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鉄建公団訴訟がスタート               かけはし2002.107号より

闘争団・家族を先頭にJR総行動を闘いぬく

国労本部の敵対をはね返して

 鉄建公団訴訟の第一回口頭弁論開始の九月二十六日、全国から上京した三十人の闘争団家族を先頭にJR総行動が闘い抜かれた。
 早朝、新宿のJR東日本本社前と日比谷の東京地裁前でビラまき宣伝行動が行われた。原告団は自民党の甘利をはじめとする政府与党の訴訟取り下げ攻撃や国労本部による除名処分のどう喝などの妨害にも屈せず、鉄建公団訴訟を開始したことで晴れ晴れとした気持ちで新た闘いを開始する決意を語った。
 十一時からは東京地裁で第一回の口頭弁論が開かれた。それに先立つ地裁前集会で約三百人を前に勝利させる共闘会議の二瓶さんは四党合意の破綻を強調しながら「裁判と大衆運動は車の両輪だ。映画上映会など社会的広がりを作り連鎖集会、首都大集会を成功させよう」と訴えた。
 原告団長の酒井さんは二百八十三人の原告を代表して「最高裁の闘いとあわせ十六年間の思いをぶつけ解決を目指して訴訟を起こした。ともに闘おう」と力強く訴えた。その後原告闘争団員からは「首を切った責任者がいないなどと言うことは許せない」「生活援助金打ち切り、物販ルートを断ち切られても自分たちで開拓していく」「全国大会代議員選挙は四党合意反対派を立てて闘い抜く」などそれぞれの思いがこめられた発言が続いた。
 閉廷後報告にたった加藤弁護士は「相手方代理人は清算事業団は三年間の時限立法なので解雇せざるを得ないといっているがなぜ就業規則で解雇なのか。原告陳述人のいじめや、おざなりの再就職斡旋の実態についての陳述など、また遺族の鉄道に誇りを持ってまじめに働いてきた者が解雇のままなくなった悔しい思いなどは傍聴者、裁判官の心を動かしたに違いない」と述べ、迅速な解決を要請したと発言した。
 その後はJR東日本本社、鉄建公団や各省庁への要請行動を展開した。JR東日本本社への要請行動では、闘争団が身を挺して警備を振り切りビル前に集結、慌てふためく警備員を尻目に初めて玄関前での抗議行動を展開した。
 赤坂見附にある鉄建公団前では、約二百人を超える参加者で責任を追及、原告の「清算事業団から名前が変わっても責任はある。徹底して責任を求めていく」との決意表明や力強いシュプレヒコール、平日にもかかわらず大結集した参加者に公団は身震いしたに違いない。国土交通省への監督責任を求める要請行動のあと、最後は厚生労働省への要請行動が繰り広げられた。
 要請行動の最後に報告に立った酒井原告団長は二点の前進が見られた点を強調した。一点は鉄建公団の担当者が「解雇当事者の発言は重い。解雇した当事者として裁判ではっきりさせたい」と当事者の認識を示したこと、国土交通省要請では門前払いしようとする担当者に「責任官庁ではないか」と迫り、本格的交渉相手になるために「少し傷跡を残したのではないか」という点である。そして交渉で「道筋の光が見えてきた」と自信を込めて報告した。
 一日行動の締めくくりは、鉄建公団訴訟原告団と国鉄闘争に勝利する共闘会議の共催による労働スクエアでの9・26鉄建公団訴訟報告集会だ。会場は約六百人の参加者で埋まった。集会はいつもとは様変わりで、演壇は趣向を凝らした大法廷のセットだ。始まりはビデオプレス制作の十五分ほどのこの二年間の闘争団の取り組みだ。本部との攻防など非常に凝縮されている。
 座っていてもユニークな闘争団の岩崎さんの裁判長を正面に「野次や不規則発言は大いに結構」と始まった。原告代理人として立った加藤弁護士は地裁で展開した訴訟の趣旨を、@分割民営化は何だったのかA採用差別という国家的不当労働行為についてB労働委員会命令と裁判の判決についてC鉄建公団訴訟についてと簡単に訴状の趣旨説明の再現を行った。
 陳述人としては東京清掃労組の星野委員長、国鉄臨雇の解雇や退職金ピンハネ・臨職差別と闘う和田さん、郵政ユニオンの松原さんが発言し激励の拍手を受けた。会社側弁護士として立った闘争団員は「手厚い就職斡旋を受けたがJR復職にこだわり三年間の雇用期間が過ぎて解雇」と法廷再現の発言、「いいかげんなことを言うな」「ウソつき」などの野次を飛ばされる。
 今日の第一回口頭弁論の法廷に立った稚内闘争団の上出原告は、民営分割で採用差別に至る人材活用センターでの差別といじめ、血の入れ替えの配置転換、雇用不安をあおる脱退強要、国労一〇〇パーセントの不採用、三年間の雇用対策室でのいいかげんでずさんな就職斡旋の実態と家族へのいわれなき差別などを、詳細に、淡々と、静かに怒りを押し殺して発言した。そして「解雇の責任は旧国鉄とJRにあると訴訟を起こした」と陳述を再現した。会場は一言も聞き漏らさないかのように静まりかえって聞き入った。
 もう一人の陳述人である闘争団遺族で美幌闘争団の三浦さんは、「鉄路を守ることに誇りを持ち、国労であることに誇りを持ってまじめに働いていた。夫が不採用、飼い殺しの状況でぼろぼろにされ、三年間給料泥棒と言われ、九〇年に二度目の解雇、不安な日々、国会答弁の一人も路頭に迷わせないとの発言はなんだったのか」と怒りに声を震わせる。
 「汚名を晴らさぬままの他界」「夫の死を早めたのは採用差別、このままでは納得はできない。責任はどこにあるのか突き止めていただきたい」と声を詰まらせながら訴えた。
 大衆法廷の最後に原告団長の酒井さんが全国連鎖集会の開始と公判日程が十一月二十一日、十二月二十六日、一月二十七日と決まったこと、集会参加者が六百人で一日行動の延べ参加者が一千人に達したことを発表、盛大な拍手で確認された。ヤジと不規則発言ありでユーモアに満ちながらも、国家的不当労働行為の事実を再確認しそれへの怒りと闘いの決意があふれた大衆法廷は終了した。
 与党三党・甘利のゼロ回答、除名の強要発言と本部による訴訟取り下げオルグや除名処分のどう喝にも屈せず、闘争団原告は第一回口頭弁論とJR総行動を闘い取った。本部指導に変わる新しい闘いは平日の日中という行動設定にもかかわらず常時二百人以上を結集し意気揚揚と元気一杯でJR総行動を成功裡に貫徹した。
 国労本部は十一月の定期大会を前にして、八月末に「採用差別事件の解決に対する本部の決意」なる方針を打ち出し、九月中ごろには「解決案が浮上」と言ってきたが、自民党筋にも蹴られて何ら解決案らしきものを引き出すことはできなかった。
 本部の淡い期待も頓挫して、四党合意による政治解決は闘争団と政府・JRに挟撃されて瓦解した。しかし八方ふさがりの本部チャレンジ指導部は、四党合意の破産も認めないままひたすら保身と延命に全力をあげ、全国大会乗り切りに成功したら新たな闘争団切捨ての策動をもくろんでいる。
 それは、組合員の底深い抵抗によって除名処分が不可能になったら、闘争団とJR貨物労働者を本部直轄にして、その他は企業毎の組合にして連合化を図るという、単一労働組合という国労の解体を早めようとする策動である。それは組織再編の名のもとに、闘争団とJR貨物労働者を切り捨てることでもある。
 スト基金を取り崩して機関専従役員の退職金に当てようとする国労の財産分捕りの動きもある。新たな闘争団切り捨ての策動が「社員でない労働者は組合員になれない」「本来、労働運動は社員の労働条件改善の闘いである」などという、度し難い武装解除と階級性の解体とともに進められている。責任問題もあいまいなまま全国大会を焦点ぼかしで開催し、延命を目論む現執行部を許すことはできない。
 革同は革同全体としての態度を何一つ鮮明にしてはいない。四党合意は破棄しなければならない。鉄建公団訴訟原告を対象とした査問委員会は解散すべきである。生活援助金の打ち切りは撤回すべきである。物販ルート打ち切りは撤回しなければならない。鉄建公団訴訟、政府・JRの責任追及を大会決定として取り組むべきである。本部執行部は総退陣して新しい闘う執行部に道を譲らなければならない。定期全国大会を四党合意反対派の代議員で埋め尽くそう。(9月28日 蒲田宏)

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