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    かけはし2013.年7月29日号

脱原発・改憲阻止を基盤に
共同した反撃態勢を築こう


7月参院選の結果と自公の大勝

争点の先送りと低投票率


 七月二一日投開票の第二三回参院選は、昨年末の総選挙で民主党から三年ぶりに政権を奪還した自公両党の圧勝に終わった。自民党は六五議席を獲得し。単独で改選議席(一二一)の過半数を制した。公明党と合わせて与党二党で七六議席を獲得し、非改選と合わせると全二四二議席中一三五議席(自民一一五、公明二〇)となり与党で過半数を大きく上回った。「衆参ねじれの解消」という安倍政権の掲げた目標は達成された。
 最大の敗者は、昨年末の総選挙に続き、民主党となった。民主党はすべての一人区で敗北しただけではなく、東京・大阪という大都市部でも議席を失った。民主党は改選議席四四のうち、半分以下の一七議席しか獲得できなかった。民主党の比例区得票率は一三・四〇%であり、公明党をも下回る結党以来の最低を記録した。
 昨年末総選挙に続く民主党の壊滅的大敗は、民主党政権への期待が裏切られ、迷走に次ぐ迷走、対立・分解の果てに「政権マニフェスト」が投げ捨てられてズルズルと保守回帰してしまった無責任さへの有権者の怒りが表現されている。
 同時に今回の総選挙では、昨年の総選挙で躍進した日本維新の会やみんなの党といった、いわゆる「第三極」の改憲・新自由主義勢力も、その勢いを持続させることができなかった。とりわけ日本維新の会は、同党の顔である橋下徹共同代表の「慰安婦制度は必要だった」論や在沖米軍への「風俗産業活用のすすめ」という女性差別・尊厳破壊の暴言以後、急速に遠心化の力学が働き、今回の参院選では関西(大阪、兵庫)以外の選挙区で議席を獲得することができなかった。
 沖縄を除く四六都道府県で、前回の二〇一〇年に比べて投票率は下落し、五二・六一%に終わった。この投票率は史上三番目の低投票率であり、秋田、群馬、岐阜、鳥取、島根、山口、愛媛、高知、熊本、鹿児島の一〇県では過去最低となった。これら各県の一人区では、安倍・自民党の圧勝が初めから見えていたためだろう。この投票率の低落は、「自民一人勝ち」と評される今回の参院選結果が、「アベノミクス」を前面に押し出した安倍政権の戦術の中で、原発・改憲・雇用・社会保障・消費増税といった争点が先送りされたこととも関係している。

抵抗の政治的表現求めて


 この中で、共産党が六月都議選に続いて躍進したことは、憲法改悪、原発、雇用、貧困、TPPといった問題を前面に押し出して、対決軸を焦点化することに一定程度成功したためだと考えられる。「自共対決」を掲げた共産党は、安倍政権への批判票を取り込むことに成功し、改選三議席を倍以上上回る八議席を獲得した。東京、京都、大阪の三選挙区で一二〜一五年ぶりに議席を獲得したのをはじめ、比例区でも目標としていた五議席の獲得を達成した。有権者にとって共産党は、可視的批判勢力として有効な選択肢として登場したのである。「無党派層」の共産党への支持が民主党を上回ったことにそれが示されている。
 また東京選挙区での「脱原発」無所属・山本太郎候補の当選は、過半数を占める脱原発世論を選挙の場で表現するものだった。共産党の躍進、東京選挙区での山本太郎候補の当選、そして安倍内閣・自民党の総力を注入したテコ入れを跳ね返した沖縄選挙区・糸数慶子候補の勝利は、全体としての安倍自民党の圧勝の中で、適切な政治的表現を創り出すことができれば、選挙の場でも労働者・民衆運動の勝利を創り出していく可能性があることをわれわれに示している。
 日本革命的共産主義者同盟(JRCL)は今回の参院選挙で、比例区・山シロ博治候補(社民党)、木田せつこ候補(緑の党)への支援、選挙区では糸数けいこ候補(沖縄)、松本なみほ候補(兵庫)、山本太郎候補(東京)ならびに共産党、社民党候補への支援を呼びかけた。それは脱原発、改憲阻止、沖縄米軍基地撤去、反貧困・社会保障切り捨て阻止、雇用破壊反対、消費増税阻止、TPP反対などの具体的運動をベースに安倍政権の原発推進・改憲と新自由主義・右翼ナショナリズムの攻撃に立ち向かう政治的勢力形成の水路を独自に模索していく闘いを志向するものだった。
 今回の参院選挙の結果は、この展望に向けた討論をさらに広げ、深めていく必要をあらためて突きつけている。沖縄での糸数勝利にかかわらず、本土における山シロ博治勝手連の運動は、山シロ当選という目標を実現できなかった。脱原発・山本太郎候補は東京で当選を勝ち取ったが、緑の党の第一回目の挑戦は議席獲得という目標には相当の距離があった――その上で次をどのように構想するのか。これは、われわれにとっても主体的に考えるべき課題である
 われわれは脱原発や改憲阻止・立憲主義擁護という課題、提起されているリベラル政治勢力の形成というテーマ、社民党の崩壊的危機と新しい政治潮流、グリーン勢力と労働者運動・社会運動、そして反資本主義左翼形成という目標を整理した上で、戦略的な討論を着実に積み重ねていく必要がある。

新たな資本攻勢に対決を


 昨年末総選挙で成立した安倍自公政権は、「アベノミクスの成果」なるものを押し出しながら「新しい成長戦略」への期待を煽り、参院選でも圧勝した。当面安倍政権の経済政策に対する支持は続いている。しかしその支持は、現実の成果に基づいたものではなくあくまで「期待」にすぎない。そして金融緩和・財政出動がもたらす物価上昇などのマイナスの波及効果は「期待」が「幻滅」に変わる時期を確実に早めるだろう。
 さらに秋に本格化するのは「成長戦略」の本質にかかわる、解雇規制緩和、医療・社会保障支出の切り捨て、消費税率引き上げ、TPP参加交渉に伴う一連の保護撤廃・「自由化」政策の全面化である。
 安倍政権は、原子力規制委員会の「安全審査」を経て年末から来年にかけて一連の原発再稼働を進めていこうとするだろう。安倍政権にとって「悲願」と言うべき憲法改悪については、当面、ある程度慎重な対応を取らざるを得ないにしても、「安保法制懇」を通じた集団的自衛権行使の容認、「邦人救出」のための海外での地上作戦を盛り込んだ自衛隊法の改悪を先行させる可能性は高い。さらに辺野古新基地建設のための一連の攻勢は、二〇一四年一月の名護市長選をも射程に入れながら、確実に沖縄の「島ぐるみ」闘争の構造と激突せざるを得ない。

国際的な経験の共有化へ


 われわれは、昨年末の総選挙後、参院選後に安倍政権が連立構想を公明党から、「維新の会」やみんなの党にまで広げる可能性をふくめて、本格的な改憲準備体制が進められるのではないかとも考えた。しかし「維新」「みんな」の「第三極」の求心力とダイナミズムの喪失によって、その可能性は後退した。自民党は「九条改憲」に消極的な公明党との連立によってしか当面、政権を安定的に運営することはできない。
 安倍が憲法問題などで、次の一歩を踏み出すのがいつであるかをあらかじめ予測することはできない。しかし、安倍政権がタイミングを見はかりながらそのための新しい攻勢に踏み出すことは予測できる。安倍政権にとっての憲法改悪をめぐる緒戦の攻防は、憲法九六条改悪に対する「立憲主義擁護」の観点からの批判の論陣の拡大など、一歩後退せざるをえない局面を創り出した。しかしここからの巻き返しを安倍政権がねらっていることも確実である。
 石破茂自民党幹事長は、自民党改憲草案を国民に説明する「対話集会」を各地で開催し、時間をかけて理解を得ることを示唆した。勝負はこれから本格化するということだ。
 こうして安倍政権は、自らに課せられた待ったなしの階級的課題としての「構造改革」「規制緩和」の諸課題、すなわち解雇規制の徹底的緩和、賃金のさらなる抑制、年金・医療費・生活保護などの社会福祉支出のいっそうの切り下げと「自己責任」の徹底化、法人税の徹底した引き下げを通じた「世界で一番企業が活動しやすい国づくり」という課題と、それと組み合わされた自衛隊の「国防軍」化、基本的人権の制限・破壊、家族主義とセットになった国家主義に彩られた「新憲法」を作り上げるという幾重にも積み重なった課題に取り組むことになるのである。
 われわれは、こうした資本の側の攻勢に見合った闘いを多方面に渡って準備しなければならない。
 脱原発、改憲阻止、反基地・反安保、エコロジーとフェミニズム、そして差別や貧困と闘う社会的運動の相互の乗り入れ・交流や、左翼と「リベラル」の共同への模索がさまざまに進められている。われわれはグローバルな資本主義の危機と、国際的な抵抗の新たな局面を学び取り、「緑」を含めた新しい政治潮流に向けた挑戦にとっての共通の「壁」が何であったのかを突き合わせながら、安倍政権と対決する労働者・民衆運動をともに形成しようとする。
 反資本主義左翼勢力の形成とは、こうした労働者・民衆運動のための闘いと切り離されたものではないし、その不可分の一翼を構成するものであることは繰り返すまでもない。
 (七月二三日 平井純一)

 


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