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    かけはし2014.年4月14日号

沖縄の将来は私たちが決める


大仲尊さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック共同代表)に聞く

 (下)

「自立・独立」への新たな動きを

辺野古の闘いから「オール沖縄」の抵抗へ


海上での攻防と
多面的な闘い

――辺野古の海の攻防は、環境事前調査であったわけですが、向こうが最後には引いた形になったのですか。

 引いたというよりソナーとか設置したがそれがサンゴを破壊したりした。こちらは潜って闘った。サンゴを調査しているのに、サンゴを足場にして破壊した。

――アメリカで提訴したジュゴン裁判も大きな影響を与え、裁判にも勝った。闘いは勝利的に進んだがそれで終わりではなく、国が埋め立て申請をするという形で攻防が続いています。

 そうですね。二〇一三年年三月に国が埋め立て申請をした。今、名護市では市民の意見を求めている。パンフレットを作って、基地が出来たらこうなりますと、それをみんなに配布して、一一月いっぱいにそれを集約する。だから、二〇一三年いっぱいが攻防戦でした。

――沖縄の場合、県知事選をはじめ、自治体の首長選が重要な闘いになっています。運動の側もものすごく体力のいる攻防になっています。

 実際行政も相手にしながらの闘いだからオール沖縄がある。二〇一二年九月九日にはオスプレイ反対で一○万人が集まった。二〇一三年の年明けに建白書をたずさえて安倍首相に会いに行った。那覇市長の翁長雄志(おながたけし)は自民党。彼を中心として、オール沖縄がある。彼は県外移設派だ。県知事の後援会長なので仲井真が知事選に出るにあたって県外移設を言わなきゃ支援しないと言ったぐらいの人物だ。

構造的差別の
歴史的把握へ


――「オール沖縄」と沖縄独立の流れについては。

 沖縄では、相手が米軍であり、防衛省・日本政府である場合がほとんど。そのため、主体が県単位であったり、市町村単位であることが多い。いきおい住民の側からすると首長選、議員選も手が抜けない攻防戦となる。
沖縄独立問題はずっと沖縄の要求、意見をまったく無視されてきたことに原因がある。沖縄独立運動が保守であったり、右からであったり、あるいは台湾との関係であったりとか。運動としてよりも個人で独立を唱えるとか。
オール沖縄で、危険なオスプレイの配備・撤回、普天間飛行場の閉鎖・撤去、県内移設反対を掲げ、全沖縄四一の市町村長、議会議長、県議会議員が署名捺印した「建白書」を、安部首相をはじめ関係省庁に要請した。その後、オスプレイ反対のゲート前(普天間基地の大山ゲートなど)座り込み行動を保守系首長などオール沖縄として取り組んだ。
安倍政権は仲井真県知事の辺野古の公有水面埋め立て申請の承認に向けて、自民党の沖縄国会議員、県連を屈服させ、オール沖縄の陣形を喰いちぎり、埋立て承認への外堀を埋めようとした。琉球処分官・石破の恫喝によっても「オール沖縄」の骨格部分は辛うじて残った。辺野古に新基地はいらないとした元名護市長稲嶺進が約四〇〇〇票の大差で再選を勝ちとった。稲嶺市長は自冶体の権限を駆使して辺野古に基地を造らせないと宣言している。
オール沖縄と琉球独立の流れは必ずしも一つではないが、沖縄に関することが地元の意見・意志とは全く関わることなく、日米両政府で決められていく。歴史的に過去も現在も何ら変らない。沖縄の民意は一顧だにされず、構造的差別は解消されない。オール沖縄と琉球独立の底流・水脈には通底するものがあると思う。
今回の特徴は「独立」論が若い部分から出ていること。独立総合研究所がつくられた。実際運動としてではないが、これは復帰運動の総括を含めてどれだけやれるかという話になる。沖縄の状況からすると、やっと間に合ったなという感じだ。
今は少数派だけど、いろんな形で沖縄の問題をとらえかえしたり、琉球史をとらえかえしたり、いろんな視点を持っている。おもしろいのは沖縄全体が琉球王朝ではなく、首里を中心にいろんな方言がある。宮古だったり、以西だったり。宮古の方言は宮古のほかは誰も分からない。石垣で与那国語を使うと石垣の誰も分からない。それぐらい違う。
今までは琉球語があって、そのほかは琉球語の枝葉だといっていた。イギリスはたくさんの植民地を持っていたから、世界の言語の研究が豊富だ。そこから派遣されて沖縄の言語を調査した。その言語学者は与那国語、宮古語など奄美を含めて六つの言語体系に分類した。それを琉球諸語と言う。今までは琉球語でひとくくりにしていたがそういうことに気がついた。今までになかった可能性を独立総合研究所の人たちが持っている。

――一九九七年、革新派の大田県政の時、基地に依存しない、本土政府の補助金づけに依存しない、沖縄自立ビジョンをねりあげた。それを具体化する前に選挙で負けた。そうした流れと関係がありますか。

 二〇一五年には基地を全部返還させる返還プログラム。普天間基地を返還した跡に何を作るか計画した。

与那国町の
自立ビジョン

――与那国町が策定した二〇〇五年の与那国町自立ビジョンも同じ流れですか。

 与那国の場合は市町村合併問題があった。八重山地区では竹富町と石垣市と与那国町があって、与那国町は合併するとろくなことがないと反対した。それではどうするかということで、台湾との交易に活路を求め、長い間の台湾との関係を軸に“自立ビジョン”を立ち上げた。
台湾の花蓮との姉妹都市宣言もその柱の一つです。
具体的には建築資材や肥料を台湾から仕入れる。安い価格で入手できるメリットがでる。

――漁協の組合長が自衛隊基地を誘致しないと島はやっていけないと言っていますが。

 彼はヤマト出身者で島のことを全然分かっていない。町長選で四七票差で負けた。これをどう評価するか。選挙の開票直後に当選した外間が新聞記者と会話した。外間は三桁の差で勝利すると思っていた。四七票差と知って「えっ」となった。投票の午前中までは完全に票読みでこちらが勝っていた。小さい島だから全部読める。もう一つは外間が一〇億円を自衛隊によこせと言った。これを対して一番反発したのが防衛協会だ。最後まで反発していた。自称八〇人いる。その中の五〇人は白票でやると言っていた。フタを開けてみると、七人しか白票出していない。防衛協会の連中はなんだかんだいってもそんなものだ。
四七票差というのは勝った勝ったと言えない票差だ。今、こちらは選挙はどうしても親戚とかからんできて、政治的要素以外のものが強く働く。自衛隊問題に絞った住民投票を準備しようと動いている。外間町長が受けるかどうか大きな問題だが。
もう一つ。契約問題でいえば、候補用地の牧場があって、その持ち主は元々八人だったが、実質的には三人だけになっている。二人は親子。仮契約という形でパフォーマンスしたけれど、牧場が契約を解除しないと使えない。農業法人というちゃんとした約款も持っている。それをこえて、防衛省に権利を売ることは無理だと思う。それが大きな攻防戦。
漁業組合がある久部良地区は保守的で自衛隊誘致の影の立役者と云われている町議会議長前西原武三の基盤だ。したがって、組合長の発言は自衛隊誘致派を代弁せざるを得ないのだろう。

自衛隊誘致は
故郷の破壊だ

――基地誘致反対署名が賛成署名を上回っていましたが。

 問題は二つ。契約の問題と住民投票が自衛隊をしばるということだ。要するに台湾が近すぎるし、向こうのねらいは石垣だ。調査費の概算要求でつけている。与那国は狭すぎて訓練ができない。石垣の場合には広いし山もある。
与那国の自衛隊配備を許さない闘いは、誘致反対の署名が五五四筆、誘致派は五一四筆と一貫して反対署名が誘致を上回っているにも拘わらず町議会で否決されている。議員構成は議長を除いて三対二。住民投票条例の制定に向けた票数でも有権者の過半数に近い署名を獲得したが、議会で否決された。
残念ながら、与那国島への陸上自衛隊沿岸監視部隊配備計画で建設予定地の町有地を使用している南牧場(有)が町との使用契約を解除する方針を固めた。契約期限は三月末で切れる。町は牧場との契約解除を条件に沖縄防衛局と町有地賃借の仮契約を結んでおり、契約解除後に本契約を締結する見通し。一五〇〇人の人口の島に一五〇人の隊員とその家族を含め約四〇〇人の軍隊関係者が移駐することになる。与那国島は軍隊の支配する島となるであろうか。軍事基地の建設によって島の景観は一変するであろう。私にとっては故郷を奪われたにひとしい。

――実際に与那国に自衛隊を置いたとしても、それほど実戦部隊にならない。

 無理ですね。推進派の言っているのは交付金で落ちるカネでゴミ焼却炉を作るとか、学校給食を無料にするとか。
沖縄の離島には島チャビと云うことばがある。日本語に訳すと「離島苦」と表現される。いまでも島に暮らす人たちの日用雑貨は船での輸送に頼らざるを得ない。季節風などで波が高くなったり、台風などで船の欠航が続くとスーパーで品不足がでる始末。与那国島では中学までしかなく、高校進学などで島を出なければならない。そのため毎年繰り返される人口の流失への対策が首尾一貫した課題となっている。
与那国町では一九八〇年代から台湾の花蓮市との姉妹都市の締結し、地の利を生かして貿易を行い島の活性化を進めようとしてきた。だが日本政府はことごとく無視を決め込み、追い込んできて、自衛隊(日本軍)の配備計画である。

尖閣問題と領土
ナショナリズム

 ――尖閣での騒ぎについてはどうですか。

 本土のマスコミは騒いでいるがあまり地元では騒ぐという話ではない。石垣の場合は中山義隆市長が右翼の集会で発言するとか利用されている。台湾との漁業協定で、一方的に台湾の方に有利になるようにした。石垣の中山市長の論理だとありえない話だ。それを日本の国家がやった。いったいどうなっているんだろうという話だ。
尖閣というのはアホウドリの営巣地で、漁場としてカツオ漁。尖閣と台湾の間の方が高級魚が取れる。今まで国境があってないようなことでお互いなんとかおりあいをつけてやってきた。
「領土ナショナリズム」「中国脅威」論をがなり立てられ、それまでは隣国と漁場を共有していた静かな海に、見えない国境線が張られ波浪が高くなってきた。一衣帯水を隔てた与那国島と台湾の間には国境の壁が立ちはだかろうとしている。      (おわり)


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