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    かけはし2013.年2月4日号

安倍政権に反撃ののろしを
今度はわれわれが巻き返す


1.24

13けんり春闘


 一月二四日午後六時三〇分から全水道会館を会場に、「13けんり春闘発足・学習集会」が開催された。主催は同春闘実行委員会。この日は同実行委員会構成の労働組合も主体となっている行動がいくつか重なっていた。それでも会場には各労組活動家を中心に一〇〇人以上がつめかけ、「復帰」に高ぶりを見せる安倍自公政権に痛打を浴びせようとの決意を浮き上がらせた。

新自由主義推進
復活との対決へ
 集会は第一部を「13けんり春闘発足総会」、第二部を「13けんり春闘勝利! 学習会」とする二部構成の下に定刻通り始まった。
 第一部ではまず、実行委員会共同代表の一人である伊藤彰信全港湾委員長が開会あいさつ。伊藤さんは、安倍に対する人々の支持は盤石ではないと指摘した上で、軍事大国化・改憲、原発巻き返し、大衆収奪のアベノミクスと真っ向から対決する13春闘を実現し、その中から、産業空洞化と非正規化を転換させることを基軸に社会の作り替えをめざす運動につなげていこう、と呼びかけた。
 続いて中岡基明事務局長(全労協事務局長)から議案が提起された。中岡さんはまず、今春闘が「貧困と格差」を押し進めてきた自民党が政権に復帰した最初の春闘であり、ここで反撃の第一歩を記すことが今後のターニングポイントになると強調、性根を据えて全力で闘おうと檄を飛ばした。その上で12春闘の総括点を挙げ、それをも踏まえた今春闘の課題を具体的に提起、次のスローガンに集約した。

?13春闘勝利! 人間らしく生活できる大幅賃金引き上げを!
?東日本大震災被災地の復興に連帯し、「脱原発社会」の実現を! 原発再稼働反対! 大飯を止めろ! 大間をやめろ!
?政府・東電は放射能汚染から避難する権利を保障し、すべての被害者に補償を!
?どこでも誰でも一七万円/月、一二〇〇円/時間の賃金保障を!
?総人件費抑制を許さない! 雇い止め、派遣切り、解雇・リストラ反対!
?長時間労働を規制し、過労死・サービス残業の撲滅を!
?非正規労働者の権利確立、均等待遇を実現せよ!
?人員削減給与引き下げの行政改革反対! 公務員労働者に労働三権を!
?貧困・格差社会反対! セーフティーネットの拡充を!
?消費税増税反対! TPP参加反対!
?憲法改悪反対、オスプレイ配備阻止、集団的自衛権容認反対! 歴史の歪曲反対!
 さらに、代表幹事組合を全労協、全港湾、全造船関東地協、民間中小労組懇談会、大阪ユニオンネットとする組織・体制・財政と共に、第一波の二月一五日東京総行動から第三波の四月九日中央総行動にいたる一連の行動日程が提案された。これらの方針は全体の拍手によって採択され、これをもって13けんり春闘は公式に発足した。
 この発足を受け第一部の最後は、いわば最初の決意表明として、大阪ユニオンネットの垣沼陽輔さんによる大阪の闘いについての特別報告で締めくくられた。そこでは、二月二六日のユニオンネット大阪決起集会、三月一〇日の脱原発関西二万人集会の取り組みが報告され、特に三月一〇日の集会には「原発ゼロの会」からの参加申し出もあるとして、幅広い共同を追求したいと意欲が語られた。また、今メディアを賑わしている桜宮高校の問題にも触れ、教育の荒廃を加速するハシズムとの闘いを一層強化するとの決意も強調された。

民主党からの逆
方向二段階離反
 集会はその後、13けんり春闘最初の行動として、第二部の学習会へと即座に移行。「安倍自公政権の成立と新自由主義政治の新段階」と題された渡辺治一橋大学名誉教授の講演だ。そこでは、四ページにわたるレジュメと計一二ページの詳細な資料を基に約八〇分、標題の趣旨が切れ味鋭く論じられた。論題は、容易ならざる闘いが控えていることをまざまざと実感している参加者の問題意識ときっちりかみ合うものであり、会場は真剣に聞き入る参加者の緊張感で包まれた。
 講演は昨年一二月総選挙の分析から始まった。渡辺さんはそこで、選挙結果がわれわれに何を示しているかという問題についての彼の観点を、二〇〇一年から今回までの一連の国政選挙における各政党の得票数、得票率の動きと照らし合わせながら提示した。
 強調点は四点であり、その第一は民主党票激減の意味。渡辺さんは、世界の支配階級は欧米共通に、二党体制を保持しつつ、新自由主義への民衆の敵意を時の政権党に代わる代わる吸収させつつ、新自由主義そのものは変わることなく貫徹させるという形を取ってきたとし、新自由主義の安定した推進のためには支配階級にとってそのような保守二党体制がもっとも好ましいと見る。その観点から見て民主党は元々、そのような支配層の思惑の下に、新自由主義の実効化を自民党と競い合う政党として出発したという。
 しかしその民主党が二〇〇五年の大敗北後、新自由主義の矛盾の露呈、さらに民衆的抵抗の運動が次々と現れるという圧力の中で、支配層の思惑からいわば「逸脱」した。そしてそれが二〇〇九年の民主党大勝をもたらした。ところが民主党は政権についた途端、財界とアメリカからの猛烈な圧力を前に先祖返りし、今回の二〇〇〇万票以上という激減を招いた。そこには、二〇一〇年参院選における反構造改革票の離反、今回のそれに加えた、結党以来の中核的支持層である構造改革推進票の離反という二段階がある。これが渡辺さんの見方だ。

課題毎の連携で
保守総がかり
 他方で自民党はどうか。自民党自身が自覚しているように、自民党は支持を回復したわけではない。しかし自民党は少なくとも支持の下げ止まりには成功したのであり、それが重要だと渡辺さんは見る。そして渡辺さんは、その支持低落食い止めの理由として、自民党が、新自由主義推進に関して、小泉流の急進路線から漸進路線に切り替えたことを挙げた。その切り替えはすでに福田、麻生の下で始められていたものであり、それが自民党の支持回復につながらなかったと同じく、今も特に地方を中心に新自由主義政治に対する不信は続いている。それが今回の選挙結果にも表れた。その意味で自民党への政治的信任は今なおない。
 それ故今、財政出動をテコとした、湯水のような地方への手当が打ち出されている。そしてこれ自身が、急進路線からの転換の一部となっている。これに加えて渡辺さんは、自民党は、TPP、原発、消費税などすべてをあいまいにして、つまり明示的な政策路線への一定の民衆的糾合を回避して今回の選挙を乗り切ったと指摘し、それらをまとめれば、自民党の政治力が増大したわけではないと主張した。
 強調点の三点目は、保守二党制が弱体化したということだ。自民党と民主党の比例区合計得票率が、ここ一〇年の七〇%前後から、今回四四%まで激減していることが指摘された。新自由主義推進のための政治的安定性は危機に入った、これが渡辺さんの診断だ。
 一方で保守総体のシェアは、とりあえず未来をそこから除いたとして、八五%に達した。この現実を救いとして、新自由主義政治の推進は、政権維持の不安定性を内包しつつも、課題毎の連携を使い分けつつ保守総掛かりでの強行がめざされる、今後を渡辺さんはこう見通した。今回渡辺さんが明言したわけではないが、渡辺さんの分析には、先のような展開には当然、予定調和を許さない不確実性が常につきまとう、ということが含意されるだろう。
 その上で維新の会に託された役割が四点目の問題。この点に関して渡辺さんは、保守二党体制の弱体化をあくまで保守総体の枠内にとどめる受け皿として提示した。現実に今回、維新の存在によって総保守八五%が実現している。さらに、維新がある種の暴論を打ち出すことによって、メディアによる右にシフトした論調設定を容易にし、自民党、民主党があたかもまともであるかのように見せかける役割を果たしていることも指摘された。

新しい経験基礎
に国民的抵抗へ
 さてそこで、労働運動、左翼にとって最も重大な問題に突き当たる。脱原発はむろんとして、新自由主義への抵抗感においても、相当の国民をとらえている方向感覚が政治の力としてなぜ現れないのか、という問題だ。渡辺さんはこの問題に関し、レジュメでは四点を挙げている。しかし時間の制約もあったと思われるが、十分に論じられたとは言えずその点が残念だった。また挙げられた四点も、記述の限りでは現象の指摘にとどまっていたように見える。もっともこの問題は、労働運動並びに左翼勢力が自らの再生をかけて、実践と付き合わせつつ各々が突き詰めるべき問題として残されている、と言うべきかもしれない。
 しかし上記の問題は残っているとしても、安倍政権の下で保守総掛かりによる新自由主義政治の貫徹は確実に追求される。渡辺さんはその内容について、消費税増税と社会保障構造改革、原発再稼働とTPP交渉参加、日米同盟強化と集団自衛権容認、改憲への踏みだしを個々に確認した上で、それらに対する闘いの方向を以下のように提起した。
 すなわち、安倍政権の狙うものが新自由主義を経験した労働者民衆を前に置かざるを得ないものであること、そしてその経験の中には、いくつもの新しい運動と新しい共同の積み重ねが含まれているということをしっかり確認し、それを基礎に大きな国民運動への発展を追求すべき、という提起だ。そしてそれらの運動や共同をいくつか取り上げつつ、実績を裏付けとして特に、地域を組織すること、新しい社会層並びに良心的な保守層の糾合が重要と力説し、労働組合の役割をそれらのちょうつがいと位置づけた上で、13春闘を含めた奮起を呼びかけ講演を締めくくった。
 さまざまな評価を含め、そこからさらに考えを深めるべき論点がちりばめられたこの講演を受け、民間中小労組懇談会の田宮高紀さんから、覚悟を決めて安倍政権と対決する13春闘を闘い抜き、国民運動への発展をめざそうと、まとめが提起された。そして集会参加者は団結ガンバロウの三唱をもって、13けんり春闘の開始を確認した。 (神谷)

 

1.19JAL不当解雇撤回銀座デモ

人も安全も切り捨て
る社会にはさせない

 一月一九日、前日までの寒気が幾分和らいだことも手伝って賑わいを見せたJR有楽町駅前広場、銀座に、「日航は不当解雇を撤回せよ」の叫びがこだました。 この日は、二年前の大晦日に日本航空から整理解雇通告された乗員、客室乗務員一六五人が原告団を結成し、東京地裁に解雇無効を訴え提訴してから二年目に入る日、同時に、日本航空が破綻し会社更生法下での再建手続きが始まった日の三年目にも当たっていた。まさにその日を期してJR有楽町駅前宣伝・銀座デモが、JAL不当解雇撤回裁判原告団から呼びかけられたのだ。そしてこの呼びかけは、数多くの労組、労働者が駆けつける力強い行動として応えられた。
 第一段の有楽町駅前宣伝は午後一時三〇分から始まった。横断幕がいくつも広げられ、さまざまな労組の旗が並び翻る中、支援の労働者が広場のあちこちに散開、宣伝カーから訴えが響くのに合わせて、行き交う人々に解雇撤回への支援を呼びかけるチラシが手渡され、署名が呼びかけられた。
 宣伝カーからは、日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘・津惠事務局長、岩崎全労連常任幹事、星野大田区労協議長、南部法律事務所の竹村弁護士の四人が支援の訴えを行った。各々、日本航空が強行した解雇が、経営破綻には何の責任もない労働者に一方的に犠牲を押しつけた上に、職場で臆せずモノを言う労働者を追い出すだけのまったく不当なものであること、それが結果として航空の安全に重大な危険を招くものであること、現に不安を感じた労働者の大量流出を引き起こし通常運行にも支障を作り出していることなどを具体的に指弾した。
 目下大きな問題になっている新型機B787についても取り上げられ、全日空機の緊急着陸が示すように安全の最後の砦が乗員にあることも指摘された。そして、このような理不尽な解雇を追認した東京地裁の不当判決を厳しく批判し、経営側の手前勝手なリストラや非正規化の横行をはね返す一里塚として、多くの人々の力でこの解雇を必ず撤回させようと呼びかけられた。

労働組合弾圧
は安全の破壊
 客室乗務員原告団の決意表明に続いて、訴えの最後は山口宏弥乗員原告団長から行われた。山口さんは、「ハドソン川の奇跡」で乗客の命を救った機長が五七才のベテラン、客室乗務員も高齢のベテランだったという事実から切り出した。そして、ところが今日航にはそのようなベテラン機長もベテラン客室乗務員もいないとして、経験豊かな、それ故に安全や運行の問題にも常日頃口うるさくモノを言う乗員、客室乗務員を年齢で一律に切り捨てた今回の日航再建がはらむ問題を具体的に浮かび上がらせた。
 さらに、労働組合のない航空会社では実際はある運行トラブルさえも表に出てこないことを明らかにし、労働者の権利が守られることの重要性が強調された。またB787問題にも触れ、ボーイングはアメリカのメーカーなのに当のアメリカの航空会社はまだ六機しか導入していないにもかかわらず日本では二四機も飛ばしていると、運行コストの低さが売りものの新型機に飛びつく日本の航空会社の利益偏重傾向に警鐘を鳴らした。
 そしてこのような安全軽視を払拭するために、また乱暴な解雇の社会的横行に釘を刺すためにも、モノを言う労働者の排除を許すわけにはいかない、勝つまで闘う、と力強く決意表明した。この決意表明に支援の労働者は大きな拍手で応え第一段の駅前宣伝はひとまず終了。全体は次の銀座デモのため水谷橋公園へと移動した。なおこの駅前宣伝には一一〇人が参加と発表された。
 第二段の銀座デモは午後三時一〇分出発。解散地点の日比谷公園中幸門に向け進む隊列は「日航は不当解雇を撤回せよ」「B787の安全を確立せよ」「労働者の尊厳を大切にせよ」などのシュプレヒコールを唱和しつつ、ごった返す沿道に不当解雇撤回の訴えを届けた。林立するJAL原告団の黄色い桃太郎旗を先頭に多くの労働組合旗、数多くのデコレーションを押し立てたデモはかなり目立つものだったらしく注目を集め、沿道には外国人を含めカメラを向ける姿もあちこちに見受けられた。
 解散地点でデモ参加人数は一四〇人と発表された。しかしこの日の行動の特徴は、参加人数よりも参加労組の数が従来よりはるかに数を増したこと。この成果を力に変え大きな運動へとつなげることが求められる。さらに、利益確保のために労働者に犠牲を押しつける経営を当然視する風潮を押しつぶす闘いを一体的に大きく発展させよう。なお東京高裁の第二回弁論は、乗員二月七日、客室乗務員三月一日と予定されている。      (神谷)

 


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