被災地から「原発NO」の発信を全国・全世界へ
「相乗り内堀」対「草の根熊坂」の構図
安倍内閣・大資本の「再稼働」推進を許すな
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【福島】一〇月九日告示、二六日投票の福島県知事選挙は、二〇一一年三・一一の震災・原発事故後初の知事選であり「福島の復興」がどのような復興となっていくのか、その方向と中身が問われる。同時に、滋賀県知事選挙での敗北後、求心力を低下させつつある安倍政権の今後に大きく影響する沖縄県知事選挙と同様の位置にある選挙でもある。
放射能汚染過小
評価した内堀
佐藤雄平現知事が態度表明を遅らせていたことで、候補者の顔ぶれや選挙の構図はなかなか定まらぬままに過ぎていたが、九月初旬現職不出馬が明確になると一挙に状況は動いた。九月二一日までに、副知事だった内堀雅雄、前岩手県宮古市長で医師の熊坂義裕、いわき市の牧師の五十嵐義隆、前双葉町長の井戸川克隆、茨城県の接客業高島努、北塩原村の会社役員の井関明子の六氏が名乗りを上げた。
自民党福島県連が擁立し立候補を表明していた元日銀福島支店長の鉢村健氏は、自民党本部が、「現職後継の内堀雅雄相乗り」を決めたことで知事選の舞台から退出せざるを得なくなった。「負けをつくらない」という安倍政権の政治判断のもとで今知事選は、民主・社民・連合、自民・公明・維新相乗りの内堀候補VS現県政を批判するその他の候補という構図で闘われることとなった。地元の「福島民友新聞」は“「相乗り」か「草の根」か”という表題で、その様相を書き表した。
相乗りの内堀氏は、「県内全原発廃炉」を掲げているものの、脱原発や全国の原発の今後については表明していない。自治(総務)省官僚から二〇〇六年副知事就任以来、佐藤雄平知事とともにプルサーマル導入など原発推進政策を実行し、三・一一原発震災以降も放射能汚染の過小評価を前提にした避難住民の早期帰還・早期復興施策を進めてきた人物を「原発再稼働」に突き進む安倍自民党が相乗り候補としたのだから先は見えている。彼が知事の座に就いたら、県民の浮かぶ瀬はない。
一方、これまでの知事選のたびに単独候補を出していた共産党系は、今回、共闘関係を探る態度を表明してきていたが、いまだ具体的態度を示していない。
熊坂さんへの
支援の広がり
こうした中で、脱原発と子ども・被災者支援法への取り組みを掲げた熊坂義裕氏が県内外から注目され、支援の輪が広がり始めている。都知事選では宇都宮・細川に分かれた海渡雄一・河合弘之両弁護士、鎌田慧氏らが中心となり熊坂氏を応援する勝手連を全国的に呼びかけた。県内においては、知事選に向けて立ち上げられた政治団体「人間の復興と原発廃絶!ふくしまスクラム」が熊坂支援を表明した。
「ふくしまスクラム」は、反原発・脱原発運動、被災者・避難者支援運動、放射能から命と生活を守る運動、子ども被災者支援運動、国と東電の責任追及運動などを担ってきた県民有志が「毅然として県民の声を代弁する知事」、「原発ゼロ、脱被曝、自然エネルギー社会実現を政策とする候補」の擁立を目指して活動を進めてきた。
三・一一以後、いち早く子どもたちを放射能から守る施策を実行した前二本松市長三保惠一氏に白羽の矢を立てたが実現せず、独自擁立を断念した。そして「県外を含めた脱原発」を唱えた熊坂氏を評価して支援を決定し「県知事選に際して、福島県民へのアピール」を発した。(資料参照)
安倍政権への
怒りを形に
現体制・利益団体総結集の形をとった民主・自民・既成政党の内堀相乗りで選挙の勝敗はすでに決しているという見方もあるが、相乗り各党内部の綻びも露わとなっている。鉢村候補を引きずり落とされた自民党県連内部では不協和音が消えず、組織の結束は乱れ、選挙へのモチベーションは低下している。
自民党中央に抱きつかれた格好の民主党も一枚岩で選挙に取り組んでいるわけではない。県政与党にこだわる社民党の佐藤雄平後継内堀候補支持の態度には党員や支持者から非難の声が上がっている。
この状況の中で熊坂氏が有力な対抗候補として浮上できるかどうかは、当落もさることながら今後の情勢を左右する要因ともなっている。その意味でも、熊坂候補が被災県民の代弁者・脱原発勢力の代表者として広く認知されるよう運動を進めていくことが必要だ。佐藤雄平県政への根強い不信・批判の声、広範に存在する脱原発・脱被曝の願い、安心して暮らせる社会を求める広範な人々の存在を票数として表し、「汚染水は完全にブロック」「最後は金目」発言等で県民を愚ろうし続ける安倍政権への怒りを形にしなければならない。「ふくしまスクラム」のアピールに応え、「脱原発・脱被曝・人間の復興」への流れをつくり出すために県内外の力を結集して県知事選挙に取り組んでいくことが求められている。
(世田 達)
資料
県知事選に際して、福島県民へのアピール
人間の復興と原発廃絶―ふくしまスクラム
10月26日投開票の福島県知事選挙に際して、「人間の復興と原発廃絶!ふくしまスクラム」は、福島県民のみなさまに以下のことを訴えます。(2014年9月20日)
(1)〈未曾有の原発事故を受けた県民としての責務〉
未曾有の3・11福島原発事故を起こした当事県民としての悔恨とそこからの学び
1、 その最大の被害を受け、3年半たった今も、目に見えない放射能被害に苦しんでいる被害県民として「第2のフクシマをつくらない」ための方策提示
2、 真の復興に向けての新しい社会システムづくりを示し、その実践を世界に示すことが私たち福島県民の責務である。
(2)〈フクシマの現実を風化させない〉
私たち福島県民は、この原発事故から原発はひとたび臨界を超えると人間の手には負えず、野に放たれた放射能は誰にも止めらない事実を学んだ。事故当時、風下の20キロ圏内に住んでいた人たちは着の身着のままでふるさとを追われた。その人たちはその後、住み慣れた家で生活できず、仕事も家業も生業も生きがいも失い、家族離れ離れになり、地域コミュニティーも分断された。不慣れな土地での不備な仮設住宅で不便な生活を強いられ体調不良、鬱病、孤独死、自死にまで追い詰められている人たちが年々増えている。このような原発難民は自主避難も含めて今も13万人近くに上っている。例え強制避難は免れても目に見えない低線量被曝に常時晒されている。ホットスポットは県内全域に散在し、県民の多くは放射能が将来に及ぼす健康不安を抱えている。
自治体はこんな不安を取り除こうとそれまでの安全基準1mSv/年を20mSv/年に引き上げようとしたり、避難区域を解除したり、各種イベントを呼び込んだりして「安全キャンペーン」を打ち出している。これは私たち福島県民をモルモット化し、棄民化させることにつながるであろう。
平時で一〇〇万人に1・2名/年の発症と言われている子どもの甲状腺ガンについて福島県では事故以来103人にまでなったことがこのほど発表された。国や県も県立医大も放射能との因果関係は認めていないがこれは明らかに異常な数値である。
豊かな自然は放射能を抱え込み自然の恵みを生活の糧に出来ないくやしさがある。 子どもをのびのびと遊園地や戸外で遊ばすことが出来ない自然環境になっている。 屋内遊戯場が県内に50カ所以上も設けられていることも異常で不自然である。
事故現場は今も、終息の目途はたっていない。毎時1千万ベクレルの放射能を排出し、毎日400万トンの汚染水を出し続けている。また、そこには毎日5千〜6千人もの原発労働者が必要とされ人員確保、労働被曝、労働環境なども問題である。汚染水問題はタンク保水、地下水バイパス、サブドレン、凍土遮水壁などの対策はどれも後手に回っており効果も不透明で行き詰まり状態である。多核種除去装置アルプスもうまく機能しておらず、事実上、汚染水は海へ垂れ流されかねない状態である。爆発した3基の原発は全容解明に至っておらず手がつけられない状態である。頻繁に起きる地震に耐えきれるのかも心配である。
地震も異常気象現象も多発化している現在、「第2のフクシマ」が起きうる可能性は福島に限らず高いと言える。被害を最小限にとどめるためには事故対応のマニュアルと避難対策を確立させ、「即時原発ゼロ」の政策を決断し、「廃炉」に向けたシフト転換をまず福島県が示すべきである。
県民一人一人も自分たちの原発事故に対する悲惨さ・苦しさ・悔しさ・怒りなどを機会を捉えて仲間に全国に世界に発信し、「フクシマ」を風化させないようにすべきであろう。
(3)〈第2のフクシマを繰り返してはならない!〉
このように日常の何気ない暮らしが突然、覆されて私たちは「原発・放射能は全てを奪う!」ことを実感した。天災は止められないにしても原発は人間がつくったものであり、原発事故は明らかに人災である。この不条理は福島県に限ったことではなく、他の原発立地地域でも起こりうることである。特に日本は地震大国で活断層が縦横無尽に走っており、火山リスクも抱えている。日本国内には一基たりとも原発はあってはならないのである。再稼働など言語道断である。こんな原発を54基も作ったのは自民党政権による原発推進政策である。その利権に群がり甘い汁を吸っている政治家・官僚・経済界・御用学者・マスコミなどの「原子力ムラ」である。偽りだらけの宣伝を信じ、高い電気代を徴収され続けてきた私たち国民側にも責任の一端があるのではないだろうか。そのような自民党を長年、選挙で第1党に選んできたのも国民である。「政治とくらしは選挙で決まる」のであり、民主主義の根幹として「選挙の大切さ」をあらためて認識する必要があると言える。
原発・放射能問題は全地球環境・全人類の問題であると捉え、当事者だけの問題に矮小化させず、福島県のみならず福島県民も、原発依存からの脱却をあらゆる機会を捉えて全国、全世界に発するべきである。
(4)〈10・26福島県知事選に県民として何をなすべきか〉
1、原発・放射能問題は全地球環境・全人類の最重要問題であるとの認識に立って「即時、県内原発ゼロ」を即刻実践し、原発依存政策からの脱却を国内外にも強く発信できる人を見極めて選ぶこと。
2、投票用紙を無駄にしないように周りにも働きかけて投票率を挙げる。
3、これまでの福島ときっぱり決別できる人を選ぶ。
4、原発政策を推進してきた自民党と不当な手段で憲法改悪を目論んでいる安倍政権に つながる人を選ばず安倍政権の暴走にブレーキをかける。
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