かけはし重要記事

frame01b.html

もどる

地域に犠牲を押しつける場当たり航空行政を打ち破るために!                                  かけはし2002.12.9号より

環境破壊、人権破壊、財政破壊の空港はいらない

静岡で反空港全国集会

 【静岡】十一月二十三日、静岡市労政会館で「反空港全国集会inしずおか」が開催され、全国各地から約百八十人が参加した。ムダな公共事業の典型である地方空港建設に反対する全国的な闘いが広がる中、昨年関西空港に反対する地元の呼びかけで反空港全国連絡会が結成され、今年は静岡において、神戸、関西、中部、羽田、成田、新石垣の各空港計画に反対する団体と地元静岡の市民、住民団体が合流して開催された。各地の闘いの共通性とともに、航空行政がいかに場当り主義でデタラメであり、当該地域にどれほど深刻な犠牲を押しつけているかを浮き彫りにするものとなった。
 集会は、空港はいらない静岡県民の会(以下県民の会)共同代表佐野慶子静岡市議の司会で始まった。最初に、県民の会共同代表の島野房巳さんが、静岡に空港は絶対に作らせないという力強い基調報告を行った(別掲)。社民党の原よう子衆院議員と民主党の細野豪志衆院議員が特別報告を行った。
 原さんは「高校生の時に沼津で空港反対の署名をしたことがある」と語り、衆院の国土交通政策委員会で二度にわたって静岡空港問題について扇大臣にただしたこと報告した。
 「第一に、ズサンな設置許可の問題がある。用地の一〇〇%取得と許可条件にあるが一〇〇%になっていない。第二に、需要予測の問題。各省によって変わってしまう。こんなにいいかげんでいいのか。あまりにカネがかかりすぎて、国は新規の空港建設は中止すると発表している。国は『静岡空港の問題は、最後は静岡の問題だ』となっている。静岡の合意形成は住民投票を県知事が約束を破ることによってできないでいる。『勇気ある市民として抵抗したい。国会でも中止を求めてがんばりたい』」。
 続いて、空港設置許可取り消しなど二件の裁判について、空港反対訴訟弁護団の藤森克美弁護士は「上告中の二件のうち、行政訴訟に新しい見解を持つ人が最高裁の判事になったので『ひょっとして担当判事になって原告有利の判決』があるかも知れない」と言って会場をわかせた。

全国から7つの空港反対運動が結集

 ひき続き、全国から参加した仲間による報告があった。
 神戸空港問題について、恩田怜さん(神戸市議)は「阪神震災の直後、だれもがこれで空港は止まると思った。しかし、全く逆で市長も議会も何が何でもつくる方針を推進した。それと真っ向から対決し、直接請求、市長選、リコールとできることは何でもやって現在に至っている。いまでも、世論調査で七割が反対している。新幹線の新神戸駅の乗降客が四百万人余りだが、神戸空港は三百四十万人の需要を見込んでいる。こんなことはありえない。財政も市民税の六割を借金返済にあてざるをえないような破綻状況だ」と報告した。
 沖縄の新石垣空港について、生島融さん(八重山・白保の海を守る会)は「一九七九年に計画が策定されて、二十四年になるがまだ着工されていない。当初、サンゴの海を埋め立てる案だったが、反対運動の結果九二年に断念し、カラ岳陸上案になっている。しかし、この案もすぐ下が海であり、サンゴを壊滅させかねない。04年着工を阻止するためにトラスト運動を行っているから協力を」と述べ、スライド上映で白保の海の豊かさを紹介しながら報告した。
 羽田空港について、今井秀夫さん(羽田空港を監視する会)は「六〇年代後半から、ジェット機化が進み、深刻な騒音被害が起きた。激しい反対運動がおき、沖合い移転が決まった。滑走路は移転したが逆戻りの動きが始まっている。二十四時間運航、便数の増大、内陸飛行を行うなどだ。羽田国際化や滑走路の再拡張が空港建設利権家によって画策されている」と指摘した。
 成田空港については、最初に東峰のひどい現実を知ってもらうために、「着陸不可」のビデオを上映した。そのすさまじさに、会場からは「ため息」がもれ、「静岡空港ができれば、飛行コース直下の吉田町の市街地がまさにビデオのとおりになる」と参加者の声が聞けた。
 柳川秀夫さん(三里塚芝山連合空港反対同盟)は「騒音はものすごくひどい。さらに直下の島村さんの家の瓦が振動で何枚も落ちる被害や竜巻が起きている。暮らし続けるのが困難なひどい状況を作っている」と空港公団を批判し、さらに「三里塚の闘いの教訓が参考になればと思っている。開発や経済効率優先をどう考えるか。世の中の仕組みが間違っているのだから、NOと言い、最後のひとりになっても闘う」と固い決意を述べた。
 関西空港について。阿部陽一さん(泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会)は「地盤沈下問題や二期工事に一兆五千六百億円もかかる予定になっている。不況で減便が続いているのに、それでも二期工事を進めるというが、経済団体さえ、ちょっと待てと言うくらい展望がない。神戸・伊丹・関空が空中分解する状況にある」と語り、国の政策の無理、矛盾を指摘した。
 中部国際空港について。村上誠治さん(中部国際空港建設見直しを考えるネット)は「05年に予定されている愛知借金万博と中部国際空港は関西新空港の失敗をそのまま引き継いだムダな空港の典型だ。民間と自衛隊が共用している現名古屋空港は国内便にするとされているが需要予測が落ちる中で、自衛隊の専用空港にしようという動きもある」と指摘して、「いま闘わなければ、この先には、どんな闘いもない」と断言した。
 最後に地元静岡から、松本吉彦さん(空港に反対する地権者住民の会)が、「榛原町で農業をやっている。地元を無視し、豊かな自然を破壊し、営々と築いてきた農業を捨てることになる空港建設は絶対に認めない。そういう思いで十五年闘ってきた。共有地権者の拡大を全国に呼びかけ二百七十人になった。工事は着工されたが全部で十八ヘクタールの土地が買収できていない。空港を絶対に作らせない」と決意を語った。
 静岡空港の来年度予算編成に絡んで国交省が補助金の大幅削減ないし打ち切りもあり得るという状況にある中、国交省財務省交渉の緊急の訴えが行われた(詳細次号)。集会の集約として、静岡空港に関する特別決議、集会宣言を確認した。
 反空港全国集会の第一部で空港問題の全国的性格と深刻な状況が明らかにされたが、これらの個々の課題・闘いをまず闘いぬきながら、共通性を新たなレベルで共有できるよう、全国連絡会の次の課題も提起されたと言うことができるだろう。百八十人の参加と全国各地の報告は、空港計画をつぶして勝利する可能性の大きい静岡の闘いが全国と結合して、土地収用を絶対に許さず闘いぬく新たな意思を共有、確認するものとなった。
 この後の交流会で、太田川ダム反対運動、浜岡原発反対運動の代表から連帯のあいさつがあった。次回の反空港全国集会は成田、羽田、新石垣の闘いを全国的に共有する首都圏での開催を確認した。
 翌二十四日、各地の参加者を中心に約四十人が静岡空港現地視察を行った。地権者の土地や共有地が滑走路のど真ん中にあり、絶対に阻止できる確信を持った。視察の後、地元反対地権者は家族ぐるみで、トン汁などを用意して振る舞ってくれたが、このような席での交流が互いの信頼にどれほど大切かあらためて痛感した。     (S)


反空港全国集会inしずおか基調報告

強制力の行使許さず闘いぬく

空港はいらない静岡県民の会 島野房巳

 静岡空港の設置許可に係る審査過程において、静岡県知事は運輸大臣に対して、用地は県の責任において全部取得する旨の『確約書』なるものを提出し、運輸省はいわば「念書」を取る形で設置を許可しました。苦しまぎれの策であります。
 しかしこの念書は当初から、「空手形」に過ぎないことが明らかでした。果たして、県の用地取得は私たちの反対運動の前に難航を極め、私たち個人と共有の反対地権者は今日なお、空港用地のうち、滑走路など本体部の核心的部分と、障害切土部分の中心部の多数の箇所において土地を確保しています。すなわち、私たち反対派はこの空港にとって致命的な部分を抑え、この空港建設の死命を制しているのであります。県の用地取得率は、航空法が定める設置許可要件たる「用地取得の確実性」、つまり一〇〇%の用地取得に遠く及びません。このため先の国会の質疑においても国交大臣は、「一〇〇%の用地取得が達成されない限り先には進めようがない」旨を答弁しております。
 さらに国交大臣は、同じく先の国会答弁において、具体的に神戸空港と静岡空港を挙げて、「パイロットにいささかでも危険のある空港は、なるべくは作りたくない」と明言するに至っています。
 一方、静岡空港の買収対象区域においては最近、広大な障害切土部分と至近の距離にある地点で、新しく貴重種オオタカの営巣木が確認されました。これは、今後、障害切土の工事を強行した場合、オオタカの生息に象徴される貴重な生態系の破壊が、紛れもなく決定的なものになることを意味しています。県はこの事態について、非現実的で実効性のないオオタカ保護対策を掲げていますが、その欺まん性は多くの県民の見抜くところとなっています。県はここに至ってまた、重大な難問に直面した形であります。
 このほか、国交省は全国各地の地方空港の需要予測があまりにも過大なものであった事実の前に、需要予測の見直しを指示せざるを得なくなった中において、静岡空港についても見直しを求め、県は現在その作業中でありますが、国交省の方針に照らせばその結果は必ず、大幅な下方修正となって表われるでしょう。また、知事と県が称する一九〇〇億円という事業費は、周辺整備を含めれば既にその大半を費消したにもかかわらず、空港本体部と障害切土部分を合わせた地形改変区域の造成工事は実質一〇%程度しか進んでいない事実から、私たちが早くから指摘してきたとおり、たださえ桁外れの事業費のさらに大幅な膨張が避けられないという実態が、いよいよ白日下に曝されつつあります。
 このような状況のもとで、国は来年度、着手以来十年を経過した事業として静岡空港も事業再評価の対象としています。しかし、この事業再評価もその前提たる需要予測の見直しも、逆戻りした国と県との慣れ合いのもとに“お手盛り″よろしく進行する恐れも少なくありません。このため私たちは現在、国に対し、事業再評価を待たず来年度直ちに国の補助を打ち切ることを要求するとともに、県の需要予測の見直しやオオタカ保護の実効性等について厳重に監視を続けているところであります。
 この静岡空港は、途方もない税金ムダづかい、決定的な環境破壊、住民の生活破壊等の上に立って、権力と大手ゼネコンが地域住民・国民を苦しめる、誤った非民主的で有害無益な公共事業の典型であります。これに対して、県下はもとより全国の良識ある人々が強く反対していることに、私たちは大いに力づけられてきました。
 しかし、静岡県知事は暴逆にも、この理不尽極まる空港建設を、力づくで土地を取りあげることによって強引に実現することを企んでいます。これについて私たちは、「県の責任において全用地を取得する」とした知事の『確約書』を知事みずから反古にすることを認めてまで、国交大臣がまさか、土地収用に係る事業認定を行うだろうとは考えたくありません。
 その一方で、私たちはまた、成田の「暫定滑走路」の「くの字」型誘導路を直線化するとともに滑走路を延長するために、国が「強制力を用いない」という成田の約束を反古にする危険性を感じざるを得ません。そして、その「露払い」として、国は静岡空港の用地取得に県が強制力を用いることを認めて世論の反応を窺うということも、十分考えられます。もし静岡について国交省の事業認定を許したら、次に来るのは成田における強制力行使の再開と思って間違いありません。……略……
 私たちは、静岡におけるこの悪逆非道に対しては、世論をバックにして、良識ある県民と全国の有志と共に、世論が認めるあらゆる手段を尽くし全力を挙げて徹底的に抵抗し、断固としてその意図を粉砕する固い決意であります。
 敵は県議会の意向などを土地収用の口実に使うことでしょう。しかし、私たちは長野県民の英知と勇気を讃えます。彼らは脱ダム宣言を行った知事を圧倒的得票をもって再選することにより、一般住民と県会議員どもとの間にどれほど大きい意識の隔たりがあるかということを、この上なく明確心証明しました。静岡においても、この隔たりは長野同様、あるいはそれ以上のものがあると推定するに難くありません。
 私たちは、この静岡空港反対闘争の成功は、日本の民主主義の定着を試す試金石の一つと言って過言ではないと信じます。そして私たちは、ここにお集りの皆さんがそれぞれの地域において、静岡空港反対・土地収用阻止の輪をさらに拡げてくださることによって、私たち静岡の運動も必ず、滋賀、福井、播磨などの勝利のあとに続くことができると信じます。切に皆さんの力強い連帯と御支援を希ってやまないものであります。……略……
 私たちには何のしがらみもありません。私たちは敢然としてたたかいます。そして私たちには、絵空事のバラ色の空港よりみずからの日々の生活と子孫を大事にする多くの市民の味方があります。(長文のため、編集部で一部割愛した)


もどる

Back