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    かけはし2012.年9月24日号

生活できない低額答申、生活
保護との逆転解消延期に抗議


宮城全労協、地域最賃答申に異議提出

 本紙九月一〇日号では、宮城地方最低賃金審議会に提出された宮城全労協の意見書を紹介した。その後同審議会が答申した不十分な引き上げ額に対し、宮城全労協は直ちに異議を提出している。宮城全労協ニュースから転載し紹介する。(「かけはし」編集部)

 宮城全労協は宮城地方最低賃金審議会の今年度改定額の答申(八月二二日)に対して異議を申し出ていたが、異議に対して九月七日、審議会は「答申どおり決定が適当」とし、時給六八五円(前年度から一〇円の引き上げ)が決定した。
 これにより、前年度に引き続いて「生活保護水準との乖離」(今年度改定額で九円)が継続することとなった。宮城地方最賃審議会の姿勢が厳しく問われねばならない。
 全国都道府県での改定額は「平均七四九円」(平均一二円の引き上げ)となった。「雇用戦略対話」が早期に実現と合意した「全国最低八〇〇円」を大きく下回っている。改定額七四九円では上限でも月額一二万円程度にとどまり、東北地方などはそれを更に下回る低賃金となる。
 生活保護との逆転は宮城、北海道など六都道府県で解消されていない。自民党からの生活保護制度への攻撃が強まっており、野田政府では「見直し」の動きが活発化している。
 最低賃金の大幅引き上げの実現を求め、生活保護制度への攻撃を打破するために、今秋からの闘いを進めよう!

「宮城県最低賃金の改正決定」
(答申)への異議申出書

 宮城地方最低賃金審議会の意見(「宮城県最低賃金の改正決定について(答申)平成二四年八月二二日」)に対して、最低賃金法の関係規定にもとづき、宮城全労協は以下のとおり異議申出を行います。
 なお宮城全労協の意見は七月二二日、審議会に対して提出しています。

異議の内容


異議の内容は次のとおりです。
1.「六八五円(時間一〇円引き上げ)」はあまりにも低額です。「格差是正」「働く貧困層の生活改善」には遠く及ばす、改正最賃法の趣旨にも反します。
2.「生活保護水準との乖離」(一九円)が今年も解消されていません。
3.昨年に引き続き、「大震災の甚大な影響」が答申の主要な根拠とされています。最低賃金の大幅引き上げが被災地・被災民衆を励まし、地域経済再建につながるのであって、震災ゆえに「生活保護水準との乖離の解消」はできないとする宮城の議論は逆転しています。
4.審議内容が地域労働者に伝わっていません。全審議の公開が必要です。
 以上、再審議を求めます。

異議の理由


(1) 宮城地方最低賃金審議会は八月二二日、今年度の「宮城県最低賃金の改正決定」について「一時間六八五円」(前年度六七五円)とする答申を行いました。
 最賃大幅引き上げは労働者の切実な要求です。宮城全労協は「全国一律で時給一〇〇〇円」を求めてきました(審議会への意見書/二〇一二年七月二二日提出)。「六八五円」はあまりにかけ離れています。中小・零細企業で働く労働者、非正規雇用労働者など、低賃金を強いられている労働者の生活改善にとって、この答申額はまったく不十分です。
 国際的にみても低すぎる最低賃金が様々な矛盾や悪循環をもたらし、将来不安の大きな要因になっています。親世代への経済的依存の深まり、税や年金等の納付率の低下、なかでも「結婚できない、子どもを産み育てることができない」という若者世代の現状は深刻な社会的危機として認識されてきました。
 七〇〇円にも満たない最低賃金で、そのような危機を打開することは不可能です。五年ぶりに見直された政府の「自殺総合対策大綱」は「若者層の自殺の深刻化」に焦点をあて、その要因に雇用、労働のあり方をあげています。将来を語ることすらできない低賃金が、多くの若者たちを追いつめていることは明らかです。
 「生活保護との整合性に配慮」を盛り込んだ最賃法の改正(二〇〇八年)、「全国で早期に八〇〇円、二〇二〇年までに景気状況に配慮しつつ全国平均一〇〇〇円」という政労使による引上げ目標の合意(二〇一〇年「雇用戦略対話」)は、そのような社会的要請に沿ったものでした。しかし、「全国最低八〇〇円」という合意の第一段階が達成されず、しかも昨年度、引き上げ率にブレーキがかかり、今年度の中央審議会による「目安」も平均七円にとどまるものでした。
 最賃引き上げの抑制から、引き上げの再加速化に転じなければなりません。
 なお、答申の一〇円引き上げは、大震災以降二年の平均では五・五円という低額であることを付記しておきます。

(2)「生活保護に係る施策との整合性」について、昨年の審議会は「予定解消年数を一年間延長して」「予定解消期間を平成二四年度とした」と答申しました。
 今年度の答申は「解消期間を更に一年間延長して一〇円の引き上げとすることが適当である」としています。一年の延長を強いられた宮城県で今年度の「乖離解消」に大きな期待が集まっていましたが、今年もまた、再延長の答申でした。
 私たちは昨年、次のように危惧を表明しました。
 「来年について、『最新のデータに基づき最低賃金と生活保護水準との比較を行い、本県の経済・企業・雇用動向等も踏まえるものとする』との表現によって、いわば〈付帯条件〉をつけ、乖離解消の再延長あるいは不履行に道をひらく可能性を示唆しているといえます」(異議申出書、二〇一一年九月一一日)。
 宮城地方審議会の度重なる「繰り延べ」に、最賃引き上げを生活改善への起点にしようと期待する労働者たちは、怒り、幻滅しています。
 最低賃金と生活保護費の逆転の解消は緊急に求められていることであり、このようにして引き延ばしていく審議会の姿勢と答申内容を容認することはできません。

(3) 宮城全労協は昨年の審議に対して、大震災被災地での最低賃金審議会の役割は格別に重要であると指摘しました(以下、意見書ならびに異議申出書から抜粋)。
 「大震災からの『復旧・復興』はあまりにも遅く不十分であり、地震・津波・原発事故の被災地では怒りと絶望が渦巻いています。『自殺・孤独死・関連死』により、連日、多くの人々の命が奪われています。このような現実に踏まえて審議がなされ、被災地と被災民衆が希望を見出しうる最低賃金の大幅な引き上げを答申されるよう要請し、意見とします」。
 「被災地の最賃審議会は、このような「社会の分裂」に対して、どのように対処するのでしょうか。大企業が徹底的に求める『経済整合性・効率性』の観点で進むのでしょうか。それとも被災労働者・民衆とともに、再建への道を歩もうとするのでしょうか。軋轢や矛盾をかかえざるをえない地域最賃審議の、真価がまさに、問われているはずです」。
 一年たったいま、被災地での最賃審議への注目が高まっています。たとえば地元紙は中央審議会の目安を受けて、「震災の影響について、労使の見解は分かれている」と述べたうえで、次のように主張しています。
 「被災企業への『配慮』とは、賃金引き上げを猶予する配慮ではなく、賃金向上に向けた努力を促す措置であるべきだ」(河北新報社説「本質は地方の苦しさにある」八月三日)。
 さらに社説は、「逆転現象は、解消されれば事足りる種類の問題ではない。逆転現象の背景にある地方の苦境が、問題の核心だ」と続けています。
 東日本大震災が襲ったのは最低賃金が相対的に低い地域でした。「大震災による地域への甚大な影響」を主要な理由として「逆転現象」を解消しないという結論は、地震・津波・原発事故によって未曽有の打撃を受けた被災地の苦境を放置し、東北地方が歴史的に担わされてきた「中央への従属的な位置」を固定化することにつながるものです。
 被災地東北地方では今年度、青森などで一歩前進と評価されています。青森は「四〜五円」の目安に対して七円の引き上げによって「逆転」解消の答申がなされました。
 岩手では「四円」の目安に対して八円の引き上げが答申されました。岩手労働局長は「今後の震災復興の礎にもなる。速やかな施行に向け努力したい」と述べています(岩手日日新聞、八月二四日)。地元紙の文面からは、八円が十分であるかは別として、今年度の最賃引き上げは震災復興に資するだろうという手応えをうかがい知ることができます。
 そのような対比においても、宮城の審議会答申はきわめて残念なものです。大震災被災地を励ますという意思を感じることのできない、後ろ向きな姿勢だと言わざるをえません。
 さらに「大震災の甚大な影響」を「逆転解消」の不履行の理由とすることは、「被災地の最低賃金の規制緩和」という最賃制度をふみにじる主張(たとえば日経新聞二月二一日社説)の、いわば呼び水となっていると考えます。

(4) 地域の労働者たち、とくに最低賃金の対象となる労働者たちが、審議内容を知り、意見を表明することが十分に保障されていなければなりません。現状はそのようになってはいません。また、審議会の答申内容はきわめて限定的にしか報道されていません。
 最低賃金審議は当該地域、当該対象労働者に開かれていなければなりません。どのように「開く」のか、審議会および審議委員各位が改善に向けての施策を検討し、実行することを求めます。
 そのような改善のためにも、全審議の公開が必要です。最低賃金という公的な性格上、労働者が審議の内容と成り行きを知ることは、当然の権利です。
(二〇一二年九月二日/宮城全労協)
■以上/宮城全労協ニュース二三一号(二〇一二年九月一二日)


8.31大阪でJAL不当解雇撤回集会

むりやり倒産させて組
合つぶしと大儲けねらう

  

 【大阪】JAL不当解雇撤回を要求し原告を励ます集会が八月三一日、大阪エル・シアターで開かれ、会場にあふれる八五〇人の労働者・市民が参加をした。
二〇一〇年大晦日、日本航空による一六五人の不当整理解雇が強行され、解雇撤回を求め東京地裁で裁判が闘われたが、今年三月末の判決は解雇を容認。整理解雇の四要件は、会社更生計画下でも適用されるとしながらも実質的には反故にし、「雇用継続は可能だった」との稲盛会長の証言を「心情の吐露に過ぎない」と恣意的に判断するという、驚くべき政治判決であった。原告は四月一一日控訴、現在東京高裁で控訴審が闘われている。
 原告たちはこの日の集会に向け、夏の猛暑の中を一六六カ所もオルグに回ったという。集会では冒頭、原告やその家族・同僚、集会準備に関わった人たちのメッセージがDVDの映像で映し出された。
 原告からは、長年勤務してきて突然、納得できない不当な理由(病気欠勤や産休、五五歳とか五三歳という年齢など)で解雇予告され、自宅待機のまま年度末に解雇されたといういきさつが語られた。何より驚いたのは、日航は東京地裁判決を待って、七〇〇人超もの新規客室乗務員の募集をしたことだ、と原告の一人は言った。日航は現在、最新型の飛行機B787を四五機も発注しているという。
 
異った職場から
のリレートーク 
続いて、それぞれ立場のちがう七人が次々と登壇しアピールをした。
 リレートークをしたのは、元ダイキン工業社員(長年の偽装請負を指摘され、二年半の有期雇用に切り替え雇い止め解雇)、大阪青年ユニオンの労働者(ブラック産業では、半年もたたずに人が入れ替わるというこの産業での青年労働者の実態)、元JAL契約客室乗務員(JALでは客室乗務員は契約制。三年間の勤務を経て、違法行為等の問題がなければ正式採用となるわけたが、雇い止め解雇。現在東京高裁で控訴審)、京都で福島からの避難者支援をしている女性、クラブ経営者(ライブなどのダンスを専門にやっている。風俗営業法で摘発、二二日の拘留の後起訴)、大阪市の学童保育関係者(橋下市政は学童保育や子どもの家への援助を廃止し、校長などの天下り先になっている「いきいき」事業に統合しようとしている)、大阪市職員(政治活動規制条例について、一〇月思想良心の自由を根拠に裁判を提起する)。
 合唱団による歌の後、原告一二人が登壇して、一人一人が短いアピールをし、今思っていること、今後の闘いの決意、控訴審への支援を訴えた。
 
黒字になっても
「整理解雇」可能
 最後に、集会実行委員長の梅田章二弁護士が訴えた。
 「三月の東京地裁の判決は、会社が黒字になっても整理解雇できるという不当判決だ。株主も泣かした、債権者も泣いた、三五〇〇億円という公費も投入している、だから首を切られても仕方がないという理屈だ。だが、ここに大きなごまかしがある。個人の株主は泣かされているが、債権者は銀行だ。銀行は損しているのか、違う。銀行は倒産したJALに金を貸し付けて借金を繰り上げ返済してしまった。これでJALは健全な会社になり、JALは更生債権四千数百億円を数年かけて返済するといっている。銀行は絶対損しない、これは常識だ」。
 「企業再生機構というのは政府だ。政府が投入した三五〇〇億円については、その見返りとして株券をもらっている。健全な会社になったJALは一年間に一〇〇〇億円以上もの黒字を上げる会社になった。今年の九月に上場すれば株価は上がる。三五〇〇億円ならその倍の七〇〇〇億円になる。まさに、濡れ手に粟だ。JALは確かに大きな借金を抱えていたが、倒産するような会社ではなかった。それを無理矢理倒産させ、その借金を国民に負わせて儲けようという財界と政府のわるだくみ、これが事件の本質だ。だまされてはいけない」。
 
権利を守るため
に団結が不可欠
 「もう一つだまされてはいけないのは、日航は東京地裁の判決が出るやいなや客室乗務員の新規採用七〇〇人以上を発表した。整理解雇が行われているときからすでに、JALの中では人手が足りないことがはっきりしていた。普通整理解雇したら、その後新規採用する場合は、解雇された人を優先的に採用するというのが国際的な常識だ。JALはなぜ戻さないのか。それは彼ら彼女らが一生懸命労働組合運動をやってきたからだ。だから解雇の本質は、倒産企業の整理解雇ではなく、不当労働行為の組合つぶしだ。これをはっきりさせなくてはならない」。
 「なぜ労働組合は企業から嫌われるのか。改善した労働条件や雇用を守ろうとするからだ。憲法二五条には生存権、二六条には教育を受ける権利、二七条には労働の権利があり、二八条には労働者の団結権がある。なぜこの順番に並んでいるのか。それは、二五条から二七条までの権利を守るためには団結権が不可欠であるからだ」。
 以上のように梅田さんは裁判の意義について述べ、東京高裁で勝利するために、全国一〇〇万署名を達成しようと訴えた。(T・T)


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