閣議決定で憲法9条を破壊するな
安倍内閣の「戦争国家」づくり止めろ
「歯止め」や「限定」はインチキだ
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世論の流れは「反対」へ
四月七日の朝日新聞朝刊は、「集団的自衛権」の行使容認への反対が昨年調査の五六%から六三%に増大し、「行使できるようにする」の二九%を大きく上回ったことを報じた。行使容認論の中でも、そのためには改憲が必要だとの意見は五六%と、「解釈を変更」の四〇%を大きく引き離している。
同調査では、武器輸出拡大への反対が七七%と四分の三を超え(賛成は一七%)たことも報じている。「秘密保護法」の強行成立以後、明らかに憲法を無視・破壊する安倍首相の「暴走」に対する批判が、リベラル保守派はもとより一部の「改憲」保守勢力からも出ていることは注目すべき趨勢である。
二〇一四年度予算を戦後三番目の早さで三月二〇日に成立させた安倍政権にとって、六月二二日までの通常国会後半会期の最大の焦点は、「集団的自衛権」の行使を違憲としてきた政府の立場を一八〇度変更し、閣議決定によって合憲化していくことである。
そのために安倍は、第一次安倍政権の時と全く同じ陣容で首相個人の私的諮問機関である安保法制懇を再構成(座長:柳井俊二元外務事務次官・元駐米大使、座長代理:北岡伸一国際大学学長)し、さらに法制局長官のクビをすげ替え、「クーデター」とも評される異例の人事で、「集団的自衛権」合憲論の小松一郎元駐仏大使を新長官に据えた。
安倍は前回の無念をはらし、「集団的自衛権行使」を違憲としてきた歴代政権の憲法解釈をひっくりかえすために全力をあげている。それこそが九条を破壊し改憲のゴールに向けて突進する既成事実づくりにとって避けて通れない課題だからだ。
いま、この「行け行けドンドン」的プログラムが困難を迎えているのだ。
必要なら「地球の裏側」でも
安倍のプログラムは、お手盛り人事の安保法制懇の報告書を受けて、「集団的自衛権行使は合憲」とする閣議決定を今国会中に行い、秋の臨時国会で自衛隊法、PKO派遣法、周辺事態法などの改悪を実現し、今年末の日米ガイドライン改定に間に合わせて日米共同作戦での自衛隊による「集団的自衛権行使」を可能にさせることだ。そしてその上で来年にも「国家安全保障基本法案」を国会に上程するスケジュールを立てているのだろう。
もともと、「日米ガイドライン」はアメリカのイニシアティブによって作成・改定されたものだが、今回は中国の軍事的「脅威」に日米共同で対抗するという名目で、日本の側の要請という面が強いという。つまりアメリカは軍事的負担の軽減や、対中関係の安定を図るためにできるだけ事を構えたくないのに、安倍政権の側は中国の「脅威」を利用して、改憲をはじめとした政治的目標を果たしたいのである。
石破茂自民党幹事長は、近著『日本人のための「集団的自衛権」入門』(新潮新書)で、アメリカの戦争に「巻き込まれる」という受け身の懸念ではなく、「日本有事」の際に「アメリカを『巻き込む』という積極的発想が必要」と述べている。
しかし、これまでの歴代自民党政権が積み重ねてきた「集団的自衛権の行使は……憲法上許されない」とする政府見解を、閣議決定によって変更することには、当然のことながら与党の公明党はもとより、自民党内からも批判が噴出している。とりわけ「集団的自衛権」容認には憲法改正が必要なのではないか、という質問に対して、安倍は「政府が適切な形で新しい解釈を示すことで可能」、「最高の責任者は私だ。政府答弁に私が責任を持って、その上で私たちは選挙で国民の審判を受ける。審判を受けるのは法制局長官ではない。私だ」と答弁した。これは、「選挙で勝てば何でもできる」という立憲主義の根本否定の言辞であり、「九六条改憲」先行論と同様に、九条改憲派の学者からも大きな批判を受けている。
安倍内閣は、こうした批判をかわすために「安保法制懇」報告書の提出を五月連休明けにずらし、さらに集団的自衛権行使の範囲から「他国領土・領海」をはずし、「必要最小限度の自衛権」の範囲に「集団的自衛権」を収めていくという小細工を弄そうとしているようだ(「朝日」三月二九日朝刊)。しかしその「限定」は文書にはしないなど、およそ「歯止め」をかけるなどとは言えないしろものとなるだろう。現に石破は前掲書において、すべての基準を「必要性」において、「集団的」であろうが「個別的」であろうが、「必要とあらば、地球の裏側に出かけて」自衛権を行使することはありうる、としている。
砂川事件最高裁判決とは
一方、自民党内に新しく設置された「安全保障法制整備推進本部」(本部長・石破茂幹事長)の顧問となった高村正彦副総裁は、三月三一日の会合で、一九五九年の砂川事件最高裁判決を引用しながら、この判決文に「集団的自衛権合憲」の論拠が書かれている、とまで言い出した。
どこからそういう論拠がひねりだせるのか? 砂川最高裁判決文の中に「わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとりうることは国家固有の権能の行使として当然」と書かれている。高村はこれをもって「最高裁は個別的、集団的を区別せず自衛権を認めている」と説明した。しかし砂川事件最高裁判決の焦点はそこにあったのではない。
砂川最高裁判決は、周知のように日米安保の下での米軍駐留を違憲とした東京地裁伊達判決を覆すために、時の岸内閣の藤山外相とマッカーサー駐日米大使が緊密な連絡を取りながら、高裁を飛び越えた「跳躍上告」で最高裁に持ち込み、時の最高裁長官だった田中耕太郎とマッカーサーが相談しながら「安保合憲」判決を出した問題である。それは、一九六〇年の安保条約改定にあたって、安保闘争の高揚を阻止するために、日米両政府が直接に介入して司法の独立性を足蹴にした極め付きの違法・違憲行為だった。最高裁長官自らがこの違憲・違法に主体的に関与したのである。こうして最高裁は、米軍については憲法の禁じる「戦力」ではないとし、日米安保の違憲性については「統治行為」論によって判断を回避したのだった。
そこでは「集団的・個別的自衛権」にかかわる判断が問題となったわけではなく、むしろ国家の司法手続き・判決内容への介入という、裁判そのものの違憲・違法性が問われる問題であったことを改めて提起すべきである。
四月八日の日比谷集会に続き、連続した行動で「集団的自衛権」合憲閣議決定を阻止しよう!
(四月七日 純)
3.20
イラク開戦11周年講演集会
孫崎さんが語る日本外交
止めよう 集団的自衛権解禁
【大阪】大阪平和人権センター、しないさせない戦争協力関西ネットワーク共催によるイラク開戦一一周年の講演集会が三月二〇日、中之島中央公会堂で開かれた。
両団体は、イラク戦争が開始された年から共催で反対集会を開いてきた。三・二〇の取り組みとしては一一回目になる。集会は、増田京子さん(しないさせない戦争協力関西ネットワーク共同代表)の司会で進行した。
大衆行動の力で
暴走を止めよう
主催者あいさつを田渕直さん(大阪平和人権センター理事長)が行った。日本国憲法第九条はどのように解釈しても集団的自権行使にはなり得ない、安倍政権が武器輸出三原則を反故にしようとしている、安倍首相の言う積極的平和主義は、本来の意味ではなく、武力で相手を服従させる・戦争もいとわないという欺瞞的なものであることなどを述べ、この一年間、しないさせない戦争協力関西ネットワークとともに頑張りたいと述べた。
孫崎亨さん(元外務省国際情報局長)が、「米国に追随する安倍政権と集団的自衛権」という内容で講演をした。(講演要旨別掲)
この後若干質疑応答(省略)。 服部良一さんから、四月六日のロックアクションとそれに続いて、立憲フォーラム(民主党)・大阪平和人権センター・ロックアクションの共催で開かれる秘密保護法廃案を求める集会とデモへの参加が呼びかけられた。
中北龍太郎さん(しないさせない戦争協力関西ネットワーク共同代表)がまとめをし「日本版NSC、秘密保護法、国家安全保障戦略、防衛計画大綱、中期防衛力整備計画を次々つくり、戦争のできる国に向かって暴走している安倍政権は、四月に予定される安保法制懇の報告書にもとづいて、集団的自衛権容認の閣議決定を強行しようとしている。これを止めるため、これからも引き続き運動を強化していこう」と訴えた。 (T・T )
孫崎さんの講演から
危険水域を超えた
安倍の「対米追随」
イラク参戦に
賛成した北岡
イラク戦争は、日本が参加する理由はどこにもなかった。イラク戦争開戦当時、自分の上司であった岡崎さんは、「日本の自衛隊は参戦に決まった。東大の北岡教授や田中教授が賛成したのだから」と言った。ドイツやフランスは参加しなかった。イギリスは後に検証をして、参加は間違いだったことを明らかにした。米国でも、開戦の翌年二〇〇四年には特別調査団をつくり調査して、大量破壊兵器はない、アルカイダとのつながりはないことを明らかにした。当時のパウエル国務長官は、イラク戦争を自分の経歴で一番の汚点だと述べた。日本は何も反省していない。
イラク戦争参加に賛成した北岡さんが、いま中心になって集団的自衛権行使に向け動いている。北岡さんは、集団的自衛権を可能にするのに五つの条件(密接な関係にある国が攻撃を受けた場合・放置すれば日本の安全に大きな影響が出る場合・第三国の領空・領海通過には許可を得るなど)をあげているが、米国に追随すること以外に何の中身もない。私は防大教授の時、参議院安全保障委員会でイラク戦争に反対の証言をし、『中央公論』に、日本は独自の情報を持った国になっていない」と書いた。日本は米国の情報によりイラク戦争に参加した。フランス・ドイツには独自の情報網がある。北岡さんは、大量破壊兵器のことは知らなかったと言ったが、そんなはずはない。
先制攻撃を
促す論理だ
集団的自衛権の本質は、自衛隊が米軍の傭兵になることだ。本当の傭兵ならお金をもらうが、自衛隊は日本がお金を出す。こんな傭兵は世界史でもまれだ。集団的自衛権行使が必要だという理由に、情勢が変わったからというのがある。安保条約第五条を見てほしい。「日本国の施政の下における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動する」、とある。では、何故集団的自衛権が必要か。ひとつは、「日本国の施政下にある領域」という縛り。今ひとつは、「いずれか一方に対する武力攻撃があった時」と限定していること。西修さんなどは、中国の脅威を理由にあげ、情勢の変化に合わせて変えるべし、安全保障環境の改善が必要だという。しかし、第二次大戦後は、国どうしの戦争は難しくなっている。ほとんどは、国境問題・内乱の拡大・米国の軍事行動だ。集団的自衛権のねらいは、安保条約でいう二つの縛りをなくすこと。
集団的自衛権は国連憲章でも認められていると言われるが、国連憲章第五一条では「この憲章のいかなる規定も、国連加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的または集団的自衛の固有の権利を害するものではない」と、集団的自衛権を認めているが、ここでも「武力攻撃が発生した場合」に限定している。日本は、米国についていき、攻撃される前に先制攻撃をしたいのだ。イラク戦争がそうであった。アフガン、イラク、シリアで武力で平和はつくれなかった。
北朝鮮は何をするか分からない。だから、北の弾道ミサイルをミサイル防衛システムで撃破するのだと言われる。でも、日本に配備されている迎撃用ミサイルはせいぜい数十キロで最大でも数百キロで、弾道ミサイルには届かない。だから、攻撃される前に撃つ。そうすれば日本は北朝鮮の報復を受けるだろう。マイナスが残るだけで、日本の国益を全く考えない論理だ。
「報道の自由」
はどの程度か
集団的自衛権行使容認の解釈改憲は、国民が国家権力を縛る装置としての憲法を潰すことだ。これが政権による解釈の変更によって可能になるなら、基本的人権や幸福追求権・さまざまな自由権がなくなることにつながっていく。ナチの独裁を許した全権委任法と同じだ。安倍政権の政策で日本は危険なところに行きつつある。
天皇八〇歳の誕生日の記者会見での発言「戦後、日本は、平和と民主主義を守るべき大切なものとして、日本国憲法をつくり、さまざまな改革を行って今日の日本を築きました」。これ知っていますか(挙手がほとんどない)。NHKはこの部分を削除した。安倍政権が全く反対の方向に進んでいることを隠すために。日本のマスコミは、福島原発事故の時に社員を引き上げた。その後大手の新聞は事実を報道することを止めた。国境なき報道の自由団(欧米政府やユネスコからも補助金が出ている)が調べた日本の報道の自由は、世界の何番目か?(一〇ずつ順位を下げて会場に質問をしたが答えははずれ)何と五九位だ。バーミンガム日本外国人特派員協会会長が「開かれた社会の調査・報道の真髄は、政府の活動に関する秘密を明らかにし、伝えること」と述べ、悪法の秘密保護法は廃止するべきだと言った警告は、日本では報道されなかった。このおなじ協会で、フィギュアスケートの浅田麻央が森元首相発言について述べたことは報道された。
だまされる者
にも責任がある
すべてのことに安倍政権が絡んでいるが、この政権の特徴は、米国に追随すること、米国によく思われること。河野談話の見直しを発表してからわずか二週間で見直ししないと修正した。日本社会は誤解しているところがある。ジョセフ・ナイやアーミテージのような知日派の人物が米国を代表していると思っている。日本は大切な同盟国だから、米国は日本を大切にすると思っているが、そんな時代ではない。オバマ大統領夫人が家族で中国を訪問する。しかも一週間も。
中国に対抗し封じ込めるため集団的自衛権は必要だという主張がある。しかし、日中関係を冷静に見る必要がある。領土問題を見直してみるべきだ。領土問題では、保守も革新も間違っている。例えば尖閣。日本が西側世界に入るために受諾したポツダム宣言や調印した降伏文書には、尖閣・北方領土・竹島の領有権についてははっきりとしたことは書いてない。日中双方に言い分があると米国は見ている。日中共同声明時の栗山条約課長や橋本中国課長は、領土問題の棚上げは日中両政府の明確な約束だったと言っている。尖閣で嘘をついているのは日本政府の方だ。
二〇一〇年中国漁船の衝突事件が起きた。大方の日本人の思いとは違い、あの事件は日本が起こした。日中漁業協定によると、一方が違反したら他方は出て行けと警告するとなっている。ところが、この協定に従わず日本の漁業法に基づいて、出て行く中国漁船を追っかけて捕まえに行った。前原さんの指示だった。緊張が高まり、米軍の力が必要だという意識に世論を誘導する。沖縄知事選を控え、革新候補の伊波さんの当選を阻止することも絡んでいた。石原元都知事は、尖閣で頑張り、日本はF35やイージス艦を買えばいいと米国記者クラブで発言した。安倍政権の右翼的性格と日本国民の中にある中国への反発を利用すれば、米国が日本にさせたいことは何でもできると言われている。集団的自衛権・防衛予算の増額・オスプレーの配備と購入・TPP・辺野古移転等々。どれもおかしいことばかりなのに、安倍政権にとってはそれが米国の望むことだから。尖閣を棚上げしないのも同じだ。(一九四六年に伊丹万作が戦争責任の問題について書いたことだが)「戦争中は騙されていたと、政府や官僚に責任を負わせ、騙すことに自分たちも協力していた奴隷状態を反省しないなら、今後何度も騙されるだろう」。 (発言要旨・文責編集部)
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