もどる

    かけはし2013.年1月28日号

「君が代」不起立処分撤回を


1.19教育破壊のハシズムとの闘いだ!

人事委不服申立者支援の集い

権威への服従強制認めるな

 【大阪】一月一九日、「君が代」不起立処分撤回!人事委不服申立者を支援する集いが大阪国労会館で開かれ、一二〇人が参加した。この集会は、「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪とグルーZAZA(「君が代」不起立処分大阪府人事委員会不服申立当該七人)が主催したもので、不服申立者を支援するグループ七団体が協賛している。
集会は、ホットライン事務局員の伊賀さんの司会で始められ、まず主催者を代表して、黒田伊彦さん(ホットライン事務局代表)が、この集会はハシズムに対する闘いの中でもたれているとあいさつした。
 黒田さんは、「二〇〇九年九月の大阪高裁判決は『君が代』を斉唱しない自由も尊重されるべきだとの見解を付け加えた。昨年一月の最高裁判決ですら、学校に『日の丸・君が代』を持ち込むことには抑制的でなければならないと述べている。ところが、今回の処分では、卒入学式の進行に何ら支障のない不起立を戒告処分とし、また豊中市立学校での処分では、斉唱前の発言を式の厳粛性を壊すと処分理由に入れている。そのようにして現場は天皇制を押しつけられてきた。安倍首相は教育長をトップとした教育委員会に変え、文科省は学校を兵舎のようにしようとしている」と批判した。

最高裁判決は
「逃げの論理」
寺本勉さん(ホットライン大阪事務局)が経過報告。「当該七人のうち、一人が三月九日(全体では、府立高校一七人)、五人が三月二七日(全体では、府立高校一〇人、府立支援学校二人、市町村立学校三人)、一名は四月一九日(全体では府立高校二人)にそれぞれ戒告処分を受けた。また、二人に対しては再任用取り消しや更新拒否の処分が出された。今年の卒・入学式に向けて、大阪府教委は府立学校教職員全員に起立斉唱を命じた昨年一月の府教育長通達が活きているという見解をとっている。高槻市では昨年までの大阪市に次いで、ピアノ伴奏をせよとの指示が出ている。人事委員会の公開審理はまだ始まっていないが、やがて本人尋問や証拠調べが始まる」として支援を訴えた。
一九人の弁護団を代表して冠木克彦弁護士が発言。猿払判決(一九六八年、政治活動に対し国家公務員法適用めぐる訴訟)や、「ピアノ伴奏」についての最高裁判決(二〇〇七年二月)の論理構造を説明した。思想信条の自由・良心の自由が問われている訴訟であるのに、そのことには直接触れずバイパスを用いる、これが最高裁のやり方。下級審ではこれに追随する判決が次々出ている。
 つまり、「ピアノ伴奏は儀式で広く行われており、音楽専科の教員には通常期待されていることであり、特定の思想の強制にはならない。職務命令は伴奏教員の歴史観を否定するものではない」という論理で、合理的で必要上やむを得ない範囲という基準を使う。直接思想信条が問われれば、厳密な審査が必要になる。今回の処分事案は、最後は最高裁まで行くだろう。そのとき、バイパスを使わせない、問われているのは儀式ではなく「君が代」斉唱であることを明らかにさせる。
 「一一年から一二年にかけて出た最高裁判決はすべて小法廷のもの。だからまだ余地がある。天皇主権を強制させてはならない」と今後の争点になる点を解説した。

7人の申立人
からの発言
 このあと、申立人七人から発言があった。ここではA?Fとしておく。
Aさん:当日は休みだったので休暇を取らずに校門前でビラマキをしてから、式場に入った。当日の卒業式の役割は当たっていなかった。処分理由には勤務実績不良も入っているが、具体的には何か、思いつかない。再任用更新は拒否された。その後、学校から講師をしてほしいとの依頼があり、その手続きをした。ところが、戒告被処分者はダメだと断られた。どこまでも排除するという府教委の強い意志を感じた。
 Bさん:校長は、私が式ではいつも座っていることを知っていたが、学年主任を頼まれた。卒業式の前でも、起立してほしいとは言われなかった。予行の時、自分は起てないと生徒には伝えた。その後、職務命令書を渡された。式の当日は、静かに座った。正面に維新の会の府会議員がいて、来賓のあいさつで「ルールを守らない教師がいてすみません」と発言。ブログに「残念な卒業式」と書いた。保護者や卒業生から抗議のメールが殺到した。
 Cさん:自分はクリスチャンでもあるが、表現の自由・良心の自由にてらし、間違ったことはしていない。人事委員会でもそのことを主張していきたい。「君が代」は、歌詞と歴史に問題がある。処分をしてまで強制することは許せない。それは体罰だ。支援学校で起立斉唱するということは、生徒にもそれを説得することが求められる。ところが生徒は、高校とは違い自立した行動がとりにくい。卒業式では不起立した。新入生の担任になったので、入学式では起立できないが、式には参加させてほしいといった。
 しかし、当日は受付にまわされた。担任する新入生との写真にも入れてもらえなかった。私学連会長が私学各校(ミッションスクール含む)に、式での起立斉唱を依頼する文書を出したとき、九月府議会で維新の会の議員が「『君が代』を実施していない学校には補助金をカットすべきだ」と府教委に要求したことばを付け加えた。
 Dさん:教育実習の時に指導教官から指摘されたことが頭に残っていて、卒業式で発言した。しかし、式は何の問題もなく進行した。厳粛な式であらねばならないのはおかしい。式は最後の授業だ。職務命令は出ていなかった。だだ、職員会議で式の原案を審議するとき、校長は何度も自分の考えを強調した。最近、アイヌの人に学校にきてもらって話を聞いている。その話に触発された。大阪大学の人間科学科にはアイヌの人骨が動物の骨と並べて陳列されており、アイヌの人たちは返還を要求している。
 Eさん:式では今まで生徒に言ってきたことを裏切れないと、静かに座った。処分理由には、公務員の信用失墜行為がある。生徒に考える余地を与えないやり方、これは差別だ。世の中をよくしていく方向で頑張る。
 Fさん:市教委は四人だけに職務命令を出したが、式では静かに座った。再任用は取り消された。府教委の事情聴取に出なかったこともあるが、処分理由には、教員としての適格生に欠ける、公務員の信用失墜行為などが並べられている。
 Gさん:生徒からは、起立したらいいやん、と言われた。不起立することの意味についてもやもやしたものがあった。これまでも不起立だったが、今度の不起立には「君が代」起立斉唱条例ができたことへの抵抗がある。
 学習会講師の憲法学者に「市民には不服従の権利がある。そうすることで、法律は変わっていく」と言われ、目からウロコが取れた。劣悪な労働現場にいる若者はもっと声を上げろと言ったが、NPOの人に学校にきてもらって話を聞いたとき、声を上げろなんてとんでもない、ちょっと不満を言うぐらいのものです、と言われた。社会を変えるには、たくさんの声が必要だ、ということを生徒にもわかってもらえるように努力したい。


東京の被処分者
からもアピール
続いて、東京で不起立を続けている田中聡史さんが発言した。
 二〇〇三年に東京都教委が一〇・二三通達を出した頃は一緒に起立していた。しかし何か抵抗しなければと、職場新聞を出し、予防訴訟の原告になった。〇六年九月予防訴訟の難波判決が出て、処分は違憲との判断が出たが、その後の〇七年三月の卒業式予行で起立し、本番では年休を取った。そのことが自分の負い目になった。それで、これからは起たないと決めた。
 前任の支援学校では座ったが、大規模校だったので目立たなかった。その後、根津さんが転勤してきた。入学式では二人で不起立した。しかし、管理職は根津さんだけを現認した。自分も不起立だったから処分してほしいと都教委にもファックスを送ったが無視された。その後三回連続で処分されている。処分されて、かえってすっきりした。
 都教委はこれから再発防止研修を強化するという。私は、研修センターで三回、学校に訪問した都教委に三回、校長から職場で一二回研修を受けた。これからも続ければ分限処分もあるかなと思うが、非転向を宣言した。その後研修はされていない。「日の丸・君が代」をはずした人権教育は貧しいと思う。都知事選では、猪瀬が総投票数の三分の二という大量票をとったが、二位の宇都宮さんの得票数九六万票はひとつの希望だ。

「強制反対」の
闘い広げよう
この後、各支援グループからの発言が続き、大阪市入れ墨調査を拒否して処分された津々木さん、東京から駆けつけた永井さん、青木さん、愛知の小野さんからのあいさつがあった。
 集会最後に、井前さん(ホットライン事務局)が、教育振興計画についてのパブリックコメントの提出、府教委交渉および大阪市教委交渉、府下一斉ビラマキ、二月一一日の全国集会への参加を呼びかけ、閉会した。
 ホットライン大阪はこの集会に先立って、一月一八日、大阪府教委に処分撤回の申し入れ行動をおこなった。府庁別館前に約四〇人が集まり、府教委担当者に四三七八筆の処分撤回要求署名を手渡した。署名手交に前後しておこなわれた府庁別館前での集会では、不服申立者や東京からの参加者の他に、君が代強制反対キリスト者の集い大阪実行委の代表も発言、抗議書を府教委に提出した。 
(T・T)

 12.23反天皇制運動連絡会が集会

「戦後『象徴天皇制』国家の
真実を問う」多角的論議

 一二月二三日の「天皇誕生日」に、反天皇制運動連絡会が主催した集会「戦後『象徴天皇制』国家の正体」が東京・西早稲田の日本キリスト教会館で開催された。集会のタイトルは、現在二〇万部を超えるベストセラーになっている元外務省国際情報局長・孫崎享の著書『戦後史の正体』(創元社)をもじったもの。この集会は、戦後史全体を「米国の圧力」「対米従属」の観点から切る彼の主張が多くの読者を獲得する時代状況をどう見るか、という観点から企画された。

自民党「政権
公約」の特徴
 集会での問題提起は、武藤一羊さん(ピープルズ・プラン研究所)、佐藤泉さん(青山学院大教員/日本文学)、天野恵一さん(反天皇制運動連絡会)の三人。
 武藤さんは総選挙で圧勝し政権復帰を果たした安倍・自民党の「政権公約」を、世界に対して徹底して「内向き・自己中心的」に対応するものでしかない、と批判し、その典型が「自虐史観教科書」の書き換え、立憲主義を放棄し、人権条項を削除し、国家主義に貫かれた改憲案に現れている、と指摘した。そしてこうした国家そのものを変えていく原理総体との対決が必要だと強調した。
 武藤さんは、彼の持論である「戦後国家の三つの原理」(@米国と結びつくことで延命するA憲法の平和主義と民主主義B天皇制の継承原理)を改めて紹介しながら、教科書問題とは教育の問題ではなく「日本国家のアイデンティティー」をめぐる主張であり、一九九五年の「戦後五〇年」にあたり、村山首相談話に対抗して自民党の「歴史検討委員会」が打ちだした「米国を経由しない戦争総括」を再び持ちだしたものだが、それはきわめて脆弱なものに過ぎない、と批判した。そしてTPP、沖縄、原発という向こうの側が戦略的次元で出していることに対抗するまとまったビジョンの提起を訴えた。

孫崎の著書が
切り捨てたもの
 佐藤さんは、総選挙について対抗的ではないものをあたかも対抗的であるかのように押し出すニセの「第三極」という表象を批判するとともに、孫崎本も「反米か親米か」という対立軸を保守支配層の間でまとめてしまい、他の問題を見えなくさせてしまっている、大衆運動がどこかに消えてしまった、と語り、「ニセの対立軸によって見えなくなるものを見えるようにしたい」と語った。
 さらに佐藤さんは夏目漱石の『現代日本の開化』が「外発的/内発的」という対抗軸を立て、『それから』が「日本と西洋の関係」で問題を設定することにより日本以外の東洋を不可視化したと批判。さらに一九七八年の「無条件降伏論争」においてリベラル派の「無条件降伏」論が「戦前国家からの切断」を強調することにより、天皇の戦争責任があいまいにされたことを隠ぺいし、江藤淳ら保守派の「有条件国体護持論」が占領軍と昭和天皇の利害の一致によって天皇免責・戦後天皇制が成立したことを隠ぺいした、と批判。「革新」VS「保守」、「戦後民主主義」VS「戦前志向ナショナリズム」という二分法で「左派反米の伝統」が見えなくさせられた、と語った。
 佐藤さんは、親米か反米かを保守政治を軸にからめ取る孫崎の手法ではなく、原発・沖縄など重要な政策課題において、抵抗運動こそが「アメリカの影」を可視化してきたことを強調した。


戦前と戦後の
連続不連続
 天野さんは、米中のG2時代に合理的に対応しようとした政治が「日米同盟」によって粉砕されたものとして民主党・鳩山政権を捉え、その後の民主党政権の「日米同盟強化」への暴走をその観点から見る必要性を語った。さらに天野さんは憲法学の権威であった宮沢俊義の「八月革命」論による「戦後国家」と「戦前国家」の不連続説を批判し、「連続説」のところで問題を立てて「天皇が存在し続ける戦後国家の責任を問う」という視覚で闘ってきた、と語った。
 フロアから伊藤晃さん(日本近代史)は、「孫崎氏の著書には『対米自主』『対米追随』という区別だてがなされているが、『日本の国民全体が共通の国益を持つ』という前提がそこに貫かれている。私たちは世界の民衆への責任を果たすというアプローチが必要だ」と訴えた。     (K)


もどる

Back