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    かけはし2013.年4月8日号

労働者の権利破壊ノー


3.22ユニオンネット、春季大阪行動

組合破壊攻撃続発に反撃

先導する橋下の追及に総結集

 【大阪】おおさかユニオンネットワーク恒例の春季大阪総行動が三月二二日に行われた。
 九時にNTT西日本前をスタートし、午後から二手に分かれ、最後に大阪府教委前集合で七つの争議を支援し、申し入れを行った。

委託先変更使う
攻撃に徹底抵抗
  NTT西:大阪電通合同労組は当日ストライキで闘った。パワハラにより退職に追い込まれた組合員の復帰、新賃金制度(高年齢者雇用安定法に伴い、六〇歳をこえて勤務する職員の給料原資を五〇歳までの職員の賃金削減により捻出するというもの)反対、非正規職員の労働条件改善などを要求している。また、韓国KT新労組メンバーに対する不当解雇糾弾のアピールがあった。
読売不動産:読売新聞大阪本社は、自社ビル警備業務を子会社の読売不動産に依託していたが、今年四月からALSOKに依託変更することを決めた。それに伴い、読売不動産は、警備保安部の従業員に三月末で退職するか、新たな委託先のALSOKに移転するかの選択を迫った。ALSOKの労働条件は今の年収より二〇〇万円も少なく、勤務時間は四割増し。これでは子どものいる家庭の生活は維持できないと四人がひょうごユニオンに加入。団体交渉で解決を目ざしている。

不当労働行為
組合破壊と対決
ヨドバシカメラ多摩物流:ヨドバシカメラの配送業務を担う多摩物流とは、労使関係ができて六年目になる全港湾大阪支部の分会。長時間労働、労災問題等で団交設定するが、会社は代理人交渉に固執。不誠実団交を繰り返す。差別的な一時金の支給を強要し妥結しないなら、仮払いもできないと恫喝。団体交渉は拒否し続け、報復的な懲戒処分攻撃をかけ、組合脱退を強要するかのような態度。一一年府労委に不当労働行為の救済を申し立てると同時に、処分無効を求め大阪地裁に提訴。
 桜宮化学:全日建連帯労組関西生コン支部の分会を結成して以来続いている会社の不誠実団交。全権を有する社長は組合を敵視し、一度も団交には出席していない。組合は組合旗を会社の敷地内に立て頑張っている。
あすか八尾:八尾市にある介護施設、朋寿会が運営している。事務次長のセクハラ・パワハラ・人権侵害・退職強要等の職場実態。ストレス病の組合員に懲戒解雇や出勤停止の不当労働行為。今年に入ってから休職発令された組合員は退職に、また無視や分断で苦しめられた同僚組合員も退職に。法人と事務次長を相手に大阪地裁に提訴。
JAL大阪支店(伊丹空港):一〇年一二月大晦日、一六五人(パイロット八一人、客室乗務員八四人)が解雇されて二年三カ月が過ぎようとしている。現在、一四一人(パイロット七〇人、客室乗務員七一人)が東京高裁で争っている。一二年三月末の東京地裁判決は、原告の主張を全て切り捨て、被告の主張を丸呑みした不当で政治的な判決を出した。会社の一〇年度決算では一八八四億円、一一年度決算では二〇四九億円の営業利益を上げた。一二年九月には株式上場を果たした。一方、パイロットの流出は一一〇人を超えようとしており、凍結していた機長昇格訓練・副操縦士昇格訓練も再開された。解雇後の客室乗務員の新規採用は一一四〇人の多数に及んでいる。まさに解雇は、組合潰しをねらったものであることが明確になった。昨年六月にはILO勧告が異例の速さで出され、日本政府に迅速に問題解決を勧告している。

不法断罪無視の
橋下を許さない
 大阪府教委:橋下徹が大阪府知事に就任した〇八年から、大阪府と府教委は大阪教育合同労組が申し入れた団交を拒否する姿勢に転じた。一〇年度からは毎年度、講師雇用継続要求と労働条件改善要求の団体交渉を拒否。講師雇用継続要求に関して、労働委員会に救済申し立てをした。その結果、中央労働委員会が一二年一一月と一二月に、大阪府労働委員会が本年一月に不当労働行為であると認定し、現松井府知事に対し、組合に謝罪文を手交するように命じた。
 ところが、知事は労働委員会命令を履行することなく、中労委命令の取消訴訟を東京地裁に、府労委命令取消訴訟を大阪地裁に起こした。後者の方は、大阪府が大阪府の機関を訴えるという前代未聞の行為。本来不必要な訴訟のために府民の税金が使われるという事態になった。ユニオンネットワークとしては、維新の会知事によるおろかな行政訴訟の撤回を要求した。         (T・T)

映画案内

「約 束」監督・脚本:齊藤潤一/制作・配給 東海テレビ

名張毒ぶどう酒事件:死刑囚の生涯

冤罪生む仕組み浮き彫り

権力犯罪を浮き
上がらせる熱演

 

獄中の奥西勝さん役を仲代達矢、奥西さんの母親タツノ役を樹木希林、支援者の川村富左吉役を天野鎮雄、若い頃の奥西さん役を山本太郎、ナレーションを寺島しのぶ。
 齋藤監督は二〇〇六年から三回にわたり、名張毒ぶどう酒事件を扱ったドキュメンタリーを東海テレビで放映してきた。奥西さんが死刑囚として獄中にいるため、リアルに描くことができないので、ドキュメンタリーではなく劇場版として作ったのだという。二月一六日から、渋谷ユーロスペースで公開され、順次全国放映される。
 奥西死刑囚役をやった仲代さんは深みのある演技に定評がある日本映画界のトップスターだ。死刑囚の日常や母親との深いつながり、特別支援者との面会時の様子など、無実を訴え、必死に生きようとする奥西さんの内面を様々な表情を通して熱演した。村から追われた年老いた母親役の樹木希林のしぶい演技に心を打たれた。
 齋藤監督はドキュメンタリー映画を作ってきただけに、逮捕当時の実写フィルムを挿入しながら、事件のあらましと、奥西さんの自白がいかに矛盾だらけであるかを明らかにしている。懇親会の会長は「このような事件を起こす理由のある者が、三人ほど思い当たる」と供述したが、事件から数十年経ってからの取材に本心からではなかったこと、警察の厳しい追及があり、懇親会の会長であったという責任から、すべて自分が悪かった、自分がやったということにしてしまおうとかと思ったという状況だったという。こうした証言から、奥西さんを自白に追い込んでいった様子が伺える。

孤独な闘いと再
審の複雑な展開


 事件のあらましと裁判がどのように進んだかを記すことにする。
 一九六一年、三重県名張市の小さな村の懇親会でぶどう酒を飲んだ女性五人が死亡。「名張毒ぶどう酒事件」だ。男たちは日本酒を飲んでいて、事件にあわなかった。奥西さんはいったん犯行を自白するが、逮捕後、一貫して「警察に自白を強要された」と主張。一審名古屋地裁は無罪判決。高裁は逆転死刑判決、一九七二年、最高裁も死刑判決を維持し確定した。奥西さんの孤独な再審の闘いが始まった。一九八七年になって川村富左吉さんが支援者として現われ、再審弁護団が作られ、国民救援会をはじめ全国に救援の運動が広がった。
 第七次再審請求に対して、二〇〇五年四月、名古屋高裁は「再審を開始する。請求人に対して死刑の執行を停止する」決定を出した。しかし、検察の異議で、同年一二月、名古屋高裁の別の部で、再審決定が棄却された。二〇一〇年、弁護団の特別抗告を受け、最高裁は毒物を詳しく検証するよう、名古屋高裁に審理を差し戻した。しかし、二〇一二年、名古屋高裁は再審開始の取り消しを決定した。弁護団は最高裁に特別抗告し、最高裁で争われている。

有罪と矛盾す
る証拠が次々


 名張毒ぶどう酒事件は、犯行を裏付ける物的証拠が少ない。そうした中で、奥西さんを犯人と結びつけたのは、ぶどう酒の王冠、農薬、ぶどう酒到着時間などだ。ぶどう酒を歯で噛んで開けたという自白があるが、実は王冠に残る歯型が奥西さんのものでないことが第五次再審請求で明らかになった。また、第七次再審請求では、王冠の足の部分に、奇妙につぶれて曲がった個所があった。弁護団は町工場に依頼し、一八〇〇個を復元し、奥西さんが自白した方法で開けたが、犯行現場に残されたようなつぶれ型をするものは一個も出なかった。
 奥西さんが持っていたニッカリンTという農薬を混入させたとされた。ぶどう酒を飲んだ人たちは、白ぶどう酒だったと証言している。第五次再審請求で、弁護団はいまは作られていないこのニッカリンTを探し出した。ニッカリンTは赤い色をしていた。つまり、白ぶどう酒ではなかったのだ。さらに、第七次再審請求では、ニッカリンTを使うと混合物が残ることを明らかにした。飲み残したぶどう酒には不純物は出てこなかった。
 事件直後の取り調べに対して、村人たちは次のように証言した。酒屋から会長宅にぶどう酒などが届けられたのは午後二時一五分。それを奥西さんが公民館に運んだのは午後五時二〇分頃だった。このぶどう酒を公民館に運んだのは奥西さんだった。この間、複数の村人は会長宅を訪れていた。しかし、奥西さんが自白した後になると、ぶどう酒が会長宅に届けられたのは午後五時頃とし、奥西さんだけが「毒」を入れることが出来たと村人たちは証言をひるがえした。

司法制度の抜
本改正が必要


 一九六一年、名張毒ぶどう酒事件、一九六三年、狭山事件、一九六六年、袴田事件。六〇年代に起きた重大事件で、再審請求・冤罪をはらす運動がずっと続けられてきた。名張事件は一審無罪で、高裁は逆転死刑判決という戦後初めての例だ。奥西さんと袴田さんは死刑囚として、いつ死刑が執行されるかという恐怖の中で長年闘い続けている。石川さんは一審死刑、そして無期懲役が確定し仮釈放の身だ。
 共通しているのは自白偏重の取り調べ、証拠のねつ造などだ。こうしたウソの自白の強要をなくすためには、代用監獄の廃止、取り調べの全面可視化、全証拠の開示が必要だ。
 そして、警察・検察の人権感覚なしの取り調べ・起訴のひどさはいうまでもないが、名張毒ぶどう酒事件の裁判のように、再審決定がされてもなお、それを取り消すことができるような制度の不備を変えなければならない。検察と裁判所のもたれあいを根本から変える司法制度の抜本改正。無罪判決が出たら、検察が控訴できない制度、再審決定への異議を認めない制度の確立。死刑制度の廃止。
   (二月一七日/滝)

 


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