9・10原子力規制委の「審査書」決定糾弾
「原発推進機関」の姿があらわになった
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資本の利害を守るために
九月一〇日、原子力規制委員会はついに鹿児島県の九州電力川内原発1、2号機の再稼働にゴーサインを出した。「安全対策の主要部分が新規制基準を満たす」とする「審査書」を正式決定し、「設置変更」申請への許可を九電に出したのである。一万七八一九件にものぼるパブリックコメントによる「審査書」案への異論・疑問・批判は、事実上無視されたことになる。
もちろん、これで川内原発の再稼働がただちに始まるわけではない。運転や事故時の手順を定めた保安規定、工事計画の審査に必要な書類は九電側からまだ提出されておらず、九月末以後と見られる提出とその審査と認可、設備検査が済んで、実際に再稼働となるのは年を越すと見られている。
しかし、新規制基準の下で初の「審査書合格」となり、安倍政権の下で川内に続き、続々と原発の再稼働が進められていく道筋が開かれたことが決定的に重要なのだ。それは原発を「ベースロード電源」と位置づけた安倍政権の「エネルギー基本計画」に表現されている国家の基本政策であり、今後とも原発への依存、原発輸出にしがみつこうとする資本の利害を端的に示すものに他ならない。
菅義偉官房長官は「安全性が確認されたわけですから、地元説明を始め、粛々と再稼働させる」と当日の記者会見で語り、「エネルギー問題は、日本経済の基本」と九月三日の就任会見で述べた小渕優子経産相は「原子力規制委員会によって安全性が確認された原発の再稼働を進める」ために地元支援に踏み込むことを明らかにした。
無理を承知の「安全神話」
規制委員会の「審査書」の不当性は「火山爆発」にともなう被害の評価、基準地震動値(ガル)の過小評価、さらには避難計画の不備などに現れている。
まず多くの火山帯が近くに位置する川内原発への火山爆発の影響については、姶良カルデラの火砕流の到達、火山灰の降下の影響などについて完全に無視し、ほぼすべての火山学者が爆発の予知は不可能としているにもかかわらず、なんの根拠もなく「数万年に一度の間隔」とか、事前の予知可能性との論を立てているという問題がある。田中俊一規制委員長は「姶良カルデラの爆発は、川内原発の運転期間中(残り三〇年)には起こらない」と言い切った。これは新たな「安全神話」であり、「神話」によりかかることによってしか再稼働を強行できないことを示すものだ。
基準地震動の値=ガルについては、当初の五四〇ガルを規制委の要求に従ったとして六二〇ガルに引き上げただけであり、柏崎刈羽の二三〇〇ガルと比べても格段の過小評価である。
避難計画については、これほど福島原発事故の教訓を生かさなかったことはない。そもそも住民の避難計画の不備については「安全審査」の対象外というのが規制委員会の言い分である。
伊藤祐一郎鹿児島県知事は、高齢者、障がい者など要保護者の避難計画については、一〇キロ圏内だけで十分であり、三〇キロ圏内まで含めた計画など不可能という立場だ。しかし一方で原子炉の「安全対策」について語りつつ、事故が起きた際の避難計画を「再稼働」の是非の判断基準には含めない「安全審査」などあり得ない。この点をつかれた政府・鹿児島県は避難計画については、旧来のような自治体丸投げではなく「国として」取り組む、と態度を変えようとしている。しかしこれもまた具体性を欠いた「付け焼刃」に終わる可能性が大きい。
そして「再稼働」への地元同意取り付けとは、川内原発の場合、鹿児島県と薩摩川内市だけで十分というのが、政府や九電の立場である。審査書についての住民説明会は一〇月九日の薩摩川内市を皮切りに、日置市、いちき串木野市、阿久根市、さつま町の五市町で、それぞれ県と各市町の主催で行われることになっている。ここでも三〇キロ圏内の各自治体とその住民が「当事者」として扱われるのか、という問題が大きな争点になっていくだろうし、そうする必要がある。
立地住民と共にSTOPを
再稼働阻止全国ネットは、この間、原子力規制委員会の傍聴・監視、規制委員会への要請・申し入れ行動を積み重ね、さらに今年に入ってからは全国の原発立地に置かれた規制庁の現地事務所に対する各地の市民の行動をつなぐ同日行動を積み重ねてきた。
そしてこの行動の中で、規制委員会がまさに政府・経産省の原発推進・再稼働政策を、「安全性」の観点からチェックする機関なのではなく、原発推進・再稼働に「安全」のお墨付きを与える機関でしかないことを、事実をもって明らかにしていく行動であった。まさに「原子力規制委員会」は政権の意向に沿った「原子力推進委員会」であるという本質をあらわにしたのである。
九月一〇日には、午前九時半から東京・六本木一丁目の規制委員会前で「川内原発再稼働審査書(合格証)確定を許すな! 規制委前抗議アクション」が原子力規制を監視する市民の会、再稼働阻止全国ネットワークなど一二〇人の参加で開催された。
川内原発再稼働に向かう動きが加速する中で、あらためて福島原発事故以来三年半を経過した被災者住民の声と結びついた脱原発への運動を作り出していかなければならない。
九月二三日には、東京・亀戸中央公園(「デング熱」問題のため代々木公園から会場変更)で「川内原発再稼働するな! フクシマをわすれない!さようなら原発全国大集会」(主催:「さようなら原発」一千万署名 市民の会、一二時二〇分:オープニングライブ、一三:〇〇:トークライブ、一四時三〇分:デモ出発)が開催される。九月二八日には鹿児島市で「GOOD BYE NUKES ストップ川内原発再稼働全国集会(鹿児島市天文館公園:午後一時)が開催される。
東京、鹿児島での全国集会を成功させ、この秋、鹿児島現地での自治体レベルの行動を積み重ねつつ川内原発再稼働阻止の世論と行動を作り出そう。鹿児島県の伊藤祐一郎知事、薩摩川内市の岩切秀雄市長は、いずれも川内原発再稼働に積極的である。しかし川内市民の八割は再稼働反対だと言われており、いちき串木野市では住民の過半数に上る再稼働反対署名がすでに集約されている。
こうした地元住民の声を、表に出せるようにしていくねばり強いたたかいと、政府・経産省に対する闘いを結合し、川内原発再稼働反対の運動を共に作り出そう。今年五月二一日の大飯原発運転差止判決はそのための論理を明確に示している。 (K)
9.11経産省前テントひろば3周年
八〇〇人の「人間の鎖」で包囲
権力の中枢から脱原発の発信続ける
テントは民衆
の共有財産だ
九月一一日、経産省前テントひろばの三周年にあたって、東京・霞ヶ関の経産省前で記者会見、集会、そして午後七時四五分から二度にわたって経産省を包囲する「人間の鎖」行動が行われた。
経産省前テントひろばは、二〇一一年の九月一一日、あの東日本大震災と福島原発事故が起きてから六カ月後に行われた経産省包囲のヒューマンチェーン行動がきっかけになっている。その日、経産省前では山口県の中国電力上関原発建設に反対する若者たちがテントを張ってハンストに入ることになっていた。経産省前のテントひろばは、この経産省ヒューマンチェーンの日に、上関原発に若者たちのハンストに連帯し、支援する思いを込めて急きょ設置されることになった。
それからしばらくして経産省前テントは、たび重なる経産省側の撤去策動や警察、右翼の妨害にもかかわらず、全国の反原発・脱原発の思いを共有する連帯・交流・学習そして闘いの場になっていった。とりわけ二〇一一年一〇月から福島の女性たちが、この脱原発テントを自分たち自身の闘いと交流・発信の場にしていったことがテントの運動が広がり、強化されていくバネとなった。世代、地域、国を超えて、脱原発経産省前テントは「原発をなくす民衆の運動」、原発震災被害者と多様な民衆の思いを、霞ヶ関のど真ん中=政府中枢において表現していく場となっていった。
そうであればこそ政府・経産省は、経産省前のテントの撤去と損害賠償を訴える裁判を起こし、一日も早く、政府・「原子力」ロビーの犯罪を人々の意識から消し去ろうとしているのだ。
福島の被災者
へのはげまし
朝から雨もようの天気だったが、経産省前集会が始まる午後四時にはすっかり雨も上がった。この日は、前日の九月一〇日に原子力規制庁が川内原発1、2号機について再稼働へのゴーサインである「審査書」を決めたことへの怒りも含めて、多くの人びとが参加した。
午後四時からの経産省前集会では、たんぽぽ舎の柳田真さん、福島の女たちの亀屋さん、長きにわたって原発反対の声をあげてきた斉藤美智子さん、浪江町の「希望の牧場」の吉田さん、そしてテント裁判弁護団の大口弁護士などが発言した。大口さんは「経産省は、テントがあることで日本の国際的名誉が保たれているのだから、もっとテントひろばに感謝しなければならない」と経産省の官僚たちに語りかけた。
続いて午後五時過ぎからテント前で「記者会見」。脱原発弁護団全国連絡会共同代表の河合弘之弁護士は、「経産省前テントの闘いがあったからこそ大飯原発運転差止めの画期的判決が出された」と語った。鎌田慧さんは、「日本のシンボルがいるすぐ隣に脱原発のシンボルが現れた」と語り、政府や右派からのバッシングに対するマスメディアの屈服を批判した。
福島原発告訴団長の武藤類子さんは、経産省前テントによって福島の被災者たちが励ましを受けていると感謝の言葉を語り、九月三〇日に予定されている告訴団の院内集会、東京地検要請行動への参加を呼びかけた。たんぽぽ舎副代表の山崎久隆さんは、福島原発の「汚染水漏れ」対策がまったく実効性を欠いている実態を克明に明らかにし、原発いらない福島の女たちの黒田節子さんは、汚染水対策がことごとく失敗している実態とともに、原発作業員の苛酷な被ばく労働、除染と焼却炉の問題点、子ども被災者支援法の「骨抜き」状況などを批判した。
落合恵子さんは、「憤り、慟哭、悲しみ、闘い、希望」の象徴としてのテントひろばについて語り、「川内や辺野古で『不可能を可能と言う』安倍政権、そして『人々のために可能なことを不可能だという』安倍政権」と、安倍の悪政を鋭く批判した。
再稼働止めて
裁判に勝つぞ
午後六時からは、ふたたび経産省前での集会。福島の女たちの森園かずえさん、テント裁判の被告となっている正清太一さん、テントひろばの運動を担い、いま川内原発現地で再稼働反対の運動を作り出している「川内の家」の岩下雅裕さん、同じく「テントひろば」の運動を担い、今は伊方原発再稼働反対の活動を現地で住民と共に組織している八木健彦さん(「伊方の家」)、さらに伊方町民で「伊方原発差止め訴訟」原告」の長生博行さんなどが発言した。
制服向上委員会、元「頭脳警察」のパンタさんの歌が披露された後、いよいよ経産省包囲の「人間の鎖」行動。両手をいっぱいに伸ばした八〇〇人の参加者は、「ヒューマンチェーン」で経産省包囲に成功し、「再稼働をやめろ」「原発をなくそう」のシュプレヒコールを繰り返した。 (K)
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