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    かけはし2015.年1月1日号

権力の暴走許す法の解体へ


秘密保護法施行強行糾弾

法廃止に向け
さらに闘いを


 安倍政権は、一二月一〇日、グローバル派兵国家建設と一体となった基本的人権、知る権利などを否定する国家機密強化法である特定秘密保護法(@「防衛」A「外交」B「安全脅威活動の防止」C「テロ活動防止」分野に対して国家安全保障会議〔日本版NSC〕、外務省、防衛省、警察庁など一九機関の長が国家にとって都合の悪い情報を「特定秘密」だと恣意的に指定し、特定秘密を漏らした政治家、国家公務員、民間人に最高で懲役一〇年を科すという悪法)の施行を強行した。
現行の情報漏えいに対する罰則は、国家公務員法では「職務上知り得た秘密」を漏らした公務員を「一年以下の懲役または五〇万円以下の罰金」、自衛隊法では「五年以下の懲役」になっているが、秘密保護法は最高で懲役一〇年とする重罰主義だ。
秘密保護法反対運動は、国会内外、全国各地で持続的に取り組まれ、石破が「単なる絶叫戦術は、テロ行為とその本質においてあまり変わらない」(一三年一一月二九日)と発言し、警察権力に「デモ規制のやり方に問題がある。一般人の静穏は必ず守られなければならない」と叫び、デモ弾圧を行えと言わしめる闘いを繰り広げた。秘密保護法施行を糾弾し、これまでの反対運動の成果を共有化しつつ、施行後の闘いを展開していくためのスタート地点を整理しておこう。

秘密と弾圧の拡
大限りなく可能


すでに策定されている「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準」では、五五の「細目」を指定対象とした。 「第1号(防衛に関する事項) 」では、自衛隊装備品の性能・運用、保有数、詳細費を隠蔽し、社会的チェックと批判を排除した軍拡予算推進法だ。
「第2号(外交に関する事項) 」では、「イ 外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち、国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの」というあいまいな適用範囲で限りなく拡大していくことが可能となってしまう。「第3号(特定有害活動の防止に関する事項)」でも「我が国の安全保障に支障を与えるおそれ」を振りかざして拡大適用し情報統制と厳罰主義に基づく弾圧の強行だ。まさに「現代版治安維持法」への飛躍を狙っている。
「第4号(テロリズムの防止に関する事項)」も「テロリズム」を「政治上その他の主義主張に基づき、国家や他人にこれを強要する目的や社会に不安や恐怖を与える目的で、人を殺傷したり、重要な施設その他の物(例えば、国会・政府・裁判所の建物、空港などの交通施設や通信インフラその他の社会インフラ等がこれに当たります。)を破壊するための活動」と規定し、デッチ挙げ弾圧の網を広げていくことが可能となる手法が巧妙に組み込まれている。

戦争国家化への
有効な「武器」


特定秘密保護法の狙いは、明白だ。日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の改定に向けて「グローバルな平和と安全」と称して派兵体制を支える国家機密管理の強化と民衆監視・統制、対テロ治安弾圧シフトを限りなく引き上げていくことが秘密保護法体制なのである。
軍事的には、一九七八年の日米ガイドライン締結以降、PKO派兵(一九九二年)、日米のグローバル安保の実戦化にむけた米軍事情報機密保護の強化を求めたアーミテージ報告(二〇〇〇年)を受けて自衛隊法を改悪(防衛秘密規定/二〇〇一年)し、有事法制(二〇〇三年)の制定、「秘密軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)(二〇〇七年)を米と締結した。
さらにアーミテージ第三次報告では「東京は、二国間の、もしくは国家の安全保障秘密と機密情報を保護するために、防衛省の法的能力を高めるべきである」と提言する。
そのうえで日米両政府で外務・防衛担当閣僚協議会(2プラス2/二〇一三年一〇月)で「より力強い同盟とより大きな責任の共有に向けて」の共同文書で「情報保全を一層確実なものとするための法的枠組みの構築」を確認した。安倍政権は、この合意をバネにして国家安全保障会議を設置(一三年一二月)し、日米の軍事的実戦の相互運用性を高め、集団的自衛権の行使を「積極的平和主義」などと称して改憲の先取りの既成事実化へと突進していったのである。秘密保護法制定は、この流れの第一ゴールであり、戦争国家化のための有効な「武器」なのである。

民衆の権利を保
障する措置皆無

 だがこの土台は、脆弱だ。政府は、秘密保護法施行にあたって世耕弘成官房副長官が「国と国民の安全を守るための機微な情報を外国とやり取りし、政府内で共有し保護するための基盤が整う」などと強引に結論づけ、「運用状況を丁寧に説明し、施行状況を公表することなどを通じ、国民の知る権利が損なわれることは絶対にない」と居直った。しかも「独立公文書管理監」、「内閣保全監視委員会」の新設をその担保だというのだ。
両機関は、政府内に設置し、「指揮監督」を「内閣総理大臣」が行うとしている。つまり、特定秘密事項が四二万件もあると国会答弁しており、膨大な事項を首相とチェック機関が行うというが実質的に官僚が提出する書類をベルトコンベアー方式で「特定秘密」の判子を押して追認するだけでしかない。独立公文書管理監は、特定秘密の指定や運用、指定解除、提出を求める権限を持っているが、秘密指定の厳密な基準がないから、官僚の恣意的判断でなんでも指定することができるのだ。しかも行政機関の長が情報開示を拒否すればそれ以上のことは要求できない。
内閣保全監視委員会も秘密指定した件数などを首相に定期的に報告するにすぎない。首相は「情報保全諮問会議」や国会に報告するとしているが、「指定に問題」ケースが不明確なままだから、官僚的にまとめあげられたいいかげんなものが出てくることは必至だ。しかも秘密指定は五年ごとの延長が可能で三〇年を超える場合は内閣の承認が必要だが、最長六〇年まで認めることが可能となっている。また、武器、暗号、「政令で定める重要情報」は、解除対象外としている。
「知る権利」に関して「不当に侵害することがあってはならない」としたが、この判断も権力側にあり、恣意的に使い分けることが可能だ。特定秘密指定の行為者は、権力であり、官僚らの手前勝手な認定を乱発するだろう。「報道」に関しても「十分に配慮しなければならない」としたが、「十分な配慮」したうえでの法適用だと言い換えれば、なんでも居直ることが可能となってしまう。「著しく不当な方法によるものと認められない限り」などとも言っているが、これも処罰するのは権力だ。民間人に対しても、特定秘密を得るために@公務員らをあざむき・暴行・脅迫A窃取B施設侵入C不正アクセスの行為をすれば共謀や教唆、扇動も処罰対象とした。ここにはなんら歯止めのシステムも設定していない。
「適性評価」は、各行政機関の長が実施権者となって特別秘密を取り扱う職員の思想・生活などを事前にチェックする基本的人権とプライバシーの侵害に満ちた制度だ。
調査項目(@人定事項(氏名、生年月日、住所歴、国籍(帰化情報を含む)、本籍、親族等)、A学歴・職歴、B我が国の利益を害する活動(暴力的な政府転覆活動、外国情報機関による情報収集活動、テロリズム等)への関与、C外国への渡航歴、D犯罪歴、E懲戒処分歴、F信用状態、G薬物・アルコールの影響、H精神の問題に係る通院歴、I秘密情報の取扱いに係る非違歴)を見れば明白な人権侵害であることがわかる。
しかも「適性評価」質問票の記述を対テロ治安弾圧体制をめざす警察庁―公安政治警察、公安調査庁、防衛省―自衛隊情報保全隊などの治安組織による集積データ、病院等の医師を通した調査・照合して「ウソ」を摘発していくという悪質なシステムだ。「適性評価」に対して「不同意」すれば「取扱業務が予定されていないポストにあなたが配置転換となることなどもあり得ます」と事前脅迫付きだ。

法の発動阻止に
向け闘いすでに


このように二重三重のガードによって国家機密防衛と称して「国民の知る権利」の保障を否定しつくす完璧な違憲法だ。だからこそ憲法二一条の「言論、出版その他一切の表現の自由」の否定、憲法九条(戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認)違反、基本的人権とプライバシーの侵害を許さない違憲訴訟、秘密指定の全面開示要求、いいかげんな国会報告を指弾しつづけ、秘密保護法の欠陥法の批判を突破口にしながら廃案をめざしていくことが求められている。
反撃が始まっている。フリーランス表現者(四三人)による秘密保護法の違憲確認・差し止め請求訴訟(@憲法違反であることの確認A施行の差し止めB原告一人当たり一〇万円の慰謝料)、さらに神奈川集団訴訟、静岡の弁護士も提訴している。
すでに秘密保護法を発動させないために秘密保護法対策弁護団が結成されている。弁護団は、@秘密法による検挙者が出る前に体制を整えておき、それにより検挙を予防すること、A秘密法の問題点について学習した弁護士を育てて秘密法廃止運動を市民とともに担うことを目的にし、一〇〇〇人の弁護団を目指している。
不当逮捕された場合、憲法は被告人に対して公開裁判を受ける権利を保障しているが、特定秘密の内容を秘密にするために検察と裁判所は、非公開を策動してくる。同時に特定秘密に該当するのか否かを争点にした場合、立証することが求められるが、政府は、「外形立証」(秘密指定基準/運用基準/秘密の種類、性質など)だけでいいという態度だ。こんな人権無視、被告人の防御権を否定しきった暴挙を許してはならない。被弾圧者の早期奪還はもちろんのこと、裁判の公開、特定秘密の内容を明らかにさせる証拠開示などの裁判闘争を弁護団、全国支援によって取り組み、欠陥・違憲の秘密保護法を社会的に暴露しぬいていかなければならない。
「秘密保護法」廃止へ!実行委員会は、一二・六日比谷集会、一二・一〇首相官邸前抗議行動をはじめ「秘密保護法」の廃止を求める請願署名を取り組んでいる。集会で「我々は、解散総選挙により国会の「監視機関」すら機能しない中で強行される一二月一〇日の施行を許さない。そして、我々は、この法律の威嚇に萎縮することなく、秘密保護法の廃止を求めて闘い続ける」ことを確認した。秘密保護法廃案にむけて施行後も奮闘していこう。
公安政治警察の機関誌「治安フォーラム」(二〇一五年一月号)の巻頭で「『新たな刑事司法制度」をめぐる過激派の動向等」』を掲載している。安倍政権を忠実に代弁し階級憎悪に満ちた作文の結語では、「我が国では、G8サミット(平成28年)、東京オリンピック(32年)等の国際的イベントが目白押しである。……新たな刑事司法制度の構築は、必要不可欠」、(過激派の)「その背景にあるものを見極めていただき、その輩に付け入る隙を与えない」などと「決意表明」している。これが公安政治警察の本音だ。
安倍政権は、秘密保護法施行とセットでテロ資金提供処罰法改正、国際テロリスト財産凍結特別措置法、カンパ禁止改悪法(公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案)を次々と成立させた。さらに対テロ治安弾圧体制の強化に向けて司法改悪法制定(取調べの全面可視化否定、盗聴法改悪、司法取引制度導入)、共謀罪制定をスケジュール化している。公安政治警察、公安調査庁、自衛隊情報保全隊の不当な監視・弾圧を跳ね返し、解体だ。治安立法を粉砕していこう。
(遠山裕樹)

12.6秘密保護法廃止へ全国集会


絶対に黙らない

廃止まで悪法に立ち向おう


闘いへの脅し
には屈しない
 一二月六日、日比谷野音で「強行採決から1年「秘密保護法」施行するな!12・6大集会」(共催 「秘密保護法」廃止へ!実行委員会  秘密法に反対する全国ネットワーク)が行われ、一六〇〇人が参加した。
 主催者あいさつが海渡雄一さん(弁護士)から行われ、「法の施行が近づくにつれて、市民の間から原発や基地の監視活動が今までのように続けて大丈夫でしょうかという相談が私たちに来ている。適性評価制度の対象となる公務員、政府から情報を求められる医師、医療関係者から大きな懸念の声が高まっている。ジャーナリストや市民にも様々な悪影響を及ぼすだろう。法の目的は、われわれを萎縮させ、声を上げさせない、黙らせることだ。だから萎縮せず、市民運動、労働運動によって声を上げつづけていくことを確認したい」と訴えた。
 さらに、秘密保護法対策弁護団の結成など一年間の運動の成果を共有しつつ、「一二月一〇日、衆院選の最中に秘密保護法が施行されようとしているが、この衆院選で安倍政権NO!の意志をはっきり示そうではありませんか。この悪法に立ち向かう勇気が求められている。私たちは萎縮しない、廃止まで頑張ろう」と呼びかけた。
 新崎盛吾さん(新聞労連委員長)は、「法に『報道への配慮』と明記していても憲法で保障された表現の自由を束縛することは明白だ。『朝日新聞バッシング』をはじめ、すでに安倍政権を批判するメディアに対する圧力が強まっている。メディアの立場から秘密保護法を厳しく監視し、反対運動を継続していく」と決意表明した。
 衆院議員の阿部知子さん、階猛さん、近藤昭一さん、参院議員の福山哲郎さん、福島瑞穂さん、糸数慶子さん、山本太郎さんから連帯メッセージ。吉良よし子参院議員(共産)が発言した。

廃止運動が執
行への抑止力
大迫唯志さん(日本弁護士連合会副会長)は、「政府は集団的自衛権を行使するための三要件について判断する情報は特定秘密にあたると回答している。つまり、行使そのものが正しいことなのか否かをチェックすることができないおそれがある。こうのような法律を私たちは法案段階から全国の弁護士会は、反対意見を表明してきた。街宣、集会・パレードを取り組んできた。秘密保護法の問題点を継続して暴き続け、廃止に向けて頑張っていこう」と発言した。
ゲスト発言として青井未帆さん(学習院大学大学院法務研究科教授)は、秘密保護法の適性評価制度がプライバシーの侵害にあたることを批判し、「今後も廃止を求め、より一層の抑止力を強制していこう」と訴えた。
続いて協賛団体の戦争をさせない一〇〇〇人委員会、解釈で憲法九条を壊すな!実行委員会、憲法共同センター、秘密保護法対策弁護団、特定秘密保護法に反対する学生有志の会、全国ネットワーク参加団体から発言が行われた。
最後に施行日の一〇日に行う官邸前抗議行動の呼びかけが行われた。さらに集会宣言「我々は萎縮しない!秘密保護法廃止まで闘い続ける!」が提起され、「この選挙で秘密保護法の制定に手を貸した政党と国会議員に厳しい審判を下さなければならない」と確認した。参加者全体で「秘密法廃止」のプラカードを掲げ、銀座に向けてデモに出発した。      (Y)



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