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    かけはし2014.年8月11日号

大幅引上げの声地域最賃審に


中央最低賃金審議会 最低賃金「目安」答申

実質賃下げ、加えて格差一層拡大

宮城全労協


 最低賃金の今年度引き上げ目安が公表された。政府が関与する唯一の賃上げ促進の制度的仕組みであり、今春しきりに賃上げを標榜した安倍政権にとっては、特に格差是正への姿勢を含めその本気度が試された。結果は案の定、後述の通り無惨なものだった。労働者にとっては引き下がることのできない闘いがこれから、舞台を地方最賃決定の場に移して始まる。この闘いに向けた呼びかけが早速宮城全労協ニュース(二六八号)に掲載された。宮城全労協が宮城最低賃金審議会に提出した要請と合わせて以下に紹介する。(「かけはし」編集部)

 厚生労働省は七月二九日、中央最低賃金審議会で今年度改定の目安が取りまとめられたとして、その内容を公表した。主な点は次のとおり。
○引き上げ目安額(時給)は東京、神奈川など「Aランク」一九円、埼玉など「Bランク」一五円、宮城など「Cランク」一四円、宮城を除く東北五県など「Dランク」一三円。
○全国平均で一六円(昨年度答申は一四円、地域審議会での審議を経た実績で一五円)、時給七八〇円(昨年度の中央審議会による答申は七四九円から七六三円への引き上げだった)。
○「生活保護費との乖離」については、新たなデータによって乖離しているとされた北海道(乖離額一一円)、宮城、東京、兵庫(それぞれ一円)、広島(四円)のすべてで解消されることになる。

後退した安倍政権の姿勢


「好循環だ」「アベノミクスの果実」をあらゆる所得層に行き渡らせる、「ローカル・アベノミクス」で地域に波及させるなどと安倍首相はアピールする。しかし、引き上げ目安は昨年度実績をかろうじて一円、上回っただけだ。また最低賃金の地域間格差はいっそう広がることになる。
安倍政権の姿勢は昨年度改定に比して、また春季賃上げに対する言動と比しても大きく後退した。「骨太方針二〇一四年」には「中小企業・小規模事業者への支援を図りつつ最低賃金の引上げに努める」とわずかに触れられているだけであり、それも実効性があるとはとてもいえない。
日経新聞は目安報道の三〇日、「都道府県は無理のない最低賃金の決定を」と題する社説を発表した。「……企業の生産性の伸び以上に賃金を上げることになれば、企業の競争力を低下させ雇用や地域経済に悪影響を及ぼしかねない。実際の最低賃金の引き上げ額を決める都道府県の地方最低賃金審議会は、地域の景気や企業収益の現状を精査し、それを踏まえて慎重に上げ幅を判断すべきだ」。再賃引き上げの「コスト負担」の増大を考慮すべきだという主張は、労働者に対してではなく、大企業と政府にぶつけるべきものだ。
河北新報は「格差是正へ底上げの道筋を」と主張している。「増税分を含め物価は三%も上がった。増税分を考慮し最低賃金(全国平均)を三%上げれば、二三円の増となる」「そうなって、やっと増税前の生活水準に戻れる格好だ。前年度の一五円を上回る引き上げは決して無理な注文ではあるまい」(社説七月一五日)
東京新聞は三〇日、「増税、物価高に追いつかず」とする記事を掲載した。「……目安は、全国平均一六円の上げ幅で決着した。だが消費税増税や物価高による実質賃金の目減りを補うにはほど遠く、低所得者層の生活は依然として苦しい」。記事では被災地・仙台のタクシー労働者の声を紹介している。同僚の半数が最低賃金分の給料か「必死で頑張っても最低賃金ぎりぎり上回る程度の収入」だ。消費税増税の後は売上高が落ち込み、最低賃金ラインの人が増えたという。
目安を受けて地域審議会の審議がこれから始まる。宮城では八月一日、今年度の第二回審議会で目安が報告される。しかし、それ以降の実質審議は非公開となる。最賃大幅引き上げの声を上げていこう。
(なお、昨年度は中央審議会による目安が八月六日、宮城地方審議会の答申が九月三日)

資料

宮城最低賃金審議会への要請
 (宮城全労協/七月二五日)

二〇一四年度最低賃金改定審議にあたっての要請


二〇一四年度の最低賃金改定をめぐって中央審議会による一ヶ月の議論が終わり、今月末、改定答申が出されようとしています。宮城最低賃金審議会での議論に向けて、宮城全労協は以下を要請します。

一.最低賃金の一〇〇〇円
超への引き上げを求め
ます。

 安倍首相も田村厚生労働大臣も、二〇一〇年六月「雇用戦略対話」での政労使合意を否定していません。現政権によって設置されている政労使会議でも同様です。したがってその合意内容(二〇二〇年までに一〇〇〇円をめざす、早期に八〇〇円を確保、中小企業への支援や「公契約」での配慮など)は、現政権においても実現すべき責任があります。
しかも、安倍政権が日銀とともに採用している「デフレ脱却」政策からすれば、これらの目標は前倒しされてしかるべきです。
外食産業などで時給を引き上げても労働者不足が顕著であると社会的な問題になっていますが、これらは低すぎる最低賃金水準が生活や経済の実態を反映していないことを示しています。最低賃金の大幅引き上げは喫緊の課題となっています

二.政府の後退姿勢に地方
から異議を唱えるべき
です。

 安倍首相の姿勢は一年前と比べて明らかに後退しています。春季賃上げをめぐる首相の言動に比しても、今年度最低賃金改定への「熱意」は感じられません。田村大臣は「昨年並みかそれ以上の成果が出ればありがたい」と述べていますが、きわめて受動的な発言だといわざるをえません。
一部大企業の賃上げでよしとする、それが政府の本音であるなら労働者の格差拡大を政策として実行していることになり、決して許されるものではありません。
地域の最低賃金改定の審議がそのような政府の後退姿勢に明確に反論し、また零細企業への支援をはじめ大幅引き上げのための諸施策を政府に要求するよう求めます。

三.貧困労働者の救済、生
活改善のための最低賃
金大幅引き上げを求め
ます。

 各種世論調査では「アベノミクスの恩恵は受けていない」との回答が多数です。政府・与党が来春の統一地方選挙を前にするタイミングで、「ローカル・アベノミクス」なる造語をもって地方重視を強調しはじめていますが、そのような声を意識したものだと言えます。
春闘賃上げも中小企業ではまったく不十分でした。しかも「異次元」のインフレ政策が大手を振っています。「賃金なき物価上昇」が貧困労働者層を直撃することは明らかです。
最低賃金引上げで影響を受ける人が増えている、その割合が年々上昇していると報じられています(日経新聞七月二四日/「最低賃金ぎりぎりで働く人の割合が増えた」「賃金水準の低い非正規労働者が雇用者全体に占める割合が高まったことも一因だ」)。
「好循環」のための最低賃金引き上げだという政府の説明は二重の意味で不当です。第一に、貧困労働者層は「好循環の果実」を与えられていないし、第二に、それだけではなく物価上昇や社会保障削減によって直接的な打撃をこうむっています。
最低賃金の大幅引き上げは「健康で文化的な生活」のためにこそ、早急に実現されねばなりません。まして宮城県のように、生活保護費との乖離が毎年のように繰り返されるようなことがあってはなりません。

四.「被災地を励ます最低
賃金の大幅引き上げ」
が必要です。

 宮城全労協は二〇一一年度改定以降、最低賃金の大幅引き上げには大震災被災地を励ますという意味があると主張してきました。残念なことに、とくに宮城の場合、甚大な被害ゆえに最低賃金を上げられないという逆転した理屈が多数となりました。
それから三年、仙台圏の「復興特需」と沿岸部との格差は広がる一方です。仮設住宅での長期間生活や「雇用のミスマッチ」あるいは集中復興期間の延長が物語っているように、震災復興は困難に直面しています。
宮城最低賃金審議会が三年間の経緯をみずから振り返り、被災地での積極的な役割を自覚され、大幅引き上げ改定を行うよう要請するものです。(二〇一四年七月二五日)

7.28安倍靖国参拝違憲訴訟第1回口頭弁論

平和的生存権根拠に違憲主張

二五〇人以上が傍聴求め列

 【大阪】五四六人の原告が四月一一日、安倍首相が二〇一三年一二月二六日内閣総理大臣として靖国神社に参拝したこと、靖国神社が参拝を受け入れたことが権利・権益の侵害になるとして、安倍晋三、靖国神社及び国を相手に損害賠償を求めて訴訟を提起した。
 その訴訟の第一回口頭弁論が七月二八日、大阪地裁で開かれた。一〇時からの大法廷の傍聴券を求めて二五〇人を超える人々が列をなした。終了後、大阪弁護士会館で報告会が開かれた。

法的利益論理で
の切捨て許さず
中島光孝弁護士(弁護団事務局長)がはじめに説明し、「事前調整の結果、訴状の概要について原告側から二名、意見陳述については一名が陳述した。今回の訴状全体のポイントとしは、秘密保護法とか集団的自衛権の容認、諸外国の批判などを踏まえ、平和的生存権を強調した。このことについては、すでに最高裁(二〇〇六年判決)で決着がついていると被告の代理人が述べた。その決着とは法的利益の侵害はないという点。これについては、原告側から、そのようにして切り捨ててはいけないということを主張した。平和的生存権については、今まで判断はされていない。また、決着がついているといわれる法的利益の侵害についても、靖国参拝が繰り返し繰り返し行なわれることによる侵害についてはまだ決着がついていない」と述べた。
法廷で意見陳述した二四歳の青年が発言し、安倍の参拝が平和的生存権を侵害し日本の行く末について恐怖を感じさせること、戦争には反対だし行きたくない、靖国にもまつられたくないという若者の思いを述べた、と語った。

新たな法論理
の積極的主張
訴状の概要については、原告代理人二人が陳述した。
吉田恵美子弁護士は訴状の全体について、「今回は、安倍靖国参拝が内心の自由形成権・信教の自由確保の権利・回顧や祭祀に関する自己決定権に対する違法な侵害だという点については強調せず、平和的生存権について、イラク派兵違憲訴訟の名古屋高裁判決をもとに、具体的に主張した」と述べた。名古屋高裁判決(〇八年)は、「平和的生存権は、現在において憲法の保障する基本的人権が平和の基盤なしには存立しえないことから、基底的権利であり、単に憲法の基本的精神や理念を表明したに留まるものではない」と述べている。
和田義之弁護士は平和的生存権について追加の説明をし、「平和的生存権は新しい主張だ。憲法には前文に書かれてはいるが、裁判の領域では生まれたばかりの権利だ。今までは、裁判で使える権利ではないといわれてきたが、それに触れた最初の判決が〇八年名古屋高裁判決だ。この宝物をこの訴訟の中で育てて行かなければいけない。今訴状にのせている程度のものでは、裁判所は平和的生存権を認めてやろうとはならないだろう。どういう意味で、平和に生きる権利が侵害されたのか。相手から必ず反論が出ると予想されるのは、安倍首相の参拝によって、ミサイルが飛んでくるとかなど平和的生存を脅かす事実はどこにもないと言うだろう。しかし、平和というのは当面数カ月戦争がなければ平和なのか、おそらくそうではない。平和というものがどういうものであるのか、平和的生存権とはどのような権利なのか。原告の皆さんもともに考えてほしい」と述べた。
訴状に対する被告の答弁として、安倍側は「参拝は私的な参拝であり、公的職務行為ではなかった」という主張、靖国神社と国側は「損害賠償の対象となり得る法的利益の侵害はない」という主張であった。
この訴訟については、現在第二次訴訟団を募集中である。次回口頭弁論は、一〇月二一日の予定。         (T・T)

コラム

沖縄行

 北国育ちで暑さにはめっぽう弱い私が、よりによって一年中で一番暑い時期の沖縄行になった。その目的はもちろん辺野古新基地建設反対行動への参加と、高江ヘリパット建設阻止テント訪問である。
 沖縄行の話が上がったのは五月上旬ころだったろうか。反原発デモの後に全共闘世代の先輩らとビールを飲んでいて「行こう!」ということになった。日程は三泊四日で二日間の有給休暇を取る必要があったが「七月は例年ヒマなので……」と、初めての沖縄行を決めた。その後いろいろと手配してもらって、総勢九人ということになった。しかし例年と違って仕事はヒマにならず、労働現場には少なからぬ負担を強いてしまった。
 沖縄行の初日は午後四時に那覇空港に到着し、レンタカーを借りて高速道路で一路、名護市内の観光ホテルをめざした。那覇市内では最悪の交通渋滞に苦しめられて、ホテルにチェックインしたのは八時すぎ。家族客でごった返すホテル近くの沖縄料理店にもぐり込み、ビールと焼酎を飲みながら沖縄料理で腹ごしらえ。
 とにかく「観光ゼロ」なので、夜の食事と飲み会だけが唯一の楽しみということになる。
 二日目はまず、辺野古漁港にある監視テントを訪問。「辺野古に基地はいらない」と書かれたパネルを基地の鉄柵にくくり付けてシュプレヒコールを上げる。
 ジリジリと照りつける太陽と美しい青い海。波打ちぎわでは無数のヤドカリがヒョコヒョコと歩き回っている。いてもたってもいられず、膝まで海に入る。この日は大潮だったのでみるみる潮が引いて、一〇〇m先まで干潟になる。そして干潟の砂の中からは、数万匹のミナミコメツキガニがはい出してくる。この時点で顔も両腕も真赤に日焼けしてしまう。
 次に車を飛ばして高江にむかった。高江の共同売店で沖縄そばをすすっていると、売店の人が沖縄菓子の袋を差し入れてくれた。そして二台の車が阻止テントに行くことがわかっていたのか、売店の人たち四〜五人総出で店の前で深々と頭を下げて見送ってくれた。かつての三里塚の農民と重なって、目頭が熱くなる思いだった。
 三日目は早朝からキャンプシュワブゲート前での資材搬入阻止行動に合流する。この日も朝から太陽はメラメラと強力照射している。二ヵ所のゲート前に総勢五〇人ほどか。メインゲート前は日陰ゼロ。午後五時まで休憩と給水を取りながら行動が続いた。午前中の行動には参議院議員の糸数さんも参加していた。
 私は前日の日焼けの上を二度焼き状態で、顔と腕の赤みも深まる。またその日はたまたま真赤なTシャツを着ていたこともあって、東京から来たフラフラの「赤鬼」のようになっていた。それに比べて、ハンドマイクを片手に指揮をとる山城行動隊長のタフなこと……。午後になるとその山城さんが「鉄人」に見えてくる。
 四日目は正午過ぎの飛行機に乗るために朝食後、一般道で空港にむかう。途中、嘉手納基地などを通るが、下車する時間的な余裕はない。機内では熟睡。
 次の沖縄行はいつになるのだろうか。ただし夏だけは避けようと思ってはいる……。 (星)

 



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