労働法制の根本的改悪阻止
総力でこの暴挙をとめろ
法案の審議入り阻止へ
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昨年八月末労政審を舞台に始められた派遣労働の全面的自由化を狙った派遣法大改悪への動きは、労働界挙げての反対、日弁連の反対、さらに労働法制研究者を中心とする知識人の反対を何一つ顧みることなく、三月一一日法案閣議決定、国会上程へと進められた。このような暴挙を許してはならない。法案の審議入りは連休明けから六月にかけてと観測されているが、審議入り阻止自体が最初の攻防となる。
今そこに向けた行動の積み上げが全国各地で始まろうとしている。それをさらに深く広く進め、一大行動として見えるものとすることが求められている。
まさにその弾みとするべく、四月一八日、四月二三日と二つの集会が連続して行われた。
4.18「派遣法大改悪」に
反対の集い
四月一八日は、日本労働弁護団、日本労働弁護団東京支部、非正規労働者の権利実現全国会議(非正規全国会議)が共催した、衆議院第一議員会館を会場とする「労働者派遣法大改悪≠ノ反対!の声をあげるつどい」。非正規雇用の下で長期に働き闘ってきた九人の労働者による現状の非道な実態の告発、そして何としても派遣法改悪を阻止しなければならないという訴えを中心に、二二〇人の参加者が派遣法改悪ノーの声を大きく広げることを共同の決意とした。この集会には日本共産党と民主党の国会議員も参加し共に絶対阻止の決意を述べた。また時を同じくして日比谷野外音楽堂で集会を行っていた連合もアピールを寄せた。
4.23雇用共同アクション
学習決起集会を開始
四月二三日午後六時半からは、安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション(雇用共同アクション)主催による、日比谷図書文化館を会場とした「許すな派遣法大改悪4・23学習決起集会」。雇用共同アクションに結集する労働組合活動家や非正規の仲間を中心に一六〇人が参加したこの集会は、文字通りこの法案が狙っているものが何であるかを萬井隆令龍谷大学名誉教授の講演を基礎にしっかり胸に刻み込み、労働者の主体的取り組みとして大反撃に乗り出す態勢を固めようというもの。
集会はまさにそれにふさわしく、非正規労働を縛る闘いとしてあった、そして今も実力での対抗含めそうである港湾での闘いを紹介し決起を呼びかけた、全国港湾糸谷委員長の開会あいさつで始まった。そして萬井さんは、詳細な講演要綱をかみ砕いて説明しつつ、今回の改悪の中心にあるものは直接雇用原則の放棄であり、従来の法改正とは性格が異なると強調、結論として、労働者の権利を尊重するようなことは考えないという公然宣言と受け止める必要がある、と闘いへの奮起を促した。
五人の各組合代表がそれに応え闘いへの決意を述べ、それら全体を集約するものとして、井上全労連事務局次長から、あらゆる労働者にかけられた重大攻撃であることをあらためて確認し共同をさらに広げること、そして五月九日昼の国会前行動が第一弾の行動として提起された。
これでは過労死
の増大が必至だ
労働法制に関してはこの他にも、国家戦略特区を使った法規制の裏口からのすり抜け、有期労働者への無期雇用転換権付与に対するこれまた例外づくりの労働契約法改悪法案提出をはじめとして、攻撃が目白押しに策されている。そして四月二二日の産業競争力会議では安倍首相自ら、第一次安倍政権時には葬り去られた労働時間規制外し、過労死促進としか言いようのない青天井の長時間労働を導く、とんでもない規制解体に発破をかけた。労働時間規制が大甘な日本で、企業には唯一実質的制約として働いていた残業への割増賃金支払いを免除する、という。
労働時間規制をないに等しいものとするこの動きに対しては、労働界は当然として、各方面からも早々に懸念の声が上がっている。過労死はKAROSHIとして国際語となってすでに久しい。それほどに長時間労働の非人間性が知れ渡っている日本でこのような方策を進めることの非道性は、誰が見ても明らかなのだ。四月二二日の労政審労働条件分科会では日本経団連代表が、過労死と労働時間に関係はないかのような暴言に及び、他の委員からたしなめられる場面もあったという(「赤旗」四月二三日)。労働時間規制外しにどのような美辞麗句の理由を付けようが、すでに衣の下の鎧は見え見えとなっている。
まず派遣法改
悪案廃案から
しかも労働時間規制外しの旗を振っている人物は武田薬品工業社長の長谷川閑史だが、その武田薬品はつい先頃自社が売り込んでいた薬品の副作用情報を隠していたことが発覚した犯罪的企業にほかならない。長谷川本人はTVカメラの前での謝罪に追い込まれ、本来は経済政策提言の任に着く資格など失っていると言わなければならないがしかし、本人も周囲もそのようには露ほども感じていないらしい。おそろしいほどの鉄面皮と責任感覚の欠如だ。労働時間規制外しがこのように自分に甘い者たち、利益のためには人命もかえりみない経営を指揮した人物によって押し進められているという事実も、この攻撃の本性を無言の内に語るものとして、われわれはあらためて肝に銘じるべきだろう。
労働法制改悪を絶対阻止しなければならない。その突破口としてまず、派遣法改悪案を何としても廃案に追い込まなければならない。労働時間規制外し策動が社会に生じさせた疑念にも貪欲に食らいつき、そこと一体的に派遣法改悪阻止に向けた社会の奥底からの広範なうねりをつくり出そう。 (神谷)
4.14
「STOP派遣法大改悪」集会
3年でクビ? 生涯
ハケン? 正社員ゼロ?
【大阪】在阪法律家八団体共同開催の派遣法の大改悪に反対する集会が四月一四日、エルおおさかのシアターで開かれた。
丹羽雅雄さん(大阪労働者弁護団代表幹事)が開会のあいさつをして、「労働法制の策定・変更は、少なくとも公・労・使の三者による協議をつくして民主的な手続きで進めなければならないのに、安倍政権は、日本経済再生本部・産業競争力会議等を使い、他方では労働政策審議会を軽視し、規制改革実施計画を閣議決定した。一年前に施行されたばかりの労働契約法の一八条を骨抜きにする有期雇用特別措置法案を閣議決定し、労働者派遣法について、常用代替防止の絶対的要請を覆す改定法案を閣議決定し、それぞれ国会に上程した」と語り、安倍政権の政策とはとことん闘う覚悟であると決意を述べた。
続いて、渋谷大阪弁護士会副会長、辰巳耕太郎参議院議員(共産)が来賓あいさつをし、尾立参院議員、辻元衆院議員(民主)、宮本衆院議員・山下参院議員(共産)からのメッセージが紹介された。
萬井隆令さん(龍谷大名誉教授)が、「安倍政権・雇用規制緩和と派遣法改悪の焦点」と題して基調講演をした。(講演要旨別掲)
非正規労働者と
ともに闘おう!
棗一郎さん(日本労働弁護団常任幹事)が国会情勢報告をした。
「民主党議員は、この法案には派遣労働者の保護規定がなく、すべて規制の緩和だけだと言った。従来の国会請願のような運動では不十分だ。それだけでは無視されてしまう。医療・介護関連法案が長引けば、そのあとのパート法改正案、有期特措法案のあとにくる派遣法改正案にはまだ時間があるから、運動の輪を広げて行こう。保守陣営の中にも、若者の雇用を考えたら本当にこれでいいのか、という疑問の声が上がっている」と述べた。
続いて、リレートークとして、金融ユニオンの女性、なかまユニオンの女性、ゼネラルユニオンの山原さん、コミュニティーユニオン関西ネットワークの中村さん、ダイキン工業を相手に闘っている青山さんからアピールがあった。「派遣法違反で告発された会社は、有期直接雇用に変え期限満了で解雇する。労働局は有期でも直接雇用なら問題にしない。七二市町村教委が行っている偽装委託の実態。派遣でパワハラに遭いうつ病になる。一年のうち三カ月間休ませ、また働かされる。正社員と全く同じ仕事をしているのに待遇は大きく違う」。そのような実態が報告され、派遣法改悪反対の闘いと不安定雇用の労働者の立ち上がりを結びつけた闘いの重要性が強調された。
最後に集会アピールの提案と採択をし、城塚健之さん(民主法律協会幹事長)が閉会のあいさつをし、派遣法改悪法案反対のインターネット署名を呼びかけた。 (T・T)
萬井隆令さんの講演から
これは労働法理への反逆
「労働移動支援
型」への転換
日本経済再生本部・産業競争力会議は、「雇用の流動化」、「成熟産業から成長産業へ」、「失業なき円滑な労働移動」を図るとし、このため雇用支援政策に関して、行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策シフトを具体化する、としている。一言でいえば、一層の規制緩和だ。
国家戦略特区法は流れたが、「雇用ガイドライン」により個別労働関係紛争を未然防止し、労働契約法一八条の無期転換申し込み権の緩和を図ろうとしているし、裁量労働制、フレックスタイム制、ホワイトカラー・エグゼンプションをねらいつつ、時間外労働を金銭補償から休日代替制に変えようとしている。また限定正社員制度、違法解雇について金銭解決制度を導入しようとしている。
直接雇用の
原則を破壊
私たちは何を基本として考えるべきか。それは直接雇用の原則だ。労働者と契約を結んでいないのに、働かせて雇用責任はとらない。そんなことは許されない。一九四四年ILOは、フィラデルフィア宣言で「労働は商品ではない」と宣言している。労働することを売買や賃貸借の対象にしてはならないということだ。一九四七年、職安法四四条で、労働者供給事業は禁止されたが、法の網をくぐって偽装請負による労働者供給事業は蔓延した。
日本では一九八五年に初めて「間接雇用」を認めた。従来の労働者供給事業を“労働者派遣”という新たな法概念でくくり合法化した。間接雇用の例として存在すること自体が偽装請負を誘導する。
しかし、一三業種の枠では使い勝手がよくなかったので、その後労働者派遣は広がらなかった。派遣法はあくまでも、直接雇用が原則だった。
その後、一六業種から二六業種へ拡大した(一九九六年)が、無許可・無届け出業者からの派遣を禁止した。業種はネガティブリスト化された(一九九九年)が、派遣期間についての契約締結手続きが詳細になった。一年以上派遣で受け入れる場合は、従前の労働者を雇い入れることを努力義務とした。期間の上限が三年に延長された(二〇〇三年)が、期間を超えて使用するときは雇用契約の申し込みをしなければならないとした。制限を超えて派遣を受ける等の違法派遣をした場合は、派遣先が直接労働契約を申し込んだものと見なした(二〇一二年)。このように見ると、規制緩和だけが一方的に進んだわけではなく、派遣法は容認するが、直接雇用の原則を考慮し、対象業務、営業許可、期間制限などにより派遣は抑制的にするという直接雇用の原則の効用があった。
後退に次ぐ後退
を示した法案
日本経団連「今後の労働者派遣制度のあり方について」(一三年七月二四日)に基づき、あり方に関する研究会(座長・鎌田耕一)の報告書が提出された(一三年八月二〇日)、規制改革会議の提案が一三年一〇月四日に出た。安定保守政権の誕生で、本音が全部出た感じだ。これを受けて、政府の労働政策審議会職業安定分科会労働力需給調整部会(座長・鎌田耕一)で自由討論を重ね、一三年一二月一二日公益委員の骨子案提出される。一四年一月二九日労働政策審議会で建議が作成され、それを基に法案ができ一四年三月一一日に閣議決定された。あり方研の「報告書」を一応踏襲しているが、公益委員の「骨子案」は、「建議」で後退し、法案でさらに後退した。
法案の要点を列挙すれば、@派遣業はすべて許可制A政令指定業務と自由業務の区別をなくすB派遣受け入れ可能期間は三年。超えて受け入れる場合は三年を限り延長可能C一年以上派遣労働者が担当した業務につき新規採用する場合、当該派遣労働者の雇い入れ努力義務D派遣元に派遣労働者のキャリアアップを義務づけE派遣労働者と派遣先労働者との均等配慮義務F期限を越えて労働者を就労させた場合、直接雇用申し込みと見なすG派遣先での期間延長は労働者の過半数代表の意見聴取で足りるH派遣先が受け入れていた労働者を直接雇用しようとする際の取り扱いは、あらかじめ派遣契約に定める、などなど。
法案の問題点としては、これも羅列すると
@無期契約労働者は期間制限がない。つまり派遣は永続化するということ。これについて、無期雇用増加の可能性については両論ある(派遣先にとってはリスクだ・派遣先には便利だから派遣元は断れない)。無期雇用であれば雇用は安定しているとは限らない。派遣契約終了のみを理由とする解雇をしないと指導するが、限定正社員では、担当業務がなくなれば、解雇可能という論議が進行中。
A有期契約労働者は雇用不安定化が不可避。労働者は一つの企業には三年(現行は一年)限定。しかし、同一企業でも就業の場所が変わるごとにさらに三年。有期労働者の雇用安定措置の努力義務、つまり派遣先への直接雇用申し入れ・派遣元での無期雇用化も、法案では曖昧だ。企業にとって、一定の業務について派遣受け入れは三年が上限だが、人を変えれば派遣は永続化する。
B派遣元への計画的キャリアアップを義務付けるとするが、キャリアアップ中は派遣できず、収益がなくなるから、派遣元は避けるだろう。
C直接雇用の推進の姿勢の大幅後退。直接雇用をあらかじめ派遣契約に定めると、手続き、トレード費用などが定められ、直接雇用の壁になる可能性がある。
D 職務能力や技能習得の評価を派遣元に伝えると、賃金や均衡考慮やキャリアアップのためというが、低い労働者の差し替えを促す機能を果たしかねない。
要するに、派遣労働者に有効・確実な雇用安定制度はない。安倍内閣や経団連には、労働者の権利は「既得権益」であり、労働法は「岩盤規制」に映る。二年間で、「岩盤規制」をドリルで破る、と安倍首相は公言した(一四年一月二二日、ダボス会議)。「建議」は、「派遣労働者を臨時的、一時的な働き方と位置づけることを原則」とする。派遣法改正は従来の法改正と性格が異なり、一言でいって労働法理への反逆だ。
(要旨、文責編集部)
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