総選挙アピール
共産党・社民党に投票を 脱原発・沖縄米軍基地撤去・消費増税反対・TPP反対・改憲阻止を掲げる候補の勝利を
2012年11月26日 日本革命的共産主義者同盟(JRCL)中央委員会
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衆議院は一一月一六日に解散となり、一二月一六日の投票日に向けた選挙戦がすでに始まっている。今回の衆院解散・総選挙は、直接には二〇〇九年八月の総選挙で「政権交代」を果たした民主党政権三年間のあり方を問うものである。同時に今回の選挙はグローバルな資本主義の危機のいっそうの深まり、世界全体の中でその比重を増したアジア太平洋地域における米中間の「覇権」をめぐるせめぎあいの激化を背景にする、政治・経済・社会システム全体の不安定化・激動の新たな始まりの中で行われる。
何よりも東日本大震災・福島原発事故の被災者・避難者の訴える雇用、生活再建、そして被害補償の実現、被曝労働差別との闘い、空前の高揚を見せている脱原発運動、沖縄の反基地・オスプレイ配備撤回の闘い、そして失業・貧困・格差をなくす広範な人びとの声を前面に押し出して今回の選挙を闘いぬこう。
しかし、こうした民衆の切実な思いは選挙戦の中で切り捨てられようとしている。政権奪回のチャンスと意気込む安倍・自民党のキャンペーン、石原前都知事、橋下大阪市長の合流による「日本維新の会」の「第三極」としてのクローズアップによって、選挙戦の軸は極右・強権政治の側に大きく移行した。今や「集団的自衛権行使」を突破口とした憲法改悪の流れが、安倍元首相の自民党総裁への復帰や、「日本維新の会」を通じて再び前面に現れたのである。
議会制民主主義は一般的に「民意」をきわめて歪曲した形でしか反映しない。だが今回の選挙では、議会制民主主義の「代表機能」が、メディアなど支配階級の利害に沿った装置によって上から操作・誘導されたものでしかないことが、あらためてあからさまになっている。
小選挙区制、「一票の格差」、そして立候補にあたっての巨額の供託金など、労働者・市民が自らの意思を選挙で表現する回路は、きわめて制限されている。われわれは、供託金制度の廃止、全国完全比例代表制を通じた選挙制度の自由化・民主化を求める。しかし今、この極度に制約された条件の中で、労働者・市民は繰り返し闘われている巨万のデモに表現された脱原発の意思、被災者の訴え、沖縄の反基地の叫びに応える運動をさらに強化・発展させ、憲法改悪を阻止するための投票行動を選択する必要がある。
それは同時に、歴史的危機に陥った資本主義の政治・経済・社会を根本的に変革しようとする新しい政治勢力を労働者・民衆の抵抗運動を基盤に作り出そうとする挑戦でもある。
(2)
われわれが繰り返し述べてきたように、民主党政権の三年間は鳩山、菅、野田のめまぐるしい首相交代劇と党内抗争を通じて、政権それ自体の性格が「中道リベラル左派」的性格を押し出したものから、以前の自公政権と政策的に一体化したブルジョア保守政権に純化していく過程でもあった。この変質の過程は、米軍基地新設に反対する沖縄の「島ぐるみ」の抵抗闘争、さらに二〇一一年三月一一日の東日本大震災・福島原発事故の惨禍によって加速された。民主党政権は、この中で統治能力を完全に喪失し、四分五裂状況に陥った。それを端的に示すものこそ、自民・公明との「三党合意」に基づく消費税率大幅引き上げに他ならない。
財政危機に消費税増税という大衆収奪と社会保障の切り捨てで対処する。辺野古新基地建設・オスプレイ配備に反対する沖縄の人びとの闘いを無視して「尖閣」などの「領土ナショナリズム」を煽りながら「日米同盟の動的協力体制への深化」という「対米従属」的実戦体制構築に踏み出す。「原発ゼロ」を求める圧倒的多数の世論と運動の中で「原発再稼働」を強行する。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉への参加に踏み切り、「自由貿易」の名の下に、農漁業をはじめとする生活と労働のあらゆる領域をグローバル資本の搾取・収奪にさらす。――こうした野田政権の足跡は、米国・官僚機構・そして大ブルジョアジーの意向に全面的に沿ったものであり、それこそ民主党と自民党との実質的「連合」体制の基盤でもあった。
民主党・野田執行部は、この路線をひた走ることによって「二〇〇九年マニフェスト」の放棄を批判する党内勢力を排除し、「二〇〇九年民主党」の事実上の崩壊をもたらした。小沢らの「国民の生活が第一」、「みどりの風」、「脱原発・反TPP」などの新党、そして鳩山由紀夫元首相の立候補断念・政界引退は、二〇〇九年民主党の終焉を象徴するものである。
(3)
自民党は、安倍・石破新執行部の下で、改憲と新自由主義の極右派路線を意識的に選択した。今年四月に自民党が発表した「憲法改正草案」は、天皇の元首化、国防軍の創設、緊急・非常事態条項の導入、改憲条項の緩和、家族条項の新設と人権の主体としての「個人」の否定、「公益及び公の秩序」の名による自由と人権の制限、「国民の憲法尊重義務」、公務員の勤労権制限など、現憲法の三原則(国民主権、基本的人権、平和主義)を根本的に転覆させる復古的本質を持ったものである。
また自民党は、民主党政権が日米関係を危機に陥らせたことにより、「尖閣」に対する中国の脅威を促したと強調することによって、「日米同盟」強化と合わせて領土ナショナリズムを煽るキャンペーンを繰り返している。安倍が「慰安婦の強制連行はなかった」として戦後補償や侵略戦争への謝罪を拒否、妨害してきたことは周知の事実だ。一一月二一日に発表された自民党の選挙公約は「不適切な性教育や、ジェンダーフリー教育、自虐史観偏向教育は行わせない」「従軍慰安婦問題の言説には的確な反論・検証を行う」とも書かれている。
自民党は「二〇三〇年代に原発ゼロをめざす」という民主党の、それ自身インチキな「革新的エネルギー・環境戦略」を「無責任」だと否定し、あくまで原発推進・再稼働強行に固執している。さらに安倍は、「デフレ脱却」を口実にインフレターゲット戦略を打ち上げ、国債の日本銀行による直接全面引き受けなど無際限の財政支出、法人税の大幅引き下げなど、徹底した金融緩和・新自由主義路線による「経済成長」策というバブル再燃の破綻した路線を振りかざす始末だ。
こうした自民党の政権復帰を絶対に許してはならない。
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石原慎太郎前東京都知事を代表に迎えた「太陽の党」は、橋下大阪市長の「日本維新の会」と合併し、石原が「日本維新の会」の代表、橋下が副代表の位置についた。ここでの合意文書は「維新の会」の綱領である「船中八策」と大幅に異なるものであり、たとえば「維新」が掲げていた「二〇三〇年代までの原発ゼロ」も「企業・団体献金禁止」も反故にされた。橋下が主張していた「政策・理念の一致」は脇に追いやられ、石原と「減税日本」の河村たかし名古屋市長が合意していた合流も取りやめになった。橋下とみんなの党の「政策合意」への話し合い、「第三極」への合流も後景に退くこととなった。
こうして橋下によって華々しく打ち上げられた民主・自民に対する「第三極」の政策的バックボーンが著しくあいまいになったことは確かである。
しかし、このあいまいさこそ実は問題なのである。「中央集権体制打破」を前面に掲げた「日本維新の会」のあり方が、石原・橋下というツートップ体制の専断的意思ですべてを決する「代表・副代表集権体制」という恣意的なものであることは間違いない。「憲法廃棄・核武装・排外主義、差別主義」の石原、「『日の丸・君が代』処分・労働者の権利剥奪」の橋下という二人のデマゴーグ合流の相乗効果を、絶対に軽視してはならない。
(5)
他方、さまざまな民主党脱党グループを中心に、幾つかのグループが「国民の生活が第一」、「みどりの風」、「新党大地・真民主」、「脱原発・反TPP」など脱原発・反TPP・消費増税反対を結集軸に形成されている。われわれは総選挙に向けて作られたこうした状況が規定した「中道リベラル」的ともいうべき新党が「脱原発」などの民意を結集する上で一定の役割を果たすことを軽視するものではない。
ただしこれらのグループは現在のところ未定型な議員集団であり、日常的な議員活動においても、大衆運動との関係においても試されているとはいえず、一部の新党の「脱原発」の主張には多分に「選挙目当て」の付け焼刃的色彩も見てとれる。さらに改憲問題、沖縄米軍基地・オスプレイ配備の問題に関しても原則的に反対の立場を貫けるか否かという点では何ら信頼できる要素はなく、われわれは「脱原発」の一点に絞った形でこうした「新党」への投票を呼びかけることはできない。
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こうした状況の中で、われわれは民主党、自民党、公明党、そして「第三極」を名乗る「日本維新の会」やみんなの党に反対し、明確に原発ゼロ・再稼働絶対反対、オスプレイ配備撤回・沖縄米軍基地撤去・安保破棄、消費税増税反対、TPP反対、そして憲法改悪阻止を明確にした候補者、ならびに共産党、社民党への投票を呼びかける。
総選挙と同時に行われる東京都知事選では、石原都政の継承に反対し、脱原発・反貧困を掲げる宇都宮けんじ候補を支持する。「連合東京」による猪瀬支持を厳しく糾弾する。
今回の総選挙はきわめて日本と東アジアの今後にとって重大な転換点である。民主党政権三年間の徹底した批判的総括の上に立って、原発推進・沖縄米軍基地の強化・憲法改悪・排外主義・増税・福祉切り捨て・新自由主義の反動勢力の政権復帰を阻止することが、最重点の課題となる。自民党、「維新」を敗北させなければならない。
東日本大震災・福島原発事故の被災者、避難者や基地撤去を求める沖縄の人びととともに闘おう。
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