安全・健康・賃金の保障を
原発事故―そこにあるの
はむき出しの階級矛盾だ |
除染労働者
からピンハネ
先日結成された「被ばく労働を考えるネットワーク」を通じて、私たち全国一般の地域労組、ふくしま連帯労組といわき自由労組に除染労働者から多くの相談が寄せられ始めている。
環境省は、除染特別地域での除染作業に、日当に加えて特殊勤務手当一日一万円を直接除染労働者に支給することを決定した。元請けのゼネコンは、この手当をもピンハネすることを考え、日当+特殊勤務手当の偽の雇用契約書を作り、賃金台帳も偽造する。しかも、当然ピンハネした分は収益に計上できない裏金となる。
しかし、特殊勤務手当が出ているのは多くの除染労働者が分かっている。支給しないけど支給したことにする雇用契約書にサインしろと言われたら当然おかしいと言うことになる。
組合が団交要求書を出した瞬間に、会社側は組合員だけに対象を限り、偽造雇用契約書通りの賃金を支給する態度を示すが、最低賃金の日当は除染特別地域だけであり、特殊勤務手当の出ない他の地域ではその倍の日当で働いている。最低賃金に日当を引き下げることによって、その差額をピンハネしているのだ。これは、「日当を最低賃金に引き下げても違法ではない」と環境省も黙認する合法ピンハネになっている。
雇用契約書や賃金台帳の偽造には別の理由もある。環境省は多重下請け構造の改善を求めている。そのために、実際はさらに下の下請け業者からの違法派遣にもかかわらず、二次下請けまでの会社で直接雇っているように偽装する。違法派遣された労働者に派遣元の雇用契約書はなく、すべて労働基準法違反の口頭での雇用契約である。最大で三カ月待たされる賃金に明細はなく、手渡しだ。後に証拠を残さないためだ。
隠蔽された多重下請け構造の中で、高線量地域で放射能を舞い上がらせる作業をしているにもかかわらず、防塵マスク、ゴーグル、手袋、防護服、作業服さえ支給されない。死亡事故の労災隠しの噂もある。安全衛生管理は劣悪だ。工事期間中だけの雇用であり、社会保険への加入もない除染労働者は、全くの無権利状態だ。
除染労働者は、野宿者や出稼ぎ労働者であり、派遣労働者であり、失業者であり、障碍者だ。彼らを駆り立てているのは多くがヤクザの偽装NPOや舎弟企業だ。暴力的報復を恐れ不満を声に出せないでいる労働者も多い。組合で団交要求して表に出ている労働者は、すでに工期が終わり解雇や退職している人たちや、地元出身の家のある労働者たちだ。多くがタコ部屋の、宿舎に入っている出稼ぎ者は、宿舎を追い出すという報復を恐れ表に出れないでいる。
収束作業労働者
が置かれた現実
福島第一原発の収束作業労働者の相談も持ち込まれている。
東京電力は、その一次下請けに、傘下の二次下請けの労働者からの相談窓口への苦情告発を受け、二次下請けを切るように指示した。請負契約を更新しないと一次下請けから通告された二次下請けは収束作業から撤退することを決め、全労働者に解雇を通告した。理不尽な下請け切りを、労働者が理解できるはずもなく、労働組合に加入し闘う労働者が出てくることになる。
しかし東京電力は、組合に加入し団体交渉を要求するような労働者を出した二次下請けの元労働者たち全員の再就職活動を妨害し、二度と収束作業現場へ戻ることのないよう下請け各社に指示した。その東京電力の傲慢ぶりは恐ろしいほどだ。
収束作業をしている東京電力社員の家族からの相談も来ている。「避難している娘が父親がいないことで精神的に不安定になり、東電を辞めることを決意したが、東電は辞めさせてくれない」というものだった。
効果が疑わしい除染作業も、福島第一原発での収束作業も、被ばく労働がなければできない。「放射能から子どもたちを守れ」という市民運動的スローガンには違和感を持っている。放射能から子どもたちを疎開させても、子どもたちの家族を含めた生活環境を守らなければ、本当に子どもたちを守ったことにはならない。被ばくにさらされる父親を守らなければ子どもたちを守ったことにはならない。
労働運動に
集中的支援を
いわき市の小名浜港には日雇い労働者がいる。小名浜港は津波の直撃を受け、荷役作業が八月までの五カ月間完全にストップした。雇用保険がない日雇い労働者はただちに生活に困窮することになった。何人かは福島第一原発の収束作業員となり、港の復旧とともに再会した彼らは、緊急の上限を大きく超える被ばくをしていた。三・一一は、労働者にとっては失業こそが最大の災害だった。
原発事故は階級問題だ。原発事故を環境問題として、「非政治的」脱原発を主張することに何の意味があるのか? 原発事故の損害賠償は、ブルジョア法理に基づいた仲間たちへの賠償であり、持たざるものへの賠償は県民や市民といった非階級的枠組みでの雀の涙でしかない。
原発事故は、帝国主義の環境略奪そのものだ。かつては植民地に対して、そして三里塚にしたのと同様に、福島県双葉郡を略奪し、住民を根こそぎ追放しパレスチナのように難民にした。
目の前の剥き出しの階級矛盾と向き合わないで社会主義はかたれない。脱原発は、効果が疑わしい除染も、収束も、廃炉も、労働者国家による国家管理によってしか実現されない。「かけはし」の「万国の労働者団結せよ」は今こそ実践されなければならない。震災直後のように、労働運動に人・もの・カネの集中を!
(いわき自由労働組合 書記長 桂武)
12・15〜17原子力安全に関する福島閣僚会議
原子力推進機関IAEAの
責任追及し連日の抗議行動
【福島】一二月一五〜一七日、日本政府と国際原子力機関IAEAの共催により「原子力安全に関する福島閣僚会議」が郡山市のビッグパレットふくしまで開かれた。世界中の原子力開発と原発推進に多大な影響を及ぼすIAEAのこの動きに対して一二月一四日から一七日まで様々な団体による対抗アクションが取り組まれた。
一四日昼の原発いらない福島の女たちなどによる県庁での対福島県アピール行動、一四日夜に脱原発福島ネットワークとハイロアクション共催の広瀬隆講演会、一五日の福島・アクション・プロジェクトなどによる、IAEAへの申し入れ行動、同日午後の脱原発首長会議、一六日には福島アクション・プロジェクトによる市民会議・パネルディスカッション、一七日にはFOEジャパン等による共同記者会見が行われた。
(N)
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