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    かけはし2013.年3月18日号

税徴収の徹底化と社会保障費の削減
民衆管理と治安弾圧の道具 ――


共通番号制度法案(マイナンバー法案)を批判する

 安倍政権は、三月一日、消費税増税と税徴収の徹底、社会保障費削減、民衆管理と治安弾圧強化にむけた共通番号制度法案(=マイナンバー法案)を閣議決定した。今国会で法案を成立させ、二〇一六年一月までに導入強行する。消費税増税の一四年四月に八%、一五年一〇月一〇%の引き上げに間に合うためになんとしてでも法案を成立することをねらっている。
 制度は、個人と企業に番号を割り振り「マイナンバー」を付け、税務署や自治体などが別々に把握している所得や納税、社会保障サービスなどの状況を管理し、年金、医療、介護保険、生活保護、労働保険、税務の六分野で活用する。
 さらにIC(登録証)カード(氏名、生年月日、性別、住所を記載し、ICチップに番号を記録する)を持たせ、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の住民票コードによって住民登録・戸籍・収入・税・健康保険・医療・福祉給付・介護保険・年金・免許・旅券・犯歴などの個人情報を一元化する。「省庁自治体間のデータ連携」を認めさせ警察庁もリンクし、治安弾圧のために個人情報の使い放題という野望を実現しようとしている。

システムの整備に
巨額の費用必要
 問題の第一は、巨額の導入費用だ。明らかになっているだけでも@国税庁や日本年金機構など情報保有機関のシステム整備三二〇〇億円A各個人情報を一元化する組織の設立七〇〇億円BICカード導入八〇〇億円C個人情報を利用者が確認できるインターネットサイト「マイ・ポータル」開設三〇〇億円D個人情報の漏洩(ろうえい)を監視する第三者機関の設置一〇億円Dシステム運用に年三五〇億円――などの額になっている。
 民衆に敵対する無駄遣いと雪だるま借金によって深刻な財政破綻状況に突入しているにもかかわらず、こんな巨額な導入費と維持費がどこにあるというのだ。消費税増税と借金、民衆の血税を搾り取ることによって捻出するという居直りを厳しく糾弾しなければならない。しかも財界とIT大企業は、族議員の育成、官僚の利権と天下りの拡大を通して国家権力中枢への影響力を強めていくこともセットで押し進めていこうとしている。

個人情報漏えい
の危機が増大
 第二は、個人情報の漏えい問題だ。法案では、@目的外利用などに罰則強化A第三者機関を設置し行政や医療機関を監督するB自分の情報へのアクセス記録を本人が確認できる仕組み、医療分野の病歴などの個人情報保護のための特別法をつくるとしている。
 かつて民主党が提示した「万全なセキュリティー対策」と称する中味も@情報漏えいの早期発見や漏えいした場合に機動的に対処できるよう専門の職員を配置Aシステムをバックアップする拠点を複数の場所に設置などのレベルだった。安倍政権が提出したセキュリティー対策も同様のレベルでしかない。ひたすら「情報漏えい防止には万全の措置を講じなければならない」と「決意」(=願望)だけで、「『個人番号情報保護委員会』の設置や、懲役四年以下の罰則」を適用するから「安全」だと居直っているにすぎない。「完璧」なガードシステム、セキュリティーシステムはできないのだと言っているに等しいのだ。
 守秘義務と罰則強化だけでは完璧に防御できない最近の事例として、例えば、長野県警二警官の車検証情報漏えい事件(二〇一二年七月二〇日)、船橋市職員の情報漏えい事件(一二年一〇月二四日)などが発生している。探偵業者―暴力団―名簿業者などが介在して個人情報をカネで売買している実態が浮き彫りとなった。このような構造は、長年にわたって再生産され、しかも巧妙化していくのがパターンである。マイナンバーによって個人情報が集中すればするほど情報「価格」は高額となり、個人情報・名簿マフィアが暗躍することも必至だ。
 さらにこの間の警察権力によるPC遠隔操作冤罪事件が典型的なようにインターネットを通した情報流出となりすましの事件が多発しているにもかかわらず、なんら防御システムが構築されていないのが現状なのだ。そもそも官公庁のホームページでさえ簡単にハッキングされ、改ざんが繰り返されているが、いかに貧弱なセキュリティシステムなのかを実証している。それだけではない。対テロ戦争型弾圧機関である警視庁公安部外事三課の人権侵害に満ちたデッチ上げ「書類」「報告書」等が何者かによってインターネット上に流出(二〇一〇年一〇月二八日)した事件の総括はどうなっているのか。犯人は誰だったのか。結局、未解決のまま警察幹部を処分してもみ消してしまった。
 こんな前歴があるにもかかわらず制度は、数々のハッキング、情報流出事件に対して有効な対策がないままであることにまったく触れず、反省する姿勢さえもない。ようするに反対派が批判してきたように「個人情報の追跡・突合に対する懸念、財産その他の被害への懸念、他人の番号を盗用する『成りすまし』などの不正を阻止することはできない」ままの見切り発車と強行突破の態度に貫かれている。

手前勝手な
「安全神話」
 このように法案は、廃案になった民主党提出案を修正したというが、ほとんど変わらない代物だ。セキュリティーの脆弱性、情報漏えい対策など根本欠陥はなんら解決されていない。財界は、税徴収の強化と社会保障費削減にむけて「飛躍的に効率が良くなる」などと賛美するが、推進派の読売新聞でさえも、「国会審議の焦点は、個人情報をいかに保護するかである。信頼できるシステム構築が肝要だ」(三月六日)などと触れざるをえないのが現在の水準なのである。インターネットを通したハッキングの横行、情報漏えい事件が多発しているなかでプライバシーを守りぬける完璧なシステムの構築は無理なのだ。
 巨額な費用を使い、欠陥に満ちた制度とシステムのまま導入強行を許してはならない。推進派とIT資本の手前勝手な「安全神話」の宣伝・煽動を厳しく批判し、マイナンバー法案に反対していこう。(遠山裕樹)

3.10「原発ゼロ☆大行動」

集会後東電などへ抗議行動

 三月一〇日午後一時から、東京・日比谷野外音楽堂で「原発ゼロ☆大行動」の一環の集会が首都圏反原発連合の主催で開かれた。国会請願デモの後、官邸前、財務省、Jパワー、外務省、文科省、経産省、東京電力に抗議をして、午後五時から国会正門前で大集会を行った。午前一一時から共産党系の労組・大衆団体が参加する原発をなくす全国連絡会が独自集会をし、野音の本集会に参加した。野音は通路までいっぱいになり、入りきれなかった人々が周辺にいるという状況だった。

放射能汚染は
収まっていない
 黙祷をささげた後に、首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフさんが「事故を忘れない。抗議を続ける」と主催者あいさつをした。鈴木かおりさん(NPOいわき市民放射線測定室)は「お茶や魚から放射能が検出されていて、汚染は収まっていない。子どもたちを守るために、毎月五〇人ずつ沖縄の久米島に静養に出している。チェルノブイリから学ばなかったから事故が起きた。福島事故から学び二度と事故を起こしてほしくない」と訴えた。
 さようなら原発一千万人アクションの落合恵子さんが昨日のデモで逮捕者が出たことを報告し、脱原発に向けてがんばるとアピールした。この他、原発をなくす全国連絡会、経産省テントひろば、再稼働反対全国アクション、脱原発世界会議、脱原発をめざす議員連盟、韓国の脱原発団体からのアピールなどが行われた。集会の後、国会に向けてデモ行進を行った。            (M)

3.3 「マーチ・イン・マーチ2013」

日本社会はすでに十分多民族化

差別の中で低賃金、無権利を強制


 三月三日、「マーチ・イン・マーチ2013」が「多民族多文化共生社会へ」とのメインスローガンの下に開かれ、日比谷小音楽堂を会場とするコンサート集会とその後の銀座デモが、この日の午後を通して意気高く続けられた。主催はけんり春闘全国実行委員会とマーチインマーチ2013実行委員会。
 日本社会は、コンビニ弁当製造を始めとする食品加工や機械部品加工などから第一次産業まで、多くの外国人労働者の労働で支えられている。日本社会はすでに十分多民族化している。しかし社会の実際の仕組みはまったくそのようにはなっていない。外国人労働者は、多くの差別の中で低賃金、無権利の状況の中に放置されてきた。その状況に彼らは敢然と立ち上がり声を上げ、自ら労働組合を組織し、団結を広げ闘いをつないできた。非正規労働者の問題を社会に突き出し可視化する闘いの中では、彼らはまさに紛れもないその当事者として、開拓者的役割を果たしてきたとも言える。「マーチ・イン・マーチ」は、それらの闘いにおいて重要な結集点となってきたものの一つ。春闘の只中に外国人労働者の要求を突き出し、外国人労働者の闘いを広く可視化する重要な機会として重ねられてきた。
 その歴史を引き継いだ今年の「マーチ・イン・マーチ」は、より一層外国人労働者の主体性が強められていた。午後一時から始まったコンサート集会では、集会が始まるかなり前から彼ら自身によるリハーサルが丹念に繰り返されていた。そして集会の進行は、極度の緊張のために若干の混乱もあったものの、彼らが選んだ司会の下に全面的にゆだねられた。安倍自公政権の舞い戻りという一定の逆風にも、彼らにたじろぐ様子などはみじんもない。

政府の新たな規制
緩和策を許すな
 数多くの組合旗が立ち並ぶコンサート集会は、けんり春闘全国実行委員会代表の金澤壽代表の主催者あいさつで幕を開けた。金澤さんは、景気回復があったとしても生活破壊が何十年も続いてきたこの間の事実を完全に黙殺する「アベノミクス」礼賛の風潮を厳しく批判した上で、復活した経済財政諮問会議が、六月にもまとめるとされる報告の中で雇用破壊をあらためて進める規制緩和をもくろんでいることに注意を喚起し、この間そうであったように徹底して闘い抜くことで生活破壊をはね返そう、と呼びかけた。
 次いで神奈川シティユニオン、全国一般労働組合東京なんぶ、全統一労働組合、移住労働者と連帯する全国ネットワーク、APFS労働組合、韓国の進歩連帯、ノレの会から、仲間たちが次々とステージに。各々の思いが、歌や踊りとスピーチを交互に挟む形でつなげられた。またこのプログラムの間には、社民党の福島みずほ党首の連帯アピールが紹介された。
 ラテン系の労働者の多い神奈川シティユニオンの仲間たちは、ベンセレモスなどの歌声でいつも闘いを盛り上げてきたが、この日はそれらに加えて「上を向いて歩こう」の替え歌が披露された。外国人だからといって首を切っていいのか、などの痛切な訴えを込めた歌だ。全国一般南部の労働者は、有名企業のベルリッツなどのブラック的実情に対する闘いを報告し、労働組合を強くすることが闘いを勝利に導く、組合を強くしよう、と訴えた。全統一労働組合からは、フィリピン人組合員女性トリオ「三人のマリアたち」がタガログ語で歌う「バヤンコ(わが祖国)」が披露された。米国支配の時代に抵抗歌としてつくられ以後第二の国歌と呼ばれている歌だという。移住連からは、外国人の選別管理を強化する入管法の二〇一五年の見直しに向けた協力が呼びかけられた。APFS労働組合からはエチオピア人組合員が出演、彼らの国の踊りが披露された。ゲストとして登壇した韓国進歩連帯の代表は、等しい権利と平和のために共同しようと呼びかけた。ノレの会の申嘉美さんは在日韓国人として、高校教科書無償化措置から朝鮮学校を外した政府の行為を厳しく批判し、おとなの問題を子どもに押しつけるなと訴えた。

多国籍合唱団が
ステージで熱唱
 これらを締めくくる形で、日比谷メーデーでもおなじみの多国籍合唱団がステージに上がり「ウィーアーザワールド」を熱唱、会場にも唱和を呼びかけた。快調なリズムと心の底からの歌声が響き渡りカラフルな旗と陽気な空気につつまれたこの集会は会場外の興味も引いたらしく、小音楽堂を囲む柵の外には立ち止まり中を覗く人がそこここに現れた。集会最後はブラジルのサンバで盛り上がる予定だった。ところがそれが間に合わない。代表が「ブラジル時間」だ、と会場を笑わせ、プログラムはすぐデモに移ることに変更された。これもおおらかな「マーチ・イン・マーチ」ならでは。
 全体はそんなことは気にも止めず出発点の中幸門に移動、元気一杯のデモに繰り出した。ここにはサンバ隊もしっかり間に合い、真っ赤なドレスと大きな羽根飾りをまとった踊り手を先頭に、速いテンポのサンバのリズムはデモを大いに盛り上げた。傍らでは要求を書き留めたチラシも手渡され、肌寒さを吹き飛ばす勢いが際立ったこのデモは、銀座を行き交う人びとに外国人労働者の存在とその要求を強く訴えた。
         (神谷)


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