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    かけはし2014.年9月1日号

正統性のない債務は返済しない


スペイン

欧州議会:急進左翼・ポデモスリストの闘い

不公正な課税と闘う市民戦線を

テレサ・ロドリゲスへのインタビュー


 テレサ・ロドリゲスは、第四インターナショナルのスペインの組織である反資本主義左翼(IA)メンバーであるが、今年五月二五日の欧州議会選で五人の議員を獲得した急進左翼のポデモスリストでは、二番目に登録された。このインタビューはフランシスコ・アルタコによって行われた。(「IV」編集部)

緊縮に対決する
幅広い戦線形成


――スペインの政治的舞台への今回のようなポデモスの強力な突出をどのように説明しますか?

 おそらくこれは、オルタナティブを深く考える必要と関係している。そのオルタナティブは、場が閉じられた、市民には入り込むのが難しい、帰属を基礎とした枠組みにしたがう、同時に予算削減に起因する永続的な紛争の中にある、そして「統治可能性」と「連続性」を掲げる諸政権の内部で現実との接触を失ってしまった、伝統的諸政党の提起するものとはまさに異なるものだ。
それは、われわれは銀行ローンに依存してはならず、逆に、金融権力の犠牲者にのみ忠誠を固める必要があると強調しつつ、はじめからわれわれが首尾一貫した実践を押し進めてきた事実にも起因している。もっとはっきり言えば、われわれは多数派だと言うこと、政治の「非専門家化」、政治的代表に対する日常的な統制、リコールする権利を提案することだ。それは、公的代表者は、彼らが代表している人びとと日常の生活条件が似ている、という必要条件だ。
われわれは今回の候補者名簿の作成を、四八時間以内に五万人の署名を集めることで、記録的な参加、参加型の綱領そして三〇〇以上の民衆サークルや市民サークルの創出に基づいて開かれた予備選挙を組織することで、可能とした。これは、創立後の四カ月、および非常に良好なキャンペーンの中でまったく十分に活用された。

――二〇一五年の地方選に向けて、IU(統一左翼)との連携はあり得ますか?

 われわれはこれを、参加型の諸サークルの中で、われわれが築き上げた決定策定の諸領域の中で決定しなければならない。あらゆる場合で、どのような種類の連携がつくられるか、今後どのような形態の中でわれわれが活動することになるか、それを決定する必要があるのは諸サークルとなるだろう。
われわれは社会の中での抜本的な民主制を支持して論陣を張っている。それゆえそれを「本拠」で実践に移さないなどということは、受け入れがたいとなるだろう。われわれは最初から、事務所の中でリストの交渉を行うことは望まない、と決めた。われわれは、このイニシアチブに関わっている人々すべてと共に、地方自治体毎に平等な参加の場を開きたい。これがすべてのものごと、つまり指名、綱領、その他に関する決定策定の唯一の場となるだろう。われわれは、明晰さをもって多数の利益を守るために、自身を政治的多数へと編成する民衆と市民の戦線を作り上げたいと望んでいる。いずれであれ私は、必要なことは首尾一貫していること、銀行救出と不公正な課税から生まれた正統ではない債務により求められた予算削減すべてを容認しないこと、その構成部分の誰であれ救出するにいたることなく、二大政党制を打倒する必要を防衛することだ、と確信している。他の政治諸勢力と共に、もちろん統一左翼と共に、緊縮に対決する幅広い戦線を形成することに挑戦し、多様な連携を維持し続けることは重要だ。

欧州諸機構を
全面的に民主化


――ポデモスがEU議会内でとる最初のイニシアチブは何ですか?

 われわれがすでに起草の過程に入っているイニシアチブは、ビラレホ指令(注)と呼ばれている反腐敗の提案だ。それは、腐敗は政府の一形態であると主張し、腐敗を断ちきり、それに対抗するワクチンを打つ最良の方法を提案している。そしてそのワクチンは集団的統制だ。
他の課題の中では、公的代表の俸給に対する制限、草の根の人びとによるその代表性の取り消しという可能性、任期の制限、等々のような諸方策がある。このすべてをわれわれは自分自らやろうとしている。そしてわれわれは、各議員に欧州議会が割り当てている八〇〇〇ユーロを受け取らないと決めた。いずれにしろそれはわれわれには、代表される人びととは質的に異なった生活条件をもつという事実が公的代表者を自立化させる、というものに見える。私の特定の事例では、私は一教員としての俸給と正確に同じもの、つまり一七〇〇ユーロ、を受け取り続けるだろう。
われわれはまた、公的債務を返済しない必要、正統性のない債務を返済する義務にしたがわない必要、これを熟考する過程にある他の欧州諸勢力と諸連携を作り始めた。
それに加えてわれわれは、現存のものとは完全に異なる欧州諸制度を構築する必要にも光を当てたい。なぜならば、真に決定権を行使している欧州諸機関には、どのような市民による統制も行使することが不可能だからだ。欧州委員会は主にテクノラートから構成されている。そして、日々を支えているところでわれわれに影響を与えている諸決定がなされているのはここなのだ。そしてそれは完全に、金融の諸権力によって支配されている。
われわれはさらに、欧州中央銀行を民主化する提案を支持している。この機関は、そこにわれわれがどのような種類の統制もかけることのできないテクノラートによって率いられた、蒙昧な代理人なのだ。その一方でこの機関は、諸国すべての財源を管理する過程に入っている。

――あなたは、決定策定権をまったくもっていない欧州議会から、何かを変えることができると考えていますか?

 われわれがものごとを本当に変えるのは欧州議会からではない。それがわれわれにもたらすものは第一に、一つの主張を聞こえるものにし、異なった実践を見えるものにする機会だ。このことが国家、地域、さらに地方自治体レベルでの次の選挙に意味をもつだろう。それはさらにわれわれに、他の諸国と共に諸提案を始める機会を与えもする。なぜならば、トロイカを前にした不服従の道は困難なものであり、われわれは、共有された戦線を作り出すために、似たようなオルタナティブを熟考する歩みに入っている、そのような他の政治的諸勢力との結びつきを生み出したいと思っているからだ。
そして一方でそれは同時に、どのような市民の統制からも逃れている、そして自身を特にEU諸機関の中で全面的な無処罰の中に置いている、そのような政治的カーストを厳しく非難する格好な場でもある。

議員といえども
特権は持たない


――ポデモス以来、「政治的カースト」という用語が広がっています。しかし今あなたは、一人のEU議員ということであらゆる特典を享受しています。あなたは、カーストの一部となることを恐れていませんか?

 われわれはすでに、そのような変化を避けるために、一例として通常の俸給の受け取りといった、二、三のワクチンを打っている。われわれは、スペインの最低賃金の三倍相当という最高額を決めた。これは一定の道筋で、制度的な地位に慣れるような進展からわれわれを遠ざけるだろう。また任務の限定もある。それはわれわれが、二つ以上の職務のため込みは公的な代表を専門家化する、と信じているからだ。さらにわれわれは、発議権を持つあらゆる公的代表をいつでも、どのような機関に関しても、取り消すことが可能だ。これらは、すべての候補者がわれわれがすでに関与した選挙への立候補に先立って署名した約束だ。

――それではあなたは、俸給としてあなたに割り当てられた余剰の金銭を、何に向け処理しますか?

 その金銭はわれわれのためのものではないと考えるが故に、われわれはそれを集団的に決定しなければならないだろう。私にはたくさんのアイデアがある。中でもそれは、どのような機関が行ったこと以上に、七年もの間市民の諸問題に対応する歩みの中にある社会的諸闘争、つまり失業や排除に反対する戦闘や、医療システム、教育、社会サービスその他の切り下げ反対の戦闘、を支援することだ。これは、欧州議会が各代表に割り当てたものを再活用するいい方法になり得るだろう。

――あなたは、自らファーストクラスによる飛行機での移動を行いますか?

 それはない。われわれはビジネスクラスの飛行しかできないからだ。それは、われわれが文書で行った約束の一つだ。これは象徴というよりも何ものかだ。私は、ファーストクラスでの航空機移動を行わないということを、偶像のように崇拝することはしない。しかし一定の形でこれもまた、ひとが代表していると主張するその共同体から離れてしまうという危険に対抗するワクチンでもある、ということも真実だ。
ひとは彼らが代表する人びとのように生活しなければならない。多かれ少なかれ同じ俸給を受け取り、彼らがするように移動しなければならない。ある意味で存在が意識を決定するが故に、ポデモスの公的代表者は誰一人、暮らす場所や移動手段をを変えてはならず、彼らの生活条件を変えるべきではない。

ある種の「ウィ
ーキャン」運動

――ポデモスの選挙での成功を説明するものはなんですか? いくつかの分析はそれを、テレビでのパブロ・イグレシアスの連続的存在に帰していますが。

 それは実際、大衆的通信手段の中での可視性、存在しているものとの、トロイカの政策、危機の始まり以来適用され続けている過程の中にある攻撃的な諸方策とのはっきりした対立を含んだ一定の話し方、そうしたものに負っている。これはわれわれに関係していることだが、しかしある種の「ウィーキャン」運動の存在にも関係している。つまり、民衆の生活条件がひどく悪化している時代、専門家の政治に対する信頼の欠落並びにその正統性の欠落と組になって、社会的条件にはらまれた暴力が酷すぎる時代への回答なのだ。
「ウィーキャン」運動がまさにそれであり、この時代における回答は、われわれに起きつつあるものを止める緊急の綱領的諸方策、つまり正統性のない債務の返済を行わないこと、タックスヘイブンを終わりにすること、詐欺や脱税の訴追、税を累進性にする課税システム改革、戦略的企業への介入その他、を作り出すことだった。腐敗や公的代表者の自立化に対抗するワクチン接種と組になったこのすべては、集団的統制を強化し、市民を代表することを目的とした諸組織内の決定策定における参加を強化する。

▼テレサ・ロドリゲスはスペインの反資本主義左翼の指導的メンバー。彼女は二〇一四年五月に、ポデモス名簿で欧州議会に選出された。
注)一連の反腐敗方策を起草し、ポデモスに合流した元反腐敗司法官のカルロス・ヒメネス・ビラレホにちなんで名付けられた。(「インターナショナルビューポイント」二〇一四年七月号)

米国・ファーガソン

警察による黒人少年殺害、全国で抗議へ

「アパルトヘイト時代の南ア」に酷似

ダン・ラ・ボッツ



米国はシリアなど
と本当に違うのか
 八月九日、米国中部ミズーリ州の町ファーガソンで、白人警察官が黒人少年マイケル・ブラウンを撃ち殺した。このような事件は米国の場合異常なことではない。しばしば起きていると言うことさえできる。こうした場合何回かは抗議、破壊行為、略奪にいたる。
 今回を他とは異なったものにし、ファーガソンで起きていることに全国的な注目を集めることになったのは、この米国の小さな町における前例のないレベルに達した軍隊スタイルの警察の弾圧だ。合衆国の民衆は、わが国はシリアやエジプトやウクライナ、またパレスチナとは違う、と考えがちである。われわれはここに挙げた国々でつい先頃、警察と軍隊が平和的な抗議活動を打ち砕くさまを見てきたのだった。ファーガソンは米国人に、次のような問を発するよう迫ることになった。つまり、われわれは本当に違っているのだろうか、と。
 ブラウンの殺害はファーガソンでの抗議行動をもたらしただけではなく、国中の都市数十における連帯デモをももたらした。またこの殺害は、レイシズムに関する新たにされた全国的議論、また大都市並びに小さな町にも及ぶ軍事的装備推進――三七〇億ドルという費用をかけた――という合衆国政府の政策に関する新たな論争にも導いた。
 この後者の政策は、世界貿易センタービルとペンタゴンに対する二〇〇一年九月一一日の攻撃に引き続くものだった。連邦政府はテロと戦うために地方警察を武装した。しかし批評家たちは、装甲車、銃器類、手投げ催涙弾は、テロの代わりにこの国の貧しい有色人種共同体に対して、社会的抗議活動に対して使用されてきた、と主張している。左翼の一部は、市民に対する増大する警察の監視と軍事化した警察力との一体的組み合わせが、米国を徐々に警察国家へと変えつつある、と論じている。

射殺の原因は
依然不明のまま
ダレン・ウィルソンという名前の警察官が八月九日、一八歳の少年ブラウンを射殺した。このできごとから数日たって警察は、ブラウンは当地の店からたばこひと箱を力づくで盗んだ、と主張するレポートを発表した。とはいえ、この事件に関しウィルソン警官が何らかの情報をもっていたのかどうかははっきりしていなかった。一つの報告は、ウィルソンは信号を無視して街路を横切ったかどでブラウンを止めた、と語っていた。警官がブラウンを撃った理由ははっきりしていなかった。
ブラウンの殺害はすぐさまアフリカ系米国人による抗議行動に導いた。そしてそのいくつかは破壊行動と略奪に変じた。略奪は軍隊スタイルでの警察力の大量配置の口実となった。ファーガソン警察署長トム・ジャクソンは、略奪者に対してだけではなく、アフリカ系米国人青年の平和的抗議行動に対しても、警官、装甲車、催涙ガスを展開した。抗議行動参加者は、警察に火炎瓶を投げて対抗した。一九五〇年代と六〇年代の市民権運動の有名な米国人写真家であるダニー・リオンがニューヨークタイムスに語ったことだが、今回の映像は当時の警察と抗議行動間の衝突と似たものではなく、アパルトヘイト時代の南ア、ソウェトに似ていた。

なぜファーガソン
だったのか? 
ファーガソンは、ミシシッピー川に面する米国の大都市、ミズーリ州セントルイス郊外にある小さな町だ。町の人口は僅か二万二四〇〇人で、その五三%はアフリカ系米国人で、四五%は白人だ。ファーガソンの家計年収中央値は三万七一三四ドルで、全国年収中央値の四万五〇〇〇ドルよりも低い。ファーガソン住民のおよそ二二%は貧困の中で暮らしている。
ファーガソンは小さく、普通は静かな町である一方、ミズーリ州セントルイスとイリノイ州セントルイスは、人種隔離、人種差別、さらに暴力的諸事件の長い歴史を刻み付けた都市だ。このセントルイス地域は近年、数多くの工業プラント、中でもミズーリ州フェントン近くのクライスラー二工場の閉鎖によってひどく痛めつけられてきた。これらの事業所の閉鎖は六四〇〇の職の喪失に加え、地域経済から一五〇億ドルを取り上げた。セントルイス地域における工場閉鎖が始まるにつれこの数十年、アフリカ系米国人のある者たちはこの町を出、ファーガソンのような周辺郊外に移った。
ファーガソンの人口は徐々に白人から黒人へと変化したがその一方、権力機構は事実上白人だけのままにとどまった。人口の半分以上が黒人であるファーガソンで、六人の市議会メンバーの内黒人は一人だけであり、警察は九四%が白人だ。教育委員会は白人であり、アフリカ系米国人の教育長はつい先頃教育委員会によって停職にされた。職にとどまっているファーガソンの指導部は、若く、貧しく黒人である新しい人口を代表してはいなかった。貧困、失業、政府におけるアフリカ系米国人の代表の欠如のこうした組み合わせが、社会の黒人民衆に対する染み込んだレイシズムをも加えて、ブラウン殺害の背景を構成している。

あわてふためく
政治家の動向
ファーガソンでのできごとに対して政治的支配層はすばやく反応した。大統領のバラク・オバマは、警察側の透明性を求めつつ、しかし同時に破壊行為と略奪、また暴力を厳しく非難もしつつ、ブラウンの家族への共感を表明した。二〇一六年の大統領選に対するあり得る候補者であるリバタリアンの共和党政治家、ランド・ポールは、レイシズムと地方警察部隊の軍事化に反対して開けっぴろげに語った。
ミズーリ州の民主党知事であるジェイ・ニクソンは、ファーガソンの治安責任を引き受けるため、当地の警察部隊を置き換え州警察を出動させた。これは、この町のアフリカ系米国人から称賛をもって歓迎された行動だった。
アフリカ系米国人の市民権運動では歴史的人物であり民主党指導部と緊密に結びついている元大統領候補者であるジェシー・ジャクソン師は、そこで抗議デモを率いようとファーガソンにかけつけた。ジャクソンは、市民権闘争を導くことと抑えること、この双方の役割を演じることで知られている。
それでも政府指導者と政治家は、ファーガソンで続く抗議行動を止めることも、全国に広がる連帯デモを止めることもできなかった。アフリカ系米国人の若者たちとそのラティーノと白人の連携者たちは今、人種的不公正を刻み込んだこの最新事件への反対、また警察の軍隊化という政府の政策への反対を声を大に訴えつつ、あらゆる街頭にいる。(八月一七日)

▼筆者は教員、著作家、また現在オキュパイ・シンシナチに関わっている活動家。ソリダリティー全国委員会メンバーであると共に、メキシコの労働組合、社会運動、政治に関する数冊の本の著者でもある。また統一電機労働者組合(UE)および真正労働戦線(FAT)のオンライン出版物である「メキシコ労働ニュース・分析」を編集している。(「インターナショナルビューポイント」二〇一四年八月号)


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