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    かけはし2013.年12月9日号

自律型私学校「忠南サムスン高校」


高校から始まる「彼らだけのリーグ」

年間学費842万ウォンと高額

 「サムスン財閥が特権貴族学校まで建てなければならないのか」。
 「労働弾圧・人権弾圧でも飽きたらず公教育の破壊まで!」。
 10月の最後の日、ソウル瑞草洞にあるサムスン本社前に聞きなれないスローガンが登場した。誰がどう見てもグローバル企業サムスンとは似つかわしくないような公教育関連の内容だった。通りすぎるサムスン職員や通行人たちの面食らったような視線が、ピケットを持ったソン・キチュン全北大法学専門大学院教授(民主主義法学研究会・会長)に注がれた。彼はサムスンに抗議しようとして1人デモに乗り出した5人目の教授だ。教育運動連帯に参加している「民主化のための全国教授協議会」や「民主主義法学研究会」所属の他の教授たちもソン教授に先立って1日ずつのリレー・デモを繰り広げた。

高い学費の「貴族学校」

 彼らが批判している対象は、サムスンが来年3月に忠清南道牙山市湯井面に開校することにした自律型私立校(自私高)「忠南サムスン高等学校」だ。牙山市付近に本社や工場を置いているサムスン・ディスプレー、サムスン電子、サムスンSDI、サムスン・コーニング精密素材など4つの系列社が昨年7月から共同で設立を準備してきた学校だ。サムスン高を運営する学校法人・忠南サムスン学院の理事長はクォン・オヒョン・サムスン電子副会長が務めた。サムスンは総額1億ウォン規模の投資を通じてサムスン高を積極的に支援する計画であることが明らかになった。
 サムスン高が俎上に上った背景には自私高という特殊性がある。自私高は学校法人が政府の支援なしに、学生の授業料と財団の収入だけで運営するが、自律的に学生を選抜し教育過程を運営する特殊私立学校だ。授業料も一般高の3倍までにすることができる。こうであればこそ、自私高が成績が優秀で父母の経済的能力にも支えられる学生たちを独占した後、入試課目を中心に教えるとともに高校の序列化を煽り、公教育を麻痺させるとの指摘がずっと提起されてきた。サムスンが設立する自私高に対して各界各層から憂慮の声が注がれている理由だ。
 高い学費も「貴族学校」の論難を大きくする上で、ひと役買っている。サムスン高の学生1人当たりの年間学費は842万ウォン(2014年、学校会計歳入歳出明細書基準、入学金、授業料、寄宿舎費、食費、放課後教室費などを含む)で、そこそこの大学の授業料の水準だ。2年前の統計ではあるものの、全国自私高の平均学費659万ウォン(2012年基準)より180万ウォンも高い(チョン・ジヌ正義党議員)。
 サムスン側は心外だとの雰囲気だ。子どもの教育環境が劣悪な地域で勤務している役職員たちの生活の安定のために、やむなくサムスン高を設立したのだとサムスンは主張している。サムスン・ディスプレー関係者の説明だ。「現在、牙山近郊で勤務している3万8千人の役職員の子どものうち来年だけで580人程度が高等学校に進学しなければならない。しかしこれらの人々が通う高等学校がとんでもないほどに不足している。今も相当数の役職員の子どもは父母と離れて首都圏で学校に通っているが、父母と一緒に暮らしていたとしても1時間以上かけて通学している。数年間、教育庁に学校の設立を要請していたが受けいれられず、(教育庁が)『サムスンがいっそやってみたら』と提案し、(学校を)作ることになったにすぎない」。
 しかしサムスンの主張を鵜呑みにしがたい所もある。単純に役職員の子どもを受け入れるだけの高等学校が必要だったのであれば一般私立高を設立することもできたのに、サムスンは自私高を選択した。ここには学生の選抜権がある自私高は一般私立高とは違って役職員子どもの入学特例が保障されているという点が働いたものと見られる。実際にサムスンはこのような自私高の「長所」を最大限に活用している。サムスン高は学年当たりの募集定員350人のうち70%に当たる245人を、役職員子女から選考によって選ぶことにした。忠南地域のサムスン・ディスプレー、サムスンSDI、サムスン・コーニング精密素材、サムスン電子などで1年以上、在職した役職員の子どもが主要な対象だ。忠南の一般学生が許容された人数は総定員の10%(35人)にとどまる。残る20%(70人)は義務的に選ばなければならない社会的配慮対象者の選考枠として自動的に割り当てられた。

募集人員の70%役職員の子ども

 サムスン高が定めた「役職員子どもの比率70%」は他企業が設立した自私高と比較しても高い方だ。この水準で役職員の子どもを特別選抜しているのはポスコの光陽製鉄高ぐらいだ。それ以外は定員の15〜60%を役職員の子どもから選んでいる。「企業が役職員の福祉のために建てた学校は入学定員の一定比率を従業員の子女によって選抜することができる」と定めた初・中等教育法施行令に基づいている。サムスン・ディスプレー関係者は「来年、新入生定員の70%に当たる245人を役職員の子どもから選抜したとしても全子ども580人の40%にすぎない。他企業が運営している自私高と比較してみても過度な水準ではない」と主張する。だが役職員の子どもを行き過ぎて配慮した選考は国政監査でも論難になった。国会・教育文化体育観光委員会所属キム・サンヒ議員(民主党)は10月24日、忠南教育庁を対象にした国監で「サムスン高の入学説明会には(サムスン)役職員の名刺を持っていなければ入場ができない上、選抜基準が役職員の子どもが70%も占めているなど、現代版教育身分社会を作ることにほかならない」と批判した。
 サムスン高が立地する牙山市の地域社会でも憂慮は変わらない。入試の名門高として挙げられている自私高が初めてできることになったとしても、地域の学生たちに提供される機会は極めて少ない上に地域の公教育の雰囲気までぶち壊しかねない、という理由からだ。「平等教育実現牙山学父母会」のパク・ジュニョン執行委員長の批判だ。「これまで牙山市には自私高がなかったし、特目高も外高1つしかなかった。そのおかげで非標準化地域ではありながらも学校間の序列化がそう深刻ではなかった。ところがサムスン高が登場すれば他の学校はすぐにも2流、3流に転落するだろう。どんなに一生懸命に勉強してもお金がなく、また父母がサムスンの職員でないという理由で家の前にできた学校にも通えない子どもらの心情はいかばかりだろうか」。
 もちろん自私高を設立した企業はサムスンだけではない。現在ある全国49カ所の自私高のうち14カ所が民間企業や公企業が出資した学校法人によって運営されている。これらのうち浦項製鉄高(ポスコ)、光陽製鉄高(ポスコ)、現代青雲高(現代重工業)、仁川ハヌル高(仁川空港公社)、ハナ高(ハナ金融グループ)などの5校はサムスンのように親企業役職員の子どもを一定の比率で選んでいる。2015〜16年開校を目標として自私高設立を推進中のポスコ(松島国際都市)、現代製鉄(忠南・唐津市)、韓国水力原子力(慶北・慶州市)なども入学の選考に役職員の子どもの特例を設けるものと予想される。各企業が以前は社会貢献活動の1つとして一般私立高を設立・運営していたとするならば、今や役職員に「子どもの名門高入学」というプレゼントを与えるために自私高を建てているのだ。

社会的特権階級の形成


 これは政府が望んでいた結果だ。イ・ミョンバク政府は「高校多様化プロジェクト」を推進するとともに、全国に自私高100校を設立すると約束した。だが政府の支援なしに設立・運営される自私高には一般私立高よりも多くの財政が必要とされるために、おいそれと乗り出す学校法人は多くはなかった。政府は財政がしっかりしている企業に目をつけた。企業にとっても自私高運営は役職員の福祉を拡大し、忠誠心を高めるという点から損することではなかった。政府は企業の自私高設立を誘導しようとして法律まで変えた。自私高の前身である自律型私立高(2002年試験運営)では役職員子どもの比率が20%に制限されたけれども、2010年に変わった現行自私高では学校長が教育監の承認を得て一定比率を定めるようになっている。社会的配慮対象者についての義務比率(20%)を考慮すれば、定員の80%までも役職員の子どもだけを選ぶことができるようになったのだ。
 企業に過度な恵沢を与える自私高は、一般自私高に比べても副作用が大きい。ソン・キチュン教授の指摘は、こうだ。「サムスン高は学生個人の能力ではなく、父母の社会的地位や身分によって学生を選抜するという点において憲法が保障している平等権を侵害する。まさサムスン高が名門自私高になれば役職員の子どもが大学入試の時も有利になる可能性が高いが、これは学閥中心の社会にあって子女が父母の社会的地位や身分を世襲することができるということを意味する。結局、憲法が禁止している社会的特権階級を創設するということだ」。
(「ハンギョレ21」第985号、13年11月11日付、ソ・ボミ記者)

開いた水道の蛇口を締められるのか

政府のイエスマン=使用後核燃料公論委

4年ぶりに看板を再び掲げた


「トイレのない
マンション」
 「エレベーターのない高層マンション」とは、考えただけでも息切れがする。スペインの日刊紙〈エルファイス〉は去る7月、スペイン南部の都市ベニドルムにそのような建物があると報道した。47階の高さのホテル兼マンションを目標に工事中の高層ビル「インテムポ」に設計者のミスで23階以降にエレベーターが抜けおちていたというのだ。ともかくも工事中に遅ればせながら発見されたということに、まずは良かったと言うべきだろう。
 もうろうとした想像は「トレイのないマンション」へとつながる。わが国の状況が、まさにそれだ。休む暇もなく回っている国内の核発電所(原発)23基からは核分裂を終えた核燃料棒(炉心)が出てくる。核物質をびっしり帯びた燃料棒はそんじょそこらのゴミのように消え去りはしないからだ。原子力発電を開始してから35年が経過したけれども、使い切った核燃料を片づける「トイレのないマンション」に暮らしている、という訳だ。核発電所を有する他の国の事情も似たようなものだ。
 その大量の使用後核燃料は、どこに行ったのだろうか。100%核発電所の敷地内に滞っている。保管方法によって、核燃料棒を水槽に臨時に漬けておく湿式と発電所内敷地に積み置く乾式方式に分かれる。この貯蔵空間も今や限界に迫っている。2016年の古里核発電所を皮切りに貯蔵空間が飽和状態に達することになる。
 慶尚北道慶州市陽北面ポルギル里にある「放射性廃棄物処分場」には放射能を浴びた作業服や資材など、使用後核燃料(高レベル廃棄物)よりも放射能が少ない中・低レベルの廃棄物を埋める。政府はかなり前から高レベルと中・低レベル廃棄物を一緒に埋める処分場を物色してきた。しかし地盤が不安だとして安眠島や扶安などで住民らの反対などに遭うとともに2004年、当時のイ・ヘチャン国務総理が高レベルと中・低レベルの処分場を区分して推進しようという提案を行った。
 今年10月31日、依然として解決できていない宿題としての高レベル核廃棄物(使用後核燃料)問題をいかにするかを論議する「使用後核燃料公論化委員会」(以下、公論委)が発足した。公論委では民間団体、国会、専門家、原電地域の住民代表など15人の委員が使用後核燃料を今後、中間貯蔵をするのか、直接処分するのかという論議から始める。どんな種類のトイレを作るのかということから討論していくということだ。公論委は来年末までに論議を終えて政府に勧告報告書を提出し、政府はこの報告書を土台にして今後の使用後核燃料政策を推進する。
 実際のところ、公論委はイ・ミョンバク政府時節の2009年7月にキム・ミョンジャ元・環境省長官を公論委員長に任命し、懸板式(公論委発足の看板を掲げる)まで目前にしていたのに突然その発足が取り消された経過がある。明らかな理由もなしに公論委の行く手を阻んだ後、原電拡大政策を繰り広げたイ・ミョンバク政府は、任期末の2012年11月になってやっと公論委発足の準備を始めた。
 4年間も回り道をして看板を掲げた公論委だけれども、その発足からしてぎしぎしときしんでいる。発足当日、市民社会団体推薦の2人の委員が委員会の構成に異議を唱えて脱退した。当初に市民社会団体が推薦した委員の大部分が排除され、産業通商資源省や原子力産業界との関係が疑われる人々が大挙、委員に抜擢された、というのがその理由だった。
 これらの人々の心配は、公論委が当初の役割とは異なって政府への賛成マシーンにとどまるだろう、という点だ。これまで環境団体などは公論委が核発電所の持続の可否から論議すべきだと主張してきたけれども、政府が最近発表した第2次エネルギー基本計画を見ると、核発電所の建設は引き続き行われる可能性が高くなった。またパク・クネ政府が韓米原子力協定を改めたとしても、使用後核燃料の中間貯蔵を通じて再処理をする「乾式再処理工法」をたゆまず推進するという点を見れば、そうだ。キム・イクチュン原子力安全委員会委員(東国大教授)は最近の著書〈韓国の脱核〉で、使用後の核燃料をめぐる論争を「開いた水道の蛇口」に比喩した。水道の蛇口から流れ出した水がマンションの床をびっしょり濡らした。そうだとすれば水を汲み出すのが先か、蛇口を止めるのが先か。公論委は危機のマンションにいかなる解決法を出すのだろうか。(「ハンギョレ21」第985号、13年11月11日付、キム・ソンファンのエナ+ディック)

 


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