7.11
原発輸出先、隣国トルコも地震大国
マノスさん被災地双葉郡を回る
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【いわき】七月一一日いわき市文化センターで、ギリシャの活動家を迎えての交流会が一四人の参加で行われた。司会者からのあいさつに続いて、国際シンポジウム呼びかけ人の国富さんが経過報告を行った。
ギリシャの経済状況について、「アイルランド・ポルトガルなどに続いて債務危機が発生し、労働者賃金切り下げ、社会補償切り捨てが行われ平均賃金は四〇%下落している。報告者のマノスさん自身も一年半失業中である。マノスさんの経歴は高校生の時教育改革に反対する学園占拠闘争に参加、逮捕され、兵役に就き、非合法兵士組合にも参加した」と紹介した。
日本でも経済危機下で安倍政権が誕生し、クーデター的に集団的自衛権容認が行われ、戦争する国家体制作りが行われている。また大企業が活動し易い国のため法人税引き下げを行い、一般の労働者に対しては、雇用条件や賃金の引き下げ攻撃が行われている。
これらに対して世界中で様々な闘いが行われている。背景には資本主義経済システムの根本的危機が存在し資本主義に反対してどの様な闘いが必要なのか、一緒に考えるためにマノスさんを招いてシンポジウム開催することになったと報告した。
そして、司会者が「午後に原発被災地の双葉郡を回ってきた。津波の被害があり、原発事故住民が故郷を捨てざるを得ない状況があった。それを踏まえてマノスさんの報告を受けたい」と、述べた。
人々の意識が
急速に変化
マノスさんは緊縮政策下のギリシャの実情について、労働者所得が減少し生活保障の切り捨てが行われ全体的に貧困化が進行している。支配階級は危機からの出口は見えたと宣伝しているが緊縮政策でも資本主義の危機は出口がない。四年間で起きたことを振り返ると、議会選挙があり改良主義的ではあるがギリシャの左翼政党がギリシャ議会選挙第一党になった。
しかし「黄金の夜明け」という排外主義的極右組織は、危機の前には〇・二%でしかなかったが二年前の選挙では八%、一八議席取った。様々な闘いは実行されたがメモランダムの押し付けは突破出来なかった。失望が広がっている。
二番目の要因は主体的な問題だ。典型的には今回の選挙でSYRIZAはEUからの離脱を言えなかった。必要なのはもっとラディカルで反資本主義左翼の原則を明確にした主張だ。現実は危機の脱出と政治的社会的安定化は難しい。
今の資本主義の進歩的な管理は出来ない。資本主義との決別をはっきりと掲げるべきだ。人々の意識の変化は急速に進む。運動の中で飛躍的な変化がありうる。そう考えるべきだと話した。
失業や代替エネ
ルギー問題も討論
続いて参加者との討論に入り、エネルギー問題、ANTARSYA全国委員の選挙方法及びギリシャ政府の失業対策、トルコへの日本政府の原発輸出、原発避難者の意識の変化、「原発事故はギリシャで同報道されているか」などと質問があり、討論が行われた。
ANTARSYA全国委員の選挙方法については、会場からの質問にマノスさんが「現在三分の二は選挙だが残りは各グループ推薦となっている。各グループが候補者リストを示し、この候補者リストに投票する形にすべき。エネルギー問題と環境保護についてはギリシャの左翼の間でも論争になっている」と答えた。
「環境保護と原子力発電についてどう考えるか」と問いかけがあった「原発は自分たちの世代だけの問題ではない。未来の世代に負の遺産になる核エネルギーを選ぶことは出来ない。炭酸ガス問題と放射能は同じレベルでは考えてはならない、代わりのエネルギーはある。どの方法を選んでも欠点はある。情報公開が大事」との回答がなされた。
また司会者が「原発反対と言うと代替エネルギーを問われるが、原発災害を経験した我々にとって、危険性の大きい順に排除してゆくことは当然。大量浪費型の経済からの変換が先進資本主義国では必要だ」と発言した。
トルコへの原発輸出問題については、マノスさんは「トルコ原発問題については、ギリシャでは余り大きく問題にされていないが、トルコは地震国であり、問題だ。もう一つの問題は隣国ブルガリアには原発がある。この問題では国境を越えた取り組みが必要だ」と答えた。
ギリシャの失業対策については、「政府の失業対策は失業者のリサイクルで、五年間で三カ月間雇用しこれを回転させるものだ。ギリシャでの原発事故報道については、当初は連日報道されたが、日数が経過すると、スペクタクル的なものに変化した」と答えた。
交流会では原発と環境問題に関連した論議が行われた。この他にマノスさんからはギリシャの公害問題が報告され、会場からは立地町と都会の差別の存在が提起されるなど原発被災地ならではのものとなった。
(浜西)
7.8大阪で「ギリシャ―国際シンポ」
共通する本質は資本主義の危機
運動の中で原則をつらぬこう
七月六日の東京でのシンポに引き続き、七月八日、大阪でもギリシャANTARSYA(反資本主義左翼連合)のマノス・スコウフォーゲルさんを招いて「国際シンポジウム――ギリシャ反資本主義左翼との連帯」がエルおおさかで開催され、六〇人が参加した。マノスさんはこの日早朝、全日建連帯労組関西地区生コン支部の本部を訪問し討論を行い、生コン作業の現場も見学した。
主催者あいさつを関生労組の武健一委員長が行った。武さんは、関生労組がストライキを打ち抜いて要求をつらぬくことができる日本では数少ない労組であることを強調し、反資本主義の闘いの中軸に労働組合がしっかりと座る必要がある、と訴えた。
東京の実行委員会から、国富建治が七月六日の東京でのシンポジウムを報告し、時代を画する安倍極右政権の攻撃との闘いの中から、反資本主義の闘いを担う共同の構造を築き上げていこうと訴えた。
大衆的広がりと
独立性の確保
マノスさんは約一時間にわたる講演の中で、「二〇〇八年一二月のアテネ暴動は戦闘的でヒロイックな行動だったが、次に何をしたらいいのか誰にもわからなかった。運動は全体としてはアナーキズムの影響が強く。『怒れる者』たちの運動では『システムがダメだったらどうしたらいいのか』『議会や警察のない国とはどういうものか』という問題意識を多くの人びとが持ち始めた。そういう経験があって初めて、システム自体を問う論議が可能になった」と語った。また「SYRIZA(急進左派連合)は、問題をシステムではなく政府の問題にとどめようとしている」と批判した。
また「黄金の夜明け」などファシストの攻勢基盤についての質問に「中小企業主、警官、大資本の一部、青年の一部」と説明し、「労働者が組織されているところではファシストの支持率は低い。ファシズムのイデオロギーに反撃するのは重要だが、それ以上に大切なのは自分たちを組織することだ」と語った。
最後にマノスさんの発言を受けて星川洋史さん(関西新時代社)が、「ギリシャと日本の状況は大きく異なっているが、本質的には同じ構造の下にある。ギリシャの危機は日本資本主義の危機でもある。この資本主義の危機を背景に『戦争をする国』への変化が起きている。運動の中で原則を貫きながら大衆的広がりを拡大し、なおかつその中で独立性を確保していくことがますます必要だ」と強調した。 (K)
コラム
人間ドックと一冊の本
六月は憂うつな季節である。人間ドック申込みの時期だからである。今年は受けるかやめとくか。あれこれ悩むのである。
健保組合の規定で費用の補助が受けられる年齢は決まっている。五〇歳以上は無条件で利用できるが、会社の「都合」で受診者の自己負担額は増え続け、かつ検査結果が「札つき」の問題企業として健保中央からマークされているから、どうしようもない。従業員が無料かわずかな自費で十分な健診を受けられる環境を整備し、安心して病院に通える体制を作ってこそ、健康が維持でき、仕事にも励めるのである。
契約医療機関もここ数年めまぐるしく変わった。これまた会社の都合である。そのたびに蓄積されたデータが消滅し、継続した監視ができず、受診者にとって不利益となる。
数週間で自宅に郵送されてくる検査結果に、職場は盛りあがる。病院が変わった直後は、「再検査」「精密検査」のオンパレードで動揺するが、同じ病院で数年経つと平均化される。判定する側も慣れてくるのであろう。低すぎる中性脂肪、胃の粘膜下腫瘍、高ビリルビン値。傷だらけの眼内に加え、今年は「脂肪肝」のプレゼント。予想通りである。慢性的な腰痛を除けば、日常生活に支障はない。
仕事が夏枯れで一息つけば、忘れていた読書欲もわいてくる。手にした本は「患者よ がんと闘うな」(近藤誠)。業界に一石と投じた本作を、出版から約二〇年遅れて読んだ。医学・医療の問題に関心があるとはいえ、年齢を重ねれば、批判精神を体力減退が凌駕する。そんなさびついた思考回路を刺激する、新鮮な驚きの連続だった。
著者は、現代のガン治療における抗がん剤濫用、手術優先を厳しく批判する。がんには本物のがんと「がんもどき」があり、転移するものとしないものとがある。そして放置しておいても、手術や抗がん剤を投与しても、死亡率は変わらない。それならば、臓器を摘出したり副作用に苦しむ抗がん剤を止めることのほうが、患者にとってメリットがある、と主張する。自分の専門領域である放射線治療をことさらに美化せず、科学的に根拠のない定説に、反論が生まれない学会の体質を告発する。
嘔吐を抑えて発泡剤とバリウムを飲み込み、大量の放射線を浴びる消化器検査も良くない。今のドックで私は、一次検査から内視鏡を選んでいるが、技師の未熟さや感染症のリスクはある。それでも被ばくするよりましである。
私は昨年本欄で映画「いのちを楽しむ」について書いた(4月29日号)。その時は、主人公の選択した近藤氏の主張を詳しく知らずにいた。それを恥じ入るとともに、検査の数値に一喜一憂する職場の同僚たちに、ぜひ本書を薦めたいと思う。(隆) |