進歩政党、彷徨の末には何があるのか
大衆の冷ややかな視線…… |
イ・ジョンヒ、ユ・シミン、シム・サンジョン。この人々が統合進歩党共同代表として並んで座ったのは2011年12月。ノ・フェチャンは党の代弁人を自称した。わずか1年余り前のことだ。これらの人々の今の立ち位置は各自それぞれだ。
イ・ジョンヒ。昨年4月の総選(総選挙)比例代表の不正競選による罷免以降「沈黙の刑罰」を経て統合進歩党の大選(大統領選挙)候補として復帰し、去る2月22日に党代表として合意推戴された。ユ・シミン。2月19日にツイッターを通じて「職業としての政治」を離れるとして政界引退を宣言した。シム・サンジョン。昨年12月、進歩正義党の大選候補として選出されたが候補登録を放棄した。ノ・フェチャン。2月14日、サムスンXファイル事件の有罪判決によって議員職を失った。一時は「進歩政党のアイコン」であり「同志」だった彼らが再び一堂に会することはないようだ。
だが無視と危機とに直面したのは進歩政治人ではなく、進歩政治それ自体だ。進歩政党は突き当たりの袋小路に立っている。新しい道を作らなければならないという誓いは力なく聞こえる。決意だけで道が作られはしないと言うことは誰もが分かっている。
なぜ3つの党籍を持ったのか
会社員イ某氏(47、男)はこの1年を「進歩政党支持者の彷徨期」だと表現した。大学85学番(入学)で学生運動をやり、卒業後に「現場」に入った。健康を害して、ソウルで職場を転換した後、「借金を返す思い」で進歩政党を後援した。
イ氏は2008年の「一心会事件」を契機とした民主労働党の分党の際、進歩新党へと党籍を移した。長い因縁を結んできた進歩新党党員の勧誘のせいだった。2011年、ノ・フェチャン、シム・サンジョン議員が進歩新党を脱党して統合進歩党の創党に合流すると、彼も統合進歩党の党員となった。けれども既存の進歩新党の党籍を捨てられなかった。残っている進歩新党党員の気持ちも察することができたからだ。昨年の総選時、統合進歩党に1票を投じたけれども、総選直後に吹き出した比例代表不正競選の事態は「進歩政治の夢が崩れるよう」な衝撃を受けた。結局、統合進歩党の党籍を捨て4番目の党籍、進歩正義党の党籍を得た。
緑の党を後援してくれという要請を受けたのも、その頃だ。「政治的論争だけを事とする進歩政党に嫌気がさし」緑の党にも足を踏み込んだ。だからイ氏は進歩新党、進歩正義党、緑の党の党員だ。ところで大選の際、票を投ずべき候補がいなかった。「進歩政党支持者の彷徨」は依然として続いている。
首都圏の基礎議員であるK氏は自身を「渡り鳥政治家」だと表現した。彼は2010年の地方選挙の際、進歩新党で出馬し当選した。2012年の総選は統合進歩党として、大選は進歩正義党として行動した。2000年に民主労働党の発起人として進歩政党に足を踏み入れた後、12年の間に3回の脱党と入党を繰り返したのだ。
「地域の労働組合員たちも各政党に散らばりました。より多くの組合員らは『何となく無党派』になりました。地域で出会う市民団体の活動家たちは、どの党と一緒に仕事をすべきなのかが分からないと言います。地域社会において党は幾つかの進歩的な人々が集まった島のようになっており、むしろ政党を排除した無党派地域運動の流れが強化されています」。
K氏は「中央党は大選候補の辞退方針を決定するまで、地域の党員たちと1度も討論しなかった。大選以降、党の主要な指導者たちが今回の選挙をどう評価しているのか責任を持って話しているのも、ついぞ聞けなかった」し「来年の地方選挙の時も、はたして進歩正義党が存在できるのだろうか」と反問した。
既得権と政派間の中傷
進歩政党の危機は分裂というよりは自滅に近い。パク・ソグン韓国進歩連帯共同代表は1月15日の統合進歩党進歩政策研究院の討論会で「院内に進出しビタ銭とは言え飯の種が生じ、既得権と呼ばれるだけの物が生じると、それをめぐって政派間に醜い中傷を繰り広げる中で生じた不信が増幅されて、分裂となって現れた」と辛辣に批判した。
2008年、民主労働党―進歩新党、2011年、統合進歩党―進歩新党、2012年、統合進歩党―進歩正義党―進歩新党という相次いだ分裂は進歩政治を破算状態に駆りたててきた。12年目の進歩政党党員であり、進歩正義党の常勤者であるK氏は「認めたくはないけれども統合進歩党は総選用のプロジェクト政党だったのであり、進歩正義党は統合進歩党からの脱出用プロジェクトであり大選用のプロジェクトだった」と語る。
進歩政党のリーダーたちは統合という名分の下で代表性を分かち持ち、目の前の選挙にオールインしたにすぎず、代表性に伴う責任を取らなかった。最大の問題は、このような分裂と無責任とによって進歩政党が数年間、培ってきた政策や組織の基盤が崩れさったというのだ。パク・サンフン・フマニタス代表は「政党作りのない選挙政党の限界だった。統合進歩党から進歩正義党までの事態は、部門運動や地域での進歩政党の活動の根拠を壊滅的に破壊させた」と語った。
政策基盤の破壊は、進歩政党の将来が暗く見える最大の理由だ。2000年の創党時に民主労働党が唱えた無償医療、無償教育、富裕税導入の主張は、それ自体として進歩政党の象徴だった。福祉や経済民主化など進歩政党がやむことなく提起してきた諸議題は、2012の大選でパク・クネ・セヌリ党候補が唱えるほどに政治の議題化となったけれども、ほかならぬ進歩諸政党は10年前よりもさらに踏み出すことができなかった。進歩政党の政策立案者たちが党分裂の過程で散らばってしまったところが大きい。大衆基盤の破壊も同様だ。
キム・テヒョン民主労総政策研究院長は2月13日の進歩正義党進歩正義研究所の集まりで「現場の多数の組合員らは進歩政治に対する幻滅と敗北主義に染まっている。進歩政党が乱立し、それぞれ自らの中心性を押したてる条件下にあって、労働組合がそれぞれの進歩政治と協約を結ぶのか、それともみんなが一緒に作るのか難しいところだ」と語った。
党内外の大きな認識の違い
行く道が難しい状況で各政党が内部の取りまとめに力を注いだのは当然のことだ。統合進歩党は2月22日に選出されたイ・ジョンヒ体制で党組織を再整備した。統合進歩党は2月18日現在、党員が10万4553人、党費を払っている党権者が2万9992人だと明らかにした。地方自治体にも基礎団体長(首長)2人と広域・基礎議員118人が布陣している。比例代表不正競選の波紋、中央委員会での暴力の事態に対する厳しい視線は相変わらずだが、「内部結束」だけは誓う。「今回の大選を通じて党とイ・ジョンヒ候補が復活した」という公式の大選評価がその代表的ケースだ。2月14日、国会の「北韓(北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国)の核実験糾弾決議案」の処理の際、6人の議員全員が投票に参加しないなど、「わが道を行く」という態度は明確だ。そうしつつ、党の課題として「反パク・クネ連帯連合」を強調している。統合進歩党が党内外の認識の違いをどのように狭めていくのかは不透明だ。
進歩正義党は2月5日、ソウル汝矣島・東亜ビルで党本部入居式を開き、「2段階の創党」を論議している。国会議員数は6人で、統合進歩党と一緒だが、党員(2万余人)と党権者(6千余人)は5分の1のレベルだ。市・道党のない地域も5、6カ所になる。自治体では基礎団体長2人、広域・基礎議員41人が活動している。6月までに組織を整備し、新しい指導部を選ぶ計画だが、ノ・フェチャンの議員職喪失とユ・シミンの政界引退によって相当の打撃を被った。
労働を強調している進歩新党脱党派と市民の参加を重視する国民参与党系によって実現された党内部の結束力も統合進歩党ほどに強くはない。党のアイデンティティーとして社会民主主義についての論議も進められている。ノ・フェチャン前議員は大選後、「今日までの進歩政党は一種の社民主義政党に分類されるのが正確だ。古いタブーから進歩政党を解放させる時となった」とし「韓国型社民主義の定立」を提案した。党のある関係者は「社民主義を旗印として掲げた時、理念(イデオロギー)論争へと進む可能性のゆえに慎重な側面がある。2段階の創党と言うけれども、何をどのようにやっていくのかは、まだよく分からない」と語った。
進歩新党は2月1日、イ・ヨンギル前民主労総大田忠南本部長を新代表に選んだ。6月までに再創党の作業をすることにしたが、党名の改定も計画している。総選の際に党が解散される格好で、正式党名は進歩新党連席会議だが、労働者党・平等党など様々なアイディアが論じられている。土建主義に反対する概念から「緑の社会主義」の標榜を論議している。党員は1万5千余人、党権者は6889人、広域・基礎議員は13人だ。
次々に議員職喪失の危機
3つの進歩政党支持率を合わせても1けたを超えられない現実にあって、当面は「存在感の確認」が必要なのだろうか。4月の再・補欠選挙は、これら各政党の共通の関心事だ。進歩正義党はノ・フェチャン前議員のソウル蘆原丙の地域区防衛が必死の課題だ。統合進歩党は釜山・影島にミン・ビョンニョル最高委員が出馬することとし、イ・ジョンヒ代表のソウル・蘆原丙出馬説も出回っている。パク・ウンジ進歩新党副代表は「韓進重工業のある釜山・影島に候補を立てようと思う」と語った。
外部的には裁判という厳しい現実にぶつかっている。統合進歩党では昨年、韓米自由貿易協定(FTA)の批准同意案の処理を阻止するとして本会議場で催涙弾を爆発させたキム・ソンドン議員(全南・順天コクソン)が1審で懲役1年、執行猶予2年の議員職喪失刑を受けた。キム・ミヒ議員(京畿・城南・中原)も昨年12月の1審で選挙法違反の嫌疑で当選無効刑である罰金250万ウォンを宣告された。オ・ビョンニュン議員(光州・西区乙)とイ・ソッキ議員(比例代表)もそれぞれ裁判が進行中だ。進歩正義党ではパク・ウォンソク議員が昨年、検察の比例代表競選捜査の際の公務執行妨害嫌疑で起訴された。これとは別にソ・ギホ、チョン・ジヌ、キム・ジェナム、パク・ウォンソクら進歩正義党比例代表の4人は統合進歩党から党籍を移した「セルフ除名」に関連して統合進歩党が提起した脱党無効訴訟に関係している。
崩壊したリーダーシップ、崩壊した組織基盤、停滞した政策、大衆の冷ややかな視線…。進歩政党は意味ある独自的勢力として存在することができるのだろうか。労働の中心性を確保しよう、現場に戻ろう、地域に注目しよう…。様々な誓いが聞こえる。だが、「どのように」を語る人は見つけがたい。進歩政党が「働く人々の政党」として再びよみがえることができるのかは相当の期間、見守らなければならないようだ。(「ハンギョレ21」第950号、13年3月4日付、イ・ジウン記者)
コラム 「ウクライナは訴える」 いつもならば昨日の夜に入稿しているのだが、昨日は一日中イライラしていたこともあって結局、一文字も原稿を書くことができなかった。「明日書けばいいだろう」と午後一〇時過ぎにギブアップして、ウイスキーの水割りを作りテレビを見ることにした。
ETV特集「チェルノブイリ汚染地帯報告2 ウクライナは訴える」をたまたま見ることになった。
原発事故から二五年が経って、住民の健康状態はどうなっているのか、チェルノブイリ原発から南西約一一〇キロにあるコロステニ市(人口六万七〇〇〇人)の現状を報告するドキュメントだ。この町は市内にホットスポットが点在するものの、「避難勧告地域」に指定されている低線量汚染地帯(年間五ミリシーベルト以下)である。住宅の除染は、ソ連邦崩壊による通貨危機のために、半分ほどが終了した時点で中断された。
報告の中でまず驚いたのは、甲状腺ガンの発症者が年々増加しているということだった。甲状腺ガンはヨウ素131を原因とするものだが、これは半減期が八日と短いために、事故後二カ月も経つとほぼ無毒化する。したがってそれ以降に生まれた人はその影響を受けていないのだが、事故当時被曝した人は、年齢、体質、健康状態、免疫力などの個体差はあるものの、その影響から逃れることはできないのである。
現在、WHOとIAEAは低線量被曝の影響による疾患として、白血病、白内障、甲状腺ガンだけを承認している。しかし、ウクライナの医師らによる二五年間のデータから、心筋梗塞や狭心症などの心臓・循環器系の疾患や、子供たちの骨の変形などの異変が急増していることが明らかになっている。
市内の市場などでは食料品は厳しく検査されているのだが、ある医師は「牛乳と肉」による内部被曝を指摘。また事故前と同じように市民の多くが山に入り、キノコや木の実(ベリー)を採って食べていると言う。
市内の学校(小中高一貫)の実態は絶望的であった。ほとんどの子供が循環器系の疾患をもち、約二割の子供に骨の変形などがあり、まともに体育の授業を受けられるのは一割ほど。八年生まではテストも中止している。テスト勉強で無理をして、体調を壊す子供が続出したためだ。
ヨウ素で甲状腺をやられ、筋肉に蓄積するセシウムで心臓や血管や臓器がやられ、ストロンチウムで骨がやられる。
コロステニ市は年間五ミリシーベルト以下のエリアなのだ。福島をはじめとした東日本の放射能汚染地帯は、五年、一〇年、二五年後にはどうなっているのだろうか。その前に、福島の子供たちを避難させよう。いまからでも遅くはない。 (星)
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