消費税率大幅引き上げ反対
社会保障切り捨て、雇用破壊のアベノミクスやめろ
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住民の負担増
は10兆円にも
国民の圧倒的多数が反対しているにもかかわらず、四月一日より消費税を五%から八%に引き上げる増税を盛り込んだ二〇一四年度予算案が三月二〇日衆院本会議で成立した。一般会計の総額は過去最大の九五兆八八二三億円。町の中はすでにさまざまな物やサービスの値上げ予告であふれている。郵便局に入ると手紙が八〇円から八二円に、葉書も五〇円から五二円に値上げするという貼り紙がされ、銀行のATMも一〇五〜二一〇円が一〇八〜二一六円に値上げになり、振込料も五二五円が五四〇円に値上げとなる。公衆電話は二〇年ぶりに値上げされ、通話時間が一〇円で六〇秒ではなく五〇数秒に短縮される。
さらに電気、ガス、水道、電車・バス、高速道路料金などは、四月一日より自動的に三%が一斉にプラスされる。小学生がいる家庭には四月から給食費が月に百数十円程度値上げする旨の通達が全国で送付されている。低学年より高学年にいくほど値上げ額は大きくなるという。そしてマスコミは「消費税増税前の駆け込み需要」を連日煽り続けている。
消費税の税率は一%が二・七兆円と試算されており、三%では増税分が八兆円にもなる。加えて年金保険料が引き上げられ(五〇〇〇億円)、介護保険の自己負担分が引き上げられ、七〇〜七四歳の医療費の自己負担分も一割から二割に引き上げられる。逆に年金は支給額の減額(八〇〇〇億円)が始まる。
消費税増税と社会保障の改悪を合わせると住民の負担増は一〇兆円にもなる。これは四人家族で年間二二〜二五万円の負担増となり、単純計算しても住民一人当たり五万〜七万円の負担増である。これにアベノミクスの円安政策によるガソリン、電気代、食料品など生活必需品の物価上昇分が加わり、さらに生活を直撃する。
逆に政府は消費税の増収分八兆円のうち七割にあたる五・五兆円を、被災地の復興と復旧工事の遅れを省みることなく、東京外郭環状道路を含む東京五輪のインフラ整備などの「国土強靭化」と称する大型公共事業につぎ込むことを発表した。その上、復興特別法人税を前倒し廃止するための財源に九〇〇〇億円を投入することを決定。さらに一月のダボス会議で安倍首相は、法人税を二〇%台に下げることを国際公約として発表した。この一連の政策の中に安倍政権の「大資本には減税、国民には大増税」との本質が端的に表現されている。もし簡単に今回八%への引き上げを容認するなら、来年一〇月には消費税は一〇%に増税され、次の段階には一五%という形で攻撃をかけてくることは必然である。
社会保障改悪と
一体の大衆収奪
日本の財政は一九八九年度末には「国と地方を合わせた長期債務残高」が二五四兆円であったが、二〇一三年度末には長期債務残高が一〇〇〇兆円にも膨れ上がった。これはGDP比で約二〇〇%にも達し、先進国の中でも最大である。経済破綻に直面しているギリシャでさえGDP比で一四二%である。
バブルの崩壊後、長期債務は拡大の一途をたどった。それは経済成長率の低下と新自由主義的政策による法人税、所得税の減税による歳入不足、他方景気回復を意図した大型の公共事業投資というバラまき、さらに高齢化社会の到来による社会保障費の増大という二つの要因による歳出の増加が原因であった。つまり歳入は減少し、歳出は増大し続けた結果である。
一〇〇〇兆円という長期債務額を持ちながら、国債価格の暴落と長期金利の上昇という経済危機が回避されている理由は、国債のほとんどが日本国内で保持されており、また個人の金融資産の総計が一一〇〇兆円もあることによる。しかし、再びリーマン・ショックのような事件が起こるなら最後の堡塁も崩壊し一挙に長期金利が急騰し、国家財政破たん的危機に突入することは明白である。
昨年一〇月安倍首相は記者会見で「消費増収は社会保障にしか使いません」と発言し、他方では「経済再生と財政再建は両立しうる」と強調した。この発言の前者は明らかに建て前であり、後者が本音であることは税収の一割にも満たない五〇〇〇億円しか社会保障関連に振り分けられないことが明白に物語っている。しかもその五〇〇〇億円の中身も保育水準切り下げの「待機児解消」策や「患者追い出し」のための入院ベッド削減費用が中心である。加えて、年金、生活保護費を削減し、高齢者の医療費の窓口負担を値上げする。安倍政権は全般にわたって社会保障制度の改悪に突き進もうとしている。
現在、社会保障費の予算は国と地方を合わせると約三八兆円、高齢者が増加し医療費や介護費用が膨らむと、二〇一七年には約四五兆円にもなると見込まれている。消費税を三%引き上げて八兆円、さらに税率を二%引き上げて税率を一〇%にしても社会保障費のすべてをまかなうためには計算上は一九兆円も足りない。まして今回、八兆円の増税分のうち五・五兆円も大企業の支援や大型公共事業にまわされているに至っては、社会保障制度の改悪にとどまらず解体をねらっていると言わざるを得ない。
今や消費税増税反対、社会保障制度改悪反対はひとつの闘いである。
政府の「賃上げ
要請」の実態
安倍政権は「景気循環」のためには国民全体の消費拡大が必要であり、労働者の賃金水準の引き上げが不可避であるとして財界に対して再三にわたって賃上げを要請した。だが賃金のベースアップの恩恵に浴するのは大企業の正社員労働者だけであり、労働者全体の〇・三%に過ぎない。圧倒的多数は消費税の三%増税分も保障されない低賃金のもとに置かれ、非正規労働者は賃上げどころか日常的に雇用の危機にさらされている。
安倍政権の「世界で一番企業が活躍しやすい国」というスローガンは、正社員にも、非正規労働者にもさらに不安定雇用を広げ、賃下げと労働条件の悪化をもたらすものに他ならない。政府は今国会で派遣労働の全面的自由化に扉を開く不公正な派遣法の改悪を行おうとしており、返す刀で「残業代をゼロ」にする「ホワイトカラーエグゼンプション」の導入を目論んでいる。さらにリストラしやすい「限定社員」制度の法制化や不当解雇であっても企業がカネさえ払えば労働者をリストラできる「解雇の金銭解決」を導入しようとしている。
消費税増税と社会保障制度改悪が一体であるように、消費税増税と労働法制の大改悪もまた一体となって推し進められているのであり、国家財政の危機を乗り切るために労働者大衆に一方的に犠牲を押し付けようとしているのである。そのことは厚労省予算に占める雇用関連予算が〇・六%の一八二二億円しかなく、その予算さえ雇用調整助成金を削減するための費用である。つまり改悪を推進するための予算である。
この構造が成立すると次の局面では健康保険料も払えず病気になっても病院に行けない状況が続出することは明白であり、職を失っても生活保護も受けられない状況が全般化する。他方ではこうした構造と状況に依拠して医療費が削減され、医療労働者に対する労働強化が進められる。このような悪循環的圧力は医療労働者にとどまらず公務労働者全体に貫徹し始めている。
消費税の値上げによって国民に負担増を強制し、大企業を支援する一方で、一般財政では軍事費が四兆八八四八円も予算化されている。この額は二〇一三年度に比べ二・三%増であり、一三一〇億円の増額である。さらに東日本大震災復興特別会計枠に含まれる軍事費三七一億円分を含めると総額四兆九二一九億円にも達する。また海上保安庁の尖閣列島警備のための巡視船建造費三九二億円も加えると五兆円に近い。
国民の空前の負担増の裏では自衛隊をさらに攻撃的に変え、「集団的自衛権の行使を認める解釈改憲の攻撃」と並行して軍事費の増大が押し進められているのである。
安倍政権の危機
は深まっている
二〇一二年一二月に成立した安倍政権は、景気回復に対する期待を背景に五〇%を超える高い内閣支持率を維持してきた。秘密保護法の制定、辺野古米軍進基地建設のための埋め立て工事の承認強要、集団的自衛権行使の解釈改憲をめざすという一連の極右ナショナリズム的暴走もまた高い支持率が自信となっている。
確かにアベノミクスによる異次元の金融緩和政策によって二〇一二年末には九〇〇〇円台であった株価は、二〇一三年には一万六〇〇〇円台まで上昇した。結果、上場企業の二〇一四年三月期の連結経常利益は前年比で二八%、純利益は六四%も増える見込みであると発表されている。これは円安による輸出産業の海外での利益がかさ上げされたことによって実現された側面と安倍政権の「成長戦略」の一環である研究開発費への減税、復興法人税の前倒し廃止、交際費の非課税枠の拡大、さらに政府が指揮を執ったインフラ輸出の後押しによって達成されたという側面がある。二つの側面ともアベノミクス効果といえる。
だが今年になって逆転現象が始まっている。株価は下降し始め、輸出が伸び悩み「経常赤字」は過去最高を記録した。政府は「原発停止に伴う火力発電のための燃料輸入の高まり」を理由にしているが、本質的問題は企業が海外生産を拡大し、部品も現地調達する構造がつくられたことにより「円安」でも輸出が伸びず、かつてのように円安が簡単に輸出を押し上げることができない構造がつくられているのである。つまり産業の空洞化は政府の思惑を越え、同時にこの現象はかつてのような競争力を日本の企業が失っていることを意味している。
さらに注目すべきは株価を押し上げた国際的な経済構造が終えんしたことである。リーマン・ショック後、だぶついていた資金はファンドなどを通してBRICsなどの新興国に投機マネーとして流れたが、米国の長期金利の上昇を見込んでそのマネーは一斉に新興国から流出し始めた。トルコ、ギリシャ、スペイン、さらにブラジルの経済危機はこの反映である。その資金が日銀の異次元の金融政策と結びついて株価を上昇させたに過ぎない。
この時期株価を吊り上げた外国からの投資マネーは約一六兆円と言われている。このマネーはトヨタをはじめとする政府に後押しされて利益を上げた大企業、金融、不動産、建設に流れただけで中小を中心とする日本の企業・産業には全くまわってはいない。ここに「実体経済」とかけ離れた「株価上昇」の本質がある。今や景気回復への期待とは反対に、かつての米国のように「双子の赤字」が全面化し、株価の低落に見られるような投機マネーの日本からの撤退が始まっている。撤退は「日本売り」である。消費税増税はこの構造を直撃し、さらに駆け込み需要の反動もこれに加わることは明白である。
また経済の一定の好調の上で暴走した安倍首相も靖国参拝は中韓との関係を一層最悪にしただけではなく、「味方」と思っていた米国からも不信・失望を宣告され、軍隊慰安婦問題での「河野談話」の見直しを放棄せざるを得ないところまで追いつめられている。
消費税増税は安倍政権が押し進めてきたアベノミクスと極右的政治路線・政策という政治・経済の両方を危機に陥れ始めている。
反撃のための絶好の機会が到来し始めたのだ。労働者人民の中には反原発運動で表現された怒り、あるいは秘密保護法の時に国会や官邸を包囲した力が存在している。基地撤去の沖縄の島ぐるみの闘いの力も存在する。この力と怒りを結合し、今こそ安倍政権を打倒する闘いをつくり出していくことが求められている。消費税増税絶対反対!
(松原雄二)
資料
ロシアによるウクライナへの軍事
介入に抗議し、クリミア併合を行
わないよう要請します
WORLD PEACE NOW
2014年3月18日
WORLD PEACE NOWは、ウクライナへのロシアの軍事介入と「住民投票」を通じたクリミアの「編入」を批判するプーチン大統領の要請文をロシア大使館に送った。同要請はロシア軍のクリミアからの撤退を求め、クリミア併合を行わないよう求めている。この立場を支持し、掲載する。(編集部)
ロシア連邦大統領 ウラジーミル・ウラジーミロヴィッチ・プーチン様
私たちWORLD PEACE NOWは、2003年のアメリカならびに多国籍軍によるイラクへの戦争・軍事占領に反対して作られた運動体です。私たちは「武力で平和はつくれない」という理念の下に戦争、戦争につながるあらゆる動きに反対し、人びと自身が平和を築き、世界の人々とつながっていく活動をつづけてきました。私たちは、日本政府がこの戦争に加担し、自衛隊を海外に派兵することにも反対してきました。
私たちは、今回のウクライナの政変を機に、ロシアがウクライナ領であるクリミアに軍事介入し、その圧力の下で、ロシア系住民を中心にしたクリミア自治共和国政府による「住民投票」という手段で、クリミアをロシアに編入・併合しようとしていることに強く抗議します。
紛争と「ロシア人保護」「クリミア自治共和国政府の支援要請」などを口実にしたウクライナ領クリミアへの軍事介入、そしてロシア軍の圧力下での「住民投票」と「住民の意思」を理由にした他国領土の自国への編入――これらはいずれも、国連憲章、国際法、ウクライナの憲法に違反する行為です。
ロシアの軍事力を背景にしたクリミアの住民投票に対しては、人口の24%のウクライナ人や、18%を占めるクリミア・タタール人の多くが反対し、とくに、かつて第二次大戦中に自らの意に反して中央アジアに強制移住させられたクリミア・タタール人は、自らの苦難の歴史的体験を思い起こし、ロシアへの強制編入に反対し、投票をボイコットしたと報じられています。
ウクライナの主権を侵害し、相対的な少数民族の意思や権利を侵害した今回の不法な行為は、地域と世界の平和を破壊し、緊張を作り出すものであると私たちは考えます。
私たちは、ロシアであろうとウクライナであろうと、民族的差別と敵対をあおるあらゆる排外主義に反対し、少数民族の権利の尊重の上に立って、民族間の平等にもとづく平和と共生の関係を築き上げていくことが必要であり、それは可能だと考えています。
私たちはプーチン大統領とロシア政府が、軍隊をクリミアから即時撤退させ、「住民投票」を理由にしたクリミアのロシアへの編入・併合を行わないことを強く求めます。
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