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    かけはし2013.年12月9日号

取り調べの全面可視化実現を


秘密保護法を背景にした治安弾圧

新捜査手法導入反対

強まる可視化への抵抗


 一一月七日、法相の諮問機関である新時代の刑事司法制度特別部会の第二一回会議(二〇一一年六月設置)が行われた。大阪地検特捜部の押収資料改ざん・犯人隠避事件(一〇年九月)を契機とした取調べの全面可視化(録音・録画)にむけた論議が部会の反対派委員(高綱直良[警察庁刑事局長]、但木敬一[元検事総長]など)によって頓挫の危機に追い込まれている。
 取り調べの全面可視化案と「録音・録画の範囲を取調官の一定の裁量に委ねる」案を併記したまま「平行線の溝が埋まらない」(各報道/一一・八)という対立のままにして、先送りか、または来年の通常国会での可視化法案の提出を阻止する戦術だ。安倍政権の対テロ治安弾圧体制構築に向けて法務省、警察庁は、取調べの全面可視化を絶対に阻止しなければならない課題だからだ。
 反対派の取調官の裁量案は、警察庁の「捜査手法、取調べの高度化を図るための研究会」最終報告(一二年二月二三日)、特別部会の「論点整理」(一二年三月一六日)(新たな刑事司法制度/供述証拠の収集/客観的証拠の収集/公判段階の手続き/捜査・公判を通じた手続き)、特別部会の本田勝彦部会長試案を踏襲しながら全面可視化の否定をゴールにしている。
 取調官の裁量とは、すでに行われている取り調べの一部可視化を定着させるということだ。容疑者の取調べの自白部分などの供述調書を被疑者に読み聞かせ、署名・押印させ、供述内容に間違いないと語っているような状況を録音・録画するという「よいとこ撮り」でしかない。人権侵害に満ちた自白の誘導と強要場面、「拷問」に近い脅迫場面を記録しないということだ。これでは取り調べの検証もできず、えん罪を繰り返すだけである。
 このような反対派の策動に対して全面可視化派の村木厚子さん(大阪地検特捜部郵便不正事件えん罪被害者)は「最小限の録音・録画には賛成できない。取調官の裁量に委ねるべきではない。全過程可視化が基本だ」、周防正行さん(痴漢冤罪作品を撮った映画監督)も「いまだに旧来の取り調べにしがみつく警察、検察に絶望した」と批判した。
 当然だ!えん罪再発防止のためには、警察・検察の任意の取調べも含めた全過程の録音・録画が絶対に必要なのだ。さらに虚偽自白を生み出し人権侵害に満ちた取調べの温床である代用監獄の廃止、証拠の全面開示、弁護人立会権制度の実現、不当な勾留保釈制度改正、裁判所の各種令状乱発を止めさせることだ。安倍政権を代弁する全面可視化反対派を厳しく監視し、敵対策動を暴き出しながら全面可視化を実現していかなければならない。

通信傍受の拡大

 安倍政権は、国家安全保障会議(日本版NSC)創設と特定秘密保護法案制定をステップに共謀罪の制定の準備に入っている。日本版NSCを防衛省、外務省、警察庁官僚らをかき集め、グローバル派兵国家の戦闘司令部として構築する。組織編成の一つに情報部門があるが、ここに警察官僚を配置し、公安政治警察などの情報蓄積データを使っていく。
 警察庁は、東京オリンピック治安弾圧キャンペーンを煽り、弾圧対象の拡大に向けてその先兵として公安政治警察を位置づけている。その強力な「武器」となるのが「新たな捜査手法」だ。すでに新時代の刑事司法制度特別部会の第一作業分科会(井 上 正 仁分科会長)、 第二作業分科会(川端 博分科会長)は御用司法学者、警察庁、法務省官僚らを配置し、新たな捜査手法導入の柱として盗聴法の適用範囲拡大、会話傍受の導入を提言する最終報告書をデッチ上げるのが任務だ。
 「通信傍受」の適用範囲の拡大は現行の薬物、銃器、組織的殺人、集団密航の四類型に「@ 窃盗、強盗、詐欺、恐喝A 殺人B 逮捕・監禁、略取・誘拐C その他重大な犯罪であって通信傍受が捜査手法として必要かつ有用であると認められるもの」を加えるとしている。しかもこれまでは通信事業者施設内で立ち会いのもとに盗聴を行ってきたが、警察施設で盗聴を実施し、立会人なしの実施を狙っている。
 「Cその他重大な犯罪であって通信傍受が捜査手法として必要かつ有用であると認められるもの」が認められれば、秘密保護法や共謀罪と同様に権力の恣意的判断でいつでもどこでも無制限に盗聴態勢を敷くことが可能となってしまう。政府は秘密保護法をめぐる国会審議で公安警察等については、特定秘密だと明言している。巨額な予算配分をしているにもかかわらず、裏金プールも含めてその詳細まで秘密のベールに隠し通すつもりだ。
 第二に注意しなければならないのが、盗聴法改悪の次に位置づけている会話傍受の導入だ。権力のでっち上げストーリーに基づいて住居侵入罪、プライバシー侵害を犯し、住居や車両内への秘匿による監視機・盗聴機の設置を合法化することにある。
 第一作業分科会第七回会議(一〇月二日)の配布資料では、「@ 振り込め詐欺の拠点となっている事務所等A 対立抗争等の場合における暴力団事務所や暴力団幹部の使用車両B コントロールド・デリバリー(泳がせ捜査)が実施される場合における配送物」の「各場面を対象として、捜査機関が傍受機器を設置し、犯罪の実行に関連した会話等を傍受することができるものとする」とした。だが「対象犯罪が犯されたことを疑うに足りる十分な理由、他の方法によっては犯人を特定し又は犯行の状況等を明らかにすることが著しく困難であることを令状発付の要件とするものとする」とした。
 つまり、なんら「歯止め」らしきものを設定せず、対象範囲を限りなく拡大していくことが可能となってしまう。「傍受機器の設置又は取り外しのため……場所又は車両に立ち入るには,令状発付の際,裁判官の許可を受けなければならないものとする」としているが、不当弾圧のための逮捕令状を乱発している裁判所は、まともなブレーキとはならない。
 「傍受機器の設置又は取り外しのための立入りの法的根拠について、どのように考えるか(裁判所の発する別途の令状が必要か)」などについて検討のポーズをとっているが、島根悟警察庁刑事局刑事企画課長(五 月二三日)が繰り返し強調してきた「犯罪に関連する会話がなされる可能性が高く、かつ、犯罪と無関係の私的な会話がなされる……場面を対象として、捜査機関が傍受機器を設置し、犯罪の実行に関連した会話等を傍受することができる」などと手前勝手に正当化してしまうだろう。盗聴法の「その他重大な犯罪であって通信傍受が捜査手法として必要かつ有用であると認められるもの」の延長で適用することは間違いない。

人権侵害を許さない


 このように法務省、警察庁は、特定秘密保護法の制定後を射程にした共謀罪、盗聴法改悪、会話傍受の合法化制定に向けて策動してくる。秘密保護法反対運動は、このような安倍政権の野望に警戒していかなければならない。
 法務省は二月八日、二〇一二年の通信傍受法に基づいて会話を傍受した事件は一〇件(薬物の密輸・密売が六件、拳銃所持などの銃刀法違反が三件、組織犯罪処罰法違反が一件)だと公表した。
 たったこれだけなのかと疑わざるをえない。逆に公安政治警察がまともに盗聴令状を取らずに違法盗聴を繰り返していることを証明している。盗聴犯罪として有名なのが日本共産党の緒方靖夫国際部長宅盗聴事件(一九八五年)だ。この事件は警察庁警備局、すなわち公安政治警察の裏組織の非公然司令部「サクラ」の下に行っていたことが明らかになっている。だが当時の警察庁長官山田英雄が「警察におきましては、過去においても現在においても電話盗聴ということは行っておりません」(一九八七年五月)と国会答弁し、逃げ切ってしまった。警察権力による非合法盗聴、会話傍受はなんとしてでも隠し通したいというのが本音なのである。
 以前から警察権力は、捜査対象者の車に全地球測位システム(GPS)の端末取り付けを裁判官の傍受令状なしで行う違法捜査を繰り返してきた。〇六年に愛媛県警、一三年に福岡県警、兵庫県警が行っていたことが発覚している。警察庁刑事企画課は「事前に警察本部の捜査主管課長の承認を受けるなど組織的に運用している」などと裁判所の令状なしであることを隠しもせず、マニュアルどおりに「他の捜査手法では追跡を行うことが困難であるなど、必要性が認められる場合には許容できる」と居直っている。このような姿勢を堅持しつつ盗聴法改悪、会話傍受を導入しようとしているのだ。悪法の乱用、拡大は必至だ。まさに現代版治安維持法の確立である。
 新時代の刑事司法制度特別部会反対派による取調べの全面可視化への敵対を許してはならない。人権侵害に満ちた新たな捜査手法の導入を阻止していこう。
       (遠山裕樹)
 

11.28 雇用共同アクション 厚労省前行動

派遣法改悪は絶対にダメ

12・13日比谷集会に結集しよう


厳格な規制
強化が必要
 安倍政権による派遣労働規制の全面解体諮問を審議する労政審に対して、連続的に重ねられてきた労働者の抗議要請行動が一一月二八日も厚労省前で展開された。
 同行動はこの問題で労政審が開始された八月三〇日以後、毎回の審議日、全労協、全労連、中小労組懇などに結集する労働組合、労働者を中心に休むことなく続いている。この行動の中から一〇月二三日には、派遣法改悪や労働規制解体の絶対阻止に向けたより幅広い共同をめざした「安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション(雇用共同アクション)」が結成された。以後、労政審に対する厚労省前行動も同アクション呼びかけの下に行われ、この日はその四回目。厚労省前を行き交う人々に、さまざまな発言やチラシを通して、派遣法改悪絶対反対、派遣で働く当事者の実態を直視した厳格な規制強化を、との訴えが行われた。

派遣への置き
換えが無制限
 今回の諮問内容は、派遣労働を例外的にのみ認められる本来あってはならない雇用形態、としたこれまでの考え方を根本的に転換することを中心に置き、派遣労働規制の全面的な解体に道を開こうとするもの。たとえば企業には、恒常的業務の派遣労働への置き換えを制限なく認めようとしている。しかもその一方では、派遣労働者の正規雇用労働者との均等待遇はにべもなく否定されている。労働者の生活保障も権利保障も意に介さず雇用責任から逃れたい、という非道な経営側の要望にひたすら沿うこの諮問には、当たり前だが、連合を含め全労働運動が絶対反対を表明してきた。当然ながら労政審の場でも鋭い対立が続いていた。
 ところがそのような審議状況をまるで無視する形で、この日の審議には厚労省のまとめ案なるものが提示されることが明らかになった。一二月一二日次回審議という予定も変更され、一二月五日という新たな審議日程も急遽付け加えられた。安倍政権の年内改悪答申という現実を一切かえりみない傲慢な路線にただひたすら従い、労働者に派遣法改悪を強要しようとの姿勢は明らかだ。
 そうであれば提示されるまとめ案がとんでもないものであることも容易に想像できた。事実新聞報道は翌日にかけて、この想像が間違いではなかったこと、前述のような派遣労働のほぼ全面的な自由化案の提示を伝えた(たとえば、朝日新聞一一月二八日夕刊、同一一月二九日朝刊)。

生活保護改悪
反対との連携
 この緊迫の度を加える状況を前に、この日は、雇用共同アクションの行動に先立って連合も厚労省前で大衆行動を展開、改悪絶対阻止を訴えた。この行動には、雇用共同アクションに応え結集した労働者も合流、厚労省前には事実上双方が一体となった派遣法改悪絶対反対の大合唱が響いた。ちなみに連合はこの場で、一二月五日に連合独自の派遣法反対集会を行うと明らかにした。
 雇用共同アクションの行動は、先の連合の行動に連続する形で、遠藤一郎全労協常任幹事の発言から始まった。遠藤さんは、前述した厚労省の強引な審議運営や、アドバイザーでしかない人材派遣業界代表による露骨な派遣自由化要求が使用者委員発言の八〇%を占めるという異様な審議状況を紹介した上で、このような対立は簡単には埋まらない、一二月の労政審に対しても連続的に圧力をかけつつ、改悪絶対阻止に向け幅広く働きかけを広げ徹底的に闘おうと呼びかけ、特に一二月一三日に予定されている日弁連主催の「労働法制の規制緩和と貧困問題を考える市民大集会」(午後六時、日比谷野外音楽堂)を、生活保護改悪に対する反撃と一体的に、文字通りの大結集で成功させようと訴えた。
 さらに全農協労連、東京争議団共闘、航空労連、民放労連の発言が続いた。この中で民放労連はこの間の行動では初めての発言だが、非正規の仲間がたくさんいる職場として、人貸し業を合法化するような改悪は絶対許せない、人貸し業やめろというかつての闘いに今一度立ち返りたいと決意を明らかにした。また東京争議団共闘の代表は、五二年という争議団共闘の歴史的経験に踏まえ、今の法制の下でもそれを守らない経営者が多数いる、その実情をまったく無視しさらに改悪を強行しようなどという暴挙は絶対許さないと声を張り上げた。
 特定秘密保護法案強行をめざす態勢も含め、安倍政権の労働者民衆切り捨て、抑圧の姿勢は日々露骨となっている。全民衆的反撃が必要であり、派遣法改悪絶対阻止は紛れもなくその重要な一環となる。全労働者を貫く決起を実現しよう。一二月一三日には日比谷野音一帯を派遣法改悪阻止、生活保護改悪阻止の声で埋め尽くそう。 (神谷)

 


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