反資本主義左翼
なぜ新組織なのか
労働運動の反資本主義的
勢力への再編をめざして
フランコ・トリグリアット
フランチェスコ・ロカントーレ |
本紙九月二三日号に、「左翼の再生かけ二つの挑戦」というタイトルでイタリアの第四インターナショナルの同志たちが関わっている「批判的左翼(シニストラ・クリティカ)」全国調整委員会の声明を掲載した。同声明は、第四インターナショナルのイタリアの同志たちが共産主義再建党(PRC)と決別して以後、反資本主義左翼の結集のために組織してきた「批判的左翼」の中で、重大な路線上の相違が発展したこと、今後は「批判的左翼」を解消し、二つの違った組織的プロジェクトとして再出発することを明らかにした。ここに掲載する二つの立場「国際主義的連帯」と「反資本主義左翼」の声明は、それぞれの異なったアプローチと方針を簡潔に述べている。資本主義のグローバルな危機を背景に旧来の階級闘争の枠組みとは異なった形で発展する新たな社会運動や民衆反乱に対して、反資本主義左翼をめざす諸組織が、どのように自らを刷新して向き合おうとするのかをめぐるこの論議は、日本で闘うわれわれにとっても共通の問題として提起されている。(「かけはし」編集部)
この文章「なぜ新組織なのか」は、「反資本主義左翼(シニストラ・アンチキャピタリスタ)」のプロジェクトを提起している。(IV編集部)
批判的左翼の挑戦は終った
今日(二〇一三年八月二九日)をもって、「批判的左翼」は存在しなくなる。サイトへのアクセスは可能だが(莫大な量の文書類を自由に閲覧できるようにするために)、新規にアップデートはしない。
Sinistracritica.org(「批判的左翼」のサイト。二〇一二年一二月以後、このサイトへのアクセス数平均は、月間で二万以上に達した)の挑戦が終わったことは、政治的組織としての「批判的左翼」の、より複雑で困難な挑戦が、その頂点に達したことと実際上一致している。
この組織(批判的左翼)は、共産党から共産主義再建党(PRC)が分裂(一九九一年)した後、党(PRC)に結集し、党の「親政府への変身」に反対して闘ってきた同志たちを結集した。この組織は、戦争に対する「条件付き反対」から始まる、党の結成の理念的価値のほとんどを売り渡す転換に反対して闘った。
アフガニスタンへの「平和協力」部隊としてイタリア軍を派遣するというプロディ政権の偽善的な呼びかけに反対したことをもって、PRCの上院議員であるフランコ・トリグリアットが除名されたことから始まるストーリーは、党内での長期にわたる闘いの最終章であり、その時以来この闘いは外部からの闘いとなった。この時、闘いはすでに左翼の自滅的漂流に向けられたものになっていた。こうした漂流は、この左翼の流れが消滅したに近い結果をもたらした。
独立組織として活動してきた「批判的左翼」は、労働者・従業員から学生まで、性的自由選択のための闘いから国際連帯にいたるまで、社会のすべての主要部門で重要な活動を発展させてきた。
「批判的左翼」は大きな組織ではなかったが、緊縮政策に対する可能な限り広範な抵抗を作り出そうとした主体の一つであった。
共同の遺産と理想を異った形で
しかし二〇一二年九月に第三回全国大会を準備する過程で、組織内で大きな相違が生じることになった――最初は調整委員会内で、そして次に組織の構成員全体の中で。大会は二つの立場のバランスを取り、二つの傾向(テンデンシー)が平等に代表される全国調整委員会を作り上げた。
大会は、二つの提案を記録する満場一致の投票でしめくくられ、同一組織内での共存による運営を試みた。しかしこのおだやかな企図はただちに行き詰まりに直面し、いっそうの漸進的分離状況が広がることとなった。この間、共存の不可能性、それが双方の政治的プロジェクトにとって非生産的であることが相互の認識となった。
こうした失敗を経験しつつも、共存への意思は無駄に終わったわけではない。それは、それぞれ異なった選択を行った人びとの間の政治的、組織的、さらには個人的関係を傷つけることのないように分岐を制御する願いとなった。それはわれわれの共同の歴史的遺産と理想を、異なったやり方と異なった文脈の中においてではあるが、発展させることを可能にする。
こうして二つのテンデンシーの代表たち(現在では二つの異なった組織の代表たちとなった)は共同声明に署名し、それは「批判的左翼」のホームページに掲載された。
今や、前大会で政治的修正案を共有したメンバーによって提案されたわれわれの新組織、「反資本主義左翼(シニストラ・アンチキャピタリスタ)」が結成された。
「赤(ロッサ)連合」建設へ
二つのプロジェクトの共存不可能をもたらした根本的相違は、労働者階級に根差した革命的政治組織建設の可能性とそのための熱い意思に焦点がある。それは最大限可能な公共的プロジェクトを射程に入れた全般的政策提案をもって、労働運動の反資本主義的勢力を再編することを目指したものである。こうしてわれわれは、左翼労働組合と政治潮流の一部とともに「赤(ロッサ)連合」の建設にコミットしている(ジョルジオ・クレマシがスポークスパースンを務めるCGIL【イタリア労働総同盟】内の「四月二八日ネットワーク」は「ロッサ」の著名な代表であり、元毛沢東主義潮流の共産主義者ネットや共産主義再建党の指導者の一部、そして社会運動と密接なつながりを持つ同党の多くの活動家も「ロッサ」にかかわっている)。
「反資本主義左翼」の最初の重要な出会いの場は、九月二〇日から二二日にキアンチャーノ(訳注:トスカーナ州にある温泉で有名な保養地)で開催される結成総会とセミナーである。そのプログラムはわれわれのホームページhttp://anticapitalista.orgでも掲載されている。われわれのプロジェクトへの参加に関心のあるすべての人びとを総会に招待する。
近いうちにキアンチャーノでの討論を紹介する文書をサイトで見ることができる。このサイトは、「反資本主義左翼」の責任を持った公式の声であり、以前の「批判的左翼」のサイトよりも、コンスタントな情報、政治方針に向けた提案、討論文書を掲載し、熟慮と政治的討論を刺激するものになる。
これは、われわれが以前に作り出したものをフォローしているすべての人びとに提案する「新たな始まり」であり、われわれはこうした人びとがこの新しい展開の中でわれわれに参加しようとすることを望んでいる。
このサイトをあなたの「お気に入り」のものにし、フィードバックしていただき、提案や報告をしていただきたい。
▼フランコ・トリグリアットはPRC(共産主義再建党)のリストでピエモンテ州(イタリア北西部の州、州都はトリノ)から上院議員に選出されたが、その後アフガニスタン派兵に反対して党から除名された。彼は「反資本主義左翼」、ならびに第四インターナショナル・イタリア支部の指導的メンバー。フランチェスコ・ロカントーレは「反資本主義左翼」の指導部メンバー。
(「インターナショナルビューポイント」二〇一三年九月号)
国際主義的連帯
われわれの時代のプロジェクト
反乱の自己組織化を支援する
新しい時代に向けた実験を
フラビオ・C/ピエロ・マエストリ
この文章「われわれの時代のプロジェクト」は、「ソリダリエタ・インテルナチオナリスタ(国際主義的連帯)」のプロジェクトである。(IV編集部)
現存労働運動解体の自覚に立ち
「国際主義的連帯」(ソリダリエタ・インテルナチオナリスタ)は討論を行い、政治的・文化的課題を深化していくための手段と場である。この組織のメンバーは社会的闘争や、自主管理、自主的組織、社会的再占有といった闘いに直接にかかわっている。
われわれは困難な時代を生きている。現在の階級的衝突の厳しさに対処するのに十分なほど物質的かつ象徴的に強力な何ものかの建設への取り組みは、二〇世紀の「労働者運動」とわれわれが呼ぶものの解体状況をいまだフォローできているわけではない。われわれはこの運動の一部であったし、その中でわれわれは思想をめぐる重要な政治的闘争を行った。われわれは、第二次大戦後のラディカルな社会運動、まず第一にフェミニズムの獲得物によって豊かにされた革命的マルクス主義、批判的左翼、左翼リバータリアニズムなどの、異なってはいるが収斂する思想の結合につとめた。
われわれは、永続革命と「労働者自身の行動」としての社会的解放の実践を発展させた。われわれはこの世紀の深夜の時間における官僚主義に反対した。われわれは一九六〇年代と七〇年代の闘争と高揚の中で国際革命を促進させた。われわれは資本主義とスターリニズムに反対し、民族の自決と自らの解放のために闘う運動を促した。われわれはフェミニズムと性的志向の自由を発展させた。われわれは社会変革のエコロジカルなビジョンを促進した。
われわれは政治闘争において自己を確認したのであり、ここでわれわれが獲得したものは今なお欠くことのできないものだ。しかしわれわれは、階級文化の危機や、労働組合・政党・アソシエーション的・協同組合的なネットワークの分解の後を追う形で、一つの歴史的時代が終わったことも知っている。こうした労働者運動の諸制度的機関の協働作用は、意識性が次第に失われることで磨滅していった。それは危機の中にある資本主義の一撃によってだけではなく、いくつかの諸国で実現したいわゆる「共産主義」の失敗――その荒廃は解放されるべき同じ主体を襲ってくる――によっても、またこの運動自身の中の社会民主主義的傾向(のちに「社会自由主義」的傾向)によっても引き起こされた。この傾向は、かれらが闘うと主張していた利益と市場の論理へと向かう運動によって作り出された多くの機構・制度を生み出したのである。
それは今なお現代の怪物を生み出しているが、こうした歴史は過去のものである。われわれは現在、ゆっくりとした再建、思想と社会的主体の物質的力の再建過程にある。この時期、この挑戦の中で、自らの失敗と誤りの子である現存左翼の不適切さに気づきながら、われわれはみずから立ち上がろうとしている。
階級闘争の変容に対応する必要
われわれは近年、「シニストラ・クリティカ(批判的左翼)」の経験に参加してきた同志である。その中でわれわれは創設メンバーであり、指導部の一員であり、活動家であった。この経験の中からわれわれは、分岐が必要であるという確信に到達した。それはイデオロギー的に結晶化した小さな党の伝統では、階級構成の変容と新たに登場している政治的活性化の道筋を理解することができない、という決定的転換点であった。
われわれは、社会自由主義的なプロディ政権への参加という共産主義再建党の選択へのオルタナティブとして(とりわけアフガニスタンでの戦争を支持する決定に反対して)批判的左翼のプロジェクトを構築した。われわれは、人びとを鼓舞する戦闘的な遺産をよみがえらそうとしたが、新たな課題に挑戦するには不十分だった。この挑戦それ自体が、課題の優先性を変え、再定義するものではなかったからである。
現在はもはや、しばしば政治的・社会的に不適切と性格づけられている、思想の強力さに基づく小さな党を建設する時代ではない。われわれは階級闘争における政治的要素と社会的要素の境界線が厳密ではなくなり、色あせてしまい、全般的な政治的プロジェクトがはるかに矛盾に満ちたものになった、再構築の時代を生きている。
われわれは、確信をもって最後まで闘わねばならなかった批判的左翼の経験を、落ち着いて振り返る。われわれは批判的左翼の解散を失敗としてではなく、この経験がわれわれを待ちうける新しい時代に残した文化的・戦闘的資産を投資するための意識的かつ必要な選択として生きていく。
階級的連帯のための手段の建設
依然として中心的問題は、弱体さと同時に社会的怒りが拡大する情勢の中で、反資本主義プロジェクトをいかに再建するかということだ。資本の攻撃はきわめて明確だ。公共財産、給与、諸権利の収奪は、毎日のように、ますます恥知らずな形で行われている。
階級闘争は毎日のように乱暴なものとなり、その社会的主体は資本の暴力(それは、資本が使用可能なさまざまな「中間的機関」や手段を持っているのだが)を直接的な形で(かれらの政治的・社会的「機構」による擁護ぬきに)経験している。そしてかれら社会的主体は、初歩的で経験的な回答を得るようになっている。
われわれはこうした方法で、世界のさまざまな国々で展開されているグローバルな反乱の経験――オキュパイ運動から、怒れる者たち、アラブ革命、そして中国など重要な新興諸国での労働者の闘争にいたるまで――を理解すべきである。
反乱は、どこでも疑似的で多様な形態を取った抵抗という性格を持っている。そしてそれは革命のイロハの再定義である。われわれは、この新しいイロハと結びつくことを望んでいる。今や現代的抵抗のリズムと言葉との結びつきが決定的な意味を持つ「ゆっくりとした辛抱強さ」(ベンサイドが述べたように)の時代であることを知っているからだ。変革の主体(アクターたち)は、自己組織化の企てから自らを確立していくだろう。
新しいラディカルで反資本主義的な左翼を再建していくためには、左翼の統一への一般的アピールや、寛容ではあるものの必要とされる社会的・政治的転覆のあらゆる現実的プロセスと無関係な、ラディカル左翼指導部の残り物を再登用する抽象的仮説は必要ではない。
革命的諸条件が欠けている中での革命的選択のためには、それを通じて資源を投資する社会的枠組みを考慮することが決定的に重要である。現在におけるわれわれの任務が、すでにパッケージとなったアイデンティティーを確認することではなく、新旧の労働者、そして反乱のすべての主体の社会的・政治的な自主組織を支援しうる、道具・手段の構築を実験してみることだとわれわれが考えているのは、こうした理由による。われわれの展望は、依然として階級的方針に貫かれた反資本主義的・エコ社会主義的・フェミニスト的政治主体の建設が目標である。
しかしこの目標のためには前提条件、時間、新基軸、実験を必要とする。われわれの優先順位は選挙や宣伝のための党のようなものではなく、階級的連帯と相互扶助のための手段の建設に置かれる。それはグラムシが「砲郭」(大砲の防壁)と定義したものである。
この意味で、われわれは反資本主義的、環境保護主義的、フェミニスト的、国際主義的領域の建設に参加している。
以前にもまして民主主義が問題
この新しい局面において、以前にもまして民主主義の問題が決定的である。それは自己決定的・社会的自己主張の道具としての民主主義であり、支配的な制度的システムに対する潜在的反対であることがしばしばである。それは諸運動の反システム的制度を設立し、オルタナティブをイメージする道具としての民主主義でもある。われわれは、選挙への参加にいかなる場合でも反対するわけではない。しかし混乱はしていても現存の制度的システムに対するオルタナティブな感覚を築き上げる社会的力学として、われわれの意見の中にある、なによりも制度的代表に焦点を合わせる考え方は誤りである。それは同時に、活動家たちになすべき何かを与えることで政治的困難を覆い隠す、手っ取り早いやり方になってしまいかねない。
われわれはこの新しいプロジェクトにおいて、現在進行形のアイデンティティーを作り出すことから始めている。アイデンティティーは一回限りのものとして与えられるわけではない。アイデンティティーの構築は、それ自身がプロセスだからである。われわれは革命的アイデンティティーの歴史的要素――資本主義との根本的決裂、真にオルタナティブとなりうる社会運動の諸制度を構築する必要性、闘争における階級の民主主義的自決、国際主義への関与、機構と官僚制の拒否、個人の性的志向の自由、闘争のエコロジー的側面など――を繰り返し確認する。最後に重要なことは、解放のプロセスの不可分かつ決定的な一部としてのフェミニズムである。
しかし批判的マルクス主義へのわれわれの言及は、大きな文化的開放性と、最良の革命的伝統の強化によって促進されるのだ。何よりもわれわれは、新しく前例のない綱領問題の解決に注意を払い、探求を進めている。
階級闘争は、日を追ってますますグローバル化している。この認識は、すでに二〇〇〇年代初頭の反グローバリゼーション運動を通じて鮮明になっていた。われわれはこの意味で、複数主義的連合を志向し、民主主義的であり、その構成組織の自由な選択によって連携し、政治的プロジェクトのレベルにおいてだけではなく社会運動の実践を通じても建設することができるインターナショルの必要性に関与している。
この理由からわれわれは、第四インターナショナルのプロジェクトと討論との結びつきを保持する。この定義が時代性を持ったものであり、国際的レベルでもよりいっそうの勇気を持って未来に挑戦することの必要性を知っているからである。
▼フラビオ・Cは「批判的左翼」の指導的メンバーであった。現在は「国際主義的連帯」の指導部。ピエロ・マエストリは「国際主義的連帯」の指導的メンバーであり、スポークスパースン。彼も「批判的左翼」のメンバーだった。
(「インターナショナルビューポイント」二〇一三年九月号)
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