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    かけはし2013.年10月28日号

止めろ特定秘密保護法


民主主義と人権の基本が侵害される

情報隠蔽の権力万能社会はゴメンだ

不明確な「運用基準」


 安倍政権と自民党は、一〇月一五日からの臨時国会にグローバル派兵国家建設の一環である特定秘密保護法案と国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案を提出し、成立を強行しようとしている。すでに自民党は、両法案を連日にわたって強引に審議することができる国家安全保障に関する特別委員会の設置を表明し、公明党との協議のうえで一七日の衆院本会議で賛成多数で特別委員会設置を決めてしまった。政府は二五日に法案を閣議決定し、国会に提出する。
 公明党は、特定秘密保護法案に対する多くの危惧、反対の圧力を受けながらも日米安保強化の観点から法案成立を実現するために政府と修正協議を行い合意した。
 法案の当初案には「特定秘密指定などの運用基準」がなかったが、修正案で「政府は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定める」とした。
 「特定秘密の指定」は@防衛に関する事項A外交に関する事項B外国の利益を図る目的で行われる安全脅威の防止に関する事項Cテロ活動防止に関する事項をあげているが、その「運用基準」なるものが具体的に明らかになっておらず、新たなベールをかかったままで法案を提出しようとしている。たとえ「基準」なるものが出てきても「国家利益に反する」「公共の安全に反する」などと抽象的かつ広範囲に解釈できる文言であることが予想できる。
 しかもその「基準」が明らかになっていないにもかかわらず、修正案では「政府は、前項の基準を定め、又は変更しようとするときは、わが国の安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理等に関し優れた識見を有する者の意見を聴かなければならない」とした。要するに政府に忠実なメンバーを指定するのは必至であり、情報操作することでしかない。
 「知る権利」に関しては、「この法律を拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害することがあってはならない」とした。やはりこの判断も権力側にあり、恣意的に使い分けることが可能なのだ。そもそも特定秘密指定の行為者は、権力であり、官僚らの手前勝手な認定を乱発していく。従来の情報隠蔽の罪業からすれば当然の立ち振舞いとして強行してくるだろう。
 また、「報道」に関しては、「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない」とした。ここで大きな「罠」を埋め込んだ文言が、「十分に配慮」だ。ここも権力側の身勝手な解釈は可能であり、秘密保護法によって不当弾圧しても「十分に配慮」したうえでの法適用だと居直れるのだ。広範囲に弾圧の網をかけ、情勢判断から的確な打撃を与えるために取捨選択し、ターゲットを絞り込み不当逮捕を決行する。このような手法を公安政治警察が「得意」としている。
 同様に、「出版又は報道の業務従事者の取材行為は、公益を図る目的を有し、かつ法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、正当な業務による行為とする」とした。結局、「著しく不当な方法によるものと認められない限り」などと言っているが、トータルなプロセスから「特定取得行為」として処罰するのは権力だ。しかも、その独立教唆や共謀・煽動なども処罰しようとしているではないか。ここにはなんら歯止めのシステムも設定していない。
 このように法案は、「特定秘密の指定」、「適性評価の実施」、「特定秘密の提供」、「特定秘密の漏えい等に対する罰則」についての基本的変更はなく、文言上に若干の加筆を加えただけだ。特定秘密を漏らした政治家、国家公務員、民間人を最高で懲役一〇年を科し、基本的人権の侵害、報道規制の性格はまったく変更はない。

福島県議会の意見書

 NHKの「特定秘密保護法案」に関する世論調査(一〇月一二日〜一四日)によれば内容を「知っている」が二三%、「知らない」が七四%だった。政府は、民衆が法案の実態を知らないまま強行制定をねらっている。反対運動にとっては七四%の民衆を反対勢力へと獲得しなければならないということだ。
 福島県議会は、一〇月九日、「特定秘密の保護に関する法律案に対し慎重な対応を求める意見書」を採択した。
 意見書は、「当県が直面している原子力発電所事故に関しても、原発の安全性に関わる問題や住民の安全に関する情報が、核施設に対するテロ活動防止の観点から『特定秘密』に指定される可能性がある。記憶に新しいが、放射性物質の拡散予測システムSPEEDIの情報が適切に公開されなかったため、一部の浪江町民がより放射線量の高い地域に避難したことが事後に明らかになるケースがあった。このような国民の生命と財産を守るために有益な情報が、公共の安全と秩序維持の目的のために『特定秘密』の対象に指定される可能性は極めて高い。今、重要なのは徹底した情報公開を推進することであり、刑罰による秘密保護と情報統制ではない。『特定秘密』の対象が広がることによって、主権者たる国民の知る権利を担保する内部告発や取材活動を委縮させる可能性を内包している本法案は、情報隠蔽を助長し、ファシズムにつながるおそれがある。もし制定されれば、民主主義を根底から覆す瑕疵ある議決となることは明白である。よって、国においては、特定秘密保護法案に対し、慎重な対応をするよう強く要望する」として「地方自治法第九九条の規定により」「衆議院 議長 参議院議長  内閣総理大臣あて」に提出した。
 福島県議会意見書は当然の要求である。福島第一原発事故、汚染水問題は現在進行形であり、すべてが情報公開されているわけではない。政府は秘密保護法によって数倍も都合が悪い事実、被害状況を隠蔽してしまうだろう。安倍政権は、福島県議会の意見書を真摯にうけとめ、法案提出を中止しろ。原発再稼働どころではない。
       (遠山裕樹)

10.15秘密保護法に反対する院内集会

市民の生命と安全を脅かすな

国会内外呼応して成立阻止を 



不都合な事実を
隠し通すのか?
 一〇月一五日、衆議院第一議員会館で「市民の生命と安全を脅かす秘密保護法案に反対する院内集会」(盗聴法に反対する市民連絡会、東京共同法律事務所、日本国民救援会、反住基ネット連絡会、許すな!憲法改悪・市民連絡会の共催)が行われ、二二〇人が参加した。 秘密保護法案成立阻止にむけた国会内外の取り組みで包囲していくことを意志一致した(国会情勢等は別掲参照)。
 基調報告は、海渡雄一さん(日弁連秘密保全法案対策本部委員)が「市民の生命と安全を脅かす秘密保護法案―厳罰化と処罰の早期化―」について報告した。
 「秘密保護法は、戦争準備のための法案であり、早期処罰と厳罰が鍵だ。法案の内容は、戦前の軍機保護法とほとんど同じであり、濫用されれば歯止めがなくなる可能性がある」と指摘し、「公務員だけでなく、ジャーナリストや市民活動家も特定取得行為の対象になる。さらに政府の秘密を暴こうと記者同士で相談すれば、何の情報が得られなくても共謀罪成立だってねらっている。集会で『公務員は政府の秘密を明らかにしてほしい』と発言すれば煽動罪が成立し、現行犯逮捕だって可能にしようとしている」などの危険性を示した。さらに秘密保護法によって警察・公安調査庁にとって「不都合な事実」を隠し通し、原子力に関する情報も何でもテロ対策関連にして秘密にしてしまうだろうと注意を喚起した。
 海渡さんは、「民主党内にも反対の意見の議員がいる。報道機関の動きは毎日・東京・朝日を除いて鈍かったが、ようやくテレビなどの動きも出てきた。一〇月一〇日には国会内に超党派の議員ネットワークがようやくできた。院内集会には、二〇人の議員、三〇〇人の市民が集まった。闘いの火蓋は切られた。法案制定阻止にむけて共に頑張ろう」と訴えた。

歴史の闇に消
える秘密文書
 特別報告が三木由希子さん(情報公開クリアリングハウス理事長)から行われ、
「歴史の闇に消される秘密文書」をテーマに問題提起した。
 「法案では@秘密指定の有効期間の上限は五年間A更新可能B更新回数や期間の制限なしだった。政府・与党の修正協議で、秘密指定が三〇年を超える場合は内閣の了承を得ると修正されると報道されている。また、秘密指定の有効期間満了前でも、特定秘密として要件を欠くに至ったときは速やかに指定を解除するとされている。だが「防衛秘密」のケースを見ると、二〇〇七〜二〇一一年の指定が約五万五〇〇〇件、廃棄が約三万四三〇〇件もあり、解除されたのは一件だけであった。防衛省内部の判断で廃棄していた。しかも二〇一一年四月施行した公文書管理法の適用も受けていなかった」ことを明らかにした。
 そのうえで三木さんは、「秘密指定のままでも廃棄させずに重要な文書は歴史的に残し、秘密指定解除して公開させる。秘密解除をシステム化させる。『秘密』を監査・観察する仕組みを作るべきだ。徹底した情報公開を広げていかなければならない」と強調した。
 赤嶺政賢衆議院議員(共産党)、佐野善房日弁連副会長、山本太郎参議院議員(無所属)、福島瑞穂参議院議員(社民党)、仁比聡平参議院議員(共産党)から秘密保護法案をめぐる国会情勢と法案反対の決意表明が行われた。
 さらに発言がアムネスティ・インターナショナル。日本ペンクラブ、新聞労連、田島泰彦さん(上智大学教授)、許すな!憲法改悪・市民連絡会、反住基ネット連絡会、日本国民救援会から行われ、今後の集会とデモ、国会行動への参加を呼びかけた。     (Y)
 



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