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    かけはし2014.年4月28日号

「分裂」の教訓をどう活かすか


討論

東京都知事選結果をめぐって

原発問題に徹底的に
こだわりぬく立場から

高橋寿臣


 

 今年二月の東京都知事選挙をめぐって、反原発運動陣営の「分裂」という事態があり、現在でも各運動グループ・個人などの「総括・感想」の議論が続けられている。新時代社の「かけはし」紙上で展開されている議論を読んでいて、私なりに感じるところがあり、現在の私の立場上、「総括」と言えるものは提示できないが、「感想」ということで少し記しておきたい。私もそれなりに長く政治運動を続けてきており、時に「選挙」というものにも関わってきたが、今回の都知事選挙もふくめて、近年積極的に関わっているわけではない。そういう意味で「無責任」の指摘もありうると思うが、お許し願いたい。

今回の都知事選挙戦は
何をめざしたのか


福島原発の過酷事故以降、反(脱)原発運動は急速に盛り上がっていった。多彩な人々や一部メデイアまでもが「反原発」の意思表示をしていった。東京においても、経産省前座り込みテントの持続や、毎週金曜日の首相官邸前デモなどで、あきらかにこれまでにない「反原発」の声が示され続けている、と考える。
二〇一二年一二月の都知事選は、その声を背景に宇都宮候補を推し上げていったのだと思う。共産党といういわば「左翼」(全体性)を体現する組織が、宇都宮支援についたが、にもかかわらず、この選挙を闘った多くの人々にとって争点は「反原発」シングルイシューであったはずだ。それは無論、原発を進めようとする勢力=支配層全体への闘いにもなるのだが、それは今日の支配構造のありかたに起因する。反原発の個々の人々(の多く)にとってそれは強く自覚されているわけではなかった、と思う。
で、今回のやや突発的な選挙においても、宇都宮候補を当然のごとく推したてていったのは反原発多数派であり、これをかつての「革新統一候補」と位置づけを鮮明にした共産党や左翼諸派であった。そもそも宇都宮支援の陣営の思惑に、もともとの相違があったことを押さえておくべきである。

細川・小泉と
反原発運動


小泉のこの間の動きは、原発がかかえる問題がとてつもなく大きいものであることを示している。自民党(保守派)=資本主義派自体が原発(原子力技術)をめぐって分裂していること、原発を必要とする資本主義と、原発がなくてもやっていこうとする資本主義の分裂であるともいえる。
原子力技術は確かに、人類史上の大テーマなのだ。問題は、この状況を(全体的変革をめざす)左翼勢力がどうとらえ、どういう「戦術」を選択肢としてたてたのか、ということであり、反原発シングルイシュー傾向の人々がどうとらえたか、ということである。
選挙は宣伝戦でもあるが、勝てるものは勝つ方が良いに決まっている。反原発シングルイシュー系の人々の多くは、細川支持を選んだ。これはもう、直感的なものであるとしかいいようがない。こちらの方が「勝てる」と感じたのだ。多くの仲間が経験したと思うが、反原発運動に比較的熱心な人が「細川に入れる」と発言していたことを。
そういう事態が背景にあって、「かけはし」二三一七号の佐藤さんが嘆いていたような、脱原発著名人たちの、候補の統一―「細川支持」への流れがあったのだと思う。細川の都政全体がひどくなる可能性があったとしても、ここは「脱原発世論」に勝たせたかったのだ。そしてそれは、原発再推進へ舵を切った安倍右翼政権への全体的「打撃」となることは、計算にはいっていたものだろう。
だから、佐藤隆さんの痛切な細川(陣営)批判=討論会に応じなかったこと、全体的な都政を示したわけではなかったこと、等々は、細川でとりあえず勝ちたいと願った人々には(ほとんど)関係なかったのだ。宇都宮陣営が原発以外の都政内容を示してその「優位性」を示そうとしても、それもこの選挙においては、あまり関係なかったのでる。

左派はどうすべ
きだったのか


宇都宮候補は先に述べたように、明らかに「反原発」運動を背景として登場してくれた候補である。しかし、細川の立候補により「反原発唯一候補」ではなくなった。結果として、原発以外の課題も多く打ち出さざるをえなくなった。この都知事選が、私たちがこれまで多く経験してきた、保守対革新という構図であるならばそれは普通のことである。
けれど、この選挙は(先にも述べたように)原発か脱原発かの一大世論戦であったのだ。宇都宮候補がかつてのように「社共統一候補」というのであれば、全体的都政を打ち出していくというのも、当然といえば当然であろう。共産党はこの候補で勝つことによって脱原発の実現へ大きく歩を進める、というより、自ら(革新勢力?)の勢力拡大・維持に獲得目標をずらしていった、と思える。他の左翼諸派も、その方向を認めていかざるを得なかった(と、思う)。
宇都宮支持の脱原発派の人々は「細川が降りてくれないか」と考えたはずである。細川陣営が「左翼的傾向の勢力」に近づくことはあり得ない、と確認しておくべきであったろう。そして、私が考えた、宇都宮陣営が選択すべき道は次のようなものである。

されど選挙、だ
が、たかが選挙


細川が脱原発以外の都政で、例えば、福祉の切り下げや格差拡大につながるような施策をとろうとする都知事候補であったとしても、宇都宮候補は立候補を辞退し、宇都宮陣営総体として細川支援に向かうべきであった、ということだ。無論、これは左翼がとれる選択肢ではない。共産党ははなから相手にしないだろう。しかし、情勢は保守派に対して「革新」側が優位に立っていけるものでもなく、たった一回の選挙で「革新」が敗北することなど、「たいしたことない」のではないのか。長い経験は「革新側敗北」の方が圧倒的に多いことを教えている。だからといって、革新側=左翼の諸運動が潰え去ったか?そういうことはなく、連綿と戦いは続けられているのである。
左翼の古くからの言葉で言えば「情勢に踏まえた戦術の選択・判断」が問われたのだと思う。細川がどんな保守・反動の人物であったとしても、脱原発を掲げて政治の場に登場してきたとき、「これを利用する」―安倍に打撃を与えられるという判断はあり得なかったのだろうか。
私は、今回そういうことを選択―領導することができなかった左翼を揶揄・批判する気はない。私(たち)は長くこのような左翼の政治現実の中で生きてきた。佐藤さんの苦闘や口惜しさも、十分想像できる。けれでも、シングルイシューがシングルイシューで収まらないこの原発問題に徹底的にこだわりぬくことの意義・意味を、もっと共有できていたら、と思う。結局、私の多くの知人たちは細川に投票し、私は(昔ながらの「全体派」らしく)、宇都宮にいれた。
だけど、メデイアの事前情報で、舛添と競っているというものが流れていたら、それがどちらの候補者であっても、そちらに入れていたであろう。負けてしまえば「選挙はそんなもの」と素知らぬ顔をしていればいいし、勝てば、生み出された政治状況を最大限に利用した大衆運動を作っていけばいい。あまりに、不幸であった脱原発派の「分裂」。今後の「教訓」とされることを、願ってやまない。    (4月18日)

3.30もうやめようTPP大行動

別の日本のあり方めざそう

これは国際連帯の運動だ



命と生活を
破壊するな
 三月三〇日、日比谷野外音楽堂で、「もうやめよう!TPP3・30大行動」が同実行委員会主催で開かれ、嵐のような雨風にもかかわらず、北海道から沖縄まで全国から一二〇〇人が集まった。この実行委には三五団体が参加し、六八の団体が賛同している。
 主婦連会長の山根香織さんが主催者あいさつを行った。
 「一二月、二月と交渉は難航しているが、アメリカに日本が譲歩したら、一挙に進むかもしれない。安倍・オバマ会談で交渉の進展を約束し、事務方の折衝を進めるとなっている。オバマの四月末来日に合わせて政治決着がありうる。こうした流れに対してアジア各国、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアで反対運動が進んでいる。それぞれの国のルールがねじ曲げられ、命と生活が破壊されようとしている。こうしたTPPをやめさせよう」。
 次にJA全中が来賓のあいさつを行った。
 「例外なき関税の撤廃を主張するアメリカとの交渉が難航しているが先行きは不透明だ。オバマの来日、五月のAPEC、TPPの閣僚会議で実質的な合意に至る可能性もある。日豪のEPAが急浮上している。四月七日に豪の首相が来日する。この動きと連動させながら、TPPの推進が図られようとしている。農林水産業を壊滅させるTPPに反対する」。

自信と誇りを
もって生きる
各国からの連帯のメッセージが紹介された。ニュージーランドでは昨日一五の都市で反対行動が行われた。オーストラリアの運動の紹介の後、サンフランシスコでは三月二九日に「絆」というサインを掲げて行動を行った。NAFTA(北米自由協定)の締結によって、アメリカで一〇〇万人の失業が生まれ、メキシコのとうもろこし農家は壊滅した。こうした経験の中で、TPPに反対する人々の声が増えている。JA青年協のあいさつ、国会議員の紙智子さん(日本共産党)の参加が紹介された。
全国からのリレートークが行われた。沖縄のサトウキビ農家の玉城さんは「三年前からサトウキビの生産量が台風や干ばつの原因によって極端に減った。もしTPPがまとまれば、安い輸入品によってサトウキビ栽培は一〇〇%なくなる。沖縄一県でも農産物だけでなく畜産業・漁業合わせて、一〇〇〇億円以上の打撃になる」と訴えた。岩手県民会議の仲間は「がれきの処理はすべて終わったが、農地の復旧は半分だ。復興をさまたげるTPPに反対する」と報告した。滋賀県日野町長は千を切った町村会であるが反対の姿勢を表していることを報告した。
ストップTPP山形県民アクションの農民は「安倍政権は減反政策の廃止を決めた。そして農産物の関税の引き下げ。企業が農村に入る。七割が中山間地の日本の農業では規模の拡大は限界があり、大多数は農業をやめざるをえない。集落は成り立たなくなる。自由競争は地域の破壊になる。攻めの農業ではなく、守るべきものは守る。所得の倍増ではなく、多面的な機能が必要だ。自信と誇りを持って生きていきたい。TPPではなく、別の日本のあり方が必要だ」と訴えた。
新潟の農協労連の活動報告、官邸アクションのパフォーマンスと続き、愛知の弁護士が遺伝子組み換え審査が大幅に増えていること、BSE検査を通さない米国産牛肉が解禁されたことに注意を促した。学校給食の埼玉の現場、宮城県塩釜市の病院長などがそれぞれの分野でのTPPの問題点を訴えた。
集会アピールを採択し、銀座デモを行った。四月二二日に官邸前アクションを行う予定が紹介された。         (M)


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