エネルギー基本計画閣議決定やめろ
「重要なベースロード電源」って?
原発ゼロ社会に今すぐ舵を切れ
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「深い反省」は
一体何のため
「震災前に描いてきたエネルギー戦略は白紙から見直す。原発依存を可能な限り低減する。東京電力福島第一原子力発電所事故で被災された方々の心の痛みにしっかりと向き合い、寄り添い、福島の復興・再生を全力で成し遂げる。ここがエネルギー政策を再構築するための出発点であることは言を俟たない。/2011年3月11日に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故は、我が国の社会に対して甚大な被害を与えた。政府及び原子力事業者は、いわゆる『安全神話』に陥り、十分な苛酷事故への対応ができず、このような悲惨な事態を防ぐことができなかったことへの深い反省を一時たりとも放念してはならない」。
この文章は、さる二月二五日に発表された経済産業省の「エネルギー基本計画」(案)の「はじめに」の冒頭部分である。みごとな「官僚の作文」としか言いようのない、こうした言葉から始まる「エネルギー基本計画」(案)を、安倍内閣は三月中に閣議決定し、原発の再稼働と輸出、核燃料サイクル計画の延命を続行しようとしているのだ。あらためてこの「エネルギー基本計画」(案)の撤回と、全原発の廃炉化・原発のない社会に向けた全面的方向転換を実現する運動をつくり出していこう。
原発の持つ
属性を隠ぺい
経産省の「エネルギー基本計画」(案)は原子力発電をどのように位置づけているのか。
「燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産を維持できる準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である」――これが経産省が原発に与えている「位置付け」なのである。まるでそもそも福島事故などなかったかのような、そして「はじめに」の殊勝ぶった「深い反省」などどこに行ってしまったかというような原発賛歌である。
一二月に出された経産省総合資源エネルギー調査会の「基本計画」(案)では、原発を「基盤となる重要なベース電源」として規定していた。それが「重要なベースロード電源」に変わっている。その理由は「基盤となる」という言葉を削除することで、原発に与える「重み」を緩和させ、さらに「ベースロード電源」という技術的用語を使用することで、きわめて政治的な原発重視の路線に中立的印象を与える意図があったようだ(ベースロード電源とは、季節や時間帯に左右されず一定の電気を安定的に供給する発電所という意味らしい)。
しかし逆に、そのように述べることで、事故が頻発する原発の不安定性、「苛酷事故」が起きればいかに深刻な被害を世代を超えて及ぼし続ける致命的に不安定な電源であるかという原発の本質的属性を隠ぺいする意図が明らかになってくる。
自治体への
圧力を明記
次に「政策の方向性」を見ることにしよう。
「原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な知見に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制水準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む」。
ここでは規制委員会が「世界で最も厳しい規制」を原発に課して、「再稼働」をチェックする機関であると印象づけた上で、「再稼働」の判断を規制委員会にゆだねるというポーズが前面に押し出されている。しかしすでに多くの人が述べているように規制委員会は、あくまで原発の「再稼働」に必要な手続きを行うために「お墨付き」を与える機関であるということを忘れてはならない。もちろんあまりにも杜撰な審査申請に対しては、注文を付け、「お墨付き」を与えないこともあるだろう。しかしこのチェックとは、再稼働にゴーサインを出すためにクリアすべき条件を課すものだ、ということを忘れてはならない。
そしてひとたび規制委員会が「再稼働」を認めれば、国が先頭になって「理解と協力」を得るために自治体に圧力をかけることが明記されている。たとえば住民の避難計画などの問題については、規制委員会は「再稼働」のための条件にはしないことを明らかにしており、自治体の首長などが異議を唱えても再稼働をやめない、ということになってしまうのである。二月二六日、民主党の菅元首相が衆院予算委員会で「自治体が安全に避難できないから原発は動かさないでくれといった場合、再稼働しないのか」と質問した時、茂木経産相が答弁を回避した。
原発の新設についてはどうか。「原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる」としている。しかし同時に「我が国の今後のエネルギー制約を踏まえ、安定供給、コスト低減、温暖化対策、安全確保のために必要な技術・人材の維持の観点から、確保していく規模を見極める」としており、明記はしていないものの原発の新増設の可能性にも言及していると見るべきだろう。
原発輸出も核
燃サイクルも
「基本計画(案)」の第3章「エネルギーの需給に関する長期的、総合的かつ計画的に講ずべき施策」の第4節は「原子力政策の再構築」である。
ここでは原発輸出と核燃料サイクルの問題に絞って批判したい。
まずは「原発輸出」について。「……東京電力福島第一原発事故後も、国際的な原子力利用は拡大を続ける見込みであり、特にエネルギー受容が急増するアジアにおいて、その導入拡大の規模は著しい。我が国は、事故の経験も含め、原子力利用先進国として、安全や核不拡散及び核セキュリティ分野での貢献が期待されており、また。周辺国の原子力安全を向上すること自体が我が国の安全を確保することになるため、それに貢献できる高いレベルの原子力技術・人材を維持・発展することが必要である」。
これは「福島原発事故」を「売り」にした原発輸出戦略ではないだろうか。それが「安全」の輸出ではなく「危険」の輸出につながらない保障などどこにもない。この点で再びアジアへの加害者となることをわれわれは拒否する。
「核燃料サイクル」問題でも、「基本計画(案)」の主張は、これまでと同様の断固たる推進論である。
「核燃料サイクルについては、六ヶ所再処理工場の竣工遅延やもんじゅのトラブルなどが続いてきた。このような現状を真摯に受け止め、これら技術的課題やトラブルの克服など直面する問題を一つ一つ解決することが重要である」。
「具体的には、安全確保を大前提に、プルサーマルの推進、六ヶ所再処理工場の竣工、MOX燃料加工工場の建設、むつ中間貯蔵施設の竣工等を進める」「もんじゅについては、これまでの取組の反省や検証を踏まえ、あらゆる面において徹底的な改革を行い、国際研究協力の下、もんじゅ研究計画に示された研究の成果を取りまとめることを目指し、そのため実施体制の再整備や新規制基準への対応など克服しなければならない課題について十分な検討、対応を行う」。
まったく動かせないで維持費だけで年間一九九億円(二〇一四年度予算)の経費、つまり一日五四〇〇万円のカネを空費するもんじゅに一体、いつ決着をつけるのか。
「エネルギー基本計画」(案)は、福島原発事故三年にして、被災者や被ばく労働者を足蹴にして、あるいは決してあきらめることのない反原発のうねりに逆らって、原発依存を続ける支配階級、安倍政権の「原発依存」への執着を示すものとなった。三月閣議決定を許さず、再稼働阻止・原発ゼロ社会への舵をきる闘いのうねりを!(河村恵)
3.12
首相官邸前抗議アクション
原発事故被害者への
支援放棄に抗議する
三月一二日、福島原発事故緊急会議が呼びかけて「原発事故被害者への『支援放棄』に抗議しよう 3・1首相官邸前抗議アクション」が行われた。参加者は六〇人。
最初に、呼びかけ団体である緊急会議から、三・一一原発事故が放射能汚染にとどまらず、被災者「切り捨て」の政策など、人権侵害・環境破壊の総体として国家と東電の犯罪であったとの指摘が行われ、この犯罪が被害者・避難者への低すぎる賠償、支援法の「骨ぬき」という形で貫かれていることを批判した。そして政府に対して「被災者支援法」の基本方針を撤回し、被害当事者の参画の下に新たな基本計画の再作成を要求しようと訴えた。
行動は、被害者・避難者の置かれている苛酷な現状と、被害者の声を伝える画像をスクリーンに映し出しながら、参加者の発言を組み合わせるやり方で続けられた。発言では、FoE Japanの満田夏花さんが避難者の補償切り捨て、「帰還」促進の問題点を指摘し、また福島老朽原発を考える会の阪上さんが、三月一三日に規制委員会が、再稼働を見据えて九電川内原発の「優先審査」を行おうとしていることに抗議しようと呼びかけた。
続いて、再稼働阻止全国ネットワーク、経産省前テントひろば、被ばく労働を考えるネットワーク、東電前アクション!の仲間からの連帯発言を受けて、首相官邸に向けたシュプレヒコールで抗議の意思を表明した。 (K)
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