「集団的自衛権」の行使は戦争だ
安倍政権の「戦争国家」づくりを止めろ
5.3 東京
日比谷集会に3700人
今こそ平和原則を生かそう
やってはならぬことに踏み込む安倍
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五月三日、六七年目の憲法記念日集会は安倍政権の「閣議決定」による「集団的自衛権」行使容認の攻撃のただ中で行われた。まさに歴代自民党政権の立場をも根底から覆し、改憲によることなく憲法九条を破壊するクーデター的「壊憲」の仕打ちがなされようとしているのだ。
この日、二〇〇一年以来毎年、東京・日比谷公会堂で開催されている「5・3憲法集会&日比谷パレード」が行われた。みごとに晴れわたった初夏のさわやかな気候の中で、日比谷公会堂を埋め尽くし、場外にも多くの人びとがあふれかえった。参加者は三七〇〇人。
「生かそう憲法 輝け9条」、「安倍政権の暴走を止めよう」をメインスローガンにした集会ではサブスローガンとして「日本を戦争する国にするな」「集団的自衛権行使反対」「秘密保護法廃止」「STOP!国家安全保障基本法」「東アジアに平和を」を打ち出し、当面する課題を明確にした。
多数決ですべて
決めてはならぬ
集会では実行委員会を代表して高田健さんがあいさつ。「従来にも増して憲法の根本原則たる平和主義が葬り去られようとしている。集団的自衛権行使を容認する閣議決定が夏までになされようとしている」と切迫した情勢を説明し、広範な反対運動を巻き起こそうと呼びかけた。最初のスピーチは、津田大介さん(ジャーナリスト/メディアアクティビスト)と青井未帆さん(学習院大学法学研究科教授)。
津田さんは、長年、自民党政権によって繰り返し確認されてきた「集団的自衛権行使は憲法違反」という立場が、同じ自民党政権の「閣議決定」による解釈変更によって「合憲化」されることが、いかに「道理に合わない」ことなのか、と訴えた。青井さんは「最近使われだした立憲主義という言葉」にふれながら、「政治は何でもできるわけではない。やってはいけないことがあるという感覚が大事だ」と語り、「政治にとっては短期的には多くの人びとに支えられているという民主主義が重要だが、同時に多数決ですべてが決められるわけではなく、少数者を多数者の意のままにさせてはならない。未来に向けて自由が守られねばならない」と語った。そして「集団的自衛権の行使容認は平和主義の原則に関わり、容認してしまえば九条の意味がなくなる。九条は政治を縛る力があるということが前提だったのに、それが奪われようとしているのだ」と注意を喚起した。
1分間アピールで
多様な視点共有
続いて初めての企画として一七人の一分間スピーチ。消費税、雇用、貧困、教育、靖国、ヘイトクライム、女性の権利、介護、障がい者、被ばく労働、沖縄、原発再稼働、国際協力、秘密保護法、自民党改憲案、集団的自衛権、若者の声の各テーマにそって当事者が発言。このうち「被ばく労働」に関しては全国一般全国協いわき自由労組の桂武さん、「若者の声」では高校生平和ゼミナールの仲間が、力強いアピールを行った。
恒例の社民党、共産党の党首によるスピーチでは社民党の吉田忠智党首と共産党の志位和夫委員長が発言。吉田さんは、東日本大震災から三年後の今も二七万人が避難生活を強制され、東電福島第一原発事故被災者への補償が打ち切られる現実に触れながら、憲法の各条文をかみしめる必要があると語った。そして「自衛のため以外の武力行使」の「限定的容認」はまさに「蟻の一穴」が崩される状況をもたらすと強調した。
志位さんは「安倍の企ては、海外で戦争をしてはならないという憲法上の歯止めを撤廃するもの」と語り、「安保法制懇」で語られる「日本の安全」とは内閣次第で無制限に広がるものだと指摘した。また安保法制懇の取りまとめ役である北岡伸一座長代理が「憲法は最高法規ではない。行政法の方が上位にある」とまで暴論を吐いていることに注意を喚起した。
集会後、数寄屋橋交差点を通り東京駅近くまでの「銀座パレード」。数寄屋橋交差点を過ぎたあたりから、歩道上の右翼から罵声が浴びせかけられたが、パレード参加者は毅然として「集団的自衛権行使反対」「憲法をこわすな!」の声を沿道の人びとに届けた。(K)
5.13 大阪
憲法記念日のつどいに3000人
鳥越俊太郎さんが講演
条文に私たちの意思を込めよう
【大阪】大阪城野外音楽堂で五月三日、九条の会・おおさかが主催する憲法記念日のつどいが開かれ、三〇〇〇人を上回る人々が参加した。
松浦悟郎さん(カトリック大阪大司教区補佐司教、九条の会・おおさか呼びかけ人)が開会のあいさつをした。松浦さんは、「私たちはここで今、憲法は危機的な状況にあるという思い、また憲法はこのときのためにあるという共通の思いを持って集まっている。憲法がつくられたとき、いつか国家が暴走を始めたときのことを想定してつくられたと思う。私たちは、憲法を一つ一つの文字で終わらせてはいけない。そこに私たちの意思を込めなくてはいけない」と述べた。
国家がこんな
目に合わした
来賓のあいさつをした一九三五年生まれの竹澤團七さん(文楽三味線奏者)は、小学生のときの思い出を紹介し、「小学生の時B29が裏山に墜落し、その現場を見に行った。米兵の腕が落ちていた。一緒に行ったお兄さんがその腕を足蹴りにしたら、もう一人のお兄さんが、そんなことするものではない、死んでしまえば同じ仏さんだ、と言った。優しいこのお兄さんの言うとおりだと思った。そのとき後ろから背広を着た人が三人出てきて、そのお兄さんを羽交い締めにしてどこかへ連れて行った。そのお兄さんは二度と帰らなかった。どうしたのだろうと近所のおじさんに聞いたら、非国民だとさんざんたたかれ、もう生きているかどうかわからない、と言われた。もう一つは、玉音放送を聞いたときのこと。父親は泣き崩れて、起きることができなかった。母親はしゃがみ込んだが、顔はにこにこしていて、私を抱き寄せた」という話。
また、竹澤さんは新藤兼人監督の『原爆の子』のことを話し、「息子夫婦は原爆で死に、自身も原爆被害でやがて死ぬだろうという主人公が息子夫婦の写真に向かって、誰がこんな目に遭わしたんじゃ、それはアメリカでもない、原爆でもない、日本の国家がこんな目に遭わしたんじゃ」と絶叫するシーンを思い出すという。国家とは何だろうかと自問する。オリンピックの時はもしかしたら日本は米国の戦争の下働きをしているかもしれないと思うと、東京オリンピックは嫌いだ。もう一つ、明治維新以来日本は昭和二〇年までずーと戦争してきた。だから維新という言葉も嫌いだ。「この主張は、三味線の糸が切れてもずっと続けていきたい」、と語った。
戦争経験者の
世代的義務は
続いて、初芝立命館中学校高等学校吹奏楽部の演奏が行われた。その後、 鳥越俊太郎さんが「メディアと九条を考える」と題して講演をした。鳥越さんは、集団的自衛権に反対し、憲法九条を守るのは、戦争を経験した僕らの世代に課せられた義務だと言い切っている。(講演要旨別掲)
吉田栄司さん(九条の会・おおさか事務局長、関西大学法学部教授)は情勢報告で、読売・産経・朝日・毎日・日経各紙の五月三日の社説を紹介した。読売・産経は集団的自衛権行使に賛成で、政府の尻をたたいている。朝日・毎日は反対、日経は中間だと述べた。
集会の最後に、地域・職域・分野別九条の会(大阪府下で七〇〇を超える)の一部が登壇して紹介された。
中村新太カさん(医科歯科九条の会世話人、歯科医師)が閉会のあいさつをした。
閉会後、京橋までデモが行われた。
ちなみに、翌日五月四日付け毎日新聞は、このつどいを全く記事にしなかった。他の新聞はどうだっただろうか。 (T・T)
鳥越俊太郎さんの講演から
メディアの責任を問う
どのような未来をつくるか
戦争放棄を誓った憲法は他にない。日本国憲法にノーベル平和賞をと申請したが、人ではないのでだめだとなった。では日本国民に出してと申請し、ノーベル委員会がこれを受け付けた。もらう可能性はある。もらうことになれば、安倍首相はどうするだろうね。ノーベル委員会による適格検査で安倍さんはだめだとなったら、熱心に憲法を守った国民の誰かがもらえばいい。それはそれで、大いに話題になる。
戦後もベトナム戦争をはじめいろいろな戦争があったが、日本は一貫して戦争はしてこなかった。自衛隊(憲法では戦力を保持しないと書かれているけど、ずるずると戦力になってしまったが)は一人の外国人も殺していないし、一人の自衛隊員も殺されていない。実はイラクに派遣された航空自衛隊は武装米兵を空輸していた。これは明らかに、戦闘行為にあたる。対空砲火で弾があたれば、自衛隊に犠牲者が出ていただろう。きわどいところまでいっているが、自衛隊は一発も撃っていない。これは自衛隊が賢いからか。もちろん賢いが、日本国民の九条を守るという声、他国とは戦争しないという声が日本国民の多数派だからだ。だから自衛隊も助かっている。
教育をめぐる
せめぎあい
最近は、戦争するという勢力が昔より強くなり、首相が堂々と集団的自衛権を行使したいとまで言っている。国会や国民のことは一切関係なく、自民党の中だけで決めてしまおうとしている。閣議決定で、集団的自衛権は譲らないということ。今の国会会期内に閣議決定を終え、秋の国会に関連法案を出す。これが安倍首相の方針だ。日本のこれまでのいろいろな政権の中で、これほどはっきり戦争したいといっている政権はなかった。一次安倍内閣の失敗のリベンジをやっている。復讐に燃えていると強い。第一次大戦のあとドイツでは、ワイマール憲法ができて、ヒトラーが登場してきて、あれよあれよという間にドイツを戦争する国に変えてしまった。安倍政権というのは、すべて同じとはいえないが、どこかヒトラーの時と似ている。それは独裁だ。
安倍さんがやろうとしていることは個々の政策ではなく、もっと大きなこと、戦後の体制・制度を全部ひっくり返すということ。憲法が最大だが、教育制度もある。子供の時から天皇制をうえつけ、天皇のもとに戦争をやっても逆らえないようにしてやってきた。
この反省の上に立った戦後の教育。これはアメリカのアイディアだが、教育はその時々の政治権力と直結してはいけないということで、行政から独立した教育委員会制度ができた。
今安倍政権が目指しているのは、教育委員会制度を廃止するということだ。沖縄県の竹富町の教育委員会は、上から押しつけられる育鵬社の教科書(新聞でいえば産経新聞のようなもの)を拒否して、これまでどおりの教科書を採用した。自分たちの子どもにはどういう教科書がいいかを考え、竹富島はがんばっている。どうして大阪の人は闘わないの?平和というのは、願えばやってくるのではない。教科書から始まり、歴史、未来はどういう社会であるべきかなどきちんと教えなければいけない。
アベノミクス
の問題点は?
戦後にできたあらゆる仕組みを全部ひっくり返そうとしているのが、安倍さんだ。国民と安倍政権の綱引き、これは政権を取っているからといって安倍政権が勝つとは限らない。支持率は五〇%だそうだが、それはアベノミクスのため、要するに株価が高いおかげだ。株は投資というと高尚に思われるが、博打と同じで、投機つまりギャンブルだ。金融緩和によりお金をじゃんじゃん印刷し国債として市中に出し、銀行や投資ファンドがそれを買った。専門家に言わせると、日銀の銀行口座に貯まっているだけで、それほど市中に出回っているわけではないという。株価が下がれば、安倍政権は終わりだ。だから、一二八兆円の年金資金を使って、株を買わせようとしている。安倍政権はわりともろい。
やるべきことを
全部やりぬこう
もう一つ考えなければいけないのは、安倍政権は参議院では単独過半数をとっていないから、公明党の助けが必要な連立政権だということ。創価学会の人に話しかけ、公明党を自民党から引っぱがす運動も考えなければいけない。
もう一つはメディアの問題。今年の一月六日の新聞を見て驚いた。産経と読売の社説で、「集団的自衛権を早く認めろ」と安倍政権のおしりをたたいている。さらに怖いのは、安倍政権はメディアに気を遣っていて、ちょっと間違ったことを書いたりすると、すぐ官邸からクレームがくる。そうすると、テレビは萎縮する。以前はこんなことはなかった。特にテレビがすごい。以前、従軍慰安婦の国際法廷の報道番組を改編させたのは安倍晋三だった。安倍さんは、ほんとによく新聞社・テレビ局の社長と飯食っている。 安倍さんほどメディアを自分の道具にしようと考えている人はいない。
いい例がNHKだ。NHKの運営は理事が決める。それを指揮するのが会長。会長人事を決めるのは経営委員会の一二人の委員だ。九人が賛成しないと会長は決められない。経営委員に安倍さんの息のかかった人物が四人送り込まれた。この四人が反対すると会長人事は決められない。籾井会長の影響はじわじわと出てくるだろう。籾井を交代させようと思っても、この四人が賛成しなかったら、交代させられない。NHKは自分たちが押さえるという安倍政権の明確な意思だ。形は一種のクーデターだ。NHKは、重要な問題、例えば原発問題などで、はっきりものがいえなくなる。
今日本で何が起きているか、個々ばらばらに考えるのではなく、大きな枠組みで日本が変えられようとしていることをしっかり見て、そのための運動を考えなければいけない。
国会の勢力は残念ながらあと二年は変わらない。安倍さんはやりたい放題するだろう。これを黙ってみているのか。我々の子どもたちの未来のために、法に触れない限りやれることは何でもやろう。メディアがおかしい態度をとったときは抗議する。そうすると、皆さんが思った以上に効き目がある。受け身で安倍晋三の言いなりになるのではなく、安倍晋三を私たちの言いなりにさせるぐらいの姿勢でやりましょう。(講演要旨、文責編集部)
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