議院選と比べると、国政与党の自民・公明は、ほぼ横ばいないしは微減、民主・共産もほぼ同じ票数、「維新+みんな」と「維新+次世代」でほぼ同じという結果が見てとれる。従って、五二%台という投票率のもとでは、昨年と今年では、ほとんど投票傾向は変わっていないことが分かる。
しかし、二〇一二年総選挙との比較では明らかな変化が読みとれる。第一に、今回の「維新+次世代」は、「維新+みんな」から四七万票減らしている。第二に、民主の減少が目立つ。これは、民主が一九選挙区でわずか五人しか公認候補を擁立できなかったことにも一因があろう。橋下が民主との選挙協力を拒否していたにもかかわらず、「野党共闘」の名のもとに候補者を立てなかった(大阪市内ではゼロ)ことに加え、選挙活動の主力となってきた自治労がほとんど動けない状況の中で(橋下による組合攻撃の「成果」でもある)、候補者を立てられなかった側面もある。第三に、共産党が唯一得票数を増加させ、約一・五倍近くにまでになっている。自民・公明は見事なまでに同じである。

橋下・維新の
終わりの始まり


堺市長選など大阪府下の首長選挙での敗北、府議会での過半数割れ、都構想の府・市議会での否決など、橋下・維新がすでに府知事・大阪市長同日選や一二総選挙のときの勢いを失っていることは明らかであろう。それが今回の総選挙でさらに加速するのか、言い換えれば橋下・維新の「終わり」が始まるのかどうか、が焦点の一つであった。この視点から見ると、意外と維新は踏みとどまったと言うべきかも知れない。大阪での比例第一党を何とか維持したことの直接的な波及効果が、都構想案の住民投票をめぐる公明の動揺と妥協を引出したことである。
新聞報道によれば、公明党府本部の幹部が東京・信濃町にある創価学会本部に呼び出され、住民投票に賛成するよう求められたとのことである。そして、その直後従来の方針を突如変更してしまったのである。
維新内の改憲勢力(この間の離合集散によって、維新内では九条改憲の賛否がほぼ拮抗している)を取り込みたい安倍首相によって、大阪の自民党へも同様の圧力がかかることが充分予想される。
反維新四党共闘の一角が崩れた今、反橋下だけでなく、国政与党の自民・公明とも対決する、つまり橋下も安倍もいらないという共同の闘いが何より必要とされている。その先鞭をつけた沖縄での闘いに続けるのかどうか、まさに私たちの側にボールが投げ返されているのである。
(JRCL関西地方委員会・大森)

 

2012総選挙

2013参院

2014総選挙

2014—2012

次世代

 

 

1,414,919

 

維新

12,262,144

6,355,299

8,382,699

-3,879,445

みんな

5,245,586

4,755,160

 

 

自民

16,623,541

18,460,404

17,658,916

1,035,375

公明

7,116,265

7,568,080

7,314,236

197,971

民主

9,628,483

7,134,215

9,775,991

147,508

新党大地

346,848

523,146

 

 

生活

 

943,836

1,028,721

 

みどりの風

 

430,673

 

 

緑の党

 

457,862

 

 

未来

3,424,071

 

 

 

社民

1,420,928

1,255,235

1,287,345

-133,583

共産

3,689,988

5,154,055

6,062,962

2,372,974

60,179,888

53,229,612

53,397,351

-6,782,537

得票率

59.32

52.61

52.66

 

 

 

 

 

 

 


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