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    かけはし2013.年9月16日号

外国は干渉するな


シリア

アラブ地域左翼グループの共同声明

われわれはシリア人民の革命と共に

民衆の大惨事は放置されてきた

 一五万人以上が殺害された。数十万人が傷を負い障がいを負った。何百万人もがシリア内外に追い立てられている。以下のすべての代償となったものはシリア民衆の血と汗だが、戦闘機やスカッドミサイル、爆弾や戦車を含んだあらゆる種類の兵器を用いて、諸都市、村々、諸居住区が完全に、あるいは部分的に破壊された。このようなことが、故国を守り、イスラエルとの軍事バランスを確保するという口実の下に行われた(しかしイスラエルによるシリア国土の占領は事実上シリア政権によって今も保護されているのであり、この政権は、イスラエルの継続的などのような侵攻にも反撃することが出来なかったのだ)。
 それでも、全シリア人に降りかかった上述した巨大な損失にもかかわらず、また彼らを襲った惨事にもかかわらず、国際組織や大国――あるいはより小さな国――はどれ一つとして、もっとも基本的な諸権利、人間的尊厳、そして社会的公正を求めるシリア人の闘争に際して、実際的連帯を提供する必要、あるいはシリア人を支援する必要を感じなかった。
 唯一の例外は、いくつかの湾岸諸国、もっとはっきり示せばカタールとサウジアラビアだった。しかしながら彼らの狙いは、革命の炎が彼らの岸辺にまで到達するというもっとも深刻な恐れの反映として、シリア革命をねじ曲げそれを挫折させることを目的に、衝突の性格を統制し、衝突をある種の宗派的方向で操作することにあった。それゆえ彼らは、大部分はイスラム法に基づく支配のための異様な構想を強要しようと世界の隅々からやって来る反理性主義グループを支援した。これらのグループは再三再四、彼らの支配下の地域や攻撃を受けている地域の内部で、彼らの抑圧的な手法や攻撃に反対するシリア市民に対する、ぞっとするような虐殺を敢行した。そのようなものとして、ついこの前起きたラタキア近郊の村々の事例がある。

世界的大ブロック共謀の敵対


 世界中から集まる互いに敵対的な諸勢力の大きなブロックが、シリア革命に敵対して共謀しつつある。そしてこの革命は、アラブ地域とマグレブ(サハラ砂漠以北のアフリカ:訳者)の広範な部分を貫いてここ三年広がっている諸蜂起に連なる形で爆発したのだ。そしてこの民衆蜂起は、残忍さ、不公正、搾取の歴史に終止符を打ち、自由、尊厳、社会的公正への権利の獲得を目標とした。
 しかしこの蜂起は当地の残忍な独裁体制だけではなく、この地域中並びに周辺諸国のさまざまな反動的諸階級と諸勢力に加えて、わが民衆の富の盗み取りを永続化しようとしている帝国主義諸勢力のほとんどをも、いらつかせた。
 シリアを取り上げれば、民衆の革命に敵対して戦闘している連合には、イラン並びにイラクの信仰に凝り固まった民兵を先頭にした反動的な宗派諸勢力、そしてまことに遺憾なことながら、ヒズボラの攻撃部隊が含まれている。そしてこの後者は、深く腐敗し犯罪的な独裁体制を防衛するという泥沼に溺れつつある。
 この不幸な情勢は、それがシリア自身にいるか、レバノンにいるか、またエジプトやそれ以外のアラブ地域にいるかに関わりなく――そして世界規模で――、スターリニスト的根をもつ伝統的なアラブ左翼の多数部分にも打撃を与えることとなった。それらは明らかに、アサド政権周辺に集まる惨めな連合の方に偏っている。
 その正当化は、シオニストのゴラン高原占領に対する保護、パレスチナ人であるかレバノン人(あるいはシリア人)であるかを問わない、さまざまなイスラエルへの抵抗勢力に対する常態化した流血の弾圧、さらに、シリア領域へのイスラエルの侵攻に関する、一九七三年一〇月戦争以来の、今なお続く怠惰と卑屈という、これらの長い歴史――権力の座にあったその存在を貫く――にもかかわらずある者たちが、アサド政権をいわば「生命力のある」政権、あるいは「抵抗の」政権とすら見ていることにある。この偏向は、一般論として、左翼に関する普通のシリア人の立場に深刻な作用を及ぼすことになるだろう。
 国連、特に安全保障理事会は、アサド政権を厳しく非難することができなかった。しかしこの政権は、七ヶ月以上の間シリア民衆からは途切れることなく、平和的に拒絶され、その間、狙撃者とシャビーハ(政権に連なる民兵:訳者)の銃弾がデモ参加者を一人一人、また一日一日と撃ち抜き、ほとんどの影響力ある活動家たちは拘束され続け、最悪の種類の拷問に、また監獄ないしは拘置所内への隔離にさらされたのだった。世界はその間中ずっと、完全な沈黙と全面的な消極的状態を保っていた。
 この情勢は、革命に立ち上がった民衆が武器を取ることを決断した後も、また自由シリア軍(FSA)として知られるようになったもの――その指揮官と兵士は大部分が正規軍からやって来た――の登場後も、僅かの違いしかないまま持続した。これは、政権による犯罪の恐ろしいほどの高まりに導いた。
 ダマスカスのバース党体制に対するもっとも重要な連携相手であるロシア帝国主義は、この政権にあらゆる種類の援助を与えているが、これらの犯罪を安保理で弾劾しようとするどのような試みをも阻止するために、警戒態勢を保っている。他方米国は、この国の破壊と明らかな諸波及を含んだ現状の継続に、大きな問題があるとは見ていない。この姿勢は、反政権派の誰かが政権による化学兵器の使用という問題を持ち出すたび毎に米国大統領が利用する脅迫や脅しがあるとしても、「レッドライン」を超えたと見なされた最新のエスカレーションにいたるまで変わってない。

米国率いる攻撃は民衆と無縁

 はっきりしていることだが、彼の脅迫をさらに先までためらわず進めるだろうという印象を与えているオバマは、もし彼がそれを行わなかった場合、大きな困惑を感じることになると思われる。というのもそれは、大統領に対してのみならず、へつらっているアラブ諸国や全世界の眼前で彼が率いる強大で横柄な国家というイメージにもまた、否定的な影響を及ぼすはずだからだ。
 シリア政府軍に対する差し迫った攻撃は基本的に米国によって率いられる。しかしながらそれは、通常の茶番劇を通した正当化がないとしても、連携する帝国主義諸国の理解と協力に基づいて現実化する。ちなみにこの茶番劇は、国際的正統性(つまり、諸環境や諸々の相違や彼ら内部の力関係に応じて対立しようが連携しようが、過去諸大国の利害代表者であり今もそうであり続けている国連の決定)として知られている。つまり攻撃は、予期されるロシアの拒否権行使を理由に、安保理を待つことはないだろう。
 不幸なことだがシリア反政権派の多数は一般論として、この攻撃と米国の立場に賭けつつある。攻撃は、運動と大衆と彼らの自立的決定を飛び越えて彼らが権力をつかむ好機を作り出すかもしれない、彼らはこう信じている。こうして驚きではないことだが、こうした反政権派とFSAの代表者たちは、米国に対する攻撃の想定目標に関する情報提供に、除外条件をまったく付けていない。

あらゆる介入排し蜂起の勝利へ


 あらゆる場合についてわれわれは以下の点で一致している。
 すなわち西側帝国主義連合は、数カ所並びに、シリアの軍事施設と市民用施設の決定的な部分に攻撃を加えるだろう(いつもの通り、不慮の死者を伴って)。しかしながら熱を入れて告知されたように、この攻撃が体制転覆を意味するものとされることはないだろう。これらは単に、化学兵器使用に関するあらゆる脅迫を経て、オバマの言葉にあるように、現シリア指導部に罰を与えること、米国政権の面子を保つことを意図したものだ。シリア指導部を罰するという米国大統領の意図はしかし、どのような方法や形態であれ、グータの虐殺で倒れた子どもたちの苦しみに対するワシントンの連帯に発するものではなく、米国の死活的利益および故国の安全保障とオバマが呼ぶもの、加えてイスラエルの利益と安全保障に対する、その約束に発している。
 シリア軍とイラン政権率いるその連携相手には、ほとんど確実に、彼らの上役には脅威に見えているもの、つまりシリアに対するあらゆる攻撃はこの地域一帯を燃え上がらせるだろうという恐れに匹敵することを遂行する勇気などはないだろう。とはいえこの選択肢は、破局的な結果を伴う最終選択肢として依然テーブル上にはとどまっている。
 いずれにしろ西側帝国主義の差し迫った攻撃はシリア革命を支援する意図をもっていない。その狙いは、ダマスカスを交渉テーブルに押しやり、政権を適切に保ちつつバッシャール・アル・アサドに最前面から後退する余地を与え、その一方で将来のシリアにおいてロシア帝国主義に対し米国帝国主義の立場を強化する諸条件を大きく改善することにある。
 途切れることのない民衆的決起に参加している人々――より自覚的で原則的、かつ未来のシリアとその民衆に献身的な人々――が、上記の事実、それらの成り行き、諸結果を実感しそれに応じて行動すればするほど、そのことはそれだけ、シリア民衆が成功裏に真の革命的指導部を選び取る助けとなるだろう。
 これらの人々の現在と未来の利益を基礎に専心的に展開される闘争の歩みの中で、上記の行動は、それらの人々の利益と一致した急進的な綱領を生み出すと思われ、そしてその綱領は、勝利に向かう道に沿って、力を与えられ実践に移されることが可能となるだろう。

米国によるものであれ、ロシアによるものであれ、あらゆる形態の帝国主義の干渉ノー!
イランによるものであれ、湾岸諸国によるものであれ、あらゆる形態の反動的宗派主義の干渉ノー!
最大限の非難に値するヒズボラの干渉ノー!
差し迫った米国の軍事攻撃にまつわるすべての幻想を打ち壊せ!
自由、尊厳、社会的公正を求めて闘うシリア民衆のために、兵器庫を開け放て!
自由で民主的なシリアの勝利を、アサド独裁体制およびすべての独裁体制の永久的打倒!
シリア民衆革命万歳!

革命的社会主義者(エジプト)
革命的左翼潮流(シリア)
共産主義者連合(イラク)
アル・ムナディル【戦士】(モロッコ)
社会主義フォーラム(レバノン)
労働者左翼同盟(チュニジア)
二〇一三年八月三一日
▼(「インターナショナルビューポイント」二〇一三年九月号) 

声明

軍事介入反対 

シリア革命への全面的連帯を

フランス反資本主義新党(NPA)

 バッシャール・アル・アサド体制は、自国民に対して組織している殺りくのレベルをますます引き上げている。化学兵器を使ったダマスカス周辺の市民居住地域への最近の空爆は、こうした人道に対する犯罪をもたらした大国の偽善への恐怖と怒りをふたたびかきたてている。
 NPA(仏反資本主義新党)は、反乱に立ちあがったシリア民衆への全面的連帯と、いかなる観点からも擁護できない政権を打倒しようとする民衆の決意への称賛を、再確認するものである。
 われわれはアル・アサドの犯罪を励ましているロシア政府とイラン政府の直接的共謀を非難する。しかし、民衆が築き上げた集団的な闘争組織が何カ月にもわたって求めてきた武器の提供を拒否した西側の大国もまた、この人殺し政権の継続に責任を有しているのである。そうした行為は、シリア民衆の第二の致命的な敵である宗教的反理性主義潮流の発展への手助けとなっている。
 いまや米国、フランス、英国は目標を絞った爆撃によって直接的に紛争に介入する意思を明らかにしている。オランド大統領自身が、どのような民主主義的協議も行わないままその前面に立とうとしているこうした政策に、われわれは全面的に反対する。実際、犯罪的で冒険主義的な体制に対するこうした政策は逆効果しかもたらさず、また逆の国際的プロパガンダを強め、結局のところシリアにおける苦しみを決定的に増大させることになる。
 あらゆる不可欠の国際的支援を得ながら、しかし何よりも自分の利害しか考えない諸国の作戦や直接的介入ぬきに、完全な自決を伴う解放を勝ち取るのはシリア民衆自身である。妥協へのあらゆる橋を破壊した政権に対峙しているシリア民衆、そして民主主義、社会的公正、すべての構成要素の民族的尊厳のために闘う人びとの代表は、バッシャール・アル・アサド一族の打倒、そしてあらゆる外国の指揮を拒否するという点に関して、妥協することはできない。
二〇一三年八月二八日

(「インターナショナルビューポイント」二〇一三年九月号)

 


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