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    かけはし2014.年4月7日号

奪われる人間の尊厳


介護支援を必要とする高齢者の生活と介護保険制度

「社会保障の市場化」の代償を問う

 

生活実態とかけ
離れた法案だ

 安倍政権の進めようとしている「地域医療・介護の総合確保推進法案」は介護保険制度も改定の対象となるが、その内容は制度を受ける高齢者の生活の需要からかけ離れている。
 介護保険によるサービスを受ける人は以前の生活の継続を希望しつつも、身体機能の低下から外部の支援を必要とされる人である。介護士が直接介護を受ける人の住む家へ向かい介護を行う訪問介護の場合、家族の方が付き添い暮らす人もいるが、日中または終日独居の方が多い。独居の生活は近隣の人との関わりが少なくなるため、体調の急変など緊急時の対応が遅れるなどリスクが伴う。
 そのため、介護士による介護サービスのほか、医療知識を持つ人が訪問する訪問看護サービス、日々の食事をお弁当で配達する「配食業者」による連携で日々の安否確認を行っているのが現状だ。「家族」や近隣からの支援が困難な独居で暮らす方が日常的になっており、サービスを受ける高齢者の視点からは今後、介護保険制度をはじめとする社会保障はより必要となると考えられる。
 また、高齢者の生活の場としての介護施設があるが、一カ月の費用が最低でも一〇万円台、それ以上高額にかかるケースは多い。高齢者は季節の変わり目による寒暖の差などが引き金となって体力の低下する場合があり、日々体調の急変のリスクと闘い過ごされている。二四時間職員の介護を受けられることは大きな利点ではあるものの、所得と費用の関係から入居が困難な方が多い。
 また、満床の状態が続くことから、訪問介護を受けられる方は事業所と連携し施設を探すなど、高齢者の方の生活はそれぞれが望む安全には程遠い。施設の費用は労働者の月給と比較しても支払いを続けるには高額でもあり、「入居しながら働かないと支払っていけない」金額だと現状を見て評価する人もいる状況である。

進行する社会
保障制度崩壊


 介護保険制度は労働人口に対し高齢者が相対的に増加する見込みがあること、個人での生活が困難で病院に入院されている「社会的入院」の増加への対策などを背景に二〇〇〇年の四月一日に制定された。制定の理念として、「医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする」と謳い、多様化する高齢者の生活に柔軟に対応し要望に応じられるシステムの構築と並行して、増加する予算を背景に制度を「合理化」する試みが進められた。
 また、民間の企業の参入を促進し、「競争に伴う質の向上」もなされ「介護の市場化」も促進された。
 介護保険制度の導入により高齢者の支援の体制は、病院や介護施設などから被介護者の家庭へ移り変わったという部分で大きく変化した。導入前に行われていた「措置制度」と比べ、受けるサービスの選択肢は増えたものの、家族・国民の助け合いを前面に押し出した個人への責任の移行も同時に進み、所得の事情に関係なく有料となった点などを考慮すると改悪の側面も大きい制度でもある。「権利者意識が芽生え」や「人間の尊厳の保持」を掲げつつも、「個人の選択の自由」を引き合いにして実際には負担を重くしていく、政府の進める新自由主義的方針を社会保障に移植したような制度ともいえる。
 今回の改定の影響を受ける要支援、要介護2以下の方の多くも、歩行困難など日常生活を営むことそのものに支障があるケースが極めて多い。中央政府から自治体への制度の主体の移行も、少子高齢化に伴う労働人口の低下から財政の確保が困難な自治体や認定の審査が厳しい自治体に住む人は、制度から置き去りにされることは十分に想定できる。社会保障制度が崩壊していると言っても過言でない自治体は今後増加していく危険は極めて大きい。
 介護保険を受ける条件がより厳しくなった場合、生活上の安全や安否確認を困難にし孤独死に至る可能性や独居の人の大けががに伴う介護度の重度化、困窮から生活保護の需要が増加し社会保障に必要な予算が増える悪循環に陥る可能性も、容易に想像しうる事態である。
 「社会保障の市場化」の代償が「最低限度の生活の保障」と「人間の尊厳」も失った高齢者社会になる危険性のあるなか、負担に苦しむ高齢者に対し法案の掲げる「医療を適切に受けるよう努めなければならない」という考えを押し付けることは、介護・医療を受けてはいけないという意味にほかならない。
        (T・S)

参考文献 @総務省ホームページ 法令データ提供システム内 介護保険法全文
A厚生労働省ホームページ 介護保険制度概要

3.21教育再生って? 子どもたちはどうなるの

安倍教育政策をはねかえせ

中央集権化と国家統制をやめろ

 三月二一日、安倍教育政策NO・平和と人権の教育を!ネットワークは、なかのゼロ小ホールで「教育再生って?子どもたちはどうなるの 3・21全国集会」を行い、二四〇人が参加した。
 安倍政権は、グローバル派兵国家建設の一環として次々と教育の反動化を押し進めている。首長の権限を強める教育委員会制度改悪、右派勢力が求める教科書検定基準改悪と「国定教科書」作り、道徳の教科化などの施策を打ち出した。今国会には教育委員会制度改悪のための「地方教育行政法改正案」を提出する。法案阻止と教育破壊の暴走をストップさせるために集会が行われた。
 開会あいさつが西野瑠美子さん(呼びかけ人、VAWW RAC共同代表)から行われ、「安倍首相は、従軍慰安婦制度への旧日本軍の関与と強制性を認めて謝罪した河野洋平官房長官談話について『見直すことは考えていない』と表明したが、検証作業は続けるとした。このような歴史修正主義を許してはならない」と批判した。
 基調講演として山本由美さん(和光大学教授)が「『教育再生 』で子どもや学校はどうなるのか」というテーマで問題提起した。
 山本さんは、安倍政権による新自由主義教育改革の実態を整理し、「国家が決定した教育内容にかかわるスタンダードの達成率に基づく、学校間・自治体間の競争の国家による組織を内容とし、エリートと非エリートの早期選別を目的とした、徹底した国家統制の仕組み」と定義した。
 そのうえで「対抗軸」をいかに考えいくのかという観点から「選択集中小学校と統廃合直後の中学校で不登校率が上昇した。新自由主義教育改革は、このような結果からの検証を行っていない。子どものデメリットからの検証に弱いことも明らかになっている。統廃合に反対運動では町会長や保守層を巻き込んで地域の力が発揮された。子どもの十全な成長・発達をめざすには、教師組合、地域力の共同が大きな力になっていく」と強調した。
 教育情勢報告について俵義文さん(子どもと教科書全国ネット21 )は「戦争をする国」の三要素について@ハードウェア(兵器体系・設備自衛隊)Aシステム(法律・制度・組織=有事法制、秘密保護法等)Bソフトウェア(人材・価値観・戦略=戦争国家を担い支持する国民)と整理し、安倍政権の「教育再生」政策を批判した。
 「教育再生政策とは〇六年教育基本法改悪の具体化として教育の中央集権化と国家統制をあらゆる分野で徹底するものだ。この『国家教育権』の徹底は、第一がグローバル化(無国籍化)した大企業の次世代の人材育成だ。第二が『国防軍』を支える次世代の人材育成をめざすことにある。教育再生実行会議と自民党・教育再生実行本部のねらいを暴露し、監視と批判を強めていかなければならない」と呼びかけた。

子どもを枠に
はめる「指針」
問題別報告では、石山久男さん(歴史教育者協議会)
が「歴史認識と検定制度について」、岡庭一雄さん(長野県阿智村前村長)が「教育委員会制度改革」、藤田昌士さん(元国立教育研究所員(道徳担当)、元立教大学授)が「道徳の教科化」を批判した。
学校現場から高橋秀和さん(都立小学校教員)は、「『子どもを受け止める』『子どもの力を引き出す』『子どもを理解する』のではなく、『子どもを枠にはめる』『子どもに言うことをきかせる』ことが目的になっている。それが数値化され、目標達成を迫られる教職員という現場になっている。ピラミッド型職層によるプレッシャーが強まっている。多忙な現場を是正し、子どもたち一人ひとりに向き合う環境を作っていくことが求められている」と訴えた。
さらに高田健さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)が「憲法をめぐる状況」、FoE Japanが「政府が作成した新しい原発安全神話読本の問題点」、練馬区民から「『はだしのゲン』の学校現場から排除に反対する取り組み」を報告した。(Y)

コラム

政治屋デタラメ日記

 消費税が八%へ増税される四月一日を前にして、花見気分のアベ首相を筆頭に政治屋たちのデタラメと横暴ばかりが目についてしかたがない。日々報道されるニュースを見ても読んでもただただ腹が立つことばかり。八億円もの政治資金を「大きな熊手」に例え、違法性はないと言い切る党代表もいるほどだ。
 近日の中でいちばん明るい出来事は、死刑囚として東京拘置所に四八年間もの長きにわたり閉じこめられてきた袴田巌さんの再審決定、釈放のニュースくらいだ。しかしこの再審、釈放という慶事も元を質せば警察、検察のデッチ上げ、そして裁判官の事なかれ主義が引き起こした人災だと考えると、これまた腹わたが煮えくりかえる。そんな半月を東京新聞の見出しをひろって振り返ってみた。
 三月一六日 「安倍政権 沖縄に弾圧 竹富町教科書『是正要求』」。太平洋戦争末期、住民が軍から強制移住させられ三〇〇〇人以上がマラリアで死亡した八重山諸島にとって、自虐史観からの脱却とやらで編集された「育鵬社」の中学公民教科書に反対するのは当たり前のこと。下村博文文科相のゴリ押しは教育への政治介入そのものだ。この御仁は、松江市教育委員会が行った「はだしのゲン」の閲覧制限を擁護した確信犯。(怒)
 三月二一日 「首相 了承なく『推進』 核燃サイクル 与野党協議の中」。アベは先の核サミットで「利用目的のないプルトニウムはつくらず、保持しない」と発言した。しかしその舌の根が乾かぬうちに、原発の再稼働を前提に「核燃サイクル推進」を閣議決定もされていないのに表明するという。この暴走ぶりってどうよ。(呆)
 三月二五日 「首相側近また失言 萩生田氏慰安婦『新談話を』」。村山自社連立政権時代の河野談話をどうしてもひっくり返したいらしい。萩生田なる人物、総裁特別補佐というアベの側近。そしてその役職は首相のスポークスマン役というから、政権の本音に違いないだろう。(納得)
 三月二五日 「大阪市長 橋下氏再選 投票率最低二三%台、白票は四万五〇〇〇超す」。政治団体と呼ぶのにふさわしい名称を持つ「大阪維新の会」。時代が時代なら天誅を与えられて然りの辞職と市長選だった。選挙戦では、「都構想に反対するなら僕を落としてください」と連呼したという。白票の意味をどう考えているのやら。(笑)
 三月二五日 「猪瀬前知事 略式起訴へ 東京地検 五〇〇〇万円、公選法違反」。在宅の略式はないだろうよ。懲役だろう普通は。かつて信州大学全共闘議長と呼ばれた肩書きが泣いてるぜ。(涙)
 三月二八日 「渡辺喜美氏『違法性ない』 八億円問題 引責辞任を否定」。猪瀬の五〇〇〇万円がかわいく見えてしまうほどのゼロの多さ。これで渡辺商店は倒産の崖っぷちに立たされた。しかし、記者の「猪瀬前東京知事と同じではないかと」という問いに対して、「現金で受け取ったのではない。通帳に来ているから確認できる」と答えたというから政治屋は面白い。
 さて明日朝刊の大見出しは何でしょうか。想像するだけで恐ろしい。
         (雨)


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