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    かけはし2014.年7月21日号

右翼は成功、だが左翼は停滞


ドイツ EU議会選

鮮明な反資本主義路線提示が不可欠

マヌエル・ケルナー


 ドイツは紛れもなく、EUを支える最も堅固な力となっている。その根拠が欧州最強の経済力であることは間違いないが、メルケル首相の人気や大連立を支えとした、他の欧州諸国と比較して相対的に安定度の高い国内政治の寄与も小さくはない。しかし、今回のEU選はAfDの躍進に顕著なように、ドイツ国内でも反EU気運が一定の高まりを見せていることを示し、今後に不安定要因を残した。以下に、このEU議会選がどのような結果を残したのか、その中で左翼党に問われたものが何であったのかを伝える現地からの報告を紹介する。(「かけはし」編集部)

現行EU防衛の保守派は後退

  EU議会選に対する伝統的な低投票率は、急進左翼の人びとからは多くの場合、EU諸機関の正統性の低さを証明するものと見られている。しかしものごとはそれほど単純ではない。ドイツの多くの人々は、各国の立法に及ぼすEUの決定の重みを、またEUの決定作成におけるEU議会の重み(これがたとえ、ドイツにおけるブンデスターク〈ドイツ下院〉のような国民議会の諸権限をまったくもっていないとしても)をも過小評価している。第二にドイツの民衆多数は、他の諸国内で起きている政治的なものごとに単純に関心がない。
 これらはいずれにしろまったく進歩的な姿勢ではない。しかし今回、EU議会選投票率は、二〇〇九年の四三%から四七・六%へと高まった。これに対する一つの説明は、二〇一四年の今EU議会選は、多くの州で地方選と組み合わされた、ということだ。もう一つの説明は、EU委員会委員長となることをめざす二人の主要候補者、すなわち保守派のジーン・クラウデ・ジュンカー、そして社会民主主義者のマーチン・シュルツの存在だった。そしてシュルツのキャンペーンは、より民主的なEU諸制度とより社会的なEU政策の双方を約束した。そして第三の説明は、EU並びにトロイカの政策に対する反動的な民族主義的批判に基づく、AfD(もう一つのドイツ)の成功だった。
 アンゲラ・メルケルのキリスト教保守派(CDU/CSU)は、五年前は三七・九%だったがそれに比べ今回は、三五・三%しか得票できなかった。この結果は、連邦議会選に向けた世論調査がこの政党に与えているおおよそ四〇%よりも小さい数字だ。この選挙の僅か前にメルケルが「EUは社会的な連合ではない」と語ったことを、また彼女は、EUの経済的により弱体な諸国の勤労民衆、失業者、若者たちの利益に反するトロイカの緊縮政策と、同時にEUの建設を防衛している――そしてこれは、ドイツ資本家階級の主流的政治だ――ことも、心に留められなければならない。
 五%という敷居を理由に前回選挙でブンデスターク参入に失敗した自由主義派のFDP(自由民主党)は、二〇〇九年の一一%に対比して僅か三・四%しかとれなかった!

超新自由主義と超保守の新勢力


しかしAfD――二〇一三年の前回連邦選挙に初めて挑戦した際には四・八%を得票した――は、七%を得た。そしてAfDは超新自由主義者であるだけではなく、排外主義者、民族主義者、またエリート主義者でもある。この政党は、「ギリシャ人にカネを与えること」そして他の欧州の負け組に資金を回すことに強力に反対する、さらに、ドイツ国家の最大限の自立性を保つことと共通通貨のユーロ圏を離脱することを支持する、そうしたキャンペーンを張った。彼らの指導的人物は伝統的に、政治システムのエリート主義的な改革に好意的な論陣を張っている。それは体系的に、失業者のような「非生産的民衆」の諸権利を切り下げること、国民投票や議員、首相あるいは大統領の直接選出(比例代表制を基本としているドイツでは、議員個々の選出がある種の間接制と言える)を組織することを内容とする論陣であり、その目的は、労働組合や社会運動と有効に闘うことができるある種の権威主義体制を獲得するためとされる。
この党が守る政治的なまた文化的な価値は、超保守であると共に、右翼ポピュリズムのそれだ。たとえば彼らは、「社会的保護を備えたわれわれのシステムへの移住」に反対する(そしてメルケル政権は、ドイツへのEU内移住を厳しく制約する施策を準備中だ)キャンペーンを展開した。また彼らは、ゲイ、レズビアン、トランスジェンダーに反対し「正常さ」を主張し、政治的な修正に反対し「真正なドイツ語話法」を主張している。AfDは、ブルジョアジー下層――大企業経営者ではなく、たとえば家族経営事業の事業家、大学の教授連、また管理者など――から支持を受けている。

SPDと大差ない左翼党の停滞

 社会民主主義のSPDは、二七・三%という数字をもって好成績を上げ(二〇〇九年の時には二〇・八%)、この党がメルケルとの大連立の下で下位のパートナーに置かれ、残忍なトロイカ政治の共同責任者にされているとはいえ、より社会的な路線をはっきり示すことに成功した。
ブンデスターク内では野党である緑の党は一〇・七%を得票した(二〇〇九年の時には一二・一%)。
左翼党は、二〇〇九年の七・五%に対比して七・四%となった。左翼党は、投票率が上がったおかげで、二〇〇九年に多少とも相当する結果を残すためには、五年前よりももっと多くの票を集めなければならなかった。しかしはっきりしていることだが、この結果は勝利ではなく、選挙における左翼の影響力の停滞を多少とも表している。連邦選挙に向けた世論調査で左翼党は一〇%前後で動いているが、二〇〇九年の連邦選挙でこの党は一一・九%を得ていたのだ。
AfDは、EUとその主流的政治に反対する反動的な抗議を表現することに成功した。しかし左翼党は、トロイカ政治に対してのみならず、EU諸制度の非民主的な本性に対しても向けられた急進的なオルタナティブ、国際的な階級的連帯を基礎に置き、少なくとも大衆的自己組織化の萌芽的形態を生み出すための下からの国際的大衆行動の具体化を追求する、そしてそれが社会を統治する今あるものに代わる民主的な方法に進化する可能性をもつ、そうしたオルタナティブをはっきり示すことができなかった。
そうした方向性は、制憲議会選出の要求、さらに、連帯、決定作成過程への参加、環境的持続可能性、社会的公正と平等といった価値を基礎とする新たな政治的連邦である欧州連合を作り上げる全員投票にしたがう新憲法となるはずのもの、に結び付けられるべきだった。
しかし左翼党は、選挙キャンペーンでは、現にあるEUの憲法的基礎であるリスボン条約のまがいもの的性格に対しては批判を加えたものの、現行EU諸制度の何点かの改良(中でもEU議会にもっと多くの権限を与えること)を強調するにとどまった。しかしこの主張は、SPDが断言した立場と大きく異なるものではなかった。
トロイカの政治によって悲惨の只中に真っ逆さまに突き落とされた。例えばギリシャの何百万人という人々の絶望的な状況をわれわれが見ている時に、左翼党は、この問題を選挙キャンペーンの中心に置くこと、そしてギリシャの左翼との緊密な協力の下に、そうした政治のスキャンダラスな本性を体系的に指摘することができなかった。

党内外の反資本主義勢力結集へ


全体的に深まる分極化の中で、ポピュリストと極右勢力は、急進左翼の諸勢力よりも全体としてはるかに強力となった。しかしそこにはいくつかの重要な例外があり、ギリシャの事例がもっとも重要だ。そこではSYRIZAが、他のあらゆる政党を打ち負かす選挙上の強さを獲得している。SYRIZAが率いる政権は今、ギリシャの広範な大衆の希望だ。しかし、トロイカの政治と非民主的なEUに対してだけではなく、反革命的絶望の勢力である、登場中のあるいは強化された右翼諸潮流に対しても対抗するためには、急進左翼諸勢力、諸々の社会運動、労働組合の階級闘争諸潮流を行動の中で結集することもまた、もっとも重要な方策となるだろう。
ドイツにおけるわれわれのもっとも重要な任務は、左翼党内部で鮮明な国際主義的路線を支持する多数派を勝ち取り、党内外のあらゆる反資本主義諸勢力を結集することだ。

▼筆者は、ドイツにおける第四インターナショナルの公然二分派の一つであるIsL(国際主義的社会主義左翼)の全国調整機関メンバーであり、ケルンにおける左翼党メンバーでもある。(「インターナショナルビューポイント」二〇一四年七月号)

イギリス

反緊縮! ロンドンで数万人がデモ

民衆的抗議の夏へ 号砲

次は7・10の公務員ストだ!

フレッド・レプラート

スト準備中の労
動者が大挙結集

 「民衆総会」が呼びかけた六月二一日のロンドン都心反緊縮デモには数万人が結集した。この年で最も長く熱いこの日、労組活動家とキャンペーン活動家は、公共サービス、生計賃金さらに全員のためのまともな年金に資金を向けるための、緊縮に対置された富裕層課税を基礎とするオルタナティブを求めて結集した。
 最大の隊列は七月一〇日にストライキ行動を準備中の教員組合、NUTの隊列だった。英国最大の労組であるUNITEと市民サービス関連労組のPCSもまた、彼らの組合員を大量に動員した。一方消防士組合のFBUは、彼らの年金に対して提案された変更に関して現在ストライキに入っている組合員が並進する形で、退役した消防車を持ち出した。さらに、「われわれのNHS(全国民に普遍的な医療を保障している英国の公的医療事業:訳者)を公的事業にとどめよ」や「削減に反対する障がいを負った民衆」のような、地方的キャンペーングループや全国的な同グループの幅広い参加もあった。
 このデモの規模は、「民衆総会」を反緊縮の全国連合として確立した。このデモはさらに、公共部門諸労組による七月一〇日に設定さた協調ストライキ日に向け、民衆的支援を動員するための土壌をも準備している。

政府を後退させ
る巨大な行動へ


公共部門の労組であるUNISON、UNITE、PCSが、年金と賃金をめぐってNUTとFBUに合流する動きになっている。この後数日の内にこれらの組合は、彼らのスト権投票の結果を発表するだろう。王立助産師協会ですらが、保健相のジェレミー・ハントが彼らの賃金評価機関が勧告した一%引き上げを拒否したが故に、ストライキ行動に関し話し合いを続けている。
「民衆総会」のデモは、七月一〇日の公共部門ストライキ後に続く予定の抗議行動の夏に向け口火を切った。これらの行動には、八月一六日ロンドンに向けジャロウを出発する「NHSのための民衆行進」、ニューポートにおける八月三〇日の反NATO抗議行動、さらに一〇月一八日の、英国における賃金引き上げを要求するTUC(全英労組会議)集会・デモが含まれている。公共部門諸労組を巻き込んでいる諸争議に解決がまったくない場合、秋にはさらにストライキの日々がくる可能性が迫っている。
キャンペーンは、緊縮に対するオルタナティブに向け、来年五月に予定されている総選挙への助走の中で人々に届くよう始まった。しかしながら、政府をその攻撃から後退させるためには、諸々のデモの大きさとストライキ行動の規模は、今あるよりも相当に大きくなければならないだろう。
二〇一一年三月のTUCのデモは、五〇万人という強さを見せ、二〇〇三年の反戦デモ以後では最大のものだった。昨年マンチェスターにおける保守党大会会場の外側では、六万人が行進した。今や、労組とキャンペーン運動の全勢力が、一〇月一八日のTUCデモを少なくとも三年前のデモと同じ規模とするために動員されなければならない。

労働党に代わる
左翼が今決定的


政府と経営者を後退させるためには、大デモと大ストライキが絶対的に必要とされている。しかしわれわれはまた政治的オルタナティブをも必要としている。労働党内のミリバンド(党首、左派と目されている:訳者)の個人的提案に関する騒ぎは方向が全面的に間違っている。心配すべきなのは党の政策についてであって、その指導者の個性についてではない。最低賃金や私的な財産所得に対する統制、ないしはレール所有私企業(英国での国鉄分割民営化では、レール関連、信号関連など、機能毎の分割も含めて私有化された:訳者)の契約を更新しないことに関する少数派の意思表示は、歓迎できるとはいえ不十分だ。
労働党は緊縮と新自由主義を全面的に奉じてきた。ミリバンドの下の労働党政権は、たとえ選出されたとしても、オランドの下の社会党政権や、PASOKが参加するギリシャのサマラス連立政権とまったく異ならないと思われる。党の針路が変えられる可能性があるとの期待を与えてきたかもしれない労働党の民主的な回路は、これまでに全面的に破壊されてきた。たとえば「モーニングスター」紙がやっているように、労働党を「日和見主義、出世主義、エリート主義、大企業への気遣い」から呼び戻すことは可能だと論じることは、信頼性を全面的に欠いており、運動を袋小路に落ち込むように導いている。
われわれは今日、社会主義的な政治的オルタナティブのための基礎を据える必要がある。それは、新労働党が銀行家とビッグビジネスに忠実であるとすれば、それと対極な形で労働者階級に忠実なオルタナティブだ。それは今日、新たな大衆的で幅広い政治組織を生み出すために歩を進めることを意味している。その歩みは、ギリシャのSYRIZAやスペインのポデモスからの息吹を受け取るものだ。左翼のための政治的戦場を空のまま残したり、労働党を呼び戻すことが可能だと期待したりすることは、選択肢ではない。それは人びとを、怖れを通してUKIP(EU議会選では英国第一党となった右翼の英国独立党:訳者)の腕の中に追い立てられるままに取り残すことだ。
その代わりに統一左翼は、希望を与える反緊縮政党となる大志をもっている。

▼筆者は第四インターナショナル英国支部であるソーシャリスト・レジスタンスの指導的メンバー。(「インターナショナルビューポイント」二〇一四年六月号)


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