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    かけはし2014.年5月19日号

国家による国家のための五輪強行に、広く異議ありの声を


4.12 東京オリンピックを様々な角度から批判


 


オリンピックは
許されるのか?
 四月一二日、太平洋資料センター(PARC)は、東京ウィメンズプラザで「検証!オリンピック―商業主義、ナショナリズム、東京改造、メディア―」を行い、約六〇人が参加した。
 第三二回夏季オリンピック(二〇二〇年)の東京招致が一三年九月に決まり、ビッグビジネスチャンスだとして大喜びで安倍政権、スポーツマフィア、財界、ゼネコンなどが一斉に動き出している。東日本大震災復興の遅れ、福島第一原発被災者の生活再建が進まず補償も不十分であるにもかかわらず、石原元知事は「三兆円の経済効果がある」などと放言した。すでに東京都は招致費用に二〇〇億円以上も使い、五輪関連費含めて約一兆五〇〇〇億円もかかると言われている。
 PARCは、このようなオリンピックをめぐる動きに対して@開催地は誰がどう決めるべき?Aオリンピックで暮らしや震災復興が犠牲に?B巨大施設建設で環境や住まいは?Cほんとうに「平和の祭典」なの?Dスポーツの商業化は是か非か?の論点を設定し、検証の取り組みを開始した。

問題点を指摘
抗議が次々に
論議を具体的に深めていくためにPARCは、ビデオ『検証!オリンピック―華やかな舞台の裏で』を制作し、シンポジウムの冒頭に上映した。
ビデオは、新国立競技場計画に対して批判する。三〇〇〇億円(当初一三〇〇億円)をかけた環境・景観破壊の強行に対し多くの建築家や文化人から計画見直しの要求があがったことを紹介する。
続いてオリンピックを批判する人々のシーン。
向井健さん(山谷労働者福祉会館活動委)が「再開発にともなって、貧しい人たち、特に野宿する人たちの追い出しが行われる」と批判。
新国立競技場建設に伴って立ち退きを迫られている甚野公平さん(都営霞ヶ丘アパート)が不誠実な都を厳しく糾弾する。
飯田陣也さん(日本野鳥の会)は、葛西臨海公園の三分の一を埋め立てるカヌー競技場建設計画に対して、「七四種の野鳥が観察されている。オリンピックの精神は、環境との両立を言っている。環境破壊を引き起こす計画は考え直してほしい」と訴える。
佐藤和良さん(いわき市議)は、「(福島の人々は)強制的に被ばくさせられた。土地を汚染されて故郷を奪われて、捨てられたという感じが強い。オリンピックそのものが原発事故の隠蔽、被害者の圧殺なのではないか」と強調した。
特別スピーチとして飯田陣也さん(日本野鳥の会)が葛西臨海公園のカヌー競技施設計画の見直しの取り組みを報告した。
首藤久美子さん(反五輪の会)は、「五輪返上」を合い言葉に二〇一三年一月に都庁前情宣を皮切りに反オリンピックコンサート、デモ、反五輪メッセージ運動を繰り広げてきたことを紹介し、連帯アピールした。

ナショナリズム
国家主導、浪費
シンポジウムは、三人のパネリストから五輪検証視点を提起した。
阿部潔さんは、「ナショナリズムとメディア―『昭和ノスタルジー』の呪縛を超えて―」というテーマ。
安倍政権の「日本を取り戻す」というアプローチからの「TOKYO 2020」の位置づけについて分析し、メディアが「『過去』を自己愛的に美化し、正当化するノスタルジーに支えられたナショナリズムの高まりは、『来たるべき未来』の可能性を著しく制限する。現行メディアは、そうしたノスタルジーとナショナリズムに大いに加担しているといえる」ことを明らかにした。
また、「今こそメディアには、政治的に利用されるような『2020東京オリンピック』に加担した報道ではなく、未来への閉塞感を不可避的に伴う『昭和ノスタルジー』の呪縛から抜け出すうえで『スポーツすること』にどのような潜在的可能性があるかを、醒めた視座から問いかけることが期待されている」と問いかけた。
谷口源太郎さん(スポーツジャーナリスト)は、「オリンピズムを壊すナショナリズム」に焦点を当てて問題提起した。
「東京オリンピック大会組織委員会の会長に森喜朗元首相が就任した。『日本は天皇を中心とした神の国』とする時代逆行の復古主義、国粋主義の森を組織委員会のトップに据えたことだけでも『オールジャパン体制』といっても明らかに国家主導だ。安倍政権による『戦争する国づくり』と憲法改正にむけてオリンピックの政治利用、国民総動員を考えている。国家による国家のための東京オリンピックの危険な政治性格を明らかにしていくことが必要だ」と発言した。
福士敬子さん(前都議会議員)は、「オリンピックのための招致と開発の予算のおかしさ」について@招致活動経費(七五億円)の支出内容の詳細が不明A申請ファイル作成契約金がいずれも巨額な額となっているBIOC評価委員会対応費(六億円以上)の書類の内訳が「黒塗り」で不明など、都の情報公開を否定する姿勢をとり続けていることを批判し、招致反対の取り組みを報告した。
さらに舛添都知事のソチ五輪出張費が三〇〇〇万円以上の問題、莫大な予算をかけて競技施設を建設していくが、いずれもその後の維持費が膨れあがることを知っていながら税金で負担していけばいいという無責任なレベルでしかないことを批判した。

パラリンピック
の歪曲が広がる
質疑に入り、「パラリンピックの検証視点をお聞きしたい」という質問に対して谷口さんは、「オリンピック・パラリンピックを一緒にする言い方は使わないようにしている。オリンピックは文科省が管轄し、パラリンピックは厚労省が管轄していた。そもそもパラリンピックは、障がい者のリハビリのためのスポーツを取り入れ、振興のためにあった。メダル競争のためではない。だからオリンピックと一緒にしてはだめだ。だが四月から管轄が文科省に統一した。競技を公平にするという名の下に障がい度を正確に報告させるという差別を拡大している。この問題は深刻化する」と指摘した。
最後に主催者は、ビデオ『検証!オリンピック―華やかな舞台の裏で』の上映を草の根で行い、継続してオリンピック検証の論議を広げていこうと呼びかけた。        (Y)

4.15 けんり春闘総行動

雇用と権利の破壊許さない

安倍政権との徹底対決宣言


春闘はまだまだ
怒りの行動終日
 四月一五日、14けんり春闘中央総行動が「すべての労働者に賃上げを! 労働法制改悪反対! 原発再稼働反対! 集団自衛権容認反対!」をメインスローガンに、同全国実行委員会に結集する官民の労働者総掛かりの行動として終日展開された。
 皮切りは、午前九時からの東部けんり総行動。東部地域の労働者を中心に、四カ所の争議事業所に対する抗議・解決要求行動が連ねられた。午後一時三〇分からは、全国からの代表も加えた全国的結集の下に日本経団連への抗議・要請行動が行われたが、この行動には普段の何倍ものガードマンが配置されていただけではなく、何十人もの公安警察官が監視に当たるなど、異様な威圧態勢が取られた。
 あたかも経団連を聖域化したいかのようなそれらの態勢など一切意に介さず、経団連に対する行動はいつも通り堂々と貫徹され、闘いは首都高本社前集会、厚労省前集会へと連続的に引き継がれた。そして、午後六時からの総決起集会とその後の銀座デモでこの日の行動は締めくくられた。
 この行動すべてを貫いたものは何よりも、春闘はまだまだこれから、という強い思い。それこそが、中小職場の労働者や非正規の労働者の実態だ。日本の労働者の圧倒的多数を占めるこれらの労働者を蚊帳の外に置いたまま、賃上げ実現と平然と言い放つ安倍政権に対し、そのままで済ますものか、生活防衛は自らの闘いで果たすとの怒りのこもった意志が、この日まさに行動として突き出された。

経団連、首都高
厚労省包む抗議
経団連前では全港湾の伊藤委員長を筆頭に何人もの発言者が、日本経団連の賃金抑制策、労働法制改悪策動と格差拡大策、中小企業イジメ、破廉恥な外国人労働者使い捨て拡大要求などに厳しい批判を叩き付け、そのようなあくどいばかりではなく持続可能性もない姿勢を直ちに改めるよう強く求め、そこに向けストライキで対決しその全体化をめざす、と決意を表明した。また全造船関東地協の代表からは喧伝される大手ベースアップについて、その中味は職能給部分への配分がほとんどであり、結果としてエリートに偏る賃上げでしかなく、大手の中でも格差拡大になっていると、一般メディアが伝えない実態が明らかにされた。
首都高本社前では全国一般全国協の平賀委員長が、中小ではこれからが春闘本番と闘いへの檄を飛ばすと共に、あの猪瀬が主導したハイウェイ民営化の実態が下請け労働者の極端な賃金カットでしかなかったと鋭くえぐり、一歩も引けない闘いが続いていると連帯を訴えた。また介護労働者組合の仲間は、介護対象者へのイジメまで起きるほど、と介護現場の厳しい実態を訴えると共に、外国政府との協定で始まった外国人労働者導入が技能実習生「活用」という形で使い捨て方針に変えられようとしている、と警戒が呼びかけられた。
厚労省前では金澤全労協議長を皮切りに、労働者を守る官庁であるはずの厚労省が派遣法改悪をはじめとする労働法制改悪の尖兵となっていることに厳しい批判を浴びせる発言が続き、安倍政権と徹底的に対決する労働者の決起で応えることを決意し合った。中でも、一一年間NTTの臨時社員として働いた上で雇い止め解雇された労働者は、労働基準監督署に求めた指導が散々引き延ばされたあげくに企業に非なしとされたことに、厚労省はわれわれをどうしたいんだ、と直裁に怒りを叩き付けた。

今こそストライ
キでけじめ必要
前述の行動を集約する「14春闘勝利中央総決起集会」では、各地、各産別から闘いが報告され、今後に向けた決意が確認された。中で宮城全労協の大内議長は、先の見えない被災地の現状と地場賃上げ皆無の実態を報告しつつ、格差は地域格差としても深まっていると注意を喚起し、ストライキに決起しつつ労働法制学習会や女川原発再稼働反対の幅広い結集に取り組んでいる、生きるけんり、働く権利を求め復興含めて通年的闘いをめざしていると決意を述べた。
またJAL原告団の鈴木さんは、来月に迫る高裁判決に向けてこの間取り組まれた闘いを報告しつつ、不当解雇後現場では、要員不足に加えパワハラが横行するなど安全にも影響するひどい状況が進んでいる、被解雇者の職場復帰を拒否する会社の論理は破綻している、判決いかんに関わらず現職復帰をめざすと決意を述べ、ともに闘うと訴えた。
また全港湾の松本書記長からは、全国港湾連合会と日本港運協会との間で確立されてきた産別協定を今年港運協会側が崩そうと動いたことに対し、全国港湾として港を止める三波のストライキを貫徹し阻止、産別最賃も守り向いたと闘いが報告された。そして今後この産別協定を現場で空洞化させないための闘いに進むと決意が述べられ、歪んだ経済を立て直すため、安倍の反動を打ち砕くため、ストライキでけじめを付けようと、力強い呼びかけが行われた。
ここで確認し合った決意を胸に全体は力強い銀座デモに移り、歩道橋からまた沿道からデモをみつめる人々に、自らの力で生活防衛に立ち上がること、そのような闘いが現にあることを力一杯訴えた。(神谷)

 


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