東京五輪に便乗し再提出ねらう
日常生活全般に監視と弾圧の網の目
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国際テロ対策
も一つの口実 安倍政権は、来年の通常国会にグローバル派兵国家建設の一環である対テロ治安弾圧体制にむけて、国家権力の恣意的判断によって適用が可能な共謀罪の創設を盛り込んだ組織犯罪処罰法などの改正案を提出するための検討に入った。
政府は、共謀罪法案の検討に入ったことをわざわざ産経新聞にリークして一面に「暴力団やテロリスト集団の犯罪対策 『共謀罪』創設法案 通常国会に再提出へ政府検討」と報道させるほどだ(九月二四日)。しかもその提出理由を「国際犯罪を防止するための条約に日本は署名、承認していることや、二〇二〇年夏季五輪の東京開催が決定し国際テロ対策の必要性が強まったことなどから、法整備を急ぐことにした」というのだ。
政府は、自由権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約、社会権規約を批准しているにもかかわらず国内法制定をサボタージュし続けながら、共謀罪制定は国際条約で承認しているから急ぐというダフルスタンダードを披露する始末だ。
そもそも法律の解釈・運用の指針となる国連立法ガイドや条約の「第五 目的」において共謀罪の創設を求めているわけではない。しかも条約の意味と精神を生かし、その国の法的伝統を生かしていけばいいと明記しているほどだ。法務省、外務省官僚たちは、この文言を十分に知っているから人権条約関連法整備のサボタージュを確信犯としてウソをついていたのである。要するに法務省、外務省官僚たちは共謀罪法案を通すためにわざと隠蔽していたということだ。
自由と権利を
奪う違憲法案
東京五輪への便乗なんでもありはこれだけではない。すでに警察庁は、東京五輪決定の翌日の一二日には、東京五輪開催に向けて対テロ治安弾圧のための連絡室を設置した。米田壮警察庁長官は、「大会の安全、円滑な進行の確保、テロなど違法行為の未然防止などが重要な課題と認識している。開催国として治安責任を果たしていきたい」と宣言し、水面下で先行して連絡室立ち上げで動いていたことを明らかにした。
その押し出しとして警視庁は、同日、選手村の建設予定地となっている東京都中央区の晴海地区で五輪に反対するグループによる爆弾テロを想定した爆発物処理訓練を行い、大々的にマスコミに報道させた。月島署の千葉正樹署長にいたっては「過去の五輪では選手村を狙ったテロ事件が起きており、万全の態勢で臨まなければならない。テロリストは必ず下見や爆弾を仕掛けるなどの準備をする。異変に気付いたら警察に通報してほしい」と強調し、治安弾圧民間隣組の組織化を行っていくことを表明した。
法務省は、共謀罪の対象犯罪について刑法犯だけでなく商法、消費税法、道路交通法など六一五種類も挙げていた(二〇〇五年七月)。つまり共謀罪を「武器」にして民衆の日常生活全般にわたって警察―公安政治警察体制を肥大化させながら監視を強めつつ、二〇二〇年にむけて対テロ治安弾圧体制を完成させようというのである。
すでにコンピュータ監視法(一一年六月)を制定し、インターネット接続業者などに通信履歴(電気通信の送信元、送信先、通信日時など)の保全、コンピュータの差押え、電気通信回路で接続されているすべてのコンピュータに保存されたデータをコピーすることができるようになってしまった。プライバシーと「通信の秘密」の侵害であり、憲法違反が明白であるにもかかわらず、この悪法を共謀罪と抱合せで「活躍」させることを目指しているのだ。思想・良心の自由、集会・結社・表現の自由の侵害に直結する憲法違反の共謀罪の制定策動を阻止していこう。 実行しなくても
合意だけで有罪
共謀罪は、自民党政府が諸大国の談合によって作られた「国連国際組織犯罪防止条約」(一九九九年に成立)に二○○○年一二月に署名し、○三年五月、国会で批准を承認したことにより、国内法整備のためとして共謀罪新設を打ち出した。共謀罪法案を〇三年、〇四年、〇五年、〇六年に国会提出したが、いずれも廃案に追い込まれてきた。今回も廃案になった法案の内容を変えない前提で再提出するという。今後の反対運動に向けて過去に提案されてきた共謀罪の問題点を浮き彫りにしておく。
法案の名称は、「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」。四年以上の懲役・禁固にあたる犯罪行為を話し合い、「合意」すれば「実行」しなくても二年〜五年以下の懲役・禁固になる。
自民党は、なんとしてでも法案の成立にこぎつけるために衆院法務委員会(〇六年六月一六日)に修正試案を押し込んできた。結局、廃案となったが、再提出の法案の土台となるものだ。 労組・市民団体
も弾圧対象に
修正試案は、@「組織的な犯罪の共謀罪」の対象犯罪については、従来通り「長期四年」とするが、「過失犯」「陰謀・共謀罪」など二八を除外することにするA「共謀」の定義をさらに明確にするために「具体的な謀議を行い共謀した者」と改める。「目配せ」だけでは、条文上も共謀にあたらないことを明確にするB「組織的な犯罪の共謀罪」の処罰条件として「実行に必要な準備、その他の行為」を加え、その処罰条件を満たさなければ逮捕・勾留を認めないC自首減免について、「共謀を行った者が実行着手の前に自首した場合に刑を必要的に軽減又は免除する」を削除し、「情状により刑を免除する」と規定を改めるD「組織的な犯罪の共謀罪」を犯した者が、その犯罪を実行した場合には、実行犯罪によって処罰され、二重処罰にはならないことを明確にするE「懲役・禁固五年以下」の犯罪については「当分の間、特に慎重適用されなければならない」と付則に明記する―という骨子だ。
いずれもこんな小細工をしてでも法案の制定を貫徹したいらしい。法案の反動性の第一は、「未遂を罰する」という基本性格を維持し、権力の恣意的判断で手前勝手になんでもやりたい放題が可能ということをガッチリと固めていることだ。そもそも近代法は、「既遂」処罰が原則だ。犯罪の合意段階から処罰することが可能となってしまったら、現法体系を根本的に破壊することにつながってしまうのである。
第二は、「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀したもの」と規定し、この「団体」には二人以上のグループ、株式会社、市民団体、労働組合、サークルなどもふくまれ、それらを弾圧対象にしている
労働組合の場合、例えば、団体交渉を決議したら逮捕監禁罪の共謀罪、金融機関への要請行動指令が強要罪の共謀罪、ビラ撒き・街頭宣伝決定が信用毀損や業務妨害罪の共謀罪を適用し、強引に「構成要件が成立」となってしまうのである。
警察庁―公安政治警察が執念をかけて法案の制定に突進するのは、実行前に自首した場合は刑を減免する制度を盛り込んでいることだ。この制度によって合法的に団体にスパイを入り込ませ、権力に密告するケースを定着化させることをねらっている。同時に盗聴行為も拡大させ、監視社会を構築していくことにある。
安倍政権は、議会内における自民党の多数支配を背景にして国家安全保障会議(日本版NSC)創設と特定秘密保全法案制定をステップに、セットとして共謀罪法の制定を狙っている。とりわけ秘密保全法の「秘密の保有者の管理を侵害する行為」について「未遂、共謀、教唆、扇動」を含めて罰しようとしているが、ここに共謀罪を組み込めば広範囲に弾圧対象を拡大することができる。秘密保全法と共謀罪を一体化すれば絶大な弾圧効果を発揮してしまう。公安政治警察が小躍りして大喜びだ。この攻撃は、改憲の先取りであり、言論の自由、結社の自由、通信の秘密、基本的人権の破壊、サイバー弾圧など日常生活に関わる法律まで処罰対象を広げようとしていることは間違いない。現代版・治安維持法である共謀罪の超反動性を徹底的に批判し、法案提出を阻止していかなければならない。 (遠山裕樹) 9.10 大阪WTC住民訴訟第8回口頭弁論
安全性を無視した耐震
調査はビル購入が前提
【大阪】WTC住民訴訟第八回口頭弁論が九月一〇日、大阪地裁大法廷で開かれ、終了後弁護士会館で報告会が開かれた。
法廷では、長周期地震動に関して原告の見解を批判した被告(大阪府)側の準備書面に対し、反批判の原告側準備書面の内容について弁論があった。弁論は豊島弁護士が行った。
十勝沖地震を契機として、日本建築学会は土木学会と共同して長周期構造物を含めた地震動の予測手法について共同研究体制をつくり、二〇〇七年にその研究成果を発表した。
それによると、「長周期構造物は数多く存在するが、そのほとんどは被災経験をもたない。設計経験のみの積み重ねは被災経験と混同されやすく、安易な設計の合理化を促す。それが設計の相場を生む可能性がある。設計者には常に被災経験の欠如に対する自覚が認められる」と指摘し、海溝型の大規模想定地震に対して評価された提供波を整理し、南海地震では、釜江波・関口波・鶴来波が参照され、東海・東南海地震では、鶴来波・鈴木波などが参考されている。
日建設計が検討した波は、これらの学会で検討されている波形は参考にせず、独自に「日建波」なるものを検討用に作成して解析した。また、日建設計は、建築基準法施行令に関連して制定された告示波の検討も行っている。そもそも、告示波は最低限度を示すもので、超高層ビルのような大規模で社会性の大きい建物には、当然余裕度をもった安全性が確保されなければならない。しかし、日建設計の作成した検討用長周期地震動による応答解析と告示波による応答解析を比較すると、告示波の方が厳しい結果となっている。
超高層ビルの
危険性を軽視
被告側準備書面では、(大阪府が日建設計に耐震調査を依頼した)当時は、長周期地震動について科学的に確定的な見解は出ていないと述べる一方で、別の準備書面では、関口波は福島区での波だから(WTCのある)咲洲にはあてはまらないと述べる。しかし関口波は、大阪平野の一〇カ所を調べてつくられている。別の被告側準備書面では、関口波の此花地点のデータを咲洲のものとして使っている。要するに、都合のいいところのつまみ食いで、一貫した姿勢がない。
一番いいのは、咲洲を調べることだ。しかしそれが難しいなら、釜江波・関口波・鶴来波・鈴木波等を検討すべきだった。此花地点のデータを使うなら、関口波そのものを検討することができたはずだ。
もうひとつ重要なことは、耐震というのは、地震動の揺れに対し建物さえ持ちこたえればそれでいいというわけではない。建物の中には人がいる。片側三メートルもの揺れが長時間続いて、天井が落ちたり、建物の中を走っているガスや電気の配管の破損、それが原因で発生する火災の危険もある。超高層ビルの場合、このような危険は一層大きくなる。
結論的に、日建設計の耐震調査は、WTCビルの購入を前提で行われた可能性がきわめて大きいと判断せざるを得ない。
次回の裁判は一一月六日となった。 (T・T)
コラム
オリンピック批判は常識
九月八日早朝(日本時間)、二〇二〇年東京で、オリンピック・パラリンピックの開催が決定された。この日の朝から数日間、テレビ各社はこのニュースを繰り返し繰り返し流した。あらゆる角度からオリンピックがいかに素晴らしいのか、オリンピック開催が決まったので景気はよくなる……。この「快挙」を見ているものに賛同を強制するような雰囲気を作り上げていた。「マスコミファシズム」と言えるそんな状況だった。当然、憂鬱な気分になっていた。
知り合いたちが毎年開催している下町フェスティバルという催しがあったので、見にいった。ところが、ここでも壇上の横断幕の下に、「祝オリンピック開催」とわざわざ、文字が追加されていた。これで楽しさも半減。打ち上げがあり、順番で自己紹介と一言の企画がされた。みんな楽しく演技を終えて、ご苦労さんという感じの時、オリンピック問題で一言苦言を呈するのはどうかなと発言内容をあれこれ考えていた。すると私の前の席の人が「祝オリンピック」とは何事かと堂々と批判を語った。私の胸はスーッとして、口もなめらかに、私も「オリンピックがいかに金儲け主義であり、ナショナリズムを煽るものであるのか、東京のみならず、オリンピックはいらない」としゃべってしまった。すると会場から拍手をする人もいた。
そして、九月一二日の経産省前テントひろば二周年、経産省包囲反原発行動では、発言者のほとんどが安倍首相の「福島の放射能汚染水は完全にブロックされている。安全である」というウソつき発言に怒り、「オリンピック開催よりも福島の被災者を救え」と訴えていて、東京オリンピック開催を批判していた。ここにも同じ思いの人たちがいると元気づけられた。この当たりから、毎日新聞などいくつかの新聞でオリンピック批判の知識人の意見を掲載するようになった。もちろん、ほんの少しではあるが。
マドリードでは開催が決定されたら、その時間に抗議デモが予定されていると海外ニュースが伝えていた。直近ではブラジルでサッカーのワールドカップ開催に反対、バスなど公共料金の値上げをするな、と百万人規模のデモが起きたばかりだ。思い起こせば、ギリシャ危機の一つの要因でもあった巨額の財政赤字を作り出したアテネオリンピック開催に、ギリシャの民衆はそれまでの反対運動の規模では最大と言われるデモを繰り返した。こうした海外での常識はなかなか日本の常識にならない。これから二〇二〇年まで長く「オリンピックはいらない」と叫んでいこう。
もう一つ気になるニュースがある。解雇しやすい「特区」をつくり、そこでは労働時間を規制せず、残業代をゼロにすることも認める、というもので秋の臨時国会に出す国家戦略特区関連法案に盛り込むというのだ。これは労働法違反を「特区」を隠れみのに合法化するものだ。ここでも安倍のお得意の「ウソつき」がまかり通るのか。派遣法がそうであったように、「特区」は必ず全体にまん延し、労働者の働き方を根本から変えてしまう「毒」である。なんとしてもこの制度の導入を許すな。 (滝)
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