デンマーク
イラクへの戦闘機派遣にRGA反対投票
ミカエル・ボス
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「イスラム国」を口実に米国主導有志連合が、再び中東への軍事介入に乗り出している。デンマークはその一翼として、イラクに戦闘機を派遣した。社会民主主義政権によるこの方針にデンマークの反資本主義政党であるRGAは、反対投票だけではなく、現地で民衆の権利を守るために戦っているクルド勢力への軍事的・人道的援助を具体的に提案、自らクルド支援カンパ運動も加えて、行動的な対抗軸形成に向け闘っている。その闘いについてのデンマークからの報告を以下に紹介する。関連記事九月二九日号六面を参照。(「かけはし」編集部)
現地民衆への直
接支援こそ重要
一〇月一日、デンマーク議会は米国主導のISIL爆撃に参加するために、イラクへのF16戦闘機七機と約三〇〇人の軍事スタッフ派遣を圧倒的多数で承認した。反対は、赤緑連合(RGA)と無所属議員一人のみだった。九月にさかのぼればRGAは、ISILと戦うクルド勢力に武器を供給する任務に基づく、イラクに輸送機のヘラクレス一機を配置する、という決定を支持した。
この二つの投票は、ISILないしは他の反動的軍事勢力と戦っている当地の進歩的勢力への支援を求め、しかし党は空爆であろうが地上戦であろうが米国、英国、デンマークの直接的軍事介入には反対する、というRGAの基本的な姿勢に添うものだ。
同時にその理由からRGAは――これもまた一〇月一日に――、議会に一つの提案を出した。それは、包囲されたシリア北部のクルド/多民族地域に武器と人道援助物資を届けることを助けるという提案だ。二、三日後RGAは、クルド人への武器に向け自ら募金を開始した。
諸大国の利益の
しっぽとなるな
議会での討論では、RGAの議員であるニコラジュ・ヴィルムセンは以下のように発言した。
「政府は、首相によれば一年以上続く可能性のある空爆を提案している。これらの爆撃はまったく十分な可能性として、ISILの強化に、また一層の混沌を生み出すことに結果するかもしれない。市民たちが殺害され、外国の軍隊が再びイラクを空爆している中では、それはISILの新兵集めを増強させる可能性がある。政府がデンマークを参加させたがっているこの連合には、多くの隠された設定課題が込められている。サウジアラビアとカタールがイラクでの民主主義を欲しているわけではないということは一〇〇%確実だ。同様にトルコは、トルコの国境内外のどこでもクルド人自身の政府を欲してなどいない。私が恐れていることは、デンマークがこの地域における諸大国の利益のまさにしっぽとなることだ」と。
そして「デンマークが参加した前の戦争からわれわれが教訓としなければならないことは、われわれはむしろ、民主主義と人権のために現地で戦う当地の勢力を支援しなければならない、ということだ。RGAがシリアのクルド民兵に対する直接支援を提案している理由こそがそれだ。彼らは、三年にわたってアサドとISILに対決して自身を防衛してきた。しかし今ISILは、モスルのイラク軍からアメリカで製造された重火器を手に入れている。そして、コバニ市周辺のクルド人地域に攻撃を始めつつある。クルドの人々は彼らへの抵抗の中で具体的な問題をいくつも抱えている」と続け、
「トルコはNATOの中でデンマークとの密接な同盟関係にある。しかし彼らは、クルドへの武器供給に対しトルコの国境を今閉じている。その一方で彼らは何年も、ISILの兵士がこの国境を通り抜けることを容認してきた。クルドに対するデンマークの公的政策はアンカラの政権によって決められている。まさに今犠牲者たちは、シリアのクルド地域に暮らす人々だ。ここでクルド人、アラブ人、キリスト教徒たちがわれわれの支援を必要としている。われわれは、ISILに対して自身を守ることができるようにするために、世俗的なクルド勢力に対する武器の供与を――加えて市民たちの生き延びを可能とする人道援助物資の供与を――デンマークが行うことを求める」と訴えた。
諸手段通じクル
ド民衆支援追求
クルドへの武器を求める先の提案はもちろん、RGAが賛成しただけで敗れた。二日後の一〇月三日、RGAは記者会見の場で、トルコのクルド勢力であるPKK(クルド労働者党)との密接な共同の下に活動しているシリアのクルド人政党、PYDの代表者であるサレー・ムスリムに、四万デンマーククローネ(五五〇〇ユーロ)以上を手渡した。この資金は武器に向けられる。
この記者会見の場でニコラジュ・ヴィルムセンは以下のように述べた。
「シリアのクルド地域に対するジハーディストの攻撃が始まって以来われわれは、クルドの防衛勢力に武器と人道援助物資を送るよう政府と他の諸政党を説得しようと挑戦してきたが、まったく何の効果もなかった。ISILは今、コバニのすぐ外に迫り、四〇万人の市民が危険にさらされている。僅か二、三日の通知だけでRGAの地方支部の中でこの額の募金を集めた理由こそそれだ。それは象徴としての額でしかないが、われわれはさらに募金を続けるだろう。われわれは、欧州と世界のその他の民主的で進歩的勢力すべてに、ISILに対決する戦闘を支援するよう訴える」と。
それ以後RGAは、クルドへの武器供与を求めて政府に何度もその訴えを繰り返し、その問題を提起するための議会的選択肢すべてを利用してきた。一〇月八日現在、その唯一の結果は、社会主義人民党(SF)もまた現在この提案を支持している、ということだ。
▼筆者は、RGAの指導部メンバーであると共に、SAP(社会主義労働者党、第四インターナショナルデンマーク支部)メンバー。彼はSAPの代表として、RGAの創立に導いた諸々の交渉に参加した。一九九五年から二〇〇六年まで、ジャーナリストとして、またRGA議員団広報担当として活動。(「インターナショナルビューポイント」二〇一四年一〇月号)
「イスラム国」
「ゴーレム」は製造者に逆襲
古いユダヤの物語が現実に
ミシェル・ワルシャウスキー
「私の敵の敵
は私の友だ」
「ゴーレムは、それを作り出した者に逆襲する」。米国は再びこの古いユダヤの物語(訳注:ゴーレムと名づけられた人造人間が、その創造者である人間に反逆するという物語)の現実性を経験している。ソ連邦の影響力に終止符を打つことに望みを抱いてアフガニスタンで最も原理主義的なムスリムを支持したことが、数年後にはアルカイダとその不透明なインターナショナルに対する全面戦争になったのであり、結果は勝利とはほど遠いものになった。その背景にあるのは、つねに間違いなのだが、「私の敵の敵は私の友だ」、という考え方だ。一九三〇年代にさかのぼれば、「民主的」諸国は、ヒトラーが共産主義という危険に対する同盟者になりうると考えた。しかし、私たちは知っている。そんなことにはならなかった……。
サウジが怪物
の直接製造者
イスラエルもまた一九八〇年代に、こうしたゲームをもてあそんだ。民族主義のPLOに対してイスラム主義のハマスの成長を促したのだ。その結果何が起きたか、われわれは知っている。現在、米国とその同盟者が同じ経験をしているのは「ダーイシュ」(IS、ISIS、あるいはISIL)に対してである。このアルカイダの副産物は、ペンタゴンの戦略とCIAの専門家を驚かせた能力を身につけており、ほぼ一世紀前、オスマン帝国が「欧州の病人」になった時に、サイクス氏とピコ氏によって作り出された中東の枠組み(訳注:サイクス・ピコ協定。第一次大戦中の一九一六年にイギリスのサイクスとフランスのピコによって取りきめられたフランスとイギリスによるオスマン・トルコ帝国の領土分割協定)を破壊するおそれがある。
次のような強調が重要だ。中東における米国の巨大な同盟者であるサウジアラビアは、中東でのイランの影響力の拡大に対決する戦争の中で、アルカイダ、そして間接的に「ダーイシュ(イスラム国)」を作り上げたのだ。そのラディカルな原理主義的ワッハーブ派イスラムは、この運動のイデオロギー的学校だった。いまやゴーレムは、その製造者に逆襲している。
「ダーイシュ」に
進歩的要素はない
私は、最近欧州の最左派の間で、ダーイシュを支持する表明を聞いた。またも、「私の敵(米国)の敵は、おそらく私の味方だ」というのだ。深刻な誤りだ。かれらが米国とその同盟者に対して闘っているとしても、「ダーイシュ」には進歩的要素などない。それは死と破壊の種をまくだけではなく、公然とかつあからさまに公共的自由、女性の権利、マイノリティーの権利の無視などをもたらす、最も頑迷に解釈されたイスラム体制を強制する文明破壊の侵略なのである。
政治的戦闘は、一方のチームが好きでなければ、他方のチームを応援しなければならないというサッカーの試合ではない。どっちも一方に比べてましではないという災難に向かいあう場合もある。
米国は中東での汚い戦争をやめ、国際社会はイスラエルの植民地政策を飾りつけるのをやめ、「ダーイシュ」はムスリム世界で持っていた一定の層からの民衆的支持を失う。それは簡単な話だ。
(「クーリエ・ド・ジュネーブ」二〇一四年一〇月号。「インターナショナル・ビューポイント」一〇月号サイトより)。 |