| 労働分野の規制緩和による雇用破壊を許さない かけはし2002.12.16号より |
いま、労働基準法、労働者派遣法、職業安定法の見直し議論が、厚生労働省の労働政策審議会でヤマ場を迎えている。厚生労働省は十二月中にも審議会答申をとりまとめ、来春通常国会へ改悪法案の提出を急いでいる。その理由は、今年三月閣議決定された「規制改革推進三カ年計画」および、政府主導の総合規制改革会議が七月に公表した中間提言を踏まえ、政府・財界が、新自由主義グローバリゼーションにもとづく「規制緩和」を労働分野にも押し広げ、雇用破壊のさらなる攻撃を労働者に向けたからにほかならない。
この動きに対抗するために、「小泉改革NO!非正規労働者の権利確立を目指す秋の共同行動」が、有期雇用労働者権利ネット(全国一般なんぶ気付)を呼びかけとして、全国一般全国協議会、全統一労働組合、神奈川シティユニオン、女性ユニオン東京、郵政労働者ユニオン、フィリピントヨタを支援する会などの賛同を得、韓国・フィリピンから闘う労働者を招き、企業申し入れや集会が開かれた。
十一月二十二日は朝から、日本経団連への申し入れ行動をペルーやイランなどの移住労働者含め百五十人でかちとり、会長奥田がトヨタ出身ということもあって、フィリピントヨタ労働組合の被解雇者を含め、申し入れ行動を行った。その後は、いすゞ自動車争議関連でみずほコーポレート銀行に申し入れ、労働関係法改悪反対の声を厚生労働省前集会であげた。
この日の昼には、アタック・ジャパンの仲間はフランス農民連盟ジョゼ・ボベさんへの十四カ月禁固刑確定判決に抗し、フランス大使館への申し入れ行動を行った(本紙12月2日号既報)。三時からは郵政事業庁前で、日々雇用で国家公務員というわけのわからない臨時的任用職「ゆうメイト」十一万人の労働条件改善を求め、組織化を進める郵政全労協組合員のアピールがあったが、事業庁は申し入れ行動を受け入れず、門を閉ざしたまま。参加者の一層の怒りを浴びた。
光輪モータス争議関連で、みずほ銀行本店申し入れの後、夕暮れとなる中、トヨタ自動車東京本社前でフィリピントヨタ争議の解決を求め、申し入れ抗議行動を行った。当該による「解雇者二百三十二人中の一人だが、仕事もない中で闘い続けてきた。フィリピントヨタの行っていることは犯罪であり、世界中のトヨタ企業が責任をとるべきだ」とのアピールの後、申し入れ団を送り出した。参加者一同が、かけ声「ウーリング マンガガワ!(われわれは労働者階級だ)」を繰り返した。
夕方から総評会館で「小泉改革NO!非正規労働者の権利確立をめざす秋の集会」が開かれ、会場にあふれる三百四十人の仲間が集まった。韓国の非正規労働者の権利運動について、韓国民主労総副委員長ホン・ジュンピョさんが次のように報告した。
ホンさんは、民主労総副委員長であるとともに韓国通信契約職労組委員長でもあった。いま、韓国でIMF構造改革の下、千三百万労働者の内五八・四%、七五八万人が非正規職で、その七〇%は女性。労働条件も悪い。一九九九年から幾つかの非正規職職場での権利闘争、ストライキを組織する中で、ホンさんは民主労総副委員長に当選した。
直接雇用されている非正規職をどう組織化するのかが民主労総の課題となっている。韓国では非正規職を派遣労働者と呼んでいるが、ヒュンダイなど自動車産業では請負労働者も増え、さらに労働者とされていない建設労働者、キャディ、アニメ制作など特殊雇用者にも連帯を進め、移住労働者の組合、平等労組は五百人を組織した。
派遣労働者の権利確立百万人署名運動、週休二日制、公務員労働者の権利確立、経済特別法制定運動が民主労総の四つの課題になっている。「日本の労働法改悪は、必ず韓国に波及する。逆に、日本での移住労働者、非正規労働者の権利が前進すれば、韓国でもうまくいく。国際的に連帯しながら解決していこう!」。ホンさんは力強く呼びかけた。
続いて全国一般労働組合から労働政策審議会労働者委員となっている田島恵一さんが、労政審労働条件分科会の審議状況を報告。
「日本経済のグローバル化の中で、今日の改正論議があり、総合規制改革会議の提言を受け、性急な改定案となっている。なかには、労働基準法での『解雇ルール』に正当な理由を明記させるべきだが、労使自治でいいとの意見もある。判例でもあった整理解雇四要件(人員整理の不可避性、解雇回避努力、被解雇者選定の妥当性、事前協議)を法制化させたいが、解雇に金銭解決策も出されてきた。これは裁判所の一方的判断で、合意のない切り捨て策だ。また、有期契約期間の上限を一年から三年(専門職は現行三年から五年)に拡大することについて、厚生労働省側は働き方の選択の幅が広がるのはいいことだとの意見しかなく、派遣労働の現実を見ていない」と田島さんはこのように批判した。
均等待遇アクション二〇〇三の酒井和子さんは、以下のように述べた。
「労政審雇用均等分科会はパート労働めぐり、来年早々本当にヤマ場となるが、それにしては傍聴が少なすぎる。しかも、厚生労働省は審議会の結論が出ていないのに、提言資料をパンフレットに勝手に編集し配布してしまった。この強引さに対する労働側委員の抗議が弱すぎて、問題だ。現状に対しては、パート労働法めぐって、この十年で格差が拡大し、悪化しているにもかかわらず、均等待遇について、行政指導のみで、勧告はゼロ。差別禁止法が必要なのに、厚生労働省案は、国民的合意がないからと法的拘束力のないガイドラインを示すだけだ」。
「さらに、有期雇用の六割はパート労働者だから、有期雇用めぐる労働条件分科会でも均等待遇を議題に載せるべきなのに、拒否されている。最後に、使用者側は『日本型均衡処遇ルール』(現在、就いている職務が同じであっても、幅広い異動の多寡などキャリア管理の実態が明らかに違う場合には、パートと正社員との間に処遇差があるとしても合理的である:最終報告)を主張してきた。女性パート労働者が八割を占め家族的責任も有する中で、配転・転勤の有無を賃金格差の合理的理由とすることは、ILO一五六号条約違反である」。
派遣労働ネットから、派遣労働の製造業と社会福祉法人への解禁が認められようとしていること、派遣労働でも均等待遇が必要なことなどが訴えられ、集会基調提起では、十二月下旬まで労政審への労働側のアピールを強め、非正規労働者の権利確立が来春闘の大きな課題となることが提起された。
闘う仲間からの二分間メッセージでは、特に、フィリピントヨタの二人の労働者が「小泉改革は金持ちと多国籍企業に味方するもの。フィリピントヨタでの解雇は、フィリピン政府が争議は止めろと命令したからであり、労働者の権利を無視したものだ」「争議から十年以上経過したが、トヨタ本社での先ほどの団体交渉の場でも、本社役員は解決方法はないと回答するだけだ。こんなことを許さず、支援を求めたい」と発言した。最後に集会アピールを参加者一同で採択した。 (S)
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