アジア連帯講座 4・20公開講座
原発立地・大熊町民の今 木幡ますみさんのお話を聞く(3)
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2 大熊町の人びと(承前) たくましなっ
た子どもたち 逆に子どもたちは、非常にたくましくなっています。ある意味で大熊町から出てきてよかったかなと思う。というのは、子どもたちも大熊町にいるときは、なにがなんでも東電職員になりたがっていた。東電の下請け会社の親たちに聞かされて、「俺は大きくなったら東電に入るんだ」という感じでした。そのためには電気科に入ろうとか、勉強ができなくてもコネで入ろうという感じだった。
ところが子どもたちは、この事態になって原発って怖いんだね、と言うようになりました。親が原発は安全だと言っていたが、「ウソだね」と言っています。うちの父ちゃんは原発で働いているけど、原発にはもう行きたくない、と言ってます。子どもたちのほうが、この二年間の経験でものすごくかしこくなってきた。私たちの話を一番聞いてくれるのは、子どもたちです。「原発は危ないから、もう日本、世界には原発はいらないんだよね」と言うと、子どもたちもいらないと言ってくれます。ましてや「地震がある国に、なんで原発が必要なんだよな」と。学校の授業でも、若い先生などは、今おおっぴらに授業で、「原発は危ないんだよ」と言えるようになった。昔だったら大熊町でそんな話をしたらとんでもないことだった。
子どもたちも家でも「原発は危ないんだよね」と言えるようになってきた。子どもたちのほうが脱原発だ。それに対して大人は文句を言わない。三・一一があったけれども、子どもたちはいろんなことを学んだと思う。
以前は勉強をしない子どもが多かった。私たちが勉強しなさいと言うと、「なに言っているんだ」という感じだったんですけど、人の話をまじめに聞くようになってきた。大熊で「勉強します」と言うと、「あいつはちょっと変わっている」と言われるほどでした。
ほとんどがコネで東電、東電の大手の下請会社に入って行った。退学した子どもでもコネで東電、下請けに入れました。以前、私とお父さんに仕事の誘いがきていました。高額の給与を提示されました。うちの娘にも高校卒業したら原発の東電社員にならないかと電話がかかってきた。
原発に反対している人と、家族には危ないことが一杯ありました。襲われた人もいました。私たちは塾をやっていたのですが、最初は原発反対なので生徒が来なかった。家庭教師として原発の下請けの子どもも教えていたが、「あの人は原発に反対しているんだよ」と噂話が出ると、さーっと引いていった。双葉町で反対派の酒屋さんは、暴漢に襲われたり、家族も襲われたり、商品を一切買ってもらえなかった。家計は火の車になっていき、最後は屈服させられた。
除染には何の
効果もない
以前から大熊町では、原発周辺は危ないよと言われ続けていた。最近、浪江町で尻尾がないウサギが出たとか、耳がないウサギが出たとかという事実をブログで見ました。私の家にネズミがたくさんいるんです。ところが家のネズミが猫ぐらいに大きくなっている。気持悪いです。なんでこんなに大きいのか。周りの人たちもネズミが異常に大きくなっていると言っています。しかしカラスはいない。やはりカラスは利口だからなと思いますが、線量が高いところに来ない。
私は、一時帰宅で何回か戻り、家の雨どいを測りました。一月の時が一二〇μシーベルトだった。三月が二二〇μシーベルト、四月が三二〇μシーベルトだった。山沿いだから、高くなってきている。雨どいのところが積もり積もって高くなっている。叔母は具合が悪くなってしまい、苦しくなったと言ってました。
大熊町は除染したと言っている。役場も除染したが、二週間後、測ったら一五μシーベルト以上だった。除染して下がったと言っても六μシーベルトだ。ところが一ヶ月たたないうちに測ったら、ちゃんと上がっていた。元の数字に戻っており、役場の後ろは三〇μシーベルトだった。だから除染したってお金の無駄使いだと感じている。
以前は、除染して帰ろうというのが圧倒的に多かった。しかし集団移住を要求してきた木幡仁が自治会長になったことに現れているように、だんだん年寄りも帰れないということが分かってきた。
一時帰宅するたびに線量が高くなってきている。新聞、マスコミは下がってきたと言っているが、表向きは下がってきている。しかしセシウム一三四は、二年で半減だ。セシウム一三七は三〇年だ。これだけではなく、その他に公表されてないことが一杯あると思います。プルトニウム、ストロンチウムとかの線量状況などが全然公表されていない。
原発事故時、風がものすごく吹いていた。だからあちこちに飛んでいるはずだ。セシウムは、へばり付いたら絶対に落ちないらしいし、溶けない、消えない。いくら除染をやったって、上から落ちてくる。大熊町など現地に除染のために何億円かけたって、湯水のごとく使う感じで除染は必要ないと思います。
やっぱり郡山、福島、いわき、伊達の方は、ほんとは住んじゃいけない。会津以外はね。だけど住んじゃいけないけども、みんなどこにも行けないでしょ。東電は補償もしてくれない。金もそんなにない。必死になって県外に出ている人もいる。仕事がなく、外に出たら家もないでは、子どもをどうやって育てることができるというのか。出ていくのが大変だから福島県に残るしかない。だからそのためには、せめて人が大勢住んでいるところは除染してほしいと、みんなは思っている。
だけどチェルノブイリでは、低線量被ばくの被害がどんどん出てきている。チェルノブイリの五〇年先の線量の移り変わりを予想図を見れば、福島も同じような危険性があるということだ。 3 質疑応答から
電力会社と
ヤクザ暴力団
Q 双葉郡に原発反対同盟があったが。かつての運動と現在は結びついているのか。
木幡 木幡仁とか、大熊の人も反対同盟だった。東北電力が浪江に原発を作ると言っていたが、反対にあって、東北電力は三月二八日、浪江・小高原発の新設計画を取りやめると発表した。反対同盟の委員長が双葉町の岩本さん。その後、石丸さん、富岡の方です。昔の社会党を中心として反対運動を取り組んだ。富岡、大熊、双葉とかに仲間がいた。井戸川克隆双葉町長は反対ではなく、推進派だった。東電のおかげで商売をやってきた。水道屋さんだった。東電の水道をやりながら、東電とともに歩んできた企業だ。
原発の事故があって、三・一一以降、これまでの東電と一緒にやってきたことが壊れた。今まで賛成だった人も、原発は怖いなということで、だんだん反対になっている。
原発立地県での脱原発運動は、ほんとに大変だと思う。脱原発をやろうとしても、私の親戚には東電の職員がいるから表立って行動はできないとか。東電のおかげで生き延びているとか。さらに反対する人は、暴漢に襲われたり、借金で大変だったり、仕事しようと思っても雇ってもらえないとかある。
暴漢について東電は関知していませんと言うが、だいたい襲われる人は原発反対の人だ。ヤクザに襲われたのだろう。ヤクザと東電は一緒だと地元で、ずーっと言われてきた。
今回の除染作業で、今、ヤクザがどんどん入ってきている。それも東電は関係ないと言うけど、それは違う。だけどヤクザが入ってこなかったら、東電の仕事は成り立たない。ヤクザの友達は、「私たちのことをあまり悪く言わないでね。ほんとは言いたくはないけど」と言って色々と事情を話してくれる。東京電力は昔から炉の中の仕事とか、被ばくするところの仕事は、ヤクザが請け負ってきた。いろんなところから野宿者を連れてきて、金を巻き上げて、お前も入れといわれて、入れさせられてきた。
原発労働は、ある線量を越えると仕事にならないし、仕事現場から出されてしまう。その会社が限度以上の被ばく線量者を出していると、その会社は首になってしまう。だけどヤクザは、ある程度の線量になると入れなくなる人が一杯いるから、その人たちの線量計を借りて、また仕事に入っていく。だから規定以上に入っている。
線量計がないと仕事ができない。一人で使いすぎると、東電、国から色々言われるから、だからある程度、人を集めておいて、その人たちに仕事ができない人の分の線量計を持たせてやっている。一人で四人分の線量計を貰ってやっている人もいる。
ヤクザがいないと、人を集めてこれない。ヤクザ自身もピンハネされている。被ばく労働問題の集会では六〜一〇次ぐらいまでの下請けがあると言っていた。国は危険手当を一万出していると言っているが、寝食も提供しなくちゃいけないから、ピンハネしていくと、最後に残るのが一〇〇〇円だけだというケースもある。
ヤクザに従い、絶対に文句を言わないのがチンピラの人たちだ。人を集めてこないと、仕事にならないから、ヤクザが必要だ。ヤクザは、福島原発の中ではとんでもないことになっていると言っていた。喧嘩はするし、ピンハネはすごいし、人を人と思っていない。中には仕事をするために麻薬をやらせることもある。薬をやらして興奮状態で仕事をやらせる。そうしないと怖いからだ。普通、一般の人は、原発の中に入って仕事をするのが怖い。怖いから薬をやって、自分を奮い立たせて仕事をする。このように役立っているのがヤクザだ。ヤクザを追い出すと仕事をする人がいなくなってしまう。
だから福島原発の廃炉作業は、東電だけにまかせるのではなく、国の管轄でやらないと大変だ。今でも屋根をかけてなく、ちょっと地震が起きたら、壊れてしまう状態だ。地下水が漏れていることが発覚したが、どんどん海に流出してしまったら、たぶん日本近辺の魚は一切食べられない。
この間、九州に行ったら、九州のお魚はおいしいなと感じた。会津からも原発労働に行っている。親が心配している。だけど会津も仕事がないから、福島県全体が仕事がないから最後には原発労働者になって、ピンハネされながら生きている状況です。 (つづく)
5.26いわき 原発労働者使い捨て許すな
事故収束を確実にする
ための講演会に一五〇人
【いわき】五月二六日「いわき市文化センター」で「原発事故の収束を確実にするための講演会」が行われた。集会は三団体―いわき市労働組合総連合(いわき市労連)、小名浜労働組合協議会(小名浜地区労)、原発をなくすいわき市民の会―が主催して開催され一五〇人が結集した。
集会はいわき市労連の菅家さんの司会によって行われ冒頭に小名浜地区労の八代さんのあいさつを受けた後、元原発労働者が福島原発における収束作業のずさんな実態を証言し、原発をなくすいわき市民の会から市会議員=渡辺博之さんが講演を行った後、講演者と参加者との質疑応答の後市労連の佐藤光男さんが閉会のあいさつを行った。
違法な労働の
実態を告発
証言は谷川実さん(仮名)、大山安宏さん(仮名)ほか三人が行い谷川さん、大山さんは衝立の蔭からの発言となり他三人は書面による発言となった。衝立の蔭からの発言は会社による個人特定を避けるためであった。
谷川さんは東京電力の消防法に違反する違法給油行為を告発した。軽油を積んだタンクローリーを福島原発内に常置させ、タンクローリーから他のタンクローリーへ積み替えを行っていたというのだ。
経過の詳細を示す資料は、震災直後被災地においてはガソリン等の燃料が極度に不足する事態が発生し、ガソリン等の安全な取り扱いのための緊急措置として総務省消防庁が二〇一一年三月一七日に通知し、東電は「赤旗」報道を契機に二〇一三年一月一八日改正するまでJビレッジだからとしてその手法を継続したことを示している。
大山さんは、いわき市の東電関連会社(二次下請け)に所属し二〇一一年三月二四日の3号機タービン建屋地下に電源ケーブルを敷設する緊急作業等を行った。その際二〇ミリシーベルト被曝させられたが、現場に入る前に現場状況について説明がなかったことを告発した。
「原発をなくすいわき市民の会」の渡辺博之さんは、聞き取り調査及び経過について報告した。渡辺さんは、相次ぐ事故の発生、及びその背景、多重派遣問題について話し、配電盤火災等の相次ぐ事故の背景として東電のコスト削減方針と事故収束宣言を指摘した。
多重派遣=偽装派遣=構造の問題と現状について、そもそも多重派遣は労働者派遣法に違反していることを指摘しながら、「被曝を伴う作業は末端労働者へおしつけている。ピンハネ、闇の下請け構造には暴力団が暗躍している。そのうえ被曝線量が高くなれば会社ごと使い捨て、報道機関からの取材を受け付けないなどかん口令を敷き、告発者が出れば会社ごとの使い捨てをしている。その結果熟練労働者がいなくなる危険がある。改善させる運動に協力を」と結んだ。
原発労働者の使い捨てを許さない運動は続けられている。より一層の拡大と県内外の支援が必要である。
(浜西)
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