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    かけはし2012.年12月10日号

健康を脅かされる被ばく労働者


11.25

放射線下で働き暮らすこと

健康・労働相談と講演会

差別・切捨てに立ち向かおう


 

  【いわき】放射線下で働き暮らすこと第一回、講演会・相談会が一一月二五日いわき市「ゆったり」で行われた。相談会は「被曝労働を考えるネットワーク」が主催し一一時から、健康相談・労働相談・生活相談及び鍼灸、のんびり雑談等が行われた。相談会には除染労働者が訪れ「特殊勤務手当(危険作業手当)の支払いを受けていない」と窮状を訴えた。講演会は午後一時から開始され、阪南中央病院副院長、村田三朗さんが講演を行い一六〇人が参加した。
 講演会は、原子力資料情報室の渡辺美紀子さんの司会によって行われ、原発下請け作業員による労働組合を結成した齋藤征二さんが冒頭あいさつを行い、救済には全原発の廃炉しか方法はない、その廃炉も原発労働者の被曝なしには達成できないことを話した。

無責任極まる
東電の対応
 村田さんによる講演は、「労働者被曝と健康影響――健康を脅かされる被曝労働者」と題して、以下の六つのテーマについて行われた―1「福島原発震災による広範な放射能汚染」2、「原発事故後の労働者被曝」3、「放射線の健康影響」4、「許容線量(線量限度)は安全値ではなく我慢線量である」5、「被曝労働者の健康管理・補償」6、「被曝労働をなくすために」。講演終了後参加者から質問および発言が行われた。
 講演の冒頭、村田さんは自分が放射線被曝問題と関わりを持つようになったきっかけおよび福島原発との関わりについて話した。きっかけについては、岩佐被曝問題をあげた。岩佐嘉寿幸さんは敦賀原発でたった一回の格納容器内の被曝労働によりに癌が発生した。診断は放射線が原因の放射線皮膚炎と二次性リンパ浮腫だった。診断書を書いた医師と村田さんは知己であり医者になって一年目の時であった。体制側の医者の診断は被曝と無関係の血栓性静脈炎だった。この時村田さんは事実を否定する「大学医学部の科学の論理」(岩佐さんが放射線被曝により癌になった事実を否定する)を疑問に感じた。と話した。
 福島原発との縁については、双葉地方原発反対同盟の、石丸さんと一緒に福島原発下請け労働者の健康診断調査を実行したことをあげ、「原発の危険性を訴えて来たつもりだが、福島原発震災により、たくさんの労働者及び地域住民が大量被曝を強いられる結果となった。申し訳ないという気持ちがある」と話した。
 福島原発震災による広範な放射能汚染については、東京電力は当初からメルトダウンを予想した対応をしていたが、メルトダウンを後になって認める等、東京電力の情報公開について、後出しじゃんけん方法、情報を小出し にしコントロール等と隠蔽体質を鋭く指摘し、繰り返された「直ちに影響はない」の報道が情報の信憑性を失わせ、避難を遅らせ被害が甚大化する原因となったと指弾した。
 原発事故後の労働者被曝については、福島第一原発事故の復旧作業で、作業員の安全確保のルールや手順がなし崩し的に緩和されていることを指摘し、昨年東京電力福島第一原発集中廃棄物処理施設地下二階に作業員が入った時、作業員が被曝した。その時被曝現場の水たまりは、通常の冷却水の一万倍濃度の放射能に達していた(千葉市放射線医学総合研究所発表)、作業員の防護服の目的は内部被曝防御であり外部被曝性能はない。外部被曝を防ぐには鉛の入った防御服が必要だが重量のため作業の障害になるので着用していないとした。

被ばく線量と
健康被害の関連
 また二〇一二年六月二九日東京電力が発表した作業員の被曝線量表(2011/3/11〜2012/5/31)を示しながら、一一年三月一一日から一二年五月三一日までの総被曝線量は二六三シーベルトに達し、国際放射線防護委員会は一〇シーベルトあたり一人の癌死亡が発生するとしており、二六人が癌死亡する値になっている。平均線量を見ると東電が二四_シーベルト、協力企業が一〇_シーベルト弱となっているが、実際は東電の社員の中には下請け企業社員も入っている。現在は明らかに協力企業が多い。線量計を鉛で覆う等の線量隠しが横行する原因は線量が規程の数値を超えると、仕事を失う重層的下請け講造が原因となっていると批判した。
 放射線の健康影響については、放射線が組織にあたり貫いた時にエネルギーを放出する。その時に生じた「二次電子線」が組織を通過し水酸化イオンが発生し染色体を傷つける。細胞には体細胞と遺伝に影響する生殖細胞があるが、体細胞の染色体が傷つけられた場合は細胞が死ぬ。直されたとしても突然変異細胞が発生する。壊れた場合急性障害。突然変異細胞が生じた場合は癌が出来る等の症状が出る。直線関係を示す染色体異常データが福島県環境医学研究所において発表された。福島県は否定したが。二〇ミリシーベルト照射でも約五倍の染色体異常が発生することがNHKの番組=ゼロ、で報道された。低線量=一〇〇ミリシーベルト以下の被曝でも染色体異常発生することが明らかになっている、とした。

高線量にさら
される下請労働
 「許容線量(線量限度)は我慢線量である」とする項においては、闇に消されている被曝労働の実態について以下のように語った。七〇年大阪万博に向けて電気を送るため、大飯、若狭の原発が急ピッチで建設された。その時は原子炉でできた電気があり被曝労働者がいることをまだ知らなかった。しかし事実を否定する「大学医学部の科学の論理」(岩佐さんが放射線被曝により癌になった事実を否定すること)を疑問に感じていた。スリーマイル事故が発生し、原発では事故が頻発していた。新聞の報道は「環境への放射性物質の漏れはない」だった。しかしスリーマイル事故の時わかったのは、テレビに映った作業員が汚染水を処理している姿から被曝労働の原始的姿と労働者の存在だった。
 JCO事故の時に思ったのは労働者が釜の下に入り込んで止めに行った。少なくとも一七三人の方が被曝労働に従事した。二人の方が亡くなり報道されたがそれ以外の方については報道が一切ない。原子力資料情報室が、放射線中央管理センター資料から作成した資料は働いた事業所数が多い人ほど被曝線量が多くなっている。これは各原発を渡り歩く労働者ほど線量が高いことを示している。またこの二〇〇九年二〇_以上の被曝者は七人しかいない。診察をし、内部被曝をしたと思うが健康。今回の事故では東電の社員が大量被曝し、異常はない、とされたがその後どうなったかは一切不明だと思う。
 今回の福島原発の事故では内部被曝が重要と思う。事故前は緊急時の被曝線量限度は一〇〇_だったが事故後二五〇_に上げた。被曝線量限度引き上げの時期について考えると政府は事故が過酷事故ではないかのように発表していたが、労働者の被曝限度を上げる法改正は直後の三月一四日にした。政府は、国際機関の勧告より厳しい値である、として線量引き上げを正当化しているが二五〇_でも非常に危険である。これまで二〇〇九年までは二〇_以上が累計で二万人、事故前でも被曝している。忘れてはいけない。事故が起きて線量が非常に高くなっていることは繰り返し言うが、消息が分からない人が現在でも一七人いる。恐らくは大量被曝している、事故直後は熟練社員が高線量被曝したが現在は下請けが高線量被曝している、去年三月から今年五月まで線量の合計は二六三_シーベルトであり二〇人が癌で死亡する状態になっている、とした。
 被曝労働ネットワークが発行したブックレット=『原発事故と被曝労働』に掲載された被曝労働の諸問題―危険手当ピンハネ、線量隠し、重層的下請け構造等―に触れながら、原発労働者の生活と健康が脅かされている実態が明らかになってきた、下請け労働者は線量が上がると働けなくなる。本来は被曝しなくて済む仕事を提供すべきところを、事故後線量限度を引き上げる措置をした、全く逆転している、事故直後は終束作業の労働者に危険手当の支給があったが、終息宣言以降危険手当はなくなった、と被曝労働が労働者の健康と生活を脅かす状態が益々明らかになっていると具体例を上げた。

内部被ばくは
考慮されず
 除染問題については、二〇_シーベルト以上の地域は二〇一三年八月までに五〇%の低減、そのために、積極的に地域住民参加の除染が重要、二〇_以下の地域は帰村を進め、子供を優先した除染を行うことになっているが、除洗は放射性物質を移動するだけであり、またその過程で様々な問題が発生する。先日福島の渡地区へ行った時、住民はサージカルマスク装着だけで作業をしていた。放射線防御に問題がある。除染により剥がした表土の処理は庭に埋めるだけだった。行っている除染は線的除染であり面的除染ではない。仕事を奪われた住民の普通の生活に戻りたいという気持ちにつけ込んでいる。またあらゆる公共事業―廃炉ビジネス、除染ビジネスにゼネコンが入って来て重層的下請け講造が持ち込まれ危険手当を支払わない、等の問題が起こっている。
 収束宣言以降内部被曝測定が三カ月単位になっている問題がある、内部被曝の線量が二_シーベルト未満の時はゼロと記録して良い、としているが、慢性骨髄性白血病の場合労災認定の基準は一年間五_シーベルト被曝であり切り捨てになる。年間被曝線量が二_の期間があると規定以下になってしまう。この規定は犯罪的だと鋭く指弾した。被曝労働者の健康管理・補償については内部被曝は何故考慮されなかったか、公衆の線量限度を職業人よりも低くする理由および原爆症の認定基準と原発労働者の労災認定基準の比較、労災認定基準の現状について話をした。
 内部被曝が考慮されなかった理由については、ICRPは 放射線障害のリスクを過小評価してきた。ICRPの放射線防御の考え方が、核開発に支障のないレベルに基準を変えるという形に変わってきた。それは従事者の被曝問題が存在し労働者確保するためだった。ICRP=放射線防御委員会は核保有国の核開発トップクラスの人材が集まった団体であり放射線の防御の団体ではない、とした。
 公衆の線量限度を職業人よりも低くする理由については、公衆には子供も含まれる。選択の自由がない。直接的利益がない。被曝管理を受けていない。自分自身の職業の危険にも曝されている、の諸点を上げた。原爆症の認定基準と原発労働者の労災認定基準の比較については、『広島・長崎の原爆災害』(岩波書店)を見ると昔の考え方だが原爆の急性症状―脱毛、歯茎から出血、は二キロから発生率が下がるとされてきた。線量にすると二五〇_シーベルト、それが二キロ以外は急性症状が出ないとすり替えされてきた。原爆症認定新指針は被曝地点が爆心地より三・五キロ以内としている。線量を計算すると三キロで二・六_シーベルト、三・五で二_シーベルトになる。広島長崎原爆被曝者の疫学調査結果。全癌について閾値なしとの推定は最も適切三〇歳で被曝一シーベルトした時に七〇歳までに固形癌化で死亡するリスクは非被曝者よりも四二%増加。二〇歳で被曝した人は五四%増加、一〇歳未満での被曝者は五八%増加被曝者の方が固形癌で死亡する人が一万人あたり二六人多かった。

核・原子力との
共存は不可能
 福島原発、下請け被曝労働者の実態調査(一九八九)を見ると原発被曝労働者数は原爆被爆者数に匹敵する。下請け労働者は被曝要員として扱われており、その構造は重層的であり安全教育・線量管理はずさんだ。健康状態は原爆被爆者と極めて類似しぶらぶら病が四〇代〜五〇代の労働者に発生している、とした。そして広島・長崎の被曝者も原発労働者も同じ被曝者、同じ基準の必要性を訴えた。又喜友名さんの労災認定以降悪性リンパ腫を例示疾病に記述する事を要求してきた。国は悪性リンパ腫二五_×一二年多発性骨髄腫五〇_等の基準を出して来た。これは原爆症認定の新基準を参考にしていると思う。しかし五〇_以下でも線量に応じて発病する。新たな闘いが必要とした。
 「被曝労働者の切り捨てをなくすためには声をより高く上げ、重篤な病気はないか、被曝の影響はないか等被曝者に寄り添った相談活動の重要性と共に、被害者の立証責任は不当だが、認定のためには時間の経過、当時の天候、健康状態など被曝当時の記録の重要性も合わせて提言した。そして加害者東電が認定に関わるのは許せない。被害者も参加するべきであり、被曝労働をなくすためには原発はそこで働くしか術がない地方に建設される等、被曝と被害は社会的弱者に集中し差別と切り捨ての講造が存在する。核、原子力との共存はできない。被曝をしないためにはこれらを止めるしか方法はない」と結んだ。                 (浜西)

11.27 政治の場でも運動のうねりを

宇都宮けんじさんと東京
から脱原発を 大集会



後世への負担
をなくすため
 一一月二七日午後五時半から、日比谷野外音楽堂で「宇都宮けんじさんと東京から脱原発を!大集会」が開催された。晩秋の厳しい冷え込みの中で緊急に決まった集会だったが、脱原発を前面に掲げた都知事選本番を目前にした熱気に満ちた集会となった。主催は「人にやさしい東京をつくる会」。一〇〇〇人以上が集まった。
 「ひとにやさしい東京をつくる会」の中山武敏弁護士が主催者あいさつ。中山さんは「優しさとともに政治的・行政的手腕を兼ね備えた人」と宇都宮けんじさんを評価し、「東日本大震災・福島原発災害にあたって弁護士の活動の先頭に立って救援・支援を行った」と宇都宮さんを紹介した。 講談師の神田香織さんが「原発問題はささいなこと」という石原前都知事の暴言に怒りを表明した後、脱原発弁護団連絡会議の河合宏之弁護士が発言。「嘉田新党が『宇都宮さんは政治的にも制度を変えていくことができる人』との連帯の表明を行った。脱原発以上に大きな政治的問題はない。後世への負担をなくすというなら消費税ではなく原発ゼロがまず必要」と訴えた。

統一候補が
できた意義
 制服向上委員会の元気な歌とメッセージの後、宇都宮けんじさんが登壇。宇都宮さんは脱原発でなければならない理由として「@高レベル廃棄物の処理A無権利・被差別の被曝労働に依存B事故が起これば取り返しがつかない」の三点を上げ、原発そのものが人類が使えないものであり、倫理に反している、と訴えた。そして「核武装のシミュレーションが必要」という「維新」代表に収まった石原慎太郎を厳しく批判した。
 続いて、共産党衆院議員の笠井亮さん、社民党の福島みずほ党首、民主党の大河原雅子参院議員、生活者ネットの西崎光子都議、「みどりの風」の初鹿明博衆院議員が宇都宮さんを支持するあいさつ。
 さらに首都圏反原発連合で宇都宮さんを支持する「杉並勝手連」で活動している中村さん、俳優の山本太郎さん、作家の広瀬隆さん、中沢けいさん、鎌田慧さんが次々に発言。鎌田さんは運動の力が、脱原発統一候補としての宇都宮けんじさんを登場させたことを強調し、政治の場でも「脱原発のうねり」を後戻りできない確固たるものにしよう、と訴えた。   (K)
 


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