9.6〜8 反貧困全国キャラバン2012inあいち
民衆の抵抗運動を組織しよう生きぬく闘いをあきらめない |
【愛知】九月六日から八日までの三日間にわたり、名古屋市と豊橋市で「反貧困全国キャラバン2012in愛知」が、同実行委員会の主催で行われ成功した。
この全国キャラバンは、東ルートは北海道から出発、西ルートは沖縄から出発して四七都道府県をめぐり、貧困問題の解決を全国で訴え、シンポジウムや相談会、情宣を行いながらゴールの東京をめざすものとして取り組まれた。
愛知県では、三日間かけて、名古屋市内九カ所で街頭宣伝が行われ、豊橋市でも八日に「なんでも相談会」「反貧困パレード」(三二人参加)「アジアンまんはったんライブコンサート」が行われた。
これに並行しながら名古屋の愛知司法書士会館では三日間連続でシンポジウムが行われ、延べ二七〇人が参加して成功した。そして最後の締めくくりとして特殊陶業会館前から栄にむかって約五〇人で反貧困を訴えパレードを行い、多くの注目をあびながら三日間の行動をやりぬいた
生活保護バッシ
ングを考える
三日間連続のシンポジウムの第一日目の六日、「生活保護バッシングから見る今の生きづらさ―誰もが貧困に陥らないこれからの社会を考える―」と題して行われ、一二〇人が参加した。
最初に生活保護の実態について、二人の当事者からの話が行われた。Aさんは、「最初は、まさか自分が生活保護を受けるとは思わなかった。建設現場で落下して頭を強く打って記憶障害やてんかんを起こすようになり、その後うつになり、生活保護を受けるようになった。いつてんかんになるか分からないのでずっと家にいるが心が折れそうになる。早く治して仕事につきたい」と保護を受ける過程と自身の苦悩を述べた。
Bさんは「切り詰めながら生活していてもなかなかうまくいかない現実がある。病気を患ってるなかでハローワークに行っても、先に体を治しなさいと言われ仕事に就くことができない。テレビは本当のことをいわない。事実を報道してほしい」と述べた。
扶養は保護の
要件ではない
続いて弁護士の小久保哲郎さんが「これからの制度の在り方」と題して講演をおこなった。
小久保さんはまず、親族が面倒を見るのは当たり前だという論調にたいして、民法上の扶養と生活保護との関係について解明した。
生活保護法四条1項では「資産・能力の活用は保護の要件となっている。同2項では『扶養は保護に優先』となっているが『優先』とは扶養が行われることを事実上『期待』しつつも、現に扶養が行われたときに収入認定し、その分、保護費を減額することとなっており、扶養義務者による『扶養』は保護の要件ではない」と指摘した。
ここで、扶養を保護の要件にする法改正をしたらどうなるか? 現在でも扶養照会がいやで申請をためらう人が多い中、証明義務、強制調査権限が課されると、親族関係は一層悪化し破壊されるだろうと指摘した。さらに最近のバッシング報道に見られる不正受給の報道については冷静に見なければならないと述べ、二〇〇七年度では生活保護受給者のうち、不正受給したのは一五九七九件であり全体の一・四四%で額で表すと九一億八二九九万円で全体の〇・三五%にすぎず、二〇一〇年度でも一九七二六件で一・八%であることを明らかにした。
そのうえで生活保護費が財政を圧迫しているとはいえないことを詳細なデータに基づいて明らかにした。
最後に「政府はこの国の構造を変えようとしており最初に社会保障がターゲットになっている。生活保護制度が今年末に変えられようとしている。年末が正念場だ」と述べ講演は終了した。
「同一価値労働同一賃金」と女性の仕事
シンポジウム二日目の七日は「労働の価値を測るものさしってあるの?」と題して、同一価値労働同一賃金をテーマにして行われ、京ガス男女賃金差別裁判元原告の屋嘉比ふみ子さんが講演を行い六四人が参加した。
屋嘉比さんは、女性はずっと前から貧困の状態に追いやられていた。今起こっていることは女性の労働環境と同じ状況に男性が置かれているようになっただけだと指摘し、貧困は女性の問題であることを明らかにした。日本の現状は、非正規率は男女で三八・七%、うち六九・三%が女性であり非正規女性の七七%がパートとアルバイトであると報告し、男女賃金格差の大きさは、日本は性別分業役割意識がきわめて強い社会であることを示していると指摘し、この五年間で女性の貧困層は一〇〇万人も増大し、特にパート労働者の多いシングルマザーや単身高齢女性の貧困が進んでいることを明らかにした。
さらに、女性の仕事から見えてくるのは根強い家父長制の在りかたであり、女性の仕事は家事労働の延長という認識が今でも強いとし、女性が七〇%を占める職種は大半が対人サービス業であることを報告した。
同一価値労働同一賃金原則の意義は、職務は違っても価値が同等の場合は同一報酬であるべきだ。女性の低賃金と生活賃金の向上に取り組み、賃金体系における差別を撤廃しなければいけないと主張した。
さらに海外におけるペイ・エクエティ(公平)運動を紹介し、自身も闘った京ガス男女賃金差別裁判の闘いを振り返りながらも、この問題については、連合はもとより全労連、全労協もなかなか動かない現実を述べた。
税金は金持ち
から取るべき
最後の三日目は「富裕税」をテーマにシンポジウムが行われ、元大蔵省に勤務していた武田知弘さんが講演を行い八〇人が参加した。
この講演では、「富裕税を導入すれば消費税はいらない!税金は金持ちからとれ!」というサブタイトルが付けられており、国の財政赤字の責任を消費税をもって労働者民衆に押し付け、資本家たちは責任を取るどころか、ますます収奪を行おうとしていることを明らかにした。
武田さんは、一九八八年と二〇一〇年の国税収入を比較し、「GDPは二五%以上上昇しているのだから二五%税収が上がらなければならない。しかし実際には二五%以上も下がっている」と指摘した。法人税、高額所得者の所得税、相続税の最高税率は八八年に比べると下がっており、大企業、金持ちを優遇し、庶民の税負担を増やしてきたことを明らかにした。
また、トヨタの社長を例に出し、「日本の税金制度は表面上は金持ちへの税率が高くなっているが巧妙なしくみによって平均的なサラリーマンより低い」と説明した。さらに億万長者は一〇年前に比べて三倍に増え、株主の収入もこの一〇年間で激増していると、詳細な表の資料で説明した。また、役員の報酬になると一〇年で一〇倍以上になり、一方サラリーマンの平均年収は下がり続けていると述べた。
また、バブル崩壊以降も大企業は貯蓄を増やし続け「内部留保金」は現在三〇〇兆円にもなっておりアメリカの二倍近くもあると述べ、法人税についても世界に比べると安い方であり租税特別措置法など様々な抜け穴があり実質的な負担額は少ないと指摘した。
最後に、「法人税を上げても景気に影響は全くない」と述べ、その理由として「法人税を一〇%下げたからといって、日本製品に反映されるのは、わずか〇・一%だ。財界は、法人税を下げないと企業はみな外国に行くというが、わずか〇・一%のために海外にいく企業はないし、東南アジアに進出しているのは人件費が安いからだ。」と述べた。
非正規労働者の
使い捨てやめろ
三日間連続のシンポジウムを終了し、最後の締めくくりとして、反貧困パレードが行われ五〇人が参加した。
参加者たちは続々と陶業会館前に集まり、キャラバンカーを先頭に「生活保護基準の引き下げをやめろ!」「非正規労働者を使い捨てにするな!」「生き抜くためにあきらめないぞ!」と元気にシュプレヒコールをあげて栄までパレードを行い。三日間の行動を終了した。 (越中)
いわき市議選
佐藤和良さん高位で三選 被災者へのいっそうの
支援強化が求められる
【いわき】いわき市議会議員選挙が九月二日に告示され、一週間にわたる選挙運動が展開された。その結果脱原発運動を担ってきた佐藤和良さんが、四二〇四票余を獲得し定数三七人中六位の高位で当選を果たした。
共産党は四議席を獲得し社民党も上壁さんと狩野さんが、そして民主党に在籍しながらも明確に脱原発の主張を行った福島さんが当選を果たすなど、脱原発を明確に掲げて選挙運動を行った候補の健闘を示す結果となった。
いわき市は福島原発の三〇キロ圏内に該当する地区が一部存在するなど、福島原発近郊に位置している。しかし、いわき市議会においては過去二回福島原発の廃炉についての決議をあげることに成功していない経過を持っている。そして今年八月議会においてようやく「福島原発すべての廃炉を求める請願」が採択された。全会一致とはいえ「つつじの会」に参加する電力労組出身の議員一人は採決の際退席するなど最後まで抵抗した。この議員をはじめとしてイヤイヤながら賛成した「隠れ原発維持派」の議員は、今回選挙において、復興を声高に選挙民に訴えた。争点隠しが行われたのである。
結果は民主党と自民党一人が議席を失った。投票率は前回五六%が今回は五〇%余であった。
事態は深刻化
する一方だ!
昨年の原発震災以降一年半が経過した。沿岸部に存在した集落は津波によって破壊され、そこで生活していた住民は、市内の「仮設住宅」そして「借り上げ住宅」での避難所暮らしが続いている。いわき市当局は「風評被害」の克服に躍起となっている。しかし、原発震災前から不振が続いていた漁業は、原発震災によりさらに深くダメージを受けてしまった。海と海洋生物は福島原発から放出された放射性物質により汚染されたままである。
いわき市は原発立地町が計画する「仮の町」の候補地である。また原発の収束と除染の作業に職を失った労働者が駆り出されている。問題は深刻化の一途をたどっている。現地はより一層支援と注目を必要としている。
(浜中)
コラム
乱世と派閥
「…二大政党側の話し合い(談合)解散による政権のたらい回し…、或いは下克上を底流として“幕末”乱世に突入するか否かは、未だ定かではない。いずれにしても情勢はこの幅の間で揺れ動くしかない…」(コラム・自壊する民主党 五月二八日号)と私は書いた。情勢は、参議院での野田首相への問責決議の可決(八月二九日)によって、「幕末乱世」に向かって走り始めた。さて、乱世の幕は切って落とされるだろうか。
野田民主党政府は、自民党の党利党略むき出しの裏切りにもかかわらず、「三党合意は生きている」と主張し続けている。次期衆議院選挙での大敗=野党転落は不可避である。だが、権力の一端にしがみつくためには「三党合意」だけが頼りなのだ。もはや足元を見透かされている民主党には、「三党合意」を主張すればするほど、悪無限的な屈伏の道しか残されていない。
自民党はどうか。首相の座を争う総裁レースにおける「谷垣降ろし」は、同時に「三党合意」を換骨奪胎するものに他ならない。自民党内には「三党合意」=三党連合の合意は存在してはいない。自民党が権力の座に返り咲くための一つの手段でしかなかったのは明らかだ。消費税増税は決定され、新たな財源が確保された。いまや、勝者としてフリーハンドを握るのがベストなのは言うまでもない。次期衆議院選挙の結果についても、見てみなければならない。もはや「三党合意」は政権運営の単なるツールの一つにすぎない。
死んだふりをしていた派閥のボスたちが出没し始めた。もちろん大臣ポストの配分のためである。それこそが、派閥の力の源泉だからだ。さらに、自民党が勝利する局面を打ち固め、長期安定政権へとつないでいかなければならない。そのためには、「違憲状態にある一票の格差」を利用し、抜本改革の大義名分の下に「中選挙区」を復活させることである。「中選挙区」こそが、自民党単独過半数を可能にし、派閥間の政権たらい回しを可能にすると、考えているからである。果たして、柳の下にドジョウは二匹居るであろうか。
今やメディアの寵児となった橋下大阪市長は「日本維新の会」を結成し、全国政党化に乗り出した。早々と次期衆議院選挙における公明党との全国的、全面的な選挙協力の協定を結んだ。つまり、公明党を媒介にして、国家権力の内部にシフトしようとするものに他ならない。現実的には、自・公連合が衆・参両院で、過半数を握る展望は少ないと言われている。あと一つ大きなかたまりが必要なのだ。その位置に就くためには、「日本維新の会」がどれほどの力を持つかによるだろう。
もちろん大阪都構想の実現のために、公明党とのブロックによる強権的な市議会運営を可能にするためのものでもあるが。
「日本維新の会」は、アメリカの「ティパーティ」連合と軌を一にするものである。「ティパーティ」は、共和党を揺るがし、その一層の右傾化を促進している。その背景には、アメリカの没落に対する危機感がある。橋下維新の会もまた、同様の危機意識を持って登場してきている。橋下は自民党の安倍との一体性を強調する。「戦後政治からの脱却」と「靖国の国家」をめざす安倍は、「日本維新の会」を最大限利用して「草の根」右翼を再組織することをも視野に入れつつ、新たな国家体制を打ち建てようとするものに他ならない。「ティパーティ」が共和党の右翼バネであるのに比して、「日本維新の会」はさしあたり自民党の外側に位置しようとしている。だがその今後は、政治再編の起爆剤となり得るか否かも含めて、未定型である。
(灘)
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