パキスタン 宗教的原理主義の成長―攻撃と反攻
本質は政治的攻撃、討論と
組織化によって解体すべき
ファルーク・タリク
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以下では、パキスタンの現状を中心に、南アジアでの宗教的原理主義運動の影響力拡大と、そこから生じている民衆の諸権利に対する抑圧状況が報告されている。中東地域を含め宗教的原理主義の問題は、左翼にとって重大な課題となると思われる。各国における極右の台頭とも重なる側面もあると思われ、今後を考える参考としていただきたい。(「かけはし」編集部)
南アジア一円で反動の波高まる
パキスタンは今ファナティシズムの増大を前にしている。二〇一三年の国政選挙における右翼のムスリム連盟、並びにパキスタン・テレエク・インサーフの勝利後はさらに、右翼的考えがもっとはびこっている。禁止されたネットワークが、違う名前を名乗ることで、あるいは時に元々の名前の下にすら、公然と活動ができている。
この右翼的転回と一体となって、モスクには参拝者が溢れている。若い男たちはなお一層、ムスリムとしての帰属性を示すためにあごひげを伸ばしている。宗教は、議論を封じ込めるために利用されている。暴力はある種基準となってしまっている。
急進的ジャーナリストや人権活動家に対する狙いを定めた殺人がすでに起きている。これは、左翼、社会民主主義、急進的自由主義、労働組合、小農民、女性、少数派の権利、さらに若者、こうした諸々の運動組織にとって危険な情勢だ。
しかしパキスタンが例外なわけではない。南アジア全体が右翼的理念の虜になっている。政権に着いたいわゆる進歩的で民主的な諸政党は、勤労大衆の前に立ちはだかる基本的課題の何らかでも解決することに失敗してきた。過激な右翼政治諸傾向はそのことに応じて定着することになった。このことは、保守的理念が過去テストにかけられ、人間的な発展という課題に取り組むことにそれらが悲惨な失敗に終わった、という事実にもかかわらず起きているのだ。
その最新例は、二〇一四年五月に行われたインド総選挙における、ナレンドラ・ダモダルダス・モディ指導部の下での、保守派のインド人民党(BJP)の地滑り的勝利だ。二〇〇二年の時期モディは、アーマダバードにおけるムスリムの大量虐殺に責任があったグジャラート州政府を指揮していた。実際にもBJPは、共同体間に分極化を作り出すための全体調整されたキャンペーンの一部として、モディの先の勝利を打ち固める目的をもって、国の様々な地域で共同体間暴力を押し進めた。
ナレンドラ・モディの勝利は、パキスタンの宗教的原理主義者たちを誇らせることとなった。伝統を誇る「ムラ―・軍連合(MMA)」はより公然と見えるものになろうとしている。ハミド・ミルが、彼に傷を負わせた組織的な襲撃について、ISI(パキスタン軍統合情報部)を告発した際、MMAとジャマート・ダワを含む極右宗教グループのほとんどは、国のこの「機関」を守るためにいくつかのデモを組織した。
パキスタンでは、イスラムの宗教的原理主義は、その反インド感情を力づけるためにあらゆる機会を利用するのだ。極端なネオファシスト理念のこうした成長の直接的結果として、宗教的少数派は今国を逃げ出しつつある。キリスト教やヒンズー教の共同体メンバーは、我を忘れた興奮で犠牲にされるのを待つまでもなく、むしろ国を離れるよう強いられていると感じている。
進歩的社会政策への意識的攻撃
さかのぼれば二〇〇六年時点で、この宗教的原理主義の広がりは、世界的に知られた急進的知識人であるノーム・チョムスキーによって予測されていた。彼はステファン・シャロームのインタビューに答えて「宗教的原理主義は過去二五年で、初めて主要な政治勢力になった。私が考えるにそれは、進歩的な社会的諸政策を掘り崩そうと試みる意識的な作業だ。急進的な諸政策ではなく、むしろ先立つ時期の穏健な社会民主的諸政策が深刻な攻撃の下に置かれている」と語った。
もっとも権威のある急進的知識人がはっきりと標的とされた。宗教的原理主義は、特に南アジア地域全体にとって、また世界全体にとって、もっとも深刻な攻撃となった。それは一国、また次の国と、掌握を進めつつある。
宗教的原理主義とは何だろうか? 基本的に用語としての原理主義は、基本文書への回帰、およびそこで定められた諸制度と法を可能な限り厳密に再導入することを意味している。それは同時に、伝統の教条的な守護を意味することにも帰着している。その正統派信仰は、頑なさと近代社会の否定を育てている。それは社会が戻るべきモデルとして、「黄金時代」を掲げる。イスラム原理主義者たちは、われわれの前にある貧困と社会的諸問題からの出口として、「イスラムの黄金時代」という夢想を利用してきたのだ。
パキスタンの場合、イスラム原理主義成長の主要なツールはマドラサ(コーランを教える教育施設)だ。保守派の評価によれば、およそ二万カ所のマドラサがある(USCIRF二〇一一)。そこには、デオバンディ、バレルヴィ、シーア、アレーハディス/サラフィ(ワッハービ派イスラムのサウジアラビア版と結んでいる少数宗派)、そしてジャマート・エ・イスラミという、宗派と政治路線に沿って分かれている五つの主な類型がある。デオバンディマドラサに属しているそれらの八二%は、タリバンを彼らのモデルと見ている(アリ、二〇一〇年)。
パキスタンで実行されたテロ活動のほとんどはこれらのマドラサに結びついている。これらの施設は、政府予算総額の二%以下しか教育に費やされていない国で、公立学校のオルタナティブとなってきた。
宗教的慈善活動に対するほとんどすべての寄付はマドラサの金庫に収まっている。そしてこれらの施設は裕福になった。もっとも値の張る高級車は、イスラム諸政党や過激で病的に凝り固まった宗教的グループの指導者たちによって使用されている。
全土貫く大衆行動組織化を追求
われわれは過激で危険なグループの成長をただ論評し、動きを追いかけるだけにすべきなのだろうか? それは違う。それはわれわれの命もわれわれの階級もわれわれの社会も救わないだろう。そのような無活動は、ただわれわれのもっとも危険な敵を助けるだけだろう。
ある者たちは、この原理主義の脅威を取り除くために、米帝国主義とその同盟者に期待をかけている。しかしこれこそこれまで機能してこなかった。また機能する可能性もない。その「開発計画」と組み合わされたあらゆる米国の軍事解決策にもかかわらず、原理主義はこれまで成長してきたのであり、これからも成長を続けるだろう。
他の者たちは、宗教的原理主義者たちを反帝国主義勢力だと見ているのかもしれない。しかしそれらはそうではない。彼らの権威主義と暴力は、労働者と小農民を解放する力とはなり得ない。
それでも他の者たち――たとえばPMLN(パキスタンムスリム連盟・ナワズ、政権党)、PTI(パキスタン正義運動、国会内第2位勢力)――は、あらゆる頑迷なグループの中でもっとも残忍なグループであるテレーク・タリバン・パキスタンとの対話を選択している。しかしこれは、パキスタン軍、警察、情報機関、さらに普通の人々に敵対するテロ活動を正統化することになったに過ぎない。
原理主義は、一つの政治的攻撃であり、それは議論と組織化によって解体されなければならない。即時の対応は、労組、急進的な社会運動と政治運動、およびその組織の、宗教的原理主義が表現する危険に対する理解に基づく、統一した幅広い基盤を持つ連携でなければならない。鮮明な政治的綱領には、それとそれによるテロ攻撃への反対が含まれるだろう。
この連合に向けた鍵は、ファナティシズムに反対し、原理主義が脅迫を行っている人々を守る、パキスタン全土を貫く大衆行動の組織化となるだろう。この連合は、この国で生活し働く者すべての安全を保障する進歩的な法を守る必要がある。どのような課題であっても、問題の過激グループとの共同行動など、決してあってはならない。
国家諸機関は、宗教的原理主義諸組織のあらゆる形態との結びつきすべてを断ち切らなければならない。その結びつきこそが、原理主義者の成長と力の実体的源なのだ。まさにそれらのつながりが切断されなければならない。国家諸機関はもはや、テロリズムを見て見ぬふりをすることは許されない。そうではなくテロ活動は止められなければならない――そしてそれは、軍とISIが宗教的原理主義とのつながりを切った時に可能となるのだ――。この過激派の支配下に置かれてよい地域など、パキスタンにはまったくない。
教育は国家の最高優先課題でなければならない。市民すべては、無料の教育のために等しい機会を与えられる必要がある。出発点として、連邦教育予算は即刻GDPの一〇%へと引き上げられるべきだ。宗教的マドラサに対する補助金は止められるべきであり、主なマドラサすべては国有化されなければならない。
封建制度を終わらせるために、農地は土地をもたない小農民へ無償で配分されなければならない。この大規模な農地改革と並んで、労働者階級の賃金は、月額最低一万ルピーから二万ルピーに引きあげられる必要がある。さらに成人失業者全員に対して、国家が保障する失業手当を制度化する必要がある。これらの改革は原理主義者の宣伝の根を断ち切るだろう。
宗教的国家が宗教的ファナティシズムに有効に対処することなど不可能だ。宗教は国事から切り離されなければならない。
見解を同じくするグループと政治的諸政党間の同志的関係と連帯という強力な地域的、国際的基盤は、先の仕事を強化すると思われる。宗教的原理主義の進入に対する有効な対応は、国家間の関係ではなく、民衆間の諸々のふれあいにこそある。(「FIアジアメーリングリスト」より)
バングラデシュ
緊急アピール
労働組合運動への妨害
と弾圧の停止を求める
ナズマ・アクテル
ガジプールのラアイ・RMG・ウォッシングプラントという工場で、労働組合活動へのひどい妨害が続いていて、ナズマ・アクテルさんの組合「統一衣料労働者連盟」(SGSF)の組合員が解雇されているそうです。この工場はこの地域のRMG(既製服)工場にサービスを提供しています。(「かけはし」編集部)
「この工場の労働者は、残業手当の不払い、残業の強制、その他の労働法違反の問題に対処するため、(SGSF)の支援を受けて労働組合を結成し、今年一月一六日に組合登録が受理されている。
組合登録が受理された直後から、組合役員に対して仕事をさせない等の嫌がらせや脅迫が続いている。四月以降は執行委員のほかに一般組合員にも同様の嫌がらせが行われている。組合の会計のロジナさんは妊娠中にもかかわらず夜勤を命じられている。
また、組合の切り崩しを目的として、非組合員の賃金を引き上げ、組合員の賃金を据え置いている。四月一六日には組合書記長のナズルル・イスラムさんが会社の事務所に呼び出されて暴行を受け、解雇を通告された。組合はダッカの労働局に苦情申し立てを繰り返しているが、何の対応もない」。
この要請書の提出の後、組合員に対する攻撃はさらに強まっており、組合員に対する解雇や暴力が頻発している。
組合活動を理由に解雇された労働者の数は六〇人に達している。会社側はナズルル書記長をはじめ三人の組合員に対して、でっち上げの刑事告訴を行った。組合は三月に会社に団体交渉を申し入れたが、会社側は拒否している。これは労働法に反している。
組合の会計のロジナさんも五月一八日に解雇された。解雇された労働者の代わりに雇用された労働者たちは、採用にあたって組合に加盟しないことを確約させられている。
SGSFは次の要求を掲げて、支援を訴えている。
解雇の即時撤回と、解雇期間の賃金の支払い。
組合との団交に応じること。
三人の組合員に対する告訴の取り下げ。
組合活動への妨害をやめ、責任者を処罰すること。
連帯のあいさつをもって。
Nazma Akter
President
Sommilito Garments Sramik Federation (SGSF)
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