5.9シンポ「秘密保護法と国際人権基準」
元米政府高官も厳しく批判
情報は何よりも市民のもの
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市民社会からの
ヒアリングぬき
五月九日、国際シンポ「秘密保護法と国際人権基準(ツワネ原則)」(主催‥実行委)が全電通会館で行われ、一八〇人が参加した。
実行委は、特定秘密保護法廃止運動の一環として国際人権基準(ツワネ原則)から大きく逸脱していることを明らかにするためにツワネ原則策定に参加したモートン・ハルペリンさん(元アメリカ政府高官)を招き、論議を深めた。
「状況解説」について海渡雄一弁護士は、「モートン・ハルペリンさんは、日本で特定秘密保護法が制定されたとき、『この法は、二一世紀に民主政府によって検討された秘密保護法の中で最悪なものです。同じく懸念すべきは、公共の関心に関する事柄は、市民社会や国際的な専門家からの広いヒアリングと相談を行っていないことです』と批判していた。数々の秘密情報に接してきたアメリカの安全保障の専門家の立場から見ても、秘密保護法が政府の恣意的な秘密指定を防げないものであることを説得力をもって語っていただけるでしよう」と述べた。
日比野敏陽さん(新聞労連委員長)から開会あいさつが行われ、シンポの経過、特定秘密保護法廃止運動の取り組みなどを報告した。
米国からの強い
要求があったか
ハルペリンさんは、基調講演を行い特定秘密保護法に対して次のように批判した。
@世界の基本原則では、政府が持つ情報はその国の市民のものだ。安全保障など特別な目的で情報の秘匿は可能だが、その範囲は非常に狭く精密な限定をかけねばならない。
A運用には司法の監視が必要で、開示による公益がまさる場合は秘密にできないという決まりも必要。秘密保護法には、それらの規定が全くない、秘密指定が解けた後に廃棄されれば〈情報の所有者は国民〉の原則に反する。
B情報を秘密指定できる条件を具体的に定め、公益がまされば秘密にできないと規定し、国民が異議を申し立てる監視機関を置くことが必要。そうでなければ、美しい言葉の条文があっても、政府は秘密にしてはならないものを次々に秘密指定する。
C民間人・ジャーナリストに刑事罰が課せられ、公務員に対しては解雇など行政処分が国際原則であるのに、日本の法律は刑事罰になっていることも問題だ。内部告発者の保護も配慮されていない。
会場からの「安倍政権が秘密保護法制定にあたって『米国から強い要求があるから』と説明してきたがどのように評価しているか」という質問に対してハルペリンさんは、「米日両国間の安全保障をめぐる協議のために、秘密保護のためのより強力な法律が必要だという発言はまったくなかった。言論の自由、知る権利に関わる法律の制定は慎重に行わなければならないのに、日本では刑事罰まで盛り込む重大な法律をきちんと手続きを踏まず急いで成立させた」と批判した。
閉会あいさつを小川隆太郎さん(秘密保護法対策弁護団)が行った。 (Y)
安倍政権の狙いは?
ツワネ原則
無視の暴挙
【解説】ツワネ原則とは、五〇項目からなる「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」。世界七〇カ国以上から五〇〇人を超える専門家により、作成された。二〇一三年六月に南アフリカの都市・ツワネで採択された。
海渡さんは、「原則の策定には、国際連合、人および人民の権利に関するアフリカ委員会、米州機構、欧州安全保障協力機構の特別報告者が関わっている。ツワネ原則を作成する際に、そのもととなった考え方は、自由権規約一九条のもとで発展してきた国際人権法の考え方であり、日本政府はこのような考えを守るべき国際法上の義務を負っている」と強調している。
なおハルペリンさんは「(米国から)秘密保護のためのより強力な法律が必要だという発言はまったくなかった」と発言しているが、安倍政権による法案制定の加速化は、日米のグローバル安保の実戦化にむけた米国による米軍情報防衛のための「秘密軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)(二〇〇七年)のレベルアップにねらいがあった。
二〇一三年一〇月三日にケリー米国務長官とヘーゲル米国防長官が来日し、日米両政府で外務・防衛担当閣僚協議会(2プラス2)で合意した「より力強い同盟とより大きな責任の共有に向けて」の共同文書で「情報保全を一層確実なものとするための法的枠組みの構築における日本の真剣な取組を歓迎する」と明記していた。安倍政権は、この合意をバネにして日米の軍事的実戦の相互運用性を高め、集団的自衛権の行使を「積極的平和主義」などと称して改憲の先取りの既成事実化へと突進していった。
つまり、安倍政権は米国の圧力を利用しながらも、独自指向のグローバル派兵国家建設のために特定秘密保護法を強行成立させたのである。 (遠山)
5・14横堀現闘本部撤去裁判
司法の不当性を暴き出せ
三里塚空港に反対する連絡会
五月一四日、千葉地裁(金子直史裁判長)で成田国際空港会社が三里塚反対同盟(柳川秀夫世話人)に対して横堀現闘本部撤去を求めた第一回口頭弁論(朽廃建物収去土地明渡請求事件)が行われた。
空港会社は、空港反対闘争破壊のために天神峰、東峰住民に対する追い出し攻撃を強め、連動して横堀団結小屋強制撤去(二〇一二年一一月二八日)に続いて成田空港横風用滑走路完成を阻む横堀現闘本部(芝山町香山新田)破壊にむけて二月六日、千葉地裁に提訴した。
現闘本部の土地は最高裁の不当判決(一三年四月)によって空港会社が所有権を強奪したが、本部建物と各所有物について一切触れることができないでいた。だが空港会社は、羽田空港新滑走路供用開始による成田空港の地位低下、アジア国際空港競争の劣勢挽回のために三〇万回離発着、空港拡張、安全軽視の格安航空会社(LCC)の誘致、離着陸制限時間の緩和圧力を強めている。あげくのはてに東京五輪による航空需要拡大などと過大需要をデッチ上げてさらなる過密運行、安全軽視、環境・人権破壊、空港公害の拡大をねらっている。あせりに満ちた空港会社は横堀現闘本部撤去を避けることができず、横堀誘導路の拡張なども含めて横風用滑走路完成化に突き進まざるをえないのだ。
空港会社の主張は、こうだ。
@原告―(一九九八年)「一月に開催された旗開き以降は一切使用していない」。
被告反論―一九九八年一月以降も諸々の行事や会合で使用していた。例えば、二〇〇四年八月七日、横堀香山稲荷神社前(横堀現闘本部ウラ)で横堀開拓一〇〇年記念式典を開催し、本部も使った。また、本部には、諸資料・パンフレット・書籍、餅つき道具(臼と杵)、テント、パイプ椅子などがあり、行事があるたびに本部に行き使用していた。
それにもかかわらず事前通告もなしに突然、二〇〇六年七月〜八月、空港会社が横堀十字路から本部に至る通路をバリケードを設置して封鎖を強行し、現闘本部の使用・管理権を剥奪したのである。空港会社の「一切使用していない」というのはまったくの嘘であり、バリケード封鎖は正当な措置であるという主張は成立しない。このような経緯があるにもかかわらず、本部撤去に向けてひた隠しするという稚拙な展開をしているのが実態だ。
A原告―「航行の安全に支障が生ずるおそれがあったことから、平成二〇年九月に本件物件の四方に鉄板塀を設置し、 囲繞した」。「長期にわたり使用されず放置されてきたこと……朽廃し壊滅状態となっている」。
被告反論―公道封鎖の事実に触れることもなく、事前・事後において本部を鉄板で囲み、通行・歩行権を剥奪したことを居直っている。反対同盟が「放置」してきたのではなく、空港会社が本部損壊の現状確認、補修作業を妨害し続けていたのが真相だ。本部への交通・歩行権が継続して確保されていれば、当然、本部と私物の使用を行っていた。空港会社の主張は、権利の濫用であり、勝手に本部撤去、私物処分をすることはできない。現状確認するために検証することは当然の権利である。空港会社は検証について「不要」などと排除したが、裁判所は認めるべきである。
このように空港会社の手前勝手、杜撰な主張であるにもかかわらず、横堀団結小屋破壊を強行したように現闘本部も司法権力の強制力を使って撤去することをねらっているのだ。司法権力は、国策としての成田空港の完成化にむけて空港会社を防衛しぬき、民衆の権利の否定を繰り返し追認してきた。千葉地裁―空港会社が一体となった敵対を許してはならない。
裁判闘争は、現闘本部を守りぬく闘いであり、木の根ペンション・プール、横堀の鉄塔・団結小屋・案山子亭など反対同盟の拠点強化である。安倍政権の成長戦略による空港乱開発・過密運行政策と真っ向から対決する闘いだ。裁判闘争への支援を訴える。
■裁判闘争費用のカンパ(1口 二〇〇〇円)を訴えます。
振替口座:00290―1―100426 大地共有委員会〈U〉 三里塚芝山連合空港反対同盟(世話人:柳川秀夫)
大地共有委員会U(代表:加瀬 勉)
〒289─1601 千葉県山武郡芝山町香山新田 90─5(案山子亭)/電話&FAX0479─78─8101
ブログ:http://
blog.livedoor.jp/kyouyutisanri/
■横堀現闘本部撤去裁判(朽廃建物収去土地明渡請求事件)/第二回口頭弁論 千葉地裁第601号法廷/七月九日(水)午前10時30分
コラム
「PC遠隔操作事件」はどこへ
警察が描く犯行ストーリーは、どこか漫画的でリアリティに欠けている。それを唯一の情報源にマスコミは、脚色や主観を加え、さらにおどろおどろしく事件を演出していく。その典型がたとえば、今なお「見えない手錠」をかけられ続けている狭山事件・石川一雄さんの確定判決である。
「疑わしきは被告人の利益に」――刑訴法の原則を持ち出すまでもなく、視聴者が冷静に考えればわかる。冤罪事件に取り組み、その被害者の汚名を返上しようと奮闘する当事者や支援者ならなおさらだ。大見出しが躍る洪水のような犯罪報道を、鵜呑みにはしないはずだ。
「パソコン遠隔操作事件」で一貫して無罪を主張。保釈が認められ、裁判でいよいよ無実が晴らされると期待が膨らむ矢先。被告のKは五月一九日夜、一転して犯行を認め、誤認逮捕された四人に謝罪した。
「江の島の猫の首輪に記憶媒体」、「荒川河川敷に埋めたスマホ」。犯人の行為としてはあまりに飛躍、そしてありふれ過ぎている。捜査に行き詰まった警察の、焦りを象徴するかのような経過である。だから私も、彼の無実を信じて疑わなかった。
手の込んだ脅迫を続けてきた割には、脇が甘すぎる。保釈中とはいえ、刑事の監視下にあることに気づかなかったのか。予約タイマーを使って「真犯人メール」を土中から送るなどまるで別人、素人のやり方だ。この行為が文字通り、墓穴を掘る結果になった。計算高いのか、がさつなのか。「サイコパス」という自己規定には、妙に説得力がある。
「あいつが犯人に決まってるじゃないか」。職場の同僚は勝ち誇ったように吐き捨てる。返す言葉を失う私。Kから告白を受け、記者会見した佐藤博史弁護士のうろたえぶりも痛々しいが、三月に保釈されて以降、どんな訴訟対策を立てていたのか。「足利事件」の名声で増長したのか。お粗末といわざるを得ない。
急転直下の展開を見せてはいるが、真実が明らかになるのはこれからである。この一件で「刑事の執念が実を結んだ」とか、「警察の捜査はやはり正しい」などと風評が広がるのはまずい。おりしも袴田事件・袴田巌さんが四八年ぶりに釈放され、姉やプロボクサーらからも祝福を受けた。「狭山事件」や「名張毒葡萄酒事件」は道半ばだが、長く厳しい闘いに、希望の光が差し始めている時期だ。
早まってはいけない。今はまだ、あくまで本人の「告白」の段階なのだ。精神が不安定なら、より慎重な対応が必要になる。「スマホからDNA検出」なる報道も、詳細はわからない。
警察の捜査能力が上がったわけでも、人権意識が向上したわけでもない。まず警察発表を、次にメディアの報道を疑うこと。これが私たちの原則と言えるだろう。 (隆)
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